【No.286 2022年12月19日】
《 反撃能力と防衛予算確保について 》
皆さん、こんにちは。
谷合正明です。
先週16日、国家安全保障戦略など防衛3文書が閣議決定されました。今回は、そのうち反撃能力と防衛予算確保についてお伝えします。
いま、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。
ロシアはウクライナを公然と侵略し、中国は軍事力を広範かつ急速に増強し、北朝鮮は異例の頻度でミサイル発射を繰り返しています。
<反撃能力>
現在、日本に弾道ミサイルなどの攻撃があった場合は、イージス艦などのミサイルで迎撃するのが基本です。しかしながら北朝鮮のミサイル技術が急速に発達し、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することが難しくなりつつあります。
それに対して、反撃能力とは、ミサイルによる武力攻撃を防ぐのに自衛の措置として、相手の領域において、反撃を加える自衛隊の能力をいいます。
こうした反撃を加える能力を持つことにより、まず武力攻撃そのものを抑止する効果があります。万が一、相手からミサイルが発射される際にも、ミサイル防衛により、飛んでくるミサイルを防ぎつつ、反撃能力により相手からの更なる武力攻撃を防ぎます。
反撃能力について、これまで政府は憲法上、保有は認められているが、政策判断として保有せず、米軍がその役割を担うこととしてきました。自公両党は、厳しさを増す安全保障環境の中で、自衛の措置としての反撃能力を日本も一部保有するべきではないかと考えるに至りました。
反撃能力の保有によって「専守防衛の範囲を逸脱しないのか」などの批判があります。また場合によっては「先制的な攻撃も必要ではないか」との議論もあります。
しかし、そもそも先制攻撃は国際法上、違法です。公明党は、日本への武力攻撃が発生した際、攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置とすることを政府、自民党に対して確認をさせました。
その結果、我が国の反撃能力は、「憲法および国際法の範囲内で、専守防衛の考え方を変更するものではなく、武力の行使の三要件を満たして初めて行使され、武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃する先制攻撃は許されない」と、今回の防衛文書の中で明記しました。
また、そもそも反撃能力が使われないで済むようにするためには、外交が重要です。外交力や経済力も含めて総合的な防衛体制を築いてまいります。
<防衛予算確保>
防衛予算については、必要な予算を積み上げていくと、今後5年間で総額43兆円が必要であり、2027年度以降は、毎年度4兆円の追加財源の確保が必要となります。
安定的な財源を確保する必要がありますが、公明党はまず、徹底した歳出削減努力をすべきであり、安易に国債に頼るべきでないと主張しました。
そこで、政府与党は、追加的に必要な4兆円の約4分の3については、歳出改革などで賄うことを決めました。残りの約1兆円の確保については、将来世代に先送りすることなく、最終的に法人税、所得税、たばこ税を充てることで合意しました。
詳細は省きますが、現下の経済状況の中で、個人の所得税の負担が増えないようにし、また大半の中小企業には課税されない内容としました。
施行時期は2024年以降の適切な時期とし、来年の税制協議で、最終的に決定するとしました。
国民の生命・財産を守るためになぜ防衛力が必要か、しっかり説明し、納得いただけるよう、尽くしてまいります。
(谷あい)