【No.179 2015年9月9日】
《 平和安全法制 参議院の審議から No.2 》
(No.1から続く)
昨年7月の閣議決定に至る前には、憲法9条を変えなくても、国連憲章で認められているフルスペックの集団的自衛権は認められるという意見さえありました。
しかし、公明党は、フルスペックの集団的自衛権は、他国防衛を目的とするもので、憲法9条を逸脱するので与党協議の議論から排除させました。
与党協議の結論を踏まえた昨年の閣議決定では、憲法9条を堅持し、自国防衛のための措置にとどめることを明確にするために、新3要件という規範を定めました。
この新3要件は、憲法9条の下でも例外的に武力の行使が許されるとした理由や根拠である昭和47年の政府見解の基本的な論理を維持したものです。
今回の法案には、公明党の主張で、新3要件がそのまま法律上に書き込まれています。
法制局長官は「新3要件を満たさなければ武力行使はできない。新3要件を満たす場合の限定的な集団的自衛権の行使は憲法上許容されるという考えにいたった」と答弁しています。
今回の法制が実現すれば、日米同盟の抑止力、対処力は一層強化されます。北朝鮮に対して、弾道ミサイルを日本に向け撃つことを思い留まらせる作用となるものです。
しかし、今回の法案を共産、社民、生活は「戦争法案」だと批判しています。民主党など他の野党はこうした言葉をさすがに国会審議では使いません。「戦争」という言葉の定義を確認したいと思います。国際法上、戦争は合法であった時代が続きました。しかし、国際連盟の時代に戦争の違法化が進められ、国際連合の国連憲章の下では戦争は違法化されました。
ただし、国連憲章のもとで、違法でない武力の行使が3つあります。それが、個別的自衛権と集団的自衛権、さらに国連安保理決議に基づく集団安全保障措置です。
現に我が国憲法のもと、個別的自衛権に基づく武力行使は、これは合憲であり、国際法上、違法ではありません。
「我が国が新3要件の満たされた場合に行う武力の行使は、あくまでも、我が国の自衛のための措置であり、国際法上も正当な行為だ。それにも関わらず、戦争する、戦争に参加するという表現を用いることは、あたかも違法な行為を我が国が率先して行っていると誤解されかねない、極めて不適切な表現」と公明党の質問で総理も答弁しています。
本法案は、戦争をするためのものではなく、あくまでも戦争を未然に防ぐ、戦争防止法案であります。また、「専守防衛」「非核3原則」を堅持することも、昨年の閣議決定に盛り込まれています。
先月末の時点で、世界40国以上から法案に対して評価する声が上がっています。米国、英国、フランスはじめ、ドイツも「100%日本に賛同」としています。戦争や内戦に苦しんだベトナム、カンボジア、さらにフィリピン、モンゴルなどアジアの国々も、今回の法制に賛同しています。また中国や韓国も、反対との公式的な態度は表明していません。
以上、長文になりましたが、引き続き参院審議などを通じて、平和安全法制の説明をしてまいります。
(谷あい)