【No.154 2014年5月2日】
《 集団的自衛権について (2) 》
Q 安倍総理の考えは?
今の安倍政権も、集団的自衛権は憲法上行使できないとする政府解釈を踏襲しています。
またこれまでの政府答弁では、憲法を変えずに、解釈変更により集団的自衛権を行使できるようにすることは慎重にしなければならないと示されてきました。
一方、安倍総理自身の問題意識として、状況によって集団的自衛権を行使できるようにすべきではないかというものがあります。
今、総理の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)で有識者が議論をしているところであり、GW後に報告が取りまとめられると言われています。
この報告書自体は政府の公式見解ではありません。
Q 砂川事件の最高裁判決とは?
最近、集団的自衛権の限定容認論の根拠として、砂川事件の最高裁判決が持ち出されます。
1959年(昭和34年)のこの判決では、「主権国家として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものでなく、わが憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではない」と自衛権を認めています。
しかし、当時は、日米安保体制や自衛隊が合憲か違憲かという論争の中での判決であり、政府はこれを踏まえて、昭和40年代から集団的自衛権の定義を確立してきた経緯があり、行使は禁ずるという判断をしてきました。
砂川事件は自衛権を認めたものですが、むしろ個別的自衛権を認めてきたものと理解しています。
<(3)に続きます>