2024年06月24日 7面
■谷合氏らが視察
徳島県鳴門市では、南海トラフ地震を見据えて防災機能を高めた市役所新庁舎が完成し、先月7日から業務を開始している。公明党の谷合正明参院幹事長はこのほど、古川広志県議、鳴門市議と共に同施設を視察した。
国土交通省が2020年に発表した想定によると、マグニチュード8~9クラスの南海トラフ地震が30年以内に発生する確率は70~80%に上る。県の予測でも地震発生時、鳴門市役所付近には最大2・1メートルの津波が押し寄せるとされるが、旧庁舎は完成から60年以上が経過し、施設・設備の老朽化や耐震性能不足などの問題を抱えていた。
これらの問題を解決するべく建設された新庁舎には、最新の防災機能が備えられた。建物の揺れを大幅に軽減するため、基礎部分に29基の免震装置を導入。津波対策として、高さ1メートル30センチの盛り土をして庁舎の地盤をかさ上げしたほか、最大クラスの津波が発生しても建物内部への浸水を防ぐため、周囲を擁壁と防潮扉で囲った。
また、普段から使用しているものを日常時だけでなく非常時にも役立てる「フェーズフリー」の観点も取り入れられた。擁壁の内側は一部がベンチとなっていてテラス席として活用でき、閉庁時でも屋外階段で上層階に避難することなども想定して設計。
さらに屋上には、長時間の停電に備えて82時間使用できる非常用電源設備や、880人を収容できる一時避難スペースを設けている。市担当者は「防災の司令塔としての役割を果たせる拠点ができた」と話していた。
防災以外の機能も、誰もが利用しやすいように向上した。これまで周辺6施設に分散していた部署を集約して、窓口業務の一部にはキャッシュレス決済を導入。各種証明書の発行を行う際に申請書を記入する手間を省ける「書かない窓口」も本格的にスタートした。一部の証明書をオンラインで請求できる「行かない窓口」と併用できるなど、利便性を向上させるデジタル化にも力を入れている。
新庁舎の建設に関しては、公明党の浜盛幸市議が16年9月定例会で「(南海トラフ地震に備えて)新庁舎建設は将来必ず必要だ」と訴えるなど整備を後押ししてきた。
視察を終えて谷合氏は、「これからの災害、防災を見据えるとフェーズフリーを取り入れた事業が重要になる。国としても支援できるよう取り組んでいく」と話していた。