2022年9月20日 1面
■政府に提言へ日本の支援より効果的に
公明党ウクライナ避難民支援・東欧3カ国調査団は11日に日本を出発し、ポーランド、モルドバ、ルーマニアでの全ての日程を終え、18日に帰国した。調査の意義や成果などについて、団長の谷合正明参院幹事長に聞いた。(聞き手・栗田博幸)=3面に写真特集
■与党・公明の派遣、現地が高く評価
――今回の調査を振り返って率直な感想を。
ロシアの武力による一方的な現状変更は許されるものではなく、国際社会が結束して事態の収拾を図るべきだ。しかし、ウクライナと周辺国の閣僚ら政府高官からは、国際社会の関心が少しずつ薄らいでいることに対する懸念の声が多くあった。その渦中にあって、政権与党である公明党が避難民の実情や支援ニーズを探るために調査団を派遣したことで「日本はウクライナとともにある」とのメッセージを伝えることができた意義は大きく、高く評価されていた。
支援に携わる国際機関やNGOとのつながりを強めることもでき、平和外交に取り組む公明党の存在を改めて認識してもらうことができた。「人間の安全保障」の理念に基づく人道支援を、さらに前へ進めていくための足掛かりとしていきたい。
■避難生活の長期化、心身の負担大きく
――避難民の実情は。
多くが女性と子どもだ。いつ帰れるか見通せない中、避難民滞在施設に長期間とどまっている親子にも会った。戦争によって祖国から離れた慣れない地で不自由な生活を余儀なくされることは、心身ともに計り知れない負担となっている。来日を決断した避難民とも面会したが、安心して生活が送れるよう全力で支えていきたい。
■厳しい冬の前に急務な復旧・復興
――現地では、どのような支援が求められていたか。
ウクライナのティモシェンコ大統領府副長官からは、復興に向けた支援の要請を受けた。特に、破壊された住居や暖房施設などの復旧は、冬の寒さが厳しくなる前に取り組まなければならない喫緊の課題だという。
ウクライナの復旧・復興を考えた時、周辺国との連携が必要なことは言うまでもない。既に、多くの避難民を受け入れている周辺国では、支援の長期化による経済的な負担が問題となっている。避難民の住居や教育といった共通課題がある一方で、財政規模や避難民の人数によって求められる支援ニーズの違いも出ていた。日本のODA(政府開発援助)が、より効果的に活用できるよう議論を深めていきたい。
――今後の公明党の取り組みは。
現場を動いて見えてきた課題を整理すると、ウクライナ国内での復旧・復興や避難民に対する支援のほか、周辺国や国際機関・NGOなどとの連携が重要になってくることが分かった。日本は来年、G7議長国や国連安保理理事国を務めるなど、国際秩序の維持・強化に向けて議論をリードする立場にあり、ウクライナ危機に対してどのような姿勢で臨むかも注目されている。
公明党として調査で得た知見を早急に取りまとめ、支援のあり方などについて政府に提言していきたい。