2022年7月13日 3面
10日に投開票された第26回参議院議員選挙で、公明党は埼玉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡の7選挙区で全員当選し、比例区でも6人が当選、合計で13議席を獲得した。選挙区での7議席獲得は3回連続。非改選議席と合わせた新勢力は27議席となった。自民党の63議席と合わせ、与党で改選議席の過半数を上回る76議席を獲得した。
■3回連続の7選挙区完勝/自公で改選過半数上回る
コロナ禍やウクライナ危機、物価高騰などの課題の解決を、どの政党、候補者に託すかが問われた参院選で、自公連立政権に有権者の信任が示された。
公明党は公認候補を擁立した七つの選挙区で全員当選、比例区でも6議席を確保し、計13議席を得る大善戦だった。非改選議席(14議席)と合わせた新勢力は27議席。参院で第3党の座を維持した。
連立を組む自民党は63議席を獲得。自公の与党両党では、改選定数の過半数(63議席)を上回る計76議席を確保した。非改選議席と合わせると、与党は過半数(125議席)を超える計146議席となり、自公連立政権の基盤は一層確かなものとなった。
野党は立憲民主党が6減の17議席にとどまった。野党第1党としては過去最少に並ぶ結果で、執行部の責任を問う声も出ている。国民民主党や日本共産党も議席を減らした。
日本維新の会は改選議席を倍増させ12議席を得たものの、東京、京都など重点選挙区で落とすなど「全国政党化」へ課題を残した。
野党共闘は不発で「1人区」(改選定数1)は4勝28敗に終わった。こうした結果は「野党、遠い『受け皿』」(11日付「日経)などと指摘されている。野党は多党化も進み、れいわ新選組が3議席に伸長し、NHK党と参政党がそれぞれ1議席を得た。
投票率は52・05%で、戦後2番目に低かった前回並みとの予想もあったが、3・25ポイント前回を上回った。それでも戦後4番目に低い投票率だった。期日前投票者数は過去最高を更新した。
■(選挙区)兵庫など激戦制す
公明党の7選挙区完勝は3回連続・過去最多に並ぶ。
大激戦区の兵庫選挙区(定数3)では、現職の伊藤孝江氏が最終盤の執念の拡大で45万4962票を獲得し、3位で当選。非改選の欠員1を補充する補欠選挙が併せて実施された神奈川選挙区(定数4)では、現職の三浦信祐氏が54万7028票を得て、3位でかつてない接戦を制した。
愛知選挙区(定数4)では現職の里見隆治氏が44万3250票を獲得し、2位で激戦を突破。埼玉選挙区(定数4)では、現職の西田実仁氏が47万6642票、福岡選挙区(定数3)では選挙区に初挑戦した現職の秋野公造氏が34万8700票を、それぞれ獲得し、ともに3位で当選した。
大阪選挙区(定数4)では現職の石川博崇氏が58万6940票で4位当選。東京選挙区(定数6)では現職の竹谷とし子氏が74万2968票で2位当選した。
焦点となった1人区では、自民党が前回2019年に敗れた岩手、新潟、大分などを制し、28勝4敗と圧勝。公明の選挙区勝利と合わせ、自公の選挙協力が奏功した。
一方、1人区で野党は11勝した16年、10勝した19年と比べ大きく後退した。今回は野党共闘が限定的となったが、読売新聞の試算によると、仮に野党が候補者を一本化していた場合でも、自民の26勝6敗という結果だった。
■(比例区)618万票で6議席
比例区で公明党は、政党名と候補者名を合わせた得票総数で618万1431票を獲得した。
得票率は11・66%で、現職の横山信一、竹内真二、熊野正士、谷合正明の各氏と、新人の上田勇、窪田哲也の両氏の計6人が当選した。
目標の7議席には届かなかったものの、自民党や日本維新の会が得票数を増やしたことに加え、参政党など国会に議席を持たない政治団体である“ミニ政党”が6団体参戦するという多党化の影響も考えられる中、公明が6議席に踏みとどまった。
一方の野党では、立憲民主党、国民民主党、日本共産党の3党がそろって得票数を大きく減らした。
これに対して維新は、得票数を前回の491万票から約785万票へと大幅に増やし、比例票では立憲を上回って野党第1党の座に就いた。
■識者「国民が政治的安定を望む」
参院選の結果を識者はどうみているか。
与党勝利について牧原出・東京大学先端科学技術研究センター教授は、「新型コロナウイルスとロシアによるウクライナ侵略という二つの危機がある中で、国民が政治的安定を強く望んだ」(12日付「読売」)と論評している。
一方、野党が振るわなかった理由について御厨貴・東京大学名誉教授は、「安倍政権のある時期から野党が分裂と再編を繰り返し、どんどん小さくなった。与党に対抗しうる野党という存在では全くなくなっていたということを国民が見抜いた」(同「日経」)と分析している。
SNS(会員制交流サイト)の影響については、ジャーナリストの津田大介氏が「今回明らかになったのは、選挙に与えるネットの影響が無視できないぐらい大きくなったということだ。候補者や政党が単に政策を発信するだけではなく、効果的に発信する力が一層問われる時代になった」(同「朝日」)と指摘している。