2022年5月30日 3面
■政府が実態調査の実施や重点計画を策定。公明、全自治体での包括的な相談支援や自殺対策の抜本強化などを緊急提言
Q 長引くコロナ禍の影響で、孤独・孤立の問題が一層深刻化している。
A 政府が先月8日、孤独・孤立問題に関する初の全国調査の結果を公表し、実態が明らかとなった。調査は昨年12月から今年1月にかけて行われ、16歳以上の約1万2000人から回答を得た。
それによると、「孤独だと感じることがあるか」との問いに、「しばしばある・常にある」との答えは4・5%、「時々ある」は14・5%、「たまにある」は17・4%だった。3人に1人に孤独感があることになる。
また、孤独を「しばしば・常に」感じるとした人のうち8割超が、行政やNPO(民間非営利団体)からの支援を受けていないと答えている。
社会的孤立は、自殺や生活困窮につながるため、対策が急務だ。
Q 政府の対応は。
A 昨年2月に担当相を配置し、内閣官房に対策担当室を設置。同年12月には、公明党の主張を踏まえ「孤独・孤立対策の重点計画」を初めて策定し、「当事者の目線や立場に立って、切れ目がなく息の長い、きめ細かな施策を推進する」ことが明記された。
計画には、当事者や家族らが必要な支援を受けられるよう、電話や会員制交流サイト(SNS)による24時間対応の相談体制整備や情報発信の推進、地域との「つながり」の場づくりなどを盛り込んだ。
Q 「重点計画」の着実な実行が大切になる。
A 公明党の社会的孤立防止対策本部(本部長=山本香苗参院議員)と自殺防止対策プロジェクトチーム(PT、座長=谷あい正明参院幹事長)は今月17日、野田聖子孤独・孤立対策担当相に対し、2023年度予算編成に向けた緊急提言を申し入れた。野田担当相は「幅広くしっかり取り組む」と応じた。
提言では、官民一体で長期にわたる支援を実施するため、重点計画の充実のほか、対策の具体化に向けた民間団体や自治体の代表者らによる検討の場の設置を訴えた。また、16歳未満の子どもを対象にした実態調査や、全自治体での包括的な相談支援体制整備の後押しを要請。子ども・若者の自殺対策の抜本的強化なども求めている。