2022年5月21日 7面
ロシアの侵略でウクライナから日本に避難してきた人たちの役に立てればと、高知県香美市の漫画家・くさか里樹さんが、病院の受診時などに使えるウクライナ語と日本語の「対訳イラストカード」を作成して、SNS(交流サイト)上で公開。約6000人に拡散されるなど反響を呼んでいる。公明党ウクライナ避難民支援対策本部長の谷あい正明参院議員(参院選予定候補=比例区)がこのほど、くさかさんの自宅を訪れて懇談した。高木妙・高知市議が同席した。
介護の問題を描いた漫画「ヘルプマン!」などで知られる、くさかさんは、避難民の来日を知り、日本も役に立てることをうれしく感じたという。同時に「見知らぬ異国で暮らす人たちが、“言葉の壁”で孤立しないでほしい」という願いから、対訳イラストカードの作成を思い付いた。
■病院に症状を伝えやすく
「どんな言葉がいいか、知恵をお貸し下さい」とSNSに投稿すると、医療の場を懸念する声が多数寄せられたことから、まず病院編の作成に着手。「せき」や「おなかが痛い」といった症状や体の部位など、約80語をシンプルに分かりやすく伝えるイラストを描き、ウクライナ出身で高知工科大学助教のコスチャンチン・オヴシアンニコウさんの協力を得て、ウクライナ語と日本語による対訳表記のカードが完成した。
このイラストを「必要な方は、こちらからコピーして自由にお使い下さい」とSNSのツイッターなどに投稿すると、1週間ほどで5000人以上に拡散。外国人患者対応の情報を扱う医療関係者向けのサイトに紹介されるなど、予想以上の反響があった。
■谷あい氏「避難民に役立つ」
懇談の席上、谷あい氏は、「日本に来た約900人の避難民の多くは女性や子どもで、今後も増える可能性がある。避難民の人たちにとって、言葉の理解は大事な問題。イラストが入ったカードは分かりやすく、日常のコミュニケーションに役立つのではないか」と語った。
また、谷あい氏から「ウクライナの料理を日本にある食材で作るための“対訳レシピ”のようなものがあれば喜ばれ、言語を超えた文化交流につながるかもしれない」というアイデアも飛び出し、くさかさんは「それはいいですね」と応じるなど、話が弾んだ。
くさかさんは、ウクライナの子どもたちが楽しく遊びながら日本語に触れられるように、朝起きてから寝るまでの日常シーンを想定した内容のイラストカードも第2弾として作成中だ。