2021年5月5日 1面
日本、中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国が署名した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が4月28日の参院本会議で可決、承認された。共産党は反対した。協定の意義や日本への影響などについて、公明党経済連携協定等対策本部長の谷合正明参院幹事長に聞いた。
――協定の意義は。
発効すれば、人口や国内総生産(GDP)で世界経済の3割を占める最大規模の自由貿易圏が誕生する。日本やこの地域の経済成長に寄与することが期待されており、自由貿易体制を維持・強化するメッセージの発信にもつながることから、大きな意義がある。
また、新型コロナウイルスの拡大で世界経済は低迷している。「コロナ後」の経済を構築する上でも重要な役割を果たすことが期待されている。
――日本のメリットは。
日本にとっては、中韓両国と結ぶ初めての経済連携協定(EPA)になり、大きな経済効果が見込まれている。政府の試算では輸出や投資の増加、消費の拡大などを通じて、日本の国内総生産を実質で2・7%押し上げ、1・5%の経済効果を見込んでいる。環太平洋連携協定(TPP)を上回るとも試算されている。
わが国にとっても、世界の成長センターであるこの地域とのつながりは、これまで以上に強固になる。日本経済の成長に寄与することが期待されているので、このチャンスを生かしていきたい。
――国内の農林水産業への影響は。
日本が「聖域」とするコメや麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の農産品重要5項目は、関税撤廃の対象から除外した。政府も「国内農林水産業に特段の影響はない」との見解を示している。大きな影響はないだろう。国産農林水産品の輸出拡大に向け、攻めの取り組みが必要だ。
――公明党の取り組みは。
この協定をテコに、中小企業・小規模事業者が最大限の恩恵を受けられるようにすることが大事だ。そのためには、生産基盤の強化など国内対策の充実により一層、取り組んでいきたい。