2020年2月25日 1面
持続可能な世界を残すために、国際社会が2030年を目標として取り組む国連の「持続可能な開発目標(SDGs(メモ))」。目標達成年次まで10年となり、オールジャパンで行動を加速することが、ますます求められている。今後の展望や課題は何か。公明党SDGs推進委員会の谷合正明座長(参院幹事長)に聞いた。=関連記事7面
――目標達成に向けた現状の受け止めは。
谷合正明座長 日本のみならず、国際的にもSDGs推進の機運が高まっており、規範の一つとして定着しつつある。ただ、昨年の国連首脳級会合では、取り組みに一定の前進が見られると評価される一方で、進捗の遅れや偏りも指摘された。目標達成に向けた取り組みを加速しなければならない。日本では、女性活躍などジェンダー平等の実現や気候変動対策が喫緊の課題だ。
今まさに、2020年代が始まり、30年を見据えた「行動の10年」で、日本がSDGsの力強い担い手として国際社会をどうリードしていくかが重要だ。内政、外交ともにSDGsを基軸、底流として、「誰も置き去りにしない」との理念を広げていきたい。
――公明党の取り組みは。
谷合 党内にSDGsの推進機関をいち早く設け、与党の立場でSDGsの“主流化”をリードしてきた。自治体や教育機関、市民社会など幅広いステークホルダー(利害関係者)の声を聞いて政府に政策提言を重ね、政府の中長期的な国家戦略である「SDGs実施指針」にも党の意見が反映された。例えば、気候変動や海洋プラスチックごみ問題も含めた海洋環境保全、防災対策などだ。
加えて、SDGsには「世界の食料廃棄を半減する」という目標もある中で、公明党が主導して「食品ロス削減推進法」を成立させた。食品ロスの削減は現在、社会運動になっている。
さらに、SDGsを国内で広げていくための資金的な支えにするため、金融機関で長期間取引がなくなった休眠預金を活用できるよう法整備を進め、この春からNPO法人など民間団体の資金として生かされることに。子どもの貧困対策の一環として未婚のひとり親支援の拡充にも取り組んだ。こうしたこともSDGs達成に向けた取り組みの一環といえる。
■気候変動、防災、貧困対策…公明のネットワークで政策遂行
――今後の決意を。
谷合 昨年12月に改定されたSDGs実施指針には、議会の役割について「国民の声を拾い上げ、国や地方自治体の政策に反映させることが期待されている」と明記された。自治体がSDGsに、より積極的に取り組めるよう、党のネットワークの力でSDGs推進計画の策定も後押しする。推進体制の強化に向けては、SDGs推進法(仮称)の制定も検討したい。
私自身、公明党の理念とも合致するSDGsに取り組むことが国際社会の平和と安定に資するとの自覚を持ち、力を尽くす決意だ。