2020年2月11日 2面
公明党の谷合正明参院幹事長は10日、広島県が大部分の解体方針を示している広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠」(南区)を視察した。党広島県議団(栗原俊二団長)が同行した。
被服支廠は、軍服や軍靴などを製造していた軍需工場で、築107年の倉庫4棟(延べ約2万2000平方メートル)は、現存する日本最古級の鉄筋コンクリート建造物。原爆投下直後は臨時救護所となり、多くの人が亡くなっていった現場を、そのままの形で残している。
昨年12月、3棟を所有する広島県(1棟は国が所有)は、地震による倒壊の危険などを理由に、「2棟解体、1棟外観保存」とした原案を公表。これに党県議団は「全棟保存」を主張し反対を表明。被爆者や市民団体なども反発を強め、県の意見公募では原案への反対が62%を占めている。
視察を終えた谷合氏は、被服支廠について「原爆の惨禍を後世に伝える貴重な被爆建物。一度壊せば取り返しがつかない。国、県、市が協力して保存に取り組みたい」と語った。