2020年1月15日 1面
国連が2030年までに実現をめざす「持続可能な開発目標(SDGs)」。達成期限までの残り10年を見据え、政府は昨年12月20日、中長期的な国家戦略である「SDGs実施指針」を初改定した。その内容を紹介するとともに、公明党の取り組みを党SDGs推進委員会の谷合正明座長(参院幹事長)に聞いた。
■目標まで残り10年、議会の政策提案が重要に
SDGsは、貧困、教育、エネルギー、気候変動といった17の目標からなり、全ての国連加盟国が共有する国際目標だ。政府は今回、国内外での進捗状況も踏まえ、16年12月に策定した実施指針を改定。今後4年でより本格的な行動を加速・拡大する方針だ。
改定指針のビジョンでは「日本が世界を誰一人取り残されることのない持続可能なものに変革する」と強調。今後注力すべき優先課題には、取り組みの遅れが指摘される女性活躍の促進など「ジェンダー平等の実現」をはじめ、防災、気候変動対策を掲げた。
目標達成に向けては、政府や経済界、市民社会といったステークホルダー(利害関係者)が協働して諸課題に取り組むことを確認。環境や社会への貢献を投資基準とする「ESG投資」の重要性のほか、若者が未来の社会を担う中核の存在だと位置付け、啓発を強化する方針も盛り込んだ。
さらに、国会と地方議会の役割について「国民一人一人の声を拾い上げ、国や地方自治体の政策に反映させることが期待されている」と明記。行政や市民社会、国際機関と連携し、国や地域が直面する社会課題を解決するため、「具体的な政策オプションを提案することが期待されている」とも記述した。
今後、国内で国際行事が相次ぐことを念頭に、広報・啓発の強化も提示。20年「国連犯罪防止・刑事司法会議」(京都コングレス)や東京五輪・パラリンピック、25年の日本国際博覧会(大阪・関西万博)などの機会を生かし、「日本のSDGsモデルの発信と日本全国でのSDGsの主流化に努めていく」とした。
30年の目標達成に関して、公明党の山口那津男代表は「国や地域、企業や個人がトータルで前進していくことができれば、持続可能な開発が進み、私たちが期待する社会が実現する。SDGs実現に幅広く取り組む」と語っている。
■“主流化”公明のリードで/党推進委 谷合正明座長
SDGsの改定指針は、今後4年の中長期的な行動方針となるもので非常に重要だ。党としてNGOや市民社会など民間団体と意見交換を重ね、政府に提言した内容がおおむね反映されており、評価している。
とりわけ、8分野の優先課題には、ジェンダー平等の実現や、気候変動対策が掲げられた。いずれも対応に遅れが見られると指摘されており、今後の具体的な行動が極めて重要だ。
また、多様なステークホルダーの役割として、公明党の要望を踏まえて「議会」が初めて盛り込まれた。「誰一人取り残さない」社会をめざすSDGsを国や地方自治体の政策に反映し、国内での主流化を進めるため、今後も公明党が対策をリードしていきたい。
■改定指針のポイント
ジェンダー平等の実現や、防災、気候変動対策などを優先課題に
目標達成へ幅広いステークホルダー(利害関係者)と協働
若者への教育・啓発を強化
社会課題の解決へ議会の政策提案を期待
国際行事を生かし、日本のSDGsモデルの発信と国内での主流化を推進