谷合正明議員が12月12日、党SDGs推進委員会座長として菅官房長官に政策提言を行いました。
以下、提言の内容を転載します。
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2019年12月12日
内閣官房長官 菅 義偉 殿
持続可能な開発目標(SDGs)実施指針改定に向けた提言
公明党外交部会長 竹内 譲
SDGs推進委員会座長 谷合正明
公明党外交部会とSDGs推進委員会は、日本が「人間の安全保障」の理念に基づき、SDGsの力強い担い手として、引き続きSDGs達成に向けた国際社会の議論と取組をリードすることができるよう、女性や若者の活躍推進、児童生徒の学習機会の確保、中小企業や小規模事業者への支援、自治体向け施策の強化など幅広い「SDGs達成へ向けての政策提言」を取りまとめ、本年6月、政府に申し入れを行った。
2016年12月のSDGs推進本部会合にて決定されたSDGs実施指針は、国内外においてSDGsを達成するための中長期的な国家戦略であり、2019年中に改定することとされている。
しかし2015年のSDGs採択から4年、実施指針決定から3年が経過し、SDGsをめぐる状況は大きく変化し、世界的に保護主義への懸念が高まるなど、国際社会は新たな課題や一段と深刻化した課題に直面している。本年9月の国連総会の機会にニューヨークにおいて開催されたSDGサミットにおいても、国際社会は、SDGsの進捗状況に遅れや偏りが見られることに対する強い危機感を共有した。
こうした国内外の情勢を踏まえれば、国際社会全体の普遍的な目標であるSDGsの取組を、わが国は、なお一層強化し、加速化していかなければならない。
今年末のSDGs推進本部会合における実施指針の改定に向けて、公明党外交部会とSDGs推進委員会は、2030年における国内外でのSDGsの達成を現実とする指針とすべく、以下の通り、政府に申し入れる。
記
1. 達成度合いが低いと指摘されているジェンダー、貧困・格差、気候変動については、SDGsの最重要課題であることを明らかにし、分野横断的課題としても優先的に取り組むこと。
2. 貧困のターゲットやグローバル指標に対応する国内指標の定義づけを行っていくこと。
3. 国内における防災・減災・復興の主流化にかかる施策を明記するとともに、国際社会における「防災の主流化」に向け、「仙台防災枠組2015-2030」や「仙台防災協力イニシアティブ・フェーズ2」の着実な実施等、防災先進国日本として国連防災機関(UNDRR)と連携しながら、積極的に役割を果たすこと。
4. 持続可能な開発のための教育(ESD)の推進や質の高い教育の機会の提供を通じ、次世代・女性のエンパワーメントを進めること。
5. ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を推進するとともに、2021-2025年のGaviワクチンアライアンスの次期増資期間への日本の出資を高めるなど、官民あげて感染症対策などの国際保健への支援を構築すること。
6. 東京栄養サミット2020において、世界的な栄養改善の現状と課題を確認し、栄養課題に向けた各国の今後の国際的取組の促進を主導し、栄養に対する国際的機運の向上、各国の政策における栄養政策の主流化などを推し進めること。
7. 喫緊の課題である気候変動問題に対応し、「環境と成長の好循環」を実現するため、2020年から始まるパリ協定の本格運用開始に際し、国際社会の脱炭素化に向けた動きをリードしていくこと。
8. 海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を実現するため、国際社会に対する働きかけを強化すること。日本の途上国に対する廃棄物管理、海洋ごみの回収及びイノベーション推進に関する能力構築支援である「マリーン・イニシアティブ」を着実に実施していくこと。
9. SDGs達成のため、休眠預金の活用など革新的な資金調達メカニズムに関する具体的な検討を進めること。また、国際保健、教育、難民支援など、人間の安全保障に直結するODAについても、引き続き強化していくこと。
10. 高い目標設定と細分化されたデータに基づく現状のベースライン評価、ギャップ分析に基づいたロードマップの策定、エビデンスベースの指標に基づく評価を軸とする「バックキャスティング」の方法を採用すること。
11. 市民社会やNPOを対等なパートナーとしてパートナーシップを強化し、SDGs関連施策の企画立案に際しては市民社会やNPOの声を十二分に反映すること。
12. ステークホルダーの一つとして、SDGs実施指針改定版において、政府のみならず、国会、地方議会、地方自治体の役割を明確化すること。
13. SDGsに係る施策の実施について、推進本部の下で各省が連携する「SDGs推進法(仮称)」を策定し、関係省庁一丸となって推進すること。
14. 多様なステークホルダーがSDGs推進により一層参画することができるよう、SDGs推進円卓会議の積極的な活用や機能・体制強化を進めること。円卓会議構成員と連携し、「ステークホルダー会議」を継続的に開催すること。
15. 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会や、京都コングレス、ワールドマスターズゲームズ2021関西大会、2025年大阪・関西万博など、世界の注目が日本に集まるあらゆる機会を活用して広報・啓発を強化すること。これらのイベント及びイベント後の施設の活用や地域開発等においてSDGs推進を主流化すること。
以上