谷合正明参院議員の本会議での賛成討論の模様が、このたび公明新聞に掲載されましたので、転載します。
参院本会議での谷合氏の賛成討論(要旨)
安保環境の変化に対応
憲法解釈の論理の根幹は維持
19日未明の参院本会議で行われた、「平和安全法制」の関連法案に対する公明党の谷合正明氏の賛成討論(要旨)は次の通り。
このたびの平和安全法制は、厳しさを増す現在の安全保障環境の中で、外交努力を尽くすことを大前提に、憲法の枠内で、どこまで自衛の措置が可能なのか、そこから出発した議論だ。
わが国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。北朝鮮の弾道ミサイル関連技術は飛躍的に進化し、中国の軍備増強と海洋進出も活発化している。
こうした中、わが国は日米防衛協力体制の信頼性を強化し、抑止力を向上させて、紛争を未然に防止し、あらゆる事態を想定した切れ目のない体制整備によって、国民の命と平和な暮らしを守っていくことが求められている。今回の法制の目的はまさにそこにある。この法制は戦争を起こさせない、“戦争防止”法案である。
隙間のない防衛体制を築いていくために、日本への武力攻撃が発生した場合だけでなく、日本と密接な関係にある他国に対する攻撃でも、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるような明白な危険がある場合であり、かつ他に適当な手段がない場合だけに限って、必要最小限度の武力の行使ができるというのが、存立危機事態における武力行使である。
昨年の閣議決定では、憲法9条を堅持し、自国防衛のための措置にとどめることを明確にするために、自衛の措置の新3要件を定めた。
この新3要件は、憲法9条の下でも、例外的に武力の行使が許されるとした理由や根拠である、1972年の政府見解の基本的な論理を維持したものだ。今回の法案には、公明党の主張で、新3要件が過不足なくすべて法律上に盛り込まれている。
あくまで自国防衛のために他に適当な手段がない場合に限って必要最小限度の実力行使をするものであり、他国防衛の集団的自衛権の行使は認めていない。
すなわち、憲法9条の下で許される専守防衛の原理の中に完全に入っており、違憲立法との批判は全く当たらない。
平和安全法制には、自衛隊の活動を通じて国際社会に貢献していくことも盛り込まれた。国際社会と協力しながら、日本周辺、そして世界の緊張緩和に向けて、各国と共に協力して努力していく。世界の平和の実現なしに日本の平和や安全はあり得ない。
自衛隊の海外派遣が無制限に広がらないように、特に国際平和支援法案には、公明党の主張で自衛隊の海外派遣の3原則として、国際法上の正当性の確保、国会の関与など民主的統制、自衛隊員の安全確保が盛り込まれた。
参議院での審議と並行して、自民、公明の与党と、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革の野党3党との協議が行われた。そして、「存立危機事態」に該当するが、武力攻撃事態等に該当しない防衛出動は、例外なく国会の事前承認を求めること、法制に基づく自衛隊の活動を180日ごとに国会に報告すること、また自衛隊の活動を監視・検証する組織のあり方を引き続き検討することなど、本法律案施行に当たっての5党合意が実現した。なお、この合意では、維新の党との協議の中での意見や国会での議論を踏まえたものも一部取り入れている。
衆議院の足らずを補っていく、できるだけ合意形成に近づけていくのが、参議院の役割だ。この与野党5党の合意により、国民の代表である国会の関与を強め、国会による民主的統制を強化することは、大変に大きな意義があると評価する。
このたびの平和安全法制によって、安全保障上の備えを強化していくとともに、これを外交の推進力の裏付けとして、平和外交をこれまで以上に推し進めていくことが重要である。
最後に、安全保障と外交を車の両輪として、わが国および国際社会の平和と安全を守るため、国会もまた政府と共に、不断の努力を尽くす責任を負っていることを申し上げたい。
(公明新聞:2015年9月20日(日)付より転載)