公明党薬物問題対策PT座長の谷合正明参院議員は、脱法ドラッグの対策について公明新聞の取材に答えました。以下、公明新聞記事を転載します。
谷合正明参院議員
党薬物問題対策プロジェクトチーム
谷合正明座長(参院議員)に聞く
覚せい剤や大麻と同様の幻覚作用を持つ「脱法ドラッグ」が若者を中心に広まり、社会問題化している。そこで脱法ドラッグの現状や課題、今後の対策について、公明党薬物問題対策プロジェクトチーム(PT)の谷合正明座長(参院議員)に聞いた。
―脱法ドラッグの現状をどう見るか。
谷合正明座長 近年、脱法ドラッグが原因とされる救急搬送事例や事故の増加が指摘されています。最近も、幻覚や興奮作用のある薬物を乾燥植物に混ぜた「脱法ハーブ」を吸った人が自動車を暴走させ、負傷者が出る事故が発生しました。こうした脱法ドラッグによる若者の健康被害は全国に広がっています。
この背景には、脱法ドラッグがインターネットを通じて容易に手に入ることや“脱法ドラッグ”という名前から、覚せい剤や大麻に比べて「違法薬物ではないから大丈夫」との誤った認識が大きく影響していると考えられます。
「包括指定」の導入必要
学校での薬物教育の推進も
―これまでも各種対策が講じられてきたが。
谷合 公明党の主導で2006年に薬事法が改正され、人の健康に害を及ぼす化学物質を「指定薬物」と定め、製造や販売などを禁止しました。これにより、脱法ドラッグの製造、販売などの疑いが生じた初期の段階から、厳格な捜査が可能になりました。
しかし、国や自治体が有害な化学物質を指定薬物に定めても、すぐに化学構造を一部変えただけの新しい薬物が出回ってしまう“いたちごっこ”の状態が続いています。こうした悪循環を断ち切る規制強化策として公明党は、国に対して、成分構造が似ていれば薬事法違反として一括して規制対象とする「包括指定」を急ぐよう求めていきたいと考えています。
この包括指定が導入されれば、いま出回っている脱法ハーブの薬物は一網打尽にできると期待しています。
麻薬取締官、薬事監視員の権限強化で法案
―先の通常国会で公明党は議員立法を提出しているが。
谷合 浜田昌良PT副座長(参院議員)を中心に、麻薬及び向精神薬取締法及び薬事法の一部を改正する法律案を提出しました。しかし残念ながら、先の通常国会では審議未了のまま廃案になりました。
提出した法案は、麻薬取締官の権限強化を目的としています。現状では麻薬取締官は、麻薬や大麻、覚せい剤などの捜査・逮捕権限しかなく、薬事法に定める指定薬物を取り締まることができません。このため、指定薬物を独自に捜査、摘発できる取締権限などを持たせます。
さらに、薬事法違反を厳しくチェックする薬事監視員などが販売店など現場での立ち入り検査で指定薬物やその疑いがある物品を発見した場合、試験のため必要な最少分量を収去(抜き取り)できるようにするものです。次期臨時国会であらためて法案を提出したいと考えています。
―予防策も重要だ。
谷合 脱法ハーブは覚せい剤などと比べると、犯罪歴のある人が少なく、学歴もあって、仕事に就いている人が多い、との統計があります。このことから、事前の予防対策が非常に重要になってきます。具体的には、学校現場での薬物教育の徹底を強く訴えていきたいと思います。
また薬物問題は再犯率が非常に高いのも特徴です。薬物全体で再犯防止になお一層、力を入れていく必要があります。
(公明新聞:2012年9月25日付より転載)