報告が少し遅れましたが、5月19日に厚生労働省が、引きこもりに関する新ガイドライン(指針)を公表しました。ガイドラインは、引きこもりを「社会的参加を避け、原則6カ月以上、家庭にとどまり続ける状態」と定義。現在、全国の約26万世帯に引きこもり状態の子どもがいると推計しています。
私は、今回の新ガイドラインなど引きこもり支援対策の根拠法となる、「子ども・若者育成支援推進法」を立法しました(2009年7月1日成立=ちなみに初めて法律に「若者」という言葉を書き込みました)。わが子が長期間、引きこもり状態に陥っている、親御さんのお気持ちはいかばかりか、お悩みの深さ察して余りあります。
また、一番苦しいのは、引きこもっている本人であることは間違いありません。相談体制や、アウトリーチ(訪問支援)体制の整備など、引きこもり支援策に、今後も全力で取り組んでいきたいと思います。
また、今回の新ガイドラインの中で、私が特に注目しているのは、引きこもりが、「不登校」と「発達障がい」(自閉症、学習障がい=LD、注意欠陥多動性障がい=ADHDなど)に強い関連性をもっている、ということを初めて指摘した点です。それは、「(不登校は)ひきこもりと関連性が強い一群が確実にある」「(引きこもりの)30%弱ほどに発達障がいの診断がついた」「発達障がいの特性のいくつかがひきこもりとの親和性をもっているのではないか」といった記述で表現されています。
つまり、「発達障がい」から「不登校」へ、「不登校」から「引きこもり」へ、という一連の流れがあるということがわかります。ある小児科医は「不登校の3分の2は発達障がいがある」「発達障がいのある子どもは児童虐待を受ける確立が高い」とまで指摘しています。ある意味で〝川下〟の引きこもりに対応するだけでなく、〝川上〟の発達障がいにしっかり対応していく必要があります。発達障がいを放っておけば、不登校や引きこもりなど、2次障がいにつながる可能性があるからです。
各ライフステージ(年齢)にあった適切な支援が受けられる体制を整備していかなければならないと考えています。
(谷あい正明)
引きこもり支援対策の強化を!