谷合参院議員(党青年委員長)が、深刻化する高校生の就活の現状と課題についてインタビューを受けた記事が、11月14日付公明新聞3面に掲載されました。
以下、公明新聞の記事を転載します。
(東京事務所)
景気低迷の影響が高校生の就職戦線を直撃している。来春卒業する予定の高校生の就職内定率は、昨年よりも大幅に減少しており、過去最大の下落幅になっている。特に、製造業を中心に企業の求人が大幅に減ったことが主な要因とされ、今後、さらなる悪化も懸念される。高校生たちの就職活動の現状を探った。
多くの未就職卒業者も
対応に苦慮する教育現場
「今日は、企業の話が聞ける良い機会です。多くの会社の方と話をしてみましょう!」 11月10日、群馬県高崎市内で行われた就職面接会には、不安な面持ちの高校生や進路指導の教諭らが詰め掛けていた。群馬労働局によると「来場者数は120人を超え、昨年の2倍以上の高校生が参加している」という。一方、参加企業は28社にとどまり、同局の塩原洋児・地方職業指導官は「参加を募った段階から企業の集まり具合は悪かった。例年以上にお願いし、やっと参加してもらったのが現状だ」と語っていた。
群馬県の2009年度高校新卒予定者の求人倍率(9月末時点)は1・12倍で、前年同期比0・87ポイントも下回っている。求人数(同)は3048人で、前年同期比48・8%の減少である。同局は、「適切な職業選択ができないだけでなく、就職が決定しないまま卒業を迎える未就職卒業者が多数出る恐れさえある」と懸念する。
教育現場でも混乱が生じている。県内の工業高校教諭(進路指導担当)は「例年だと1回目の就職試験で落ちる生徒は1割程度だが、今年は約3割が落ちており、その後の対応に追われている」と語る。また、県立の普通科高校教諭は「成績優秀者も内定が取れない状況だ。学校としても、どう対応すれば良いのか分からない」と話す。
就職戦線の厳しさを反映してか、急きょ、進路を就職から進学に切り替える高校生がいる半面、景気低迷の影響で家庭の経済的要因から進学を断念して就職活動に励む高校生は増加している。 県立高校の普通科で担任を務める教諭は、「進学をあきらめること自体がつらいことだが、いざ就職に切り替えても希望職種での求人が少ないので、内定も取れない。生徒たちには精神的負担が重くのしかかっている」と強調する。
こうした状況を受けて同局は、就職面接会の開催や求人開拓の強化、県内4カ所のハローワークでの高卒就職ジョブ・サポーターによる個別就職支援の推進などを行うことで、さらなる就職内定率の向上に挑んでいる。 『内定率、過去最大の下落/製造業など大幅求人減 “氷河期”再来の恐れ』 厚生労働省の調査結果(9月末現在)によると、来春卒業予定の高校生の就職内定率は37・6%にとどまり、前年同時期より13・4ポイントも下回っている。調査を開始した1988年以降では4番目の低さであり、下落幅は過去最大だ。企業の採用抑制による就職難が深刻化し、「第2の就職氷河期」が現実となりつつある。
また、企業からの求人数は、昨年に比べ46・7%減の15万6212人とほぼ半減しているのに対し、求職者数は8・7%減の17万5799人となっており、05年以来5年ぶりに求人数が求職者数を下回っている。
なお、男女別の就職内定率は、男子42・6%、女子31・3%。都道府県別の内定率は、8・0%の沖縄県が最低で、北海道14・0%、宮城県23・6%と続いている。
求人状況の悪化について、同省の職業安定局若年者雇用対策室は、「景気悪化によって先行きが見通せない状況で、製造業を中心に企業の求人が大幅に減少したことが、就職内定率にも影響している」と分析する。
日本経済の「二番底」が懸念される年末に向け、さらなる高校新卒者への就職支援強化が求められる。
谷合正明・党青年委員長に聞く
第2の「失われた世代」防げ
現場の声聞き、きめ細かな対応を
深刻化する高校生の就活の現状と課題について、公明党の谷合正明青年委員長(参院議員)に聞いた。
就職活動に励む大学生や高校生の新卒予定者を取り巻く雇用情勢は、極めて深刻な状況です。特に高校3年生の求人数(今年9月末時点)は、昨年に比べほぼ半減し、就職内定率も低迷。迅速な対策が求められています。
さらに、文部科学省の「平成21年度学校基本調査速報」によると、高校卒業後に進学も就職もしない者が5万5000人を超えています。景気低迷による家計状況の悪化などで、進学や就職もできない高校新卒者が増加する恐れもあります。
こうした状況下で、政府は3兆円の2009年度補正予算の執行停止を決めました。この予算には雇用創出などの重要な政策が盛り込まれています。今後、緊急雇用対策を講じるとしていますが、いまだに予算の裏付けがなされていません。このままでは、予算執行停止の一番の犠牲者が新卒予定者になってしまいます。
さらに、求職と求人のミスマッチを解消するため、高校生と中小企業を結ぶ就職マッチング支援の充実など、実態に即した対応を行う必要があります。
バブル崩壊後の就職難のように、高校生たちが第2の「ロスト・ジェネレーション(失われた世代)」にならないよう、公明党は、高校生や就職指導担当教員、ハローワークなどの関係者の声を聞きながら、きめ細かな対策が実施されるよう全力を挙げます。
(公明新聞:2009年11月14日より転載)
【現場をゆく】 高校生たちの就活は今