児童養護施設の岡山市善隣館を訪問し、三宅館長から、施設の現状と課題についてお伺いした。
・全国に養護の対象となる子どもは約4万人(0歳から18歳)。うち4分の3が児童養護施設に、残りが里親や乳児院などに。
・善隣館には、25人。就学前5人、小学校12名、中学校3名、高校5名。虐待を受けたのが7割、軽度発達障害が7割。
・親も発達障害を抱えているケースがある。
・児童福祉法による職員の配置規定が児童6人対し、職員1人になっているが、S51年から変わっていない。(4人に1人は必要とのこと)
・居住空間についても、1人3.3㎡でとても十分な空間を確保できていない。
・近年は、虐待と軽度発達障害の受け入れがほとんどで、療育や心のケアの専門性が求められる。
・職員募集をしても集まらない。
・予算が十分に確保されていない。
・進学支援が十分できない。高校、大学、専門学校へ進学しても生活費のねん出が大変。
・児童養護施設は義務教育段階を超えると、高校に在学していないと、施設に入所できない。現在、発達障害をかかえ、高校や大学以降で行き場のない子どもが増えているのに、その受け皿に施設がなれない。
・養護施設を巣立った子供たちへのアフターケアが法律でも求められているが、マンパワーが足りない。
・孤児の受け入れが大部分だった昔では、大舎、中舎、小舎の施設で良かったが、発達障害の受け入れが増えてきた近年では、小規模のグループホームや里親などの充実が大事。
(善隣館の様子)
想像以上に軽度発達障害の子供や大人への対応が急務であることを認識した。
館長から、選挙で子育て支援や福祉のことをどの党、候補者も訴えているが、実際に視察して話をうかがう国会議員や県会議員はいないとのこと。ゆえに私の訪問を喜んでいただいた。
子どもに対する福祉予算が圧倒的に少ない。養護施設は保護者会や同窓会があるわけではなく、子どもたちも選挙権がないので、声が政治に伝わっていない。
私は国会議員になって5年、初訪問である。
自身の不明を恥じつつも、責任の大きさを痛感した。
(谷あい)
児童養護施設「善隣館」を訪問