午前8:30。ハローワーク倉敷中央を訪れた。
就業開始前から求職者らが並び、駐車場は満車状態。
倉敷には三菱自動車の工場など製造業が集積する。昨年来、景気の影響をもろに受けてきた。
横田所長と和田次長から直近の雇用状況を伺った。
・月ごとの新規求職者数は、昨年12月以降、対前年比50%増の状況が続く。
・有効求人倍率は4月から7月の4か月連続で0.5倍前後と、最悪の状況。
・業績回復したとしても、先行き不安感のため、企業は新卒の採用に慎重。
・来年3月卒業の高卒の求人数は、約半減。新卒の就職状況は非常に厳しい。
・1人で数社から内定をもらう学生と、全くもらえない学生の二極化が進んでいる。
・中途採用は、自分自身を売り込む、いわば商談だが、25歳から40歳にかけての求職者に、自己否定感が強い人が増えてきた。
・自分の強みを発見してもらうため、マンツーマンの相談体制やジョブカード制度を活用中。就職活動の応援を学校とも連携して強化している。
・職業訓練もコースが増えている。雇用保険を受給できない方を対象とした「基金訓練」が岡山県内でもスタート。
・雇用調整助成金の申請の処理が大変。本助成金を使う企業の数は、管内で250社ほどで落ち着いてきた。
・ハローワークの職員も疲労困憊状態。
・今年4月から玉島のハローワークが廃止され、倉敷中央に統合された。行革の一環として決まっていたことだが、昨年秋以来の雇用悪化の情勢とマッチングしていない。
・各種雇用関係の補助事業はできる限り簡素化するべき。例えば、基金訓練の対象者などの要件をしぼりこみすぎないようにすべき。
以上、気になる点を羅列した。
個人的に特に心を痛めたのは、仕事を求める人でハローワークの入口付近まであふれかえっていたこと。求職者の列は朝9時半時点で42人(約2時間)待ち。
新卒者を中心にさらに来年4月には悪化する見込みであることも認識をした。
昨年来の景気悪化で、職業訓練期間中の生活保障制度も始まったが、あまり実感として利用が進んでいない模様。対象要件がありすぎて、制度が複雑なことに起因している。雇用保険に加入していない人も利用できる基金訓練を、もっと活用しやすい制度に柔軟に対処していく必要がある。
政権の交代で現場にどういう影響があるのか、確認してみたが、基本的にどの政党も雇用問題に力を入れて訴えてきているので、ハローワークの業務にマイナスになることはないと期待している、あるいは様子を見守っているというのが実情だろうか。
しかし、基金訓練は、6月の補正予算で成立した「緊急人材育成・就職支援基金」をもとにして実施されているものだ。今回、民主党は、この基金をムダとして執行停止を求めている。基金の運営が天下り団体だからという理由で。もちろん実施している職業訓練コースなどはさすがに取りやめないということだが、具体的なことは一切分からない。
基金の運営がしっかりしているかどうかは大事な点であるが、天下り団体云々の話は、求職者にとってみれば関係ない話で、不要な混乱や不安を起こすことはやめるべきだ。過去最悪の失業率や有効求人倍率をどうやって改善していくのかの議論がなく、まず執行停止ありきでは国民が不幸になる。
(谷あい)
深刻化する雇用情勢 - ハローワーク倉敷中央を視察