年末に「派遣村」などで注目されたのは、途中で契約を打ち切られた派遣などの労働者の問題だったが、これから多くの会社が派遣契約の満了に設定している年度末には、契約が更新できない派遣労働者の問題が発生することが予想される。先手を打って対応する準備を始めなければならない。
雇用情勢の悪化以降、学生や若い人と意見交換してきた中で思ったのは、職や住居を失った、あるいは仕事しているがこの先が不安だという当事者から国が直接話をうかがうホットラインがあってもいいのではないか、ということだ。政府としても昨年末から矢継ぎ早に雇用対策を打ち出しているのだが、雇用や生活の不安を当事者からうかがう窓口を広くし、安心感を与えることも大事な仕事だと思う。
国や自治体の相談窓口としては、ハローワークや全国3か所の非正規労働者支援センター、地方労働局で相談窓口が開かれている。だが、いずれも訪問による相談が主だし、職員も足りず待ち時間もかかり、一日に対応できる相談人数も限られているという。確かにそれぞれの地域ごとに窓口は違い、ほとんどの場合夜間・土日祝日は開いていない。何だか相談窓口にたどりつくハードルが高い印象を受ける。
労働者団体では全国ユニオンが昨年11月29日、30日に「派遣切りホットライン」を開設。連合も昨年12月15、16日にフリーダイヤルの電話相談窓口を開設した。「3月まである契約を12月いっぱいで終わりと通告され、会社の寮も出て行ってくれと言われているが、行くところがない。どうしたらいいかわからない」など切実な内容の相談が寄せられ、対応に追われたという。こうした声が国や自治体の相談窓口にも寄せられてはいるのだろうが、窓口の存在がもっとわかりやすく、容易にたどり着けるという印象を雇用の不安を抱える人々が感じておられるだろうか?・・・。
明日の生活の資金もなく職探しもしなければならない人や就労中の人にとって、センターに訪問相談に行く時間を作るのも至難の技だし、そもそも電話相談にかかる電話代を負担することさえも厳しい状態に追い込まれている方もいるだろう。気軽に相談できる窓口の条件として、全国からかけることができる単一の番号で、携帯電話からも無料通話が可能、土日祝日・夜間も相談できるという条件は外せない。政府版「雇用110番」を創設し、雇用と生活の不安や危機感を当事者と共有するホットラインをもっと開くべきと提案したい。
(谷あい)