23日、岡山市の南東部に位置する犬島を訪れた。周囲わずか4㎞ほどの面積に、55人ほどが暮らす小さな島だ。この島は採石と銅の精錬で盛んだった。今、その銅の精練所跡は、経済産業省による近代化産業遺産に指定され、映画のロケ地としても活用されている。さらに本年5月から遺産を生かす形で、犬島アートプロジェクトが始まった。アートの島として輝き始めた犬島。「犬島再発見の会」の代表である在本桂子さんに島を案内していただいた。かつての産業遺産と現代の民間の投資が、相乗効果で観光を促進している様子を目の当たりにした。しかし、それには島を守ってきた島民の存在を抜きにして語れないことは言うまでもない。撮り集めた写真をご覧ください。
(谷あい)
犬島は岡山市の宝伝から船で10分ほどの距離。1日に数往復する船が島民や観光客の唯一の足だ。
本土からも精錬所の煙突がよく見える。島全体から採石したことによって、標高の低い地形になった。
港に着くと、無数の鳥たちが岩に等間隔でたたずんでいた。
犬島アートプロジェクトのはじまり。
海岸線にそって犬島産の石を切り出して並べている。
石に杭のようなものを打ち込むことで、石を真っ二つに切り裂く。
精錬所跡地を案内してもらった。100年前のそのままの姿を残している。
島には、銅の精練所だけでなく化学工場も稼働していた。荒涼とした跡地に、ユリが自生していた。
これだけきれいに溶鉱炉が残っているのは貴重だ。
黒光りした煉瓦状の塊が、今も100年前の姿であちらこちらに残っている。
精錬所の動力として、石炭火力発電所も併設された。今ではステージとして使うこともある。
採石場跡。この島から大阪城へ50畳ほどの巨石が運び出された。最近でも、札幌のモエレ沼公園のオブジェに、犬島の石が使われた。在本桂子さん曰く、「石を見れば犬島の石かどうか分かります」
岡山市の犬島を訪れる - 近代化産業遺産、アートの島