対策本部が各漁協を視察
赤松、赤羽、谷合氏ら 沈没船対応などで懇談
明石海峡で発生した船舶衝突事故に伴う燃料の油もれが漁業に深刻な被害を与えている間題を受け、公明党兵庫県本部の漁業被害対策本部(赤松正雄本部長=衆院議員)は20日、現場海域を視察。神戸市、明石市、淡路市の各漁業協同組合を訪れ、全国2位の生産額を誇るノリ養殖など漁業への被害や対応策について話を聞いた。これには赤松氏のほか、赤羽一嘉衆院議員、谷合正明党農林水産部会長代理(参院議員)をはじめ兵庫県議、市議らが同行した。
「これからどうやって生活していけというのか」。公明党視察団を迎えた神戸市垂水区の 「神戸市漁業協同組合」(山田隆義代表理事組合長)の会議室に、ノリ養殖業を営む山本耕司さんの行き場のない怒りと悲哀がこもった声が響いた。衝突事故後、沈没した船から流出した油が、わずかながらノリ網などに付着していることを確認した同漁協は9日、「食の安全・安心を優先」し、今季のノリ漁を中止することを決定。生産者らの収入が完全になくなった。
一行が訪間した明石市の林崎、江井ケ島、東二見、西二見、明石浦の5漁業協同組合、淡路市の森漁業協同組合など各漁協でもノリ漁の中止を決めている。
兵庫県は全国第2位のノリ生産量を誇るが、今回のノリ漁中止で収穫は激減。県内の損害額は40億円以上に上ることが必至の状況だ。「事故発生時はこれほどの被害になるとは思っていなかった」。林崎漁業協同組合の田沼政男・代表理事組合長は肩を落とした。ノリの養殖業は先行投資型の産業。まず秋ロにノリの芽を育てる育苗や船舶などの整備などへ借金をして投資する。その後、収穫期を迎え返済を進めていくが、“借金の返済”から“利益”に転じるのは4月以降からという。「今回の事故のタイミングは最悪だ。莫大な借金だけが残った」とノリ生産者らはロをそろえた。
懇談では、すべての現場から「油の流出を止めてほしい」と声が上がった。油が流れ続ける限り漁の再開が見込めず、今が最盛期のイカナゴのシンコ(稚漁)漁や明石の名産とされるタコ、鯛の漁に影響が出ることで、被書が拡大する一方だからだ。生産者の間には「このままでは漁師をやめなくてはならない」と不安が募っているという。
緊急の支援策 県、各市で検討進む
党兵庫県本部
また、漁業の再開のために莫大な損害を被った漁業関係者の支援を求める声が各漁協から寄せられた。これについて同対策本部の橘泰三事務局長(県議)は17日、県議会の予算委員会で緊急の資金繰りなどへの支援策を訴えていた。これを受け、県側は「豊かな海づくり資金」として利率ゼロの融質制度の整備を進めている。また明石市でもノリの廃棄処分にかかる費用免除など緊急支援策を急いでいる。
視察後、赤松本部長は「油の流出防止、明石海峡など全国に11ある特定航路の事故対策基金の設置など全力で対応していきたい」と話していた。
(3/22付 公明新聞より転載)
油の流出から漁業を守れ/明石海峡 船舶事故