今、該当者不明の年金記録が5000万件にも及んでいるいわゆる年金記録問題が、有権者の一番の関心事項となっています。これは大変大きな問題で、与野党が政争の具にせずにまずは速やかな対応をしていくべきであります。
1.【問題の背景】
平成9年に、結婚や転職などで納付記録がバラバラにならないように、一人ひとりに「基礎年金番号」制度が導入されました。それ以前には複数の記録を持つ方がおりました。平成9年以前の記録が、基礎年金番号に統合されずに残っている記録が現在5000万件あるのです。
平成9年の制度導入の時点では約3億の年金記録の件数がありました。その後、10年かけて2億5000万件の記録は統合されました。残っているのが5000万件ということです。
問題は年金受給世代の2880万件です。本来より少ない年金になっていることになります。
さらに年金受給者に新たな年金記録が確認されても、今の法律では5年間しかさかのぼって支給されません。
2.【政府の取るべき対応】
すでに年金をもらっている方で、年金の支給漏れが判明した場合、年金支払いの5年時効を撤廃し、過去支払われなかった分もすべて支払われるようにします。公明党も強く主張して、年金特例法案の成立をいち早くこの国会で目指すことになりました。
さらに社会保険庁に年金記録がない場合、社会保険庁はこれまでは領収書がなければ対応しないという方針でしたが、保険料を支払ったという当時の状況証拠があれば認めるということになりました。厚生年金はいいとしても、国民年金の場合の支払いの状況証拠について、もう少し分かりやすく例示していくことが大事です。
3.【責任の所在】
まず民主党は「消えた年金記録5000万件」という膨大な数を持ち出し、いたずらに不安をあおっています。
5000万件の記録は消えていません。生年月日、名前、住所はわかっています。また5000万件は5000万人ではありません。ひとり10件以上の記録をもつこともあります。
今回、本来の年金額より少なくなっている方で5年時効の問題を抱える方は約25万人と推計されています。
次に、そもそもこの年金記録問題の出発点は、10年前の自社さ政権にあります。「10年前、年金の運営を効率化するため、国民に新たな基礎年金番号をつけて一本化した際に生じた」(26日付け朝日新聞)問題なのです。
しかも、この基礎年金番号制度の導入準備を進めていたH8年当時の厚生労働大臣が、今の民主党の菅直人氏であります。「統合作業での混乱は最初から予測されたはずだ」(同 毎日新聞)との指摘もあるとおり、出発点の責任者は管氏であります。
不十分な仕組みが未統合を招いたのです。社会保険庁はもっと、国民に周知をすべきでありましたし、その後の統合作業にもっと積極的な努力をすべきだったのです。
国民の不安を速やかに解消するために、この問題では与野党が協力して取り組むべきなのです。野党は委員長を羽交い絞めにするような、あんな採決妨害をすべきではありません。選挙を意識しすぎた対応は、国民にとってマイナスです。
(谷あい)
【ブログ】年金記録問題について -速やかな対応を-