2月14日付公明新聞の「永田町からのEメール」コーナーに、「水資源の将来戦略が日本の喫緊の課題に」とのタイトルで記事が載りましたので、転載いたします。
シジミから農薬が検出され、一時出荷停止になってしまったという嘆きを中国地方で聞いた。昨年から基準値以上の残留農薬が検出された食品は販売できなくなっている。毎日何十杯もシジミ汁を飲まない限り、健康を害することはないが、水田の水が適切に管理されていなかった点は見逃せない。
シジミ漁にはもちろん農薬は使わないが、田植えの時期に使用した除草剤が農業用水を通じて、湖に流れ出て、シジミに濃縮されたのだ。除草剤は水田の水を一定期間止めてこそ効果が発揮されるが、全国の稲作農家の四分の一が水を流し放しにしていることが調査の結果、判明した。
国内の水総使用量の三分の二を占める農業用水は、水資源を考える上で非常に大切な要素だ。わが国においては水循環システムの役割を果たしていることは間違いないが、農家の高齢化、兼業化の進行や耕作放棄地の増加に伴い、適切な水管理が弱体化している。
ところで、仮想水という考えで、輸入食品の生産に必要な水まで計算すると、日本の水自給率は食料自給率と同様に低い。ミネラルウォーターの輸入も増加している。
水は資源の乏しいわが国の誇れるものだが、実は日本人一人当たりの水資源量はイラクのそれと同程度である。水資源の将来戦略こそ喫緊の課題である。
21世紀を水戦争から回避するために、日本はまず身近な暮らしから水のムダ使いをやめ、その上で、水循環技術を生かした国際貢献をしていきたいものだ。
(谷あい)
【ブログ】シジミ汁と世界水戦争