「20世紀は石油で、21世紀は水で戦争が起こる」と警鐘を鳴らした人がいます。本年3月、メキシコで開催された世界水フォーラムでも、「食糧・環境のための水管理」がテーマになりました。世界人口を養うための食糧、その食糧を生産するための水をいかに確保できるかが世界的に大きな懸念となっています。
本日の農林水産委員会で、私は水資源問題について取り上げましたが、中川大臣も非常に関心を持たれていました。
水が豊富に存在していると思われている日本。しかし、決して水資源に恵まれているとは言えないことが分かってきました。
ここで、質疑を通じて分かったトリビア的なものを紹介します。
・ ミネラルウォーターの国内出荷額は年間1400億円で、そのうち260億円は輸入物である。
・ 日本の年間降水量は世界平均の2倍以上ある。しかし、一人当たりの利用可能な水の量は、フランス、イタリアそしてイラクと同程度。
・ 日本国内での年間総水資源量は850億トン。そのうち農業用水が560億トン。
・ 日本は海外から間接的に年間640億トンの仮想水(バーチャル・ウォーター)を輸入している。そのうち農業用が630億トン。
・ つまり自国で必要とする農業用水と、海外に依存する農業用水は同じ程度。
・ 小麦1kgあたり2トンの水を必要とする。
・ 白米1kgあたり3.6トンの水を必要とする。
・ 牛肉1kgあたり20トンの水を必要とする。(牛丼1杯あたり2トンの水)
・ 1トンの水をアメリカ人は2日で消費する。
・ 日本人は3日で消費する。
・ ヨーロッパの人は4日で消費する。
・ 中国人は20日で消費する。
・ アフリカの人は1年間で消費する。
水は、人間の安全保障であり、食糧の安全保障であり、国家の安全保障の要であることを再確認しました。政治家は「水」を粗末に扱ってはならぬのです。
(谷あい)
(注)上記のデータは国土交通省や農林水産省の報告書に基づくデータです。バーチャル・ウォーターとは、ある国が輸入している食糧や工業製品をもし仮に自国内で作るとしたら必要となる水量で、東大の生産技術研究所の沖助教授が研究をされています。
【エッセー】バーチャル・ウォーター ― 日本は水輸入大国