これは一体何の写真か分かりますか?
これは岡山県の瀬戸内海でとれた“のり”です。
右と左で色が違うのがお分かりかと思います。
右側の色が薄いと思います。
いま、のりの色落ち問題が、有明海や瀬戸内海で起きています。
理由は栄養塩の濃度が下がってきていることだと言われています。
のりの養殖は2月から3月がピークです。
しかし、ここ数年、岡山県の瀬戸内海の栄養塩濃度が下がっているというデータがあります。特に今年は冬場の雨量が少なかったこともあり、川から海に注ぎ込む水量が少なく、沿岸部の海水がかきまわらず、栄養塩の濃度が上昇しないという問題があることを、のり業者から伺いました。
1月に岡山県漁連の会長からお話しをいただき、特に国交省の管轄である昨年完成したばかりの県北に位置する苫田ダムの放流を認めて欲しいという要望がございました。ちなみに今、ダムは満水。
私も国交省に、現場の実情を訴えまして、放流を要望いたしました。
うれしいことに、2月4日から8日まで、ダムの放流が決まりました。ダムの水利権は岡山県や飲料水会社などがもっていますが、それぞれの水利権者が同意して、何とか放流が決まりました。
もちろん県は、ダムの放流により、沿岸部の栄養塩濃度が上昇するかどうかを今回は検証してまいります。
ちなみに色落ちした海苔は、食べるのに適さないとのことで、栄養塩濃度の回復がなければ、ただでさえ、零細なのり業者は大打撃をこうむることになるので、何とかいい方向にいけばと思います。
その他、WTOの交渉の中で、韓国からののり輸入量枠が大幅に拡大されることになりました。同様に中国からののりの輸入が始まるのではないかと言われますが、こうなってくると日本ののり業者は非常に厳しい状況に置かれます。
ちなみに日本ののり国内生産は年間約100億枚。1枚が市販されている海苔の大きさです。一人あたり100枚食べている計算になります。2005年は韓国のみから4億枚輸入割当(IQ制度と言います)がありましたが、今後10年かけて12億枚まで拡大されることになりました。そして次の焦点は韓国に続き、中国からの輸入がどのくらいの規模になるのかということであります。
今後、国内ののり業者の競争力強化のために、何ができるか。国産のりの高品質化や、消費需要の拡大、コンビニのおにぎりに使うのりの原産地表示など、対応策としてあがっています。
みなさん、“のり”がもっと食されるために、何かよいアイデアがあったら教えてください。
P.S. 本日、参議院で補正予算が賛成多数で採決されました。また午前中には農林水産委員会でBSE問題についても同僚議員が議論しました。
(谷あい)
【エッセー】"のり”の色落ち問題