政治家の週末は、だいたい地元に帰って活動ということが一般的ですが、私の場合は、選挙でお世話になった地域が、岡山だけでなく、東は福井から西は山口までありますので、あちらこちらに動き回っています。岡山の家に戻るのが2週間ぶりということもよくあります。
20日(土)から23日(火)まで、岡山、福山、兵庫の西播磨(作用町、山崎町)、淡路島、呉、広島、廿日市と回ってきました。企業挨拶回りあり、政治学習会あり、餅つき大会あり、台風被災地の視察ありと、内容は多岐に渡りました。
岡山では私の住む町内会の餅つき大会に出席しました。町内会長のご配慮で、町内会、婦人会、消防団、愛育委員会、PTAの方との懇談会を持たせていただきました。小さい子どもを持つ母親の数が多かったということもあり、皆さんの関心は子どもたちの安全をいかに守るかということでありました。国会議員さんにも是非私たちの思いをわかって欲しい、同世代の若い議員だからこそ訴えるんだという強い思いを感じました。私も防犯対策について党の政策を思い起こしながら答えました。そんな中、ひとりのお母さんから、是非、小学校までの通学路を歩いてみて下さいと言われたとき、ハッとしました。私は生まれ育ったのは埼玉県なので、今住んでいる家から小学校までの通学路を歩いたことがありませんでした。
早速、翌朝、ひとりで歩いてみました。片道2キロを超える距離で、しかも国道2号線のバイパスを越えていくという道のりです。朝は渋滞を回避する車が迂回路として使うため、住宅街でも交通量の多いところです。交通量もさることながら、私は、今、小学生が使っている通学路が地域社会にどれくらい溶け込んでいるのかに関心を持って歩きました。道でたまたま出会った交通安全母の会の会長さんに話を伺うと、やはり車との接触事故と不審者がいないかどうかを気にされていました。皆でまとまって移動する登校中よりも、バラバラになる下校中を心配されていました。
最近でも奈良県で小学生が下校中に犠牲になる痛ましい事件もありました。日本の治安悪化が言われて久しいわけですが、私も安心・安全の地域社会作りはどうあるべきかを考えてまいりました。町内会など伝統的な地域社会の再活性化と、社会に新しく生まれたNPOの育成が大事だと、あれこれ思索していましたが、一番大切なことを忘れそうになっていました。それは現場ということです。しかも身近な現場です。その上で実際に体験するということです。
今まさに安心・安全の地域社会作りに向けて国をあげて取り掛からなければなりませんが、まずは身近な現場の大切さを教えてくれたPTAのお母さんに感謝したいと思います。大根一本の値段を知らない経済学者と同様、自分の周りの生活環境を知らない国会議員にはなってはいけないですね。同僚の国会議員の皆さん、まだ通学路を歩いていない方がいたら、一度歩いてみてはいかがでしょうか。そして、日本の治安回復について議論をしましょう。
(谷あい)
【エッセー】通学路を歩いてみませんか—-安心・安全の地域社会を考える前に