2024年05月02日 1面
人につながりたくてもつながれずに追い込まれる「社会的孤立」を巡って、国を挙げた対策の強化へ政府が動き出している。4月には、公明党の後押しで昨年成立した孤独・孤立対策推進法が施行。政府は今月を「孤独・孤立対策強化月間」と位置付けて、全ての国民を対象とした広報やイベントを展開し、相談体制も充実させる。
■相談ダイヤル「#9999」/連休中に24時間対応
強化月間は、孤独・孤立に至っても支援を求める声を上げやすく、声を掛けやすい社会をめざして、今年度から本格的に実施。支援・相談窓口や全国各地の取り組みなどを紹介するウェブページのほか、試行事業として孤独・孤立に関わる悩みを24時間受け付ける相談ダイヤル「#9999」を2日午前10時から7日午前10時まで開設する。
同事業は公明党の提言を受けて2022年に開始し、今回で6回目。通話・相談ともに無料で、つながらない場合は「0120・494949」まで。
社会的孤立は、コロナ禍で課題が顕在化し、今後は単身世帯や単身高齢者の増加も見込まれる中、さらなる深刻化が懸念される。背景としては、職場や家庭、地域で関わり支え合う機会の減少に伴い、生きづらさを感じざるを得ない状況を生む社会の変化がある。当事者は声を上げづらく、実態も外から見えにくい。
■重点計画策定、協議会設置も
このため孤独・孤立対策推進法では、孤独・孤立は人生のあらゆる段階で誰にでも生じ得るとして、当事者の問題は「社会全体の課題」と明記。本人とその家族の立場に立って、状況に応じた支援が継続的に行われることをめざす。また、どの地域でも支援が届くよう、民間支援団体などを含む官民「地域協議会」の設置を自治体の努力義務としている。
政府は今後、内閣府に設置された対策推進本部(本部長=首相)として、重点計画を策定する。24年度予算では、当事者を支えるNPO法人などを支援する「対策推進交付金」を創設し、民間団体による安定的・継続的な取り組みも推進する。
■公明、実態調査し法整備提言/党対策本部長 谷合正明参院幹事長
社会的孤立を巡って公明党は、孤立の実態など計1039件の聞き取り調査を全国で実施し、21年5月には菅義偉首相(当時)らに対策の推進と法整備の検討を提言するなど、取り組みの強化を求めてきた。特に、当事者の問題は「社会全体の課題」と法律に明記された意義は大きい。
生きづらさや居場所のなさといった点は、市販薬・処方薬を過剰摂取する「オーバードーズ」の問題の根底にも重なるものがある。今後は国の重点計画が策定されるが、現場の実態や声が反映されるよう、引き続き政府に要請していく。
公明党は、予算面などでも施策を後押ししてきた。さらに、国と地方のネットワークの力で全国に取り組みを広げていく。