2024年03月23日 1面
参院は22日、各常任委員会で2024年度予算案に関する委嘱審査を行い、公明党議員が精力的に質疑を展開した。=2面に続く
■介護職員の被災地派遣、柔軟に/山本(香)氏
厚生労働委員会で山本香苗氏は、能登半島地震の被災地への介護職員派遣に関して、人件費の柔軟な取り扱いを訴えた。
派遣職員の人件費を災害救助費または介護報酬で対応することを巡って山本氏は、職員派遣のマッチングの現場では手続きの煩雑さや条件の複雑さといった負担が受け入れ施設側に生じていると指摘。後々の人件費負担を懸念して応援職員を断ったり、災害救助費の対象として認められなかったりするケースもあるとして「緊急事態に応じた柔軟な対応を」と訴え、内閣府との連携を求めた。
武見敬三厚労相は「手続きの簡素化、迅速化など具体策について内閣府と相談したい」と述べた。
■液状化対策、傾いた住宅の補修も/塩田氏
国土交通委員会で塩田博昭氏は、能登半島地震による液状化被害を受け、政府が22日に決定した支援強化策について、「現場にできる限り分かりやすく、情報が早く伝わるようにしてもらいたい」と強調した。
塩田氏は、地域によって被害状況が異なるとし、幅広く支援できる対策の実行を要請した。また、家が傾くなどしても「一部損壊」の判定で、被災者生活再建支援制度などの支援策から漏れてしまう事例があるが、今回の支援対象では含まれるかどうかを確認した。これに対し、国交省は「再発防止の工事の際、さらなる住宅の傾斜を引き起こすなど支障を来す恐れがあるため、その復旧策を対象とした」と答えた。
■気候対策に若者の声を/谷合氏
環境委員会で谷合正明氏は、気候変動対策の加速化へ、対策の検討過程における若者世代の参画が重要だと訴えた。
谷合氏は、対策を進める上で「若者やジェンダーの視点が世界的にも重要な流れになっている」と指摘。地球温暖化対策に関する政府計画などを議論する審議会において、専門的知見を持った若者世代を正式に委員とし、「将来世代の声、ジェンダー平等を踏まえた声を政策に取り入れることが重要だ」と訴えた。
これに対し伊藤信太郎環境相は「年齢層、性別、専門分野などバランスに留意し、若手経営者、有識者の参画など多様な方々から意見を伺うことを考えたい」と述べた。
■障がい者の差別解消せよ/宮崎氏
内閣委員会で宮崎勝氏は、改正障害者差別解消法の4月施行に向け、内閣府が昨年10月に開設した障がい者や事業者からの相談に対応する「つなぐ窓口」について、「障がいを理由とする差別解消に向けた施策立案に活用する目的もある」と指摘し、政府に対応を求めた。
内閣府側は「窓口の開設以来、827件の相談があり、事業者からの相談が増加傾向にある」と説明。窓口で得られた知見を生かして、国や各自治体の職員向け相談対応マニュアルや研修内容に反映させていく考えを示した。
また宮崎氏は発達障がいのある学生の修学支援について、大学などに専門部署を設けるなど支援体制の充実を訴えた。