・ ○谷合正明君 おはようございます。公明党の谷合正明です。まず、冒頭ですけれども、相次ぐ政務二役の辞任、また、本委員会審議に混乱がもたらされたことにつきましては遺憾であり、政府においては緊張感を持って事に臨み、信頼回復に努めていただきたい、そのことを申し上げたいと思います。さて、今国会の最大のテーマは経済でございます。昨年来続きます物価高の影響は、現役世代、中間所得層を含めて、国民に広く生活に影響が及んでいるところでございます。賃上げが物価高に追い付き、そしてその状況が広く波及していくまでの間、当面の間は家計への支援というものが必要だというふうに考えております。そこで、公明党は、三年連続で過去最高となっております税収増、これを直接国民に還元して、三つの還元策ということを総理に既に提案をさせていただいているところでございます。既に御案内のとおりだと思いますが、可処分所得を増やすための所得税減税、もう一つは、その減税の対象とならない世帯に対する給付金の迅速な支給、そして、電気・ガス代、またガソリン代等の負担軽減措置の来年春までの継続ということを訴えてきたところでございます。さらには、地方自治体がきめ細やかに政策を実行できるようにということで、重点支援地方交付金の増額ということも主張させていただきました。そうした公明党の提言も踏まえていただきまして、近く政府におきましては新たな総合経済対策というものを取りまとめていただくということになっております。大切なことは、政府が示しているこの減税と給付という国民への還元というものの趣旨、目的というものがしっかりと国民に伝わるということが大事であると思っております。改めて、総理に直接御説明いただくとともに、補正予算案の早期提出、また早期成立、早期実行に向けての決意を伺いたいと思います。
・ ○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、日本経済、今、三十年ぶりの賃上げの盛り上がりですとか、百兆円を超える過去最高の民間投資ですとか、デフレ脱却に向けて明るい兆しは見えているものの、この物価高によってまだ賃上げが物価高に追い付いていない状況にある。何としてもこの、委員おっしゃられるように、可処分所得、これを盛り上げることによって国民生活を守っていき、そして来年に向けて引き続き賃上げにつなげていく、この道筋を確かなものにしていかなければならない。そういった観点から、委員の方から御指摘がありましたように、この可処分所得を支援するための経済対策、用意していきたいと考えております。御指摘の所得税減税を中心とする政策、そして、その対象とならない方には給付という形で迅速に支援を行う、また、この二つの制度の間におられる所得層の方々には重点支援地方交付金を活用して同等に支援を用意するということで、幅広い所得層に対して可処分所得を下支えする、こういった支援を行うと同時に、エネルギーの激変緩和措置を来年の春まで持続するということで生活を支えていく、こうした経済対策を今考えているところです。是非、これによって、この可処分所得を支え、物価高に負けない国民生活をしっかりと支援していきたいと思いますし、そのことが、今芽生えている明るいこの兆し、賃上げそして投資の好循環を来年以降にもつなげていくためにも大変重要な取組だと考えております。この経済対策を取りまとめましたならば、すぐに補正予算の編成に掛かり、補正予算編成後、できるだけ早い時期にこうした対策を実行に移せるよう準備を進めていきたいと考えています。
・ ○谷合正明君 総理の説明の中に、定額減税と給付支援の間におられる方に対しても丁寧に対応していくという趣旨の話もございました。やはり、住民税は納めているものの所得税を納めていない方であるとか、年間の納税額が四万円に満たない方などに対してどういう支援していくかということが、今後詳細は決まっていくということなんだと思いますが、これ様々なパターンが考えられると思うんですね。給付額あるいは実施時期、子育て世帯なのか否かであります。年末の税制協議で最終決定するとしておりますが、やはり今回の減税、給付の還元については、自治体ともよく連携して、国民目線に立った国民向けの周知、広報、また問合せ体制等を丁寧にかつ万全にしていく必要があると思いますが、改めて総理に伺いたいと思います。
・ ○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、給付そしてこの減税を行うに当たりまして、自治体との連携、この実務においても大変重要でありますが、こういった各種施策を国民の皆さんに効果を実感していただくための広報ですとか周知、問合せ体制、こういった点においても自治体との連携、重要だと考えます。更に言うと、所得税の源泉徴収を担う各企業ですとか、この交付金の執行事務を行う地方自治体、こういった関係者との連携、これも不可欠であり、広報等においても連携を深めることは重要であると考えております。
・ ○谷合正明君 続けて総理に伺いたいと思います。地方自治体への財政支援についてでございます。まず、今回の給付措置ですけれども、地方自治体には、先ほど総理も言われているとおり、初めて行うような給付の実務というものをお願いしなければなりません。そこには事務負担も生じますし、自治体の御協力なくして今回の国民への還元策というものは円滑にいきません。そこを踏まえた上で伺います。地方税である住民税の減収分は全額国費で負担すると、これは当然のことだと思いますが、所得税の三三・一%は地方交付税の原資になっているため、所得税減税により地方交付税減収も、減るということに留意する必要がございます。地方自治体に影響を与えないために、国からその分補填すると明確にしていただくことが大事ではないかと考えます。総理の答弁を求めます。
・ ○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先週二十六日の政府与党政策懇談会において、一人当たり四万円の所得税、住民税の定額減税の検討を指示したところですが、その際に、この住民税の減収額については全額国費で補填する、こうした方針をお示しするとともに、詳細については、この詳細な制度設計については与党税制調査会で検討するということになりました。そして、御指摘のこの所得税減税を行った場合の地方交付税への影響、また給付に必要な事務負担、こういった対応につきましては、地方の財政運営への支障、あるいは過度な事務負担、こういったものにつながらないように留意すること、これは重要なポイントであり、是非この点もしっかり留意しながら年末に向けて適切な対応を行ってまいりたいと考えています。
・ ○谷合正明君 総理のそうした御発言も踏まえて、与党としてもしっかりと協議をして結論を出していきたいと思っております。所得制限の考え方について伺います。先週、総理は会見で、定額減税は子育て世帯の支援の意味合いを持つと、子育て世帯の分断を招くことはあってはならないと述べられております。これ、私も賛同いたします。その上で、与党の税制調査会で制度を具体化していくというふうに述べられておりますが、改めて、私自身も、国民生活に広く物価高騰の影響が起きているわけでありまして、分断を招かないためにもこの減税に所得制限を設けるべきでないと考えるんですけれども、総理のこの発言の趣旨も含めて見解を伺いたいというふうに思います。
・ ○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げたように、二十六日、政府与党政策懇談会において、所得税、住民税の定額減税について指示を出したわけでありますが、その際に、児童手当の抜本的拡充後の初回支給を来年十二月に前倒ししたいと考えている、こういったことを申し上げました。
今般、高校生や児童手当制度の現行の所得制限外の子供も含めて、来年六月から一人につき四万円の定額減税を行うということを考えているわけですが、このことは実質的に児童手当の抜本的拡充を更に前倒しする効果があると考えています。この今回の定額減税が子育て世帯の支援の意味合いも持つんだという考え方を示させていただきました。そして、所得制限については、そういった認識に基づいて、子育て世帯の分断を招くことがあってはならないという私の考え方を示させていただきました。今後、与党税調で制度設計の具体化をしていくわけですが、こういった考え方も念頭に検討を進めてもらいたいと考えております。
・ ○谷合正明君 今回、各政党から経済対策の提言というものが公表されております。国民の間には、なぜ所得税、住民税の減税で消費税の減税ではないのか、また社会保険料は減免できないのかという声があるのも事実でございます。これらの政策を採用しない理由というものは何なのか、ここで政府の見解を伺いたいというふうに思います。まずは消費税について。
・ ○国務大臣(鈴木俊一君) 谷合先生お話しのとおり、今回の物価高騰に対して各党から様々な経済対策の御提言がありまして、その中には消費税の減税についての御提言もございます。この消費税につきましては、急速な高齢化等に伴い、年々増加する社会保障給付費の財源確保が課題となる中で、全世代型社会保障制度を支える重要な財源として位置付けられておりますことから、政府としては、その税率の引下げを行うことは適当ではないと考えているところでございます。
・ ○国務大臣(武見敬三君) 年金、医療、介護に関しましての給付を行う社会保険制度については、現行制度においても所得に応じて保険料負担を軽減する仕組みは既に設けてあります。社会保険制度の仕組みは、このように低所得者の負担に配慮をしつつ、相互扶助の考え方を基盤として必要な保険料を御負担いただくことを基本とするものでございます。可処分所得向上のため幅広いものを対象に保険料の減免を行うことは、給付と負担の対応関係をゆがめるなど、それぞれの社会保険制度に与える影響が大きく、保険者の実務上の負担など課題も大きいことから、慎重な検討が必要だと考えております。
・ ○谷合正明君 以上、ちょっと限られた時間でありますが、給付と減税については、その政策目的また内容について、総理先頭に政府一丸となって、国民目線に立って今後も引き続き説明責任を果たしていただきたいというふうに思っております。その上で、中小企業支援について、質問を移りたいと思います。物価高を乗り越えて成長経済への軌道に乗せていくために一番必要な対策というのは、持続的な賃上げであります。中でも、雇用の七割を占めます中小企業において持続的に賃上げできるか否か、今まさに正念場です。そこで、公明党は、政策提言である中小企業等の賃上げ応援トータルプランを取りまとめ、政府に申入れを行いました。まず、中小企業が賃上げの原資を確保できるよう、原材料費だけでなく、労務費を含めた適正な価格転嫁を徹底していく必要があります。立場の弱い下請企業と発注元との取引状況の監視指導などの体制強化、全国のよろず支援拠点に設置された価格転嫁サポート窓口の活用、パートナーシップ宣言に参加する事業者の拡大など、発注元との価格交渉支援を一段と進めることが重要と考えますが、経産大臣の答弁を求めます。
・ ○国務大臣(西村康稔君) 谷合委員御指摘のとおり、全国の雇用の七割を占める中小企業の持続的、継続的な賃上げ、極めて重要であります。そうした中でも、そのために価格転嫁を強力に進める必要があるというふうに思っております。具体的には、年二回、三月と九月、ちょうど四月、十月が調達価格の、が始まる、改定されますので、その時期、三月、九月を価格交渉促進月間として、まさにその発注企業と価格交渉、転嫁の状況を調査をして、社名の公表なども含めて、芳しくない発注企業の経営トップに直接指導、助言も行っております。また、下請Gメンの体制を更に充実させ、取引実態把握しながら、業界全体の取引方針の改善、また、公取との連携もしながら、公取にもしっかりと対応してもらうという取組を進めております。あわせて、サプライチェーン全体で共存共栄を図るパートナーシップ構築宣言、かなり広がってきておりますが、まだ大企業でこの宣言していない企業もありますし、宣言した企業でも、その実効性を上げる取組、進めていきたいと思います。あわせて、御指摘のように、よろず支援拠点、ここに価格転嫁サポート窓口を置きまして、様々な転嫁に向けてのその計算の手法などの取得なども支援をしております。そして、御指摘ありました労務費についても、他のエネルギー価格などと併せてその分をしっかり転嫁できるような、そうした対応をもっと工夫できないかということも是非検討してまいりたいと思います。いずれにしましても、価格転嫁、強力に推進していきたいと思います。
・ ○谷合正明君 中小企業の現場では、価格転嫁とともにもう一つ、人手不足ですね、この問題が深刻でございます。そこで、中小・小規模事業者が直面する構造的な人手不足への対応のため、先ほど来の質疑でも紹介されておりますが、省人化、省力化に必要な設備、機器への投資に対する支援策、これを設けるべきであります。例えば飲食業では発券機や食器洗浄機などが例に挙がりますが、その際、小規模事業者でも利用しやすい制度となるよう、製品をカタログから選ぶように簡易な申請の仕組みを導入すべきです。経産大臣の答弁を求めます。
・ ○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のとおりでありまして、この人手不足がもう何より今、地域での、中小企業の大きな課題だというふうに思います。それを乗り越えていくために、なかなか中小企業の皆さん、どんな製品があるのか、どこから手着けていいか分からないという声もありますので、御指摘のようなカタログのような形で、省力化、省人化のためのハード、ソフト、これをメニューをそろえて、簡易で即効性のある支援措置、考えていきたいというふうに思います。あわせて、実情に合わせた生産プロセスの効率化とか高度化、こうした支援策も今回併せて経済対策の中でしっかり盛り込んでいきたいというふうに思います。いずれにしましても、この人手不足を乗り越えて中小企業が成長していく、そして賃金も引き上げていく、そうした環境をつくっていきたい、また支援をしっかりと行っていきたいというふうに考えております。
・ ○谷合正明君 しっかりやっていただきたいと思います。中小企業の現場では、さらに今、事業承継税制について関心が集まっております。三年余りにわたるコロナ禍、また物価高の急激な経営環境の変化で事業承継が足踏みをしております。事業承継税制の特例承継計画の提出期限が来年の三月までと期限が迫っているところであります。この措置は、事業承継、事業引継ぎの円滑化並びに経営革新を促進するものでありまして、足下で年間三千件、三千社の申請があると聞いておりますが、まだまだ一万社を超えるニーズがあるというふうに言われております。事業承継税制の特例承継計画の提出期限、これを大幅に延長して、円滑な事業承継を支えていくべきではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
・ ○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の税制ですが、中小企業の経営者の高齢化が進む中にあって、事業承継を後押しするために大変重要な税制だと認識をしています。中小企業、言うまでもなく日本の成長のこの主役であり、御指摘の税制、これは引き続き重要であると認識をいたします。そして、本年度末に迫る税制活用のための計画提出期限の延長、これにつきましては、御提言も踏まえ必要な検討を行ってまいります。
・ ○谷合正明君 しっかりお願いいたします。さて、公明党の中小企業に対するトータルプランなんですけれども、実は中小企業等ということで、等の字を入れました。それは、医療、介護、障害者福祉分野と保育の分野についての賃上げを強調し、入れたからであります。医療、介護、福祉分野は、年末の報酬改定も視野に入れつつ、食材料費、光熱水費の高騰の対応や賃上げのための必要な対応を今回の経済対策、補正予算案に手当てするべきだと考えます。保育士も、これまで現場の深刻な人手不足を解消するため処遇改善を図ってきました。ここでもう一段、給与の公定価格の大幅な引上げを図るべきと考えます。総理の答弁を求めます。
・ ○内閣総理大臣(岸田文雄君) 現下の物価高騰の状況、さらには他の分野等における賃上げの状況等を考えますときに、医療、介護、そして福祉分野におけるこの物価高騰対策、そして賃上げ、これも重要な課題であるということ、これは言うまでもありません。今回の経済対策においても、エネルギー激変緩和措置を始めとする支援策に加えて、重点支援地方交付金の追加など、入院時の食費への支援、賃上げへの対応、こうしたものも含めて必要な対策、検討していきたいと考えています。そして、保育分野についても、こども未来戦略方針において、民間給与動向を踏まえた処遇改善を検討する、このようにされております。今般の令和五年人事院勧告を踏まえて、更なる処遇改善、これは対応を行ってまいりたいと思います。そして、年末のこの診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬、この同時改定の議論が行われるわけでありますが、この同時改定においても、必要な処遇改善の水準の検討、これも行ってまいりますし、あわせて、この数字だけではなくして、こうした処遇改善が現場の方々に、現場の方々の処遇改善にしっかりつながる、こういった仕組みの構築、これも重要な課題だと考えております。
・ ○谷合正明君 仕組み、この点についても言及をしていただきました。しっかりと構築をしていただきたいというふうに思います。次に、年収の壁について伺います。過去十年、短時間労働者の時給は二割ほど上がりました。同時に、労働時間は二割弱減っています。配偶者がいる女性のパートタイム労働者のうち二一%は就業調整を行っており、年末などの繁忙期に企業が働き手を確保できないといった課題があります。就業調整をする理由は、パネルのように、百六万、百三十万の壁を越えていくと、収入が増えていくと、社会保険料負担が発生し、一旦手取りが減ることが原因にあります。
公明党は、三月のこの予算委員会でこの問題を取り上げて、党内に年収の壁PTを設置し、具体的な提言を行いました。この提言も踏まえていただく形で、この度、政府の支援強化パッケージが策定されたところであります。そこで、まず総理に伺いますが、今回の百六万、百三十万円の壁対策の趣旨はいかなるものなのか、また、これ、よく公平だとか不公平だ、いろんな声があるんですけれども、第三号被保険者以外にもメリットはあるのか、こうしたことを含めて説明をいただきたいというふうに思います。
・ ○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の年収の壁の問題、これは、若い世代の所得向上、そして人手不足にも関わる重要な課題だと認識をしており、この年収の壁・支援強化パッケージ、これを取りまとめ、これは既に実施をしているところです。具体的には、この百六万円の壁については、企業による継続的な賃上げの取組を後押しする観点から、労働者の手取り収入が減少しないよう賃上げ等を行った事業主に対して労働者一人当たり最大五十万円の助成を行う、こうしたものであります。また、三十万円の、失礼、百三十万円の壁については、繁忙期に労働時間を延ばすなどにより収入が一時的に上がった場合でも事業主の証明によって引き続き被扶養者認定が可能となる仕組み、こういった仕組みを設けることといたしました。そして、これが第三号被保険者以外にも影響があるのか、恩恵をもたらすのかという御質問でありますが、今回の取組は、第三号被保険者が壁を越えるときに限らず、例えば、賃上げの取組が職場全体に広がることで同じように働く短時間労働者の所得向上を後押しすることにもつながる、こうした効果もあると考えており、この点についてもしっかり周知をしていく、こういった取組が重要であると考えています。
・ ○谷合正明君 総理が今、先ほど言われました周知なんですけれども、この就業者、事業者、さらに百三十万円の壁では配偶者の勤める会社の健保組合にも周知徹底する必要があるわけですね。
先日二十日、制度の詳細が公表されました。申込みが開始されました。ただ、この膨大な資料でございまして、事業者もその読み込みで苦労されている状態であります。まずは事業者に制度の理解をしていただくということと、その上で事業者から就業者に説明してもらえると、そういう環境をつくっていくということが必要であります。そこで、厚労大臣に御質問ですけれども、提案です。まず、事業者に理解を促すために、各地域で制度説明会を開催する、そして社会保険労務士会などと連携する。そして、事業者が就労者に説明できるパンフレットやポスターなどのひな形を作成する。さらに、小売業、飲食業、宿泊業、運輸業などの団体向けに制度説明会を開催することなどを通じて周知徹底を図っていくべきだと考えております。厚生労働大臣の答弁を求めます。
・ ○国務大臣(武見敬三君) 委員御指摘のとおり、この支援パッケージ、就業者と事業者共に周知徹底して御理解いただくことが極めて重要であります。厚生労働省といたしましては、今週十月三十日より、労働者、事業主双方からの問合せをワンストップで受け付けるコールセンターを開設をいたしました。これやはり大変大きな反響があって、一昨日も一日で一千件以上実際に問合せが来ております。また、各省庁を通じた、パート、アルバイトを多く雇用する業界団体向けに周知用資料を提供するとともに、この説明会を開催をしているところであります。これに加えて、さらに、政府広報との連携や都道府県労働局、日本年金機構における周知などを実施しておりまして、様々な機会を捉えて、引き続き積極的に、先生御指摘のように徹底した周知、やっていきたいと思っております。
・ ○谷合正明君 よろしくお願いいたします。その上で、百六万、百三十万円の壁の本質、これは年金制度であります。厚生年金に入っていただくことは、将来的に本人にとってプラスであります。百六万円は本来壁ではないはずですし、社会保険の適用拡大が進めば百三十万の壁に直面する人も減少してまいります。二年後に年金改革の議論がありますが、年収の壁の解消に向けて、社会保険の適用拡大の意義が十分国民に浸透されていく必要があろうと思います。特に、同じ業種でも従業員の規模によって待遇が違うのは合理的な説明ができず、短時間労働者に対する被用者保険の適用に関わる企業規模要件については本来撤廃すべきです。中小企業に対する支援の拡充などを進めつつ取り組むべきではないでしょうか。厚生労働大臣の見解を求めます。
・ ○国務大臣(武見敬三君) 被用者保険の適用拡大に当たっては、新たな保険料負担が生じる事業主や短時間労働者の皆様に正確な情報を提供するとともに、適用拡大のメリットを分かりやすく説明して、御理解を得ながら進めることが重要であるという点は御承知のとおりであります。これまで、令和二年の年金制度改正法による被用者保険の適用拡大の実施に当たっても、中小企業の事業主への支援を講じながら、丁寧に段階的にその拡大を実施をしてきているところであります。昨年十二月に取りまとめられました全世代型社会保障構築会議の報告書では、短時間労働者への被用者保険の適用に関する企業規模要件の撤廃について早急に実現すべきということが既に指摘をされております。次期年金制度改正に向けて、社会保障審議会年金部会等において関係者の意見を伺いながら、更なる適用拡大に進んでまいりたいと考えております。
・ ○谷合正明君 年収の壁が解消されても、男性の働き方が変わらなければ問題は解決しないというふうにも言われております。その意味で、政府が進めておりますこのこども未来戦略、これの着実な実行というものが必要であるということも申し述べておきたいと思います。さて、話題変わります。一般市販薬の過剰摂取、いわゆるオーバードーズの質問をしたいと思います。嫌なことを忘れたいとの一心で、せき止め薬を大量購入して何十錠も一気に飲み込む、こうした市販薬のオーバードーズが十代から二十代の若者の間で急増しています。パネルを御覧いただきたいと思います。
国立精神・神経医療研究センターの調査によりますと、全国の専門施設で薬物依存症の治療を受けた十代患者の主な薬物を見ると、市販薬が六五%を占めました。センターの研究員によりますと、十年前は若年男性が危険ドラッグを使うケースが多かったけれども、近年は市販薬の乱用が多く、その大半が素行に問題のない普通の若い女性ばかりとのことであります。夜回り先生こと水谷修さんは、私たち公明党の会合で、若者の生きづらさなどの背景を指摘した上で、盛んに乱用されている市販薬が簡単に入手できる、当事者や親が相談できる窓口が不足している、学校での薬物乱用防止教育ではまだ市販薬乱用は想定されておらず危険性が伝わっていないと指摘されました。そこで、厚生労働大臣に質問です。
市販薬のオーバードーズの危険性、今後の啓発、乱用のおそれのある医薬品の分類と販売方法の見直しについて伺います。
○国務大臣(武見敬三君) 二〇二二年度の厚労科研費の研究におきまして、一般用医薬品の過剰摂取により救急搬送された患者で、嘔吐、意識障害、不整脈等の健康被害が報告されております。厚生労働省では、適正な医薬品使用のために必要な数量に限り販売することなどを求めているところでございまして、引き続き、一般用医薬品の乱用が課題となっていることから、まず、有識者で構成される検討会において販売ルールの見直しを検討するとともに、乱用などのおそれのある医薬品の指定範囲の見直しのためのまず実態把握を行うこと、それから、学校薬剤師などの協力を得て青少年に対する乱用防止の啓発活動の取組を検討しております。引き続き、関係機関と連携しつつ、一般用医薬品の乱用対策というものに関してはしっかりと対応していく予定であります。
・ ○谷合正明君 こうした状況が生まれる背景をよく分析していく必要があると思います。厚労省、文科省、こども家庭庁などの関係省庁が問題の根っこにある部分に取り組んでいく必要がありますが、まずは実態をよく把握する必要があります。かつて危険ドラッグが社会問題になったときに、消防庁に、全国都道府県ごとに救急搬送された事例のうち危険ドラッグの事例が何件あったのかを緊急に調べてもらったことがあります。オーバードーズの全国レベルの把握は簡単ではないというふうにちょっと事前で伺っておりましたので、私たち公明党は、ネットワーク政党として、今日の質疑の参考になるように、都議会議員が東京消防庁に調査依頼をし、過去五年の都内における市販薬のオーバードーズによる救急搬送を調べてもらいました。そうしますと、平成三十年は五十六人、令和四年は百三十四人と急増し、うち女性は八五%占めていることが分かりました。オーバードーズによる救急搬送の実態について調べていただけないでしょうか。消防庁を所管する総務大臣に伺います。
・ ○国務大臣(鈴木淳司君) 委員御指摘のとおり、医薬品の乱用対策につきましては社会全体で取り組むべき重要な課題と認識しております。救急隊が出動ごとに作成をしております救急活動記録におきましては、市販薬の過剰摂取など、搬送に至った経緯が詳細に記載されている例もありますが、どのように記載、記録されているかにつきましては消防本部ごとに異なっております。このため、調査に一定の制約はありますが、市販薬等の過剰摂取による救急搬送人員に関する調査の実施について、各消防本部や厚生労働省ともよく相談をし、しっかりと対応してまいります。検討してまいります。
・ ○谷合正明君 よろしくお願いいたします。次に、外交について質問したいと思います。緊迫する中東情勢、まず、ガザ地区を実効支配するハマスの今回のテロ行為は断じて容認できません。人質の一刻も早い解放が必要です。そして、罪のない民間人の犠牲を出さないために、イスラエル、ハマス始め全ての当事者に自制を求めた日本政府の対応を支持するものであります。日本政府が一貫して重視しているのは、国際法、国際人道法、人間の尊厳に基づく法の支配です。戦火が中東全体に拡大した場合、日本を含む国際社会への影響は計り知れません。そして今です。イスラエルによるガザ地区への地上戦が本格化する局面にあって、人道危機に直面している人々の生命と生活を守ることを最優先にすべきです。邦人保護に万全を期すこと、戦闘の中断と緊張緩和に向け、日本の外交的役割について総理の見解を求めます。そして、今回の紛争の根源とも言えるイスラエルとパレスチナ問題への我が国の基本姿勢も併せて確認したいと思います。
・ ○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今回の事態に対して、政府としては、十月七日にハマス等によるテロ攻撃が発生した直後から、まずはこの在留邦人の安否を確認を行い、そして商用便による出国の呼びかけ、危険レベルの引上げ等、在留邦人に対する注意喚起を行うとともに、自衛隊機等による出国支援、これを行ってきております。今後とも、在留邦人の安全確保に全力で取り組んでまいります。そしてその上で、国際社会に対する働きかけとしては、事態の早期鎮静化、そしてまずはこの人道状況、これを改善することが第一だという方針の下に関係各国に働きかけを続けている、こうした状況です。そして、基本的な日本の立場ですが、日本はこのイスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存する二国家解決、この立場を引き続き支持をしてまいります。これまで、中東各国と我が国は様々な良好な関係、これを築いてきました。この良好な関係を生かしつつ、関係国とも連携しながら、緊張緩和、情勢の安定化、さらにはエネルギーの安定供給、こうしたこの取組を進めるべく外交努力、これからも展開していきたいと考えております。
・ ○谷合正明君 二国家解決ということで、我が国のこの周辺国、関係国との良好な関係をしっかりと生かしていくという話もございましたけれども、総理のこの外交方針をしっかりと私たちも支えていきたいというふうに思います。私は、二〇一五年の九月に、イスラエルとパレスチナ自治政府の双方から許可を得て、国連機関のUNRWAの協力を得てガザに入域しました。前年に大規模な衝突があり、当時、政治家としては入域は異例のことでございました。なぜ入域が許可されたのか。それは一つは、私たちの訪問の目的が人道目的だったということ、もう一つは、イスラエル、パレスチナ双方に良好な関係がある中立の国、日本の国の政治家だからということでございました。私は、日本が支援するガザ南部のハンユニスの学校や病院を訪れ、人道支援のありようを調査してまいりました。その後、ガザの子供たちが来日、これが実現しまして、東北の釜石市や総理官邸を一緒に訪れて、当時は安倍総理にも表敬もいたしました。ガザの子供たちは、実は毎年三月十一日、東日本大震災の復興を祈念してたこ揚げをしているんですね。今年は日本がUNRWAへの支援を始めて七十周年です。先月も、実はガザの子供たちがUNRWAの事務局長とともに来日をしました。今回の事態悪化が起こる直前のことでした。現地では日本人職員が奮闘中です。ガザの平和と安定に向け、日本が国際機関を通じて関わってきたということを知っていただきたく、この予算委員会で紹介をいたしました。今、日本ができる最大のことは、人道支援供与とそのアクセスの確保です。エジプト、イスラエルとガザ地区を接する複数のポイントから人道支援物資を積んだトラックを入域させる必要があります。日本政府として既に一千万ドルの緊急拠出を決めましたが、これ、実際に届くためにはエジプト政府とイスラエル政府の承諾というものが必要になってまいります。外務大臣、エジプトにも訪問しました。週末にはイスラエルにも訪問されます。是非、現地の通信の確保も含めて、人道支援のアクセスの確保を働きかけ、実現に導いていただきたいと思います。外務大臣の答弁を伺います。
・ ○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘のとおり、ガザの地区の状況は深刻化の一途をたどっております。一般市民、とりわけ未来のある子供たち、また女性、また高齢者、被害に遭っているということに対しまして、大変心を痛めております。UNRWAの皆さんと一緒に子供たち三人が私のところにも訪問をされました。今、大変苦しい思いをしていらっしゃるということも事実でございます。同地区の人道状況の改善が目下の最優先課題ということにつきましては、委員と一致するものであります。そのためには、同地区の一般市民一人一人に必要な支援が届くように、人道支援活動が可能な環境をいかにつくるか、このことについては急務でありまして、イスラエル側に対しましても、この点について働きかけを随時行ってきているところであります。我が国といたしましては、刻一刻と、また現地情勢を踏まえまして、変わるこの情勢を踏まえまして、週末、中東訪問も通じて、イスラエルを含みます関係国との間で意思疎通を行い、在留邦人の安全確保に万全を期しながら、事態の早期鎮静化、また人道的な休止及び人道支援活動が可能な環境の確保に向けた外交努力を粘り強く一つ一つ積み上げてまいりたいと考えております。
・ ○谷合正明君 国際社会が分断ではなく協調へと向かうように、人間の尊厳を基軸とする外交姿勢を貫いてほしいと思います。APEC、アジア太平洋経済協力について伺います。今年は、米国が議長国で、十一月十五日から十七日まで首脳会合が開催されることが決まっています。是非、総理には出席していただきたいと思います。一方、このAPECでは米中首脳会談も注目されているところであります。我が国といたしましても、昨年のAPECと同様に、この機会に対面での日中首脳会談の実現を模索すべきではないでしょうか。中国について、総理は所信表明演説で、建設的かつ安定的な関係という考えを打ち出し、首脳レベルでも対話を進めてきていますと訴えられました。そこで、総理、今年の米国で開催されるAPECの重要性と日中首脳会談の必要性について伺います。
・ ○内閣総理大臣(岸田文雄君) 本年のAPECのメインテーマ、これは全ての人々にとって強靱で持続可能な未来の創造、こういったテーマとなっておりますが、やはり地域の持続可能なこの発展に向けた取組に向けて議論を深めたいと思っています。我が国としては、自由で開かれた貿易、投資の推進に加えて、デジタル技術、食料安全保障、また女性のエンパワーメント、こうした課題について積極的に議論を牽引したいと考えております。そして、日中でありますが、このAPECの機会を含め、今後の日中首脳会談について現時点では何も決まったものがありませんが、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていく、こうした方針で、あらゆるレベルで意思疎通を今後とも図っていきたいと考えています。
・ ○谷合正明君 ASEANについて質問します。今年は日本とASEANが協力関係を結んで五十年の節目であります。この夏、私は山口代表とともにASEANを公式訪問しました。公明党としての公式訪問しました。フィリピンでは、日本の海上保安庁に当たる沿岸警備隊を訪れました。近年、アジア諸国では海上保安機関が相次いで設立されています。アジア諸国の海上保安職員の能力向上支援のために、我が国は大学院修士レベルの海上保安政策プログラムを提供してきました。海上交通路の安全確保、法の支配の確保のため、この地域では海上保安庁に寄せられる期待の高さというものを実感しました。そこで、斉藤国土交通大臣に伺います。海上保安能力の強化を進める中で、アジアの海上保安機関との更なる連携強化が重要と考えますが、見解を伺います。また、海上保安政策プログラムについては、その対象を太平洋島嶼国にも拡充していくべきではないかと思います。答弁を求めます。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まさに今週、実は、世界から百に近い国の海上保安庁長官、コーストガードのトップが日本に来ております。先日も、総理に御出席いただいて、その会合で御挨拶をいただいたところでございます。海上保安分野における各国との国際連携、これは非常に重要でございます。このうち、アジア諸国の海上保安機関の職員受入れにつきましては、先ほどお話しいただきましたように、能力向上支援ということで海上保安政策プログラムをつくりまして、ASEAN諸国から来ていただいて日本で勉強して、帰っていただく、で、その後もずっと日本との交流をする、こういうことが続いております。これを拡大をしていくということは非常に重要でございまして、太平洋島嶼国等との対象を、等にも対象を拡大するという御提案がございました。是非検討をしていきたいと思います。このことによりまして、国際連携を強くすることによって海上保安能力を一層強化するとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、関係国との連携強化、戦略的に取り組んでいきたいと思います。
・ ○谷合正明君 斉藤大臣、是非よろしくお願いいたします。外交についての質問、最後になります。急速に普及する生成AIをめぐって、岸田総理大臣は、リスクを軽減しながら恩恵を最大化するため、国際的な指針や行動規範をG7として策定する考えを示しておられます。そのAI、人工知能ですけれども、国連の中満軍縮担当上級代表は、AIが核兵器と結び付いた場合、これまでは予想できなかったような新しいタイプのリスクをもたらすと警鐘を鳴らしています。先般、公明党は、核兵器廃絶と安全保障リスクの軽減に向けた提言を外務大臣に行いました。核兵器の運用におけるAI導入を禁止すべきということも申し上げました。関連して、自律型致死兵器システム、LAWSの規制については、今、特定通常兵器使用禁止制限条約の下、二〇一四年から議論が進められてきましたが、今年の五月に、国際人道法を遵守できない兵器システムは禁止し、それ以外の兵器システムは制限するとの考え方が、我が国始め多くの国で共有されたところであります。そこで、外務大臣に質問ですが、核兵器の運用におけるAI導入を禁止すること、また、人間の関与しないLAWSについて開発、製造、使用を禁止することの法規範に向けて、議論のための議論ではなく、我が国が合意形成に向けたリーダーシップを発揮すべきと考えますが、答弁を求めます。
・ ○国務大臣(上川陽子君) この問題に関しまして、委員からも御提言をいただきました。ありがとうございます。急速な技術の発展を踏まえまして、AIのポテンシャルと、そして同時にリスクにつきましては世界的に議論が行われているところであります。委員御指摘の核兵器の運用に関するAIの導入につきましても、AIが核兵器の運用にどのように影響を与えるかを含めまして様々な議論があるところであります。我が国といたしましても、こうした議論につきましては注視をしているところであります。また、自律型の致死兵器システム、LAWSでありますが、これにつきましては、委員御指摘のとおり、本年五月に特定通常兵器使用禁止制限条約、CCWの枠組みの下、国際人道法、これを遵守できない兵器システムは使用してはならないという考え方が示されまして、我が国及び米中ロを含めコンセンサスを得たことについては一定の成果が上がったというふうに考えております。一方、国際人道法を遵守できない兵器システム、この具体的な内容につきましては依然として各国の認識の一致に至っていないというのが現状でございます。そうした主要論点につきましては引き続き議論が行われているというふうに承知をしております。我が国といたしましては、引き続き、人道と安全保障、この視点を勘案したバランスの取れた議論を通じ、広く国際社会において共通の認識、これが得られるよう、LAWSに関する国際的なルール作りに積極的、建設的に参加をしていく考えでございます。
・ ○谷合正明君 LAWSについて、積極的に議論、貢献していただきたいと思いますし、議論するだけでなく、しっかりと成果を出していただきたいというふうに思います。最後になりますが、先週二十五日、最高裁で性同一性障害特例法に関しての判決が出されました。戸籍の性別変更に生殖不能要件が課せられているのは憲法十三条に違反するとの判決が出ました。十五人の裁判官が全員一致しました。生殖不能要件は人権侵害の懸念が極めて強いとの判決内容であり、人権尊重の観点から公明党として評価するとともに、この判決を重く受け止めております。違憲判決があった場合、国会は当該法律規定を廃止し、行政機関は執行を差し控える政治的責務がありますので、速やかに法改正する必要があると考えます。まず、この度の最高裁判決の受け止めを総理に伺いたいと思います。
・ ○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、十月二十五日、最高裁判所において、性別の取扱いの変更の審判の要件等に定める、要件等を定める性同一性障害特例法第三条第一項の規定のうち、その審判を受ける要件として生殖腺がないこと等を定める同項第四号の規定について違憲との判断が下されたと承知をしております。最高裁判所の判断については厳粛に受け止める必要があります。政府としても、立法府の皆様とも十分に御相談をしながら、関係省庁間で連携して適切に対応してまいりたいと考えております。
・ ○谷合正明君 今回の判決というのは、実は外観要件については高裁に差し戻されて、審理を尽くせということで差し戻されております。特例法の全体像を踏まえた検討も必要になってくるのではないかなというふうに私は思っております。さて、今年六月、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解増進法が成立をいたしました。理解増進法は第三条において基本理念を掲げております。相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行わなければならないというものであります。このような理解増進法の基本理念に反するような性的マイノリティーの方に対する人権侵害を社会からなくすべく、政府は全力で取り組むべきと考えますが、理解増進法が成立した意義と加藤担当大臣の意気込みを伺います。
・ ○国務大臣(加藤鮎子君) お答え申し上げます。性的指向及びジェンダーアイデンティティーを理由とする不当な差別や偏見はあってはならず、政府全体としてしっかりと取り組むべきものと認識をしております。現在、性的指向及びジェンダーアイデンティティーを理由とする人権侵害については関係省庁において所管に応じて対応されているものと認識しており、政府として、理解増進法の趣旨を踏まえ、適切に対応をしてまいります。内閣府といたしましても、不当な差別や偏見を解消するためには理解の増進が不可欠であると認識をしており、理解増進連絡会議の適切な運用などを通じて、関係省庁と連携の上、理解の増進にしっかりと取り組んでまいります。
・ ○谷合正明君 連絡会議、この担当大臣として、今後基本計画等の取りまとめもございますので、しっかりと対応をお願いしたいということを申し上げまして、私の質問といたします。ありがとうございます。
・ ○委員長(末松信介君) 以上で谷合正明君の質疑は終了いたしました。
第212回国会 参議院 予算委員会 第2号 令和5年11月1日