日本新華僑通信社が出版する月刊誌『人民日報海外版日本月刊』1月号(発売中)に、谷合正明参院議員のインタビューが掲載されました。出版社の了承を得て、以下転載します。
人民日報海外版日本月刊のサイトはこちら→ http://jp.jnocnews.jp/news/L0_DY.aspx?id=91
(東京事務所)
編集長インタビュー国会議員⑤
谷合 正明 公明党参議院議員を訪ねて
日中経済関係発展のキーワードは「互恵」
1973年生まれの谷合正明議員は「70年代生まれ」の若き政治家である。京都大学大学院で修士号取得後、民間企業に就職したが、思いもよらず8カ月後に会社が倒産。やむなく失業保険をもらいながらハローワークで仕事を待っていたという。その後、岡山に本部を置く国際医療ボランティア団体のAMDAで難民支援の仕事に従事。
2004年7月に政界入りしたあと、自公連立政権下の2008年8月、福田康夫内閣の経済産業大臣政務官に就任。現在、公明党青年委員会委員長として青年対策を中心に力を注いでいる。
(聞き手は本誌編集長 蔣豊)
日中経済関係発展のキーワードは「互恵」
―― 福田康夫政権と麻生太郎政権の経済産業大臣政務官時代に中国を訪問されていますが、中日経済の現状と将来の発展について、どのような考えをお持ちですか。
谷合 日中関係は両国政府によって「戦略的互恵関係」と定められました。「互恵」とは、非常に商業経済的なニュアンスを持った言葉で、双方が利益を得るというものです。実際、日中両国の経済関係は、双方の発展戦略の互恵関係の基礎とならなければなりません。
私は日中両国の経済は、相互補完性のある国際分業を通して連携し、全世界に向けて優れた製品を提供できる。その結果、相互の関係性が深まり世界経済を牽引する役割が果たせると考えています。
日本企業は対中投資により、中国国内の雇用数をすでに900万人を越えるまでに拡大させ、中国経済に大きく貢献しています。当然のことながら日本も巨大な利益を得ています。
日本にとってみれば、中国経済がより一層発展することを望んでおり、同様に中国からみても、日本経済が持続的に発展することを望んでいるでしょう。その意味から、もし将来両国がこのような戦略的互恵関係を持たなければ、アジア経済ひいては世界経済はますます不安定になっていくでしょう。
中国はボランティア・NPO活動の立法化を
―― 大学在学中には阪神大震災に遭遇し、ボランティアとして災害救援活動に参加されていますね。AMDAのスタッフとしてNPOの活動にも奔走してきました。また、2004年のインド洋大津波地震、2009年のインドネシア・パダン大地震、2010年のハイチ大地震の際には、日本の国会議員として真っ先に被災地入りし、現地で活動しています。これらの活動の経験から、中国に今後必要なものは何だとお考えですか。
谷合 そうですね。私は長い期間にわたり民間の立場で公益活動に従事し、その経験から「NPO法」の改正を積極的に推進してきました。ボランティア活動を応援する新しい公共の法律を作ることは大変重要なことです。もし寄付税制など法的なサポートがなされなければ、このような活動は一過性のものとなり、行政のサービスを補完しうる信頼性のある持続的な公益活動を形成することはできません。
中国四川で汶川(ぶんせん)大地震が発生した時、中国側は日本の民間の支援活動に対し一抹の不安を抱いており、法律に則ってボランティア活動をサポートするという面が欠けていたように感じました。ボランティア活動が現代社会で不可欠なものとなっている今日、私は中国が一日も早くボランティア活動やNPO活動の立法化問題を研究するよう提案したいと思います。
青年が再チャレンジできる社会に
―― 生活訓練と職業体験を通して就職を目指す「若者自立塾」を創設するなど、一貫して青年活動に取り組まれていますが、現在の日本の青年には自立精神や創業精神が欠けているように感じます。この原因は何だとお考えですか。また、どうすれば変えられると思いますか。
谷合 私は大学院時代に交換留学生として1年間海外へ出ましたが、いまの日本の学生は海外へ出たがらない傾向があるようです。これは日本の社会システムと関係があります。大学を卒業しても就職できない場合、フリーターなどはなかなか正規社員になれず、最初のレールで人生が決まってしまう硬直的な現状がまだ残っています。
喫緊の課題として、日本は雇用環境を改善しなければなりません。青年により多くの機会を与え、この社会を絶えず「再チャレンジ」できる社会にしなければならないと私は考えています。端的に言えば、日本の青年が自立精神に欠けているのと、日本の就職活動を含む雇用システムのあり方が特殊であることとは関係があります。ここを変えなければなりません。
日本の大学教育は国際化すべき
―― 一方で、アジア各国からの留学生数が徐々に減少していることをどうお考えですか。
谷合 それは、日本が留学先としての魅力を失いつつあるからだと思います。日本は海外に、日本の魅力や日本での留学の利点などをもっと発信しなければなりません。具体的には、現在日本の大学教育はほとんど日本語を使って行われています。今後は英語による授業を一層強化しなければなりません。そうすれば欧米やアジア諸国からの1年程度の短期留学も可能になります。
現状では、日本に留学するためにゼロから日本語の勉強を始めなければならず、授業を聞ける程度まで上達するのに非常に時間がかかります。その意味でも、日本の大学教育は国際化する必要があるのです。
失業経験は政治家人生にプラス
―― 日本の国会議員の中で、失業を経験しハローワークへ通ったことのある方は多くないのではないでしょうか。その経験はあなたの政治家人生にどのような影響を与えていますか。
谷合 国会で質問に立つときは、自身の人生経験に照らして問題提起しています。自民党の麻生太郎元首相にせよ、民主党の鳩山由紀夫元首相にせよ、就職活動で苦労した経験はなく、若者をとりまく環境の変化にも鈍感です。日本はますます二世、三世の議員や首相が増えています。彼らは若者の考え方から遊離し、それはつまり日本の未来からも遠のいているということです。
個人的には、失業などを経験した私だからこそ、大学生の就職問題や若者の雇用対策などに切実な実感をもって、関連法規の立法化を推進するなど、さらに彼らをサポートしたいと強く考えています。
(2012年1月25日人民日報海外版日本月刊5号より転載)