第208回国会 参院 決算委員会 2022年3月28日
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
まず、ウクライナ情勢から伺います。
総理は今月十日の自公の党首会談の際に、事態の展開次第では世界も日本も戦後最大の危機に陥るかもしれないとの大変厳しい認識を示されたところでございます。これから我が国がウクライナ危機に対応していくに当たりまして、恐らくこの総理の基本認識というものが出発点になるんだと思います。
二月二十四日の侵略行為開始から一か月がたちました。現在の総理の基本認識をまず伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回のロシアによるウクライナ侵略、これは国際社会の秩序の根幹を揺るがす事態であると認識をしています。そして、今後の展開についても、大量破壊兵器の使用の可能性が取り沙汰されるなど、極めて不透明な状況にあります。
そして、こうしたこのロシアの対応に対して国際社会は一致して強い制裁措置をとっているわけですが、そうしたこの国際社会の変化の中で、原油やガス、あるいは穀物市場、こうしたこの市場における価格の高騰が広がっています。日本は、エネルギー、穀物両方において純輸入国でありますので、こうした影響は我が国の経済あるいは生活にも影響が出てくる可能性がある、これはしっかり注視しておかなければならないと思います。こういった点を考えますときに、展開次第では、世界も、そして我が国も戦後最大の危機に陥る可能性がある、こうしたことを指摘をさせていただいています。
是非、こうした危機感を強く持ちながら、国際情勢、そして日本の経済、国民の暮らし、しっかり考えていかなければならないと思っております。
○谷合正明君 今、ウクライナとロシアの間で停戦交渉がオンラインを活用しながら続けるというような報道も出されているところであります。
冒頭、総理の方から大量破壊兵器の行方について不透明だという話もございました。今まさにこのウクライナで生物兵器、化学兵器、そして核兵器の使用の危険性が取り沙汰されております。これらはいずれも非人道的な大量破壊兵器でありまして、いかなるときでも、いかなる人に対しても使ってはならない兵器であります。その中で日本がどういう役割果たしていくのか、まさに総理のリーダーシップが問われます。
まずは、生物兵器の禁止条約、化学兵器の禁止条約の批准国である日本がこの条約の履行の強化に向けた具体的な取組を進めていくべきでありますし、また、唯一の戦争被爆国として、この六月にウィーンで核兵器の非人道性に関する国際会議も開催されますが、そこに日本も積極的に参加して日本の役割というものを果たしていくべきではないかと思いますが、総理の見解を伺います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 大量破壊兵器については、まず三月二十四日のG7首脳声明においてこの警告を発し、G7としてロシアに大量破壊兵器を使用しないよう強いメッセージを送ったところです。唯一の戦争被爆国として、この核兵器による威嚇、使用、決して許すわけにはいきませんし、生物化学兵器の使用も決して容認できません。
そして、委員御指摘の様々なこの条約や会議との関わり方ですが、生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約、この履行、極めて重要であり、我が国はこれまで、国連軍縮部や化学兵器禁止機関、OPCWへの拠出等を通じて締約国の対応能力強化等を支援しています。
そして、御指摘の核兵器の非人道性に関する国際会議については、現時点では招待、参加の要請は受けておりませんが、過去、同様の会議に参加した実績があります。対応については今後検討をしていきたいと考えております。
○谷合正明君 大量破壊兵器を絶対使わせないと、この日本、また総理のリーダーシップを強く期待します。
そして、ウクライナでは、現在抱えているこの難民の危機、これは戦後最大の人道危機とも言われております。ウクライナの人口の四分の一に当たります一千万人の方々が国内また国外に避難を余儀なくされているところであります。
我が国は、その中で、避難民を受け入れるということを表明いたしました。日経新聞の調査では、国民の九割の方がこの方針については賛同をされているところでございます。既に国内に二百人を超える方々が避難をされたという、今朝委員会でも報告がございましたが、公明党といたしましても、三月十四日に松野官房長官に人道支援の強化と避難民受入れの具体的な方策について提言をさせていただいたところでございます。
これだけの危機でございますから、この避難民受入れの具体的な枠組みの検討、これをもっと早くしてほしいんですね。この危機を前にして、少し遅いのではないかと私は思っております。したがいまして、まず、この枠組みの全体像をしっかりと検討を急ぐということが一点。
そして二点目は、六年前にシリア危機を迎えたときに、シリアの難民の留学生を日本として受け入れるということを始めました。これはG7の場でも表明したところでございます。今回、ウクライナ危機を迎えまして、例えばウクライナの留学生を受け入れるということを通じて、日本に親族や身内がいない場合であったとしても積極的な受入れにつながるように政府として検討していただきたいと思いますが、この避難者受入れの司令塔であります官房長官に見解を伺います。
○国務大臣(松野博一君) 谷合先生にお答えをさせていただきます。
ウクライナからの避難民の方々を迅速かつ円滑に保護することは重要であり、我が国に親族や知人がおられる方にとどまらず、人道的な観点から対応する必要があると認識をしております。
このため、先般、私を議長としたウクライナ避難民対策連絡調整会議を開催をしたところであり、現在、この会議の下に設置したタスクフォースにおいて支援の具体的な在り方について議論、調整をしております。
また、現地の避難民の方々のニーズに寄り添った支援を行うという観点から、会議の共同副議長である法務大臣に総理特使としてポーランドに出張していただく調整を行っているほか、在ポーランド大使館及びジェシュフ連絡事務所の体制を強化して、新たにウクライナ避難民支援チームを設置をしたところであります。
さらに、先日、ウクライナ避難民の方々が本邦で生活をしていく上で必要となる当面の宿泊費などを含むウクライナ避難民受入れ支援事業の委託に係る経費として、五億二千万円の予備費の使用を閣議決定をいたしました。
こうした取組を通じて、避難してこられた方々への必要な支援等が速やかに実施できるよう、関係各省庁が緊密に連絡を取ることによりしっかりと対応してまいりたいと考えております。
また、そうした中で、委員御指摘の日本に留学を希望する方についても、どのようなニーズがあり、そしてどのような支援が可能なのかについて検討していくこととしたいと考えております。
○谷合正明君 是非前向きに検討していただきたいと思います。
日本が避難民を受け入れるとしても、大多数のウクライナの方はウクライナ国内また周辺国の避難を余儀なくされるわけでございます。先週、公明党といたしましてウクライナまた周辺の大使館の代表の方と懇談をさせていただきましたが、やはりこれからまだまだ避難民が増えるのではないかという話がございました。一方で、避難者を受け入れている国の中には、もう既に限界だと、これ以上は経済的にも耐えられないという国もございます。
今回、総理がG7の場で追加的な人道支援一億ドルを表明されました。是非、この具体的な支出先については今後検討されると思いますけれども、国際機関のみならず、具体的に二国間支援ということで、モルドバだとかそういった国々に対する直接支援を行っていくべきではないかと思います。
このような人間の安全保障に基づく支援というのは、国際協調を維持していくこと、また安全保障環境を強化していくということ、そういう我が国の国益にもつながっていくと考えますけれども、併せてその意義について外務大臣に答弁を求めます。
○国務大臣(林芳正君) この新たに表明をいたしました追加的な緊急人道支援ですが、日々ウクライナの国内外への避難民の数が増加をしておりまして、現地のニーズに迅速に対応する必要があるということで、既に決定済みの一億ドルの支援同様に、ウクライナ及び今委員からお話のありましたモルドバを含む周辺国に対して、UNHCR、ユニセフ、WFP、ICRC等の国際機関、またそれに加えて日本のNGOを通じて実施する予定であり、具体的内容の調整を行っております。
今委員から御指摘のありましたモルドバですが、ウクライナ周辺国の中では最も規模が小さく、そこに多くの避難民が流入して非常に厳しい状況があるわけでございまして、三月十七日にG7の外相会合行いましたが、ここでG7を始めとしてこのモルドバ支援グループを立ち上げることで一致をいたしました。我が国としても、それに呼応する形で、三月十九日からJICAが人道支援・保健医療分野の協力調査団、これを派遣いたしまして、モルドバの保健医療分野のニーズ調査、WHOと連携した医療支援の調整、医療データ管理の分野での活動を行っております。
今後、同調査の結果も踏まえて、モルドバ支援グループとも連携しながら、既に表明済みの計二億ドルの緊急人道支援とは別に、具体的な二国間の支援策を迅速に検討していきたいと思います。
また、後段で委員からございました人間の安全保障でございますが、これに基づく支援は、人間一人一人、特に脆弱な立場に置かれやすい人々に焦点を当てまして、その保護、また能力強化、これを通じて豊かで持続可能な社会づくりを促すものであります。この人間の尊厳に立脚する法の支配、国際秩序の強化、また国際環境の改善、我が国の平和と繁栄の維持、こうしたものに資するものであり、委員が今おっしゃっていただいたように、これは我が国の安全保障環境の強化や国際秩序の維持という国益にかなうものだと考えております。
今回のウクライナ及び周辺国に対する緊急人道支援、モルドバに対する二国間支援においても、こうしたこの人間の安全保障といった考えを十分に踏まえて対応してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 是非、支える国を支えるという基本的な考えで対応していただきたいと思いますし、国際秩序の崩壊の影響を最も受ける国が我が国であるという認識を基にしっかり対応していただきたいと思っております。
次に、総理に伺います。
国家安全保障戦略を防衛大綱と中期防と一体となってこの一年以内に見直しをするということは表明をされているところでございます。この国家安全保障戦略というのは、二〇一三年に新しく作りましたけれども、外交と防衛の基本方針を定めたものでございます。そして、その理念は、国際協調主義に基づく積極的平和主義というものであります。国際協調をどう進めていくのか。具体的な対外的な政策としてODA政策がありますけれども、ODA政策の根幹となるのが、開発協力大綱というものがございます。この開発協力大綱というのは二〇一五年に策定されております。
その策定した後に何が起きているかというと、国連総会で全会一致で採択されたSDGsがあります。それから、気候変動の世界ではパリ協定の採択もございます。また、今パンデミックという感染症との闘いを続けております。さらには、人権問題の複雑化ですとか、債務のわなですとか、あるいは覇権主義国家の台頭等々、様々なこの開発をめぐる課題がございます。
したがいまして、今回、国家安全保障戦略を改定する際に、新しくこの開発協力大綱も一体となって見直しをしていくべきではないかと。その中に人間の安全保障に基づく開発協力大綱を作り、来年はG7、我が国開催しますし、SDGs達成のための中間年なんですね。そこでしっかりこの国際協調というものを、我が国の具体的な方策というものをG7や国際社会と共有し、発信していくということが大事ではないかと思っております。
参議院は、衆議院と違いまして六年という任期がございます。また、独自性発揮ということで、例えば調査会、それからこの決算委員会、そしてODAに関する委員会もございます。こうした参議院の機能を生かしていただければ、その議論に厚みを増すことも可能だと思っております。
是非この新たな開発協力大綱を策定していただきたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 開発協力大綱は、我が国の開発協力政策の基本方針を定めるものです。そして、委員御指摘のように、二〇一五年にこの開発協力大綱がスタートしたわけですが、当時、私、外務大臣でしたので、元々あったODA大綱を開発協力大綱に改正する、改定する、こうした作業に関わりました。
この現在の開発協力大綱においても人間の安全保障の推進を基本方針の一つとして掲げ、人道支援を始めとする開発協力を進めてきたわけですが、今委員が御指摘になられたように、その後、様々な動きがありました。SDGs策定、パリ協定、新型コロナ対策、そして今般のウクライナ協定を始めとする人道支援ニーズの高まりなど、解決すべき開発課題、これは拡大していますし、複雑化もしています。
開発協力大綱の改定については、こうした動きも念頭に、開発協力をめぐる国際潮流や国内の状況等を総合的に勘案していかなければならないと思います。御指摘のこの参議院での議論、これもしっかりと耳を傾けさせていただき、政府としましても必要性について考えていきたいと思います。
○谷合正明君 よろしくお願いいたします。
国際協調ということを考えますと、国連の役割というものがあると思います。国連というのはよく、不完全だけども不可欠な組織とよく言われます。
そこで、国連の安保理改革について伺いたいと思います。
これまで安保理改革は、常任理事国の拒否権の問題もありましてなかなかこれ難しくて、もう総理は一番よく熟知されていると思いますけれども、頓挫してきた。むしろ、海外は余りこの国連改革に対する機運というのが日本ほどに高まっていないのではないかなというふうに思っております。
しかし、今回の事態を受けて、総理はあえてこの改革だという問題提起をされました。そして、先週は、ゼレンスキー大統領が、日本に期待するということでこの安保理改革をおっしゃっていただいたわけであります。今、先ほど私、頓挫と言いましたけれども、いろんなグループが安保理改革の案を持っております。日本も持っております。この日本の役割として、いろいろな案が分かれている中で糾合するような、そういう役割も私はあるのではないかなと思っております。
この安保理改革、大変難しい課題だと思いますが、あえてこの度総理が国際秩序の再構築としてこの問題意識を発表された。それでは具体的にどう取り組んでいくかということについて、総理の見解を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今回の事態は、国連の安全保障理事会の常任理事国であるロシア、すなわち国連において世界の平和と安定に大きな責任を担うはずの常任理事国ロシアが国際法を、国際法に違反する、国際秩序の枠組みを大きく変えようとする、こうした暴挙に出たことが大きな問題になっています。こうしたことから、従来どおり国連は機能するのかどうか、こうした懸念の声につながっているということであります。
安保理改革については、従来から日本、ドイツ、ブラジル、もう一つは何だっけ。(発言する者あり)あっ、インド。済みません。日本、ドイツ、ブラジル、インド、四か国でG4という枠組みをつくって国連改革に努めてきました。一方で、アフリカ・グループというグループがこの国連改革に様々な提案をしてきていますなど、様々なこの問題提起が行われています。拒否権行使の抑制もあれば、その理事国の数をどのように拡大するか、様々な議論が行っている、行われてきた、こうしたことであります。こうした立場を収れんする、異なる立場を収れんするための場として、国連総会の下に政府間交渉の場、これは既に設置をされています。我が国としてはこの場において各国との議論を積極的にリードしてきている、こうした取組を続けてきました。
今回、先ほど申し上げましたウクライナ侵略によって国連の在り方が改めて強くこの議論の俎上に上げられている、こうしたときでありますので、こうした日本の立場、あるいはこの国連の場をしっかり活用することによって安保理改革の早期実現に向けて努力をしなければならないと思っています。
先般、インド、カンボジア、訪問させていただきましたが、この安保理改革の早期実現については首脳間で協力を確認したということであります。日本の常任理事国入りを含む安保理改革の実現に全力を挙げていきたいと考えます。
○谷合正明君 我が国は、常任理事国としての能力も、意思も、また資格も、そして支持もあると言われます。総理のその改革についてはしっかり支持をさせていただきたいと思っております。
冒頭、総理の方から基本認識ということで、国民生活にも影響がこれから出てくるかもしれないということで認識を示していただきました。さきに成立いたしました二〇二二年度予算は、ウクライナ危機への対応というものが盛り込まれていないわけでございます。私たち政治家というのは、国民生活、経済を守るという、そういう責務があると思っております。
公明党は、先週、国民生活総点検・緊急対策本部というものを立ち上げました。また、各県本部にもその対策本部を立ち上げて、地方議員とのネットワーク力を生かして、順次これから現場の声を政府にも伝えていきたいと思っております。本日、決算委員会の後にも、早速緊急提言の申入れもさせていただきたいと思っております。
総理にまず伺いたいと思います。
原油価格高騰ですとか穀物価格高騰を受けてしっかり、次なる新たな経済対策というものをしっかりと打っていくべきではないかというふうに思っております。その際、補正予算編成ということも排除せずに、しっかり国民生活を守るというメッセージを出していただきたいと思っておりますが、総理のこの新しい経済対策についての考えを伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 新型コロナで傷ついた日本経済を再生していくためには、まさにこれからが正念場であると考えています。まずは、これ、先般成立した過去最大の令和四年度予算を迅速かつ適切に執行していく、できるだけ早く国民の皆様の元に届ける、これが第一であると思っています。
〔委員長退席、理事羽生田俊君着席〕
その上で、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものにするためにも、ウクライナ情勢に伴う原油価格あるいは物価の高騰による国民生活や経済活動への影響に機動的に対応していかなければなりません。そのための緊急対応策を四月末までに取りまとめるよう、明日指示をしたいと思っています。そして、その際に、まずは予備費、コロナ予備費を活用した迅速な対応を優先していきたいと思いますが、御党の意見、これも十分伺いながら緊急対策の中身については検討したいと考えます。
○谷合正明君 その中でも原油価格高騰対策でございまして、三月上旬に政府としてこの緊急対策を決定しております。この措置につきましては、既に報道でも出されておりますが、本来三月末までの例えば一リッター二十五円上限とする補助、これですね、これを三月末とせずに四月以降も延長すべきであるという点、また、この二十五円という価格も、今後石油、原油価格がどういうふうになっていくか分からないものでありますから、機動的な措置というものも必要であろうというふうに思っております。
改めまして、この原油価格高騰対策について緊急対策を延長、拡充すべきでありますし、また、トリガー条項につきましては、今、自民党、公明党、国民民主党の三党の協議が始まったところでありますから、この三党協議の結果を踏まえてしっかり政府としても検討していただきたいと思いますが、併せて総理の見解を伺います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 原油価格の高騰に対しては、ガソリン価格を百七十二円程度に抑える激変緩和措置など当面の対応を講じ、国民生活や企業活動への影響を最小限に抑えていくこととしております。
その上で、新型コロナからの経済社会活動の回復を確かなものとするために、ウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰による国民生活や経済活動への影響に機動的に対応していかなければなりません。まずは、現在の激変緩和措置を四月末まで延長したいと存じます。
その上で、トリガー条項等につきましては、三党における協議、これを踏まえて早急に対応を検討したいと考えています。
○谷合正明君 よろしくお願いいたします。
先ほど、財源については、二二年度の一般予備費でありますとか、コロナ対策予備費を機動的に柔軟に使うということの話がございましたので、財務大臣の答弁は結構でございます。
それで、穀物価格高騰対策について伺います。
ウクライナとロシアは、それぞれ小麦の主産地でございます。このウクライナ危機をめぐって、世界的なその食料安全保障の危機に陥るのではないかとも言われております。なお、我が国は、国内で消費する小麦のうち約九割を海外の輸入に依存しているところでございます。
そうした中で、政府が海外の小麦を買って民間企業に売り渡す、その政府の小麦売渡価格が、年二回決めますけれども、昨年十月と今年の四月と二期連続で一〇%台の上昇を見ております。十月期は更にウクライナ情勢が加味されてきますので、もっと上がるのではないかとも言われております。
そこで、この我が国の食料安全保障にも関わってくる問題になります。食料自給率が今四〇%程度の我が国でありますが、小麦を大量に輸入している一方で、国産のお米、国産米については余りぎみでございまして、総理よく御案内のとおりでございますけれども、昨年は、この過剰な、過剰米によって米価が急に下落をしてしまいました。そういう状況の中で、農村経済、また農家の皆さんに直撃したわけであります。
私は、ここで農水大臣にお伺いしたいと思いますけれども、国内で使うこの大体五百万トンの輸入小麦で製造するパンとか麺とかの製造ライン、ここに、例えば三%でもいいですから国産の米粉、米の粉ですね、米粉を混ぜて製品化できないかと。そうすると、五百万トンのうちの三%ということは十五万トンになるんですね。この十五万トンの米粉の消費というのは、今米価対策として市場隔離している十五万トンの米と匹敵するわけであります。
国内の農村経済、農家も守らなきゃなりませんし、食料自給率も何とかしなければなりません。世界の食料安全保障、日本の食料安全保障を守っていくためにも、この危機を迎えているからこそ、今そういう農業の改革を行っていくべきではないかと。もし、そこにコスト増とか発生するんであれば、技術的な支援をメーカー側にするとか、そういうことを経済対策で打ち出していくべきではないでしょうか。農水大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(金子原二郎君) お答えいたします。
議員御指摘のように、現在小麦は八五%が輸入になります。国産の米粉を活用しまして輸入小麦の需要の一部を置き換えることは、食料安定供給確保と水田の有効活用の観点から重要な課題と認識しております。
このため、農林水産省といたしましては、粒子が細かく良質な米粉による品種の開発、普及にも努め、加工コストの低減に資する米粉製品の製造施設整備への支援をいたしております。また、海外需要も視野に入れて、日本産米粉の特徴を生かしたノングルテン米粉JASの推進やプロモーション等に対する支援等も行っているところであります。
米は我が国で唯一自給可能な穀物であり、農林水産省といたしましては、これらの支援を通じて日本産米粉の生産を拡大していくとともに、製造コストの低減や消費者ニーズに合った製品の開発等により、現状を大きく打破できるように努めてまいります。
参考までに、現在大体日本で使用されている国内の生産四万トンでございまして、基本計画における生産努力目標は、令和十二年に十三万トンを目指しているところでございます。
○谷合正明君 もう日本の食料自給率を考えたときに、また世界の今の状況を考えたときに、持続可能な農業というものをこの時代にしっかりとつくり上げていく必要があると思っております。
次に、医療安全保障に関わるコロナ対策について伺います。
この二年間、新型コロナウイルスとの闘いが続いております。技術革新によりまして、ワクチン開発、当初は数年掛かると言われていたワクチン開発が一年で開発、供給できたというのが今回の新型コロナウイルス感染症でございます。この一年という期間を、今後新たなパンデミックが起きたときは百日に短縮しようというのがG7でも共有をされているところでございます。
現在、新型コロナウイルス用のワクチンは世界で約三十使われていると聞いております。しかし、この三十のワクチンの中に日本製のワクチンは一つも使われておりません。国産のワクチンがいまだ実用化されていないからであります。このワクチンでありますけれども、世界中にこのワクチンが行き届かなければパンデミックというものは収束をすることはできません。
〔理事羽生田俊君退席、委員長着席〕
そこで、いろいろ今ワクチンナショナリズムとかいろんな言葉がありますけれども、日本が開発力、供給力をつくるという、できるということは、自国の医療安全保障を守ることだけのみならず、世界に公平に分配していく、そういう役割が果たせるのではないかというふうに思っております。
新型コロナの克服、また次なるパンデミックに備えてしっかりグローバルヘルス戦略というものを策定すると、策定されるだけではなく実行するためにその予算や人を増やしていくということが大事でありますし、官民挙げて、CEPIとかGaviとかCOVAXと、そういう国際機関と連携していくことも大事であります。これまで二年間、様々な予算、補正予算をこの分野に投入してきましたけれども、やはりここ、成果を現していかなければなりません。
我が国のワクチン、治療薬供給体制強化について政府挙げた取組を求めたいと思いますが、総理の見解を伺います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、ワクチン、治療薬を国内で開発、生産できる体制を確立しておくこと、これが極めて重要であると考えます。
このため、ワクチンについては、ワクチン開発・生産体制強化戦略に基づいて、日本医療研究開発機構、AMEDに先進的研究開発戦略センター、SCARDAを設置するとともに、世界トップレベルの研究開発拠点の形成、さらにはデュアルユースのワクチン製造拠点の整備など、このワクチン開発、生産体制の強化を進めることとしています。
また、国産のこの新型コロナ治療薬については、研究開発への支援のほか、国内外における治験費用への補助など、実用化を加速するための支援も実施しているところであり、これもしっかり後押しをしていきたいと思います。
そして、グローバルヘルス戦略について御指摘がありましたが、公衆衛生危機への対応を含む国際保健への貢献について、現在、グローバルヘルス戦略の策定に向けた検討、これを進めているところであります。この戦略に基づいて各省の連携強化や民間等の多様なステークホルダーとの連携強化を進めてまいります。
また、このような協力の下、CEPI、Gavi等の官民連携基金への拠出等を通じた国際保健への貢献や人材強化を積極的に推進していきたいと考えております。
○谷合正明君 是非よろしくお願いします。
コロナ対策の中で、今度は経済の話をさせていただきますが、地方経済を支えている観光、交通産業に対する政策です。観光需要喚起策であります。
今、県民割を実行しておりまして、また四月からブロックごとの県民割が始まっていくと承知しております。そして、国による新たなGoToトラベル事業というのも今後控えているところだと思います。
これらの総予算は私は一・三兆円というふうに承知しておりますけれども、今年度、すなわち三月末までに国の新たなGoToトラベル事業が始められなければ、先ほども議論ありましたけれども、例えば経産省分の四千六百億円の予算は、財政法上、国庫に返納しなければなりません。しかし、この事業の必要性については、開始時期が四月以降になるということでありますので、必要性は私あると思います。
したがいまして、例えばこの経済対策の中で、総予算をですね、今回国庫返納せざるを得ませんから、総予算を確保していくということが大事ではないかということでございます。それが一点と、もう一点は、やはり現場からは、いっときの期間に集中するよりも末永くこのGoToトラベル事業に取り組みたいという声がほとんどでございます。
国の新たなGoToトラベル事業の開始時期、またこの期間の見通しについて、併せて国土交通大臣の見解を求めます。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まず、今、谷合委員御質問の二点目の開始時期でございますが、今後の感染状況等を踏まえ、関係省庁や専門家の意見を伺いつつ、先日総理からも御発言があったとおり、注意深く検討していきたいと、このように思っております。
また、最初の予算でございますが、GoToトラベル事業を含めた観光需要喚起策については、令和四年度も事業を実施できるよう、都道府県による事業も含め、一定の予算を確保しております。このため、国土交通省としては、まずはこれらの今確保している予算を適切に執行してまいりたいと考えております。
いずれにせよ、観光をめぐるその時々の情勢に応じて、事業者の皆様の声を伺いつつ、必要な支援を継続的にできるよう、実施できるよう、適切に対応してまいりたいと思っております。
○谷合正明君 まずは今の予算をということでありますけれども、私たち公明党としましては、現場の声を踏まえて、しっかり今後政府にもこの総予算の確保について提言させていただきますので、検討をいずれ是非よろしくお願いしたいと思います。
最後になりますけれども、多様性が尊重される社会について総理に一問伺います。
総理は施政方針演説の中で、新たな資本主義を支える基盤について、それは多様性が尊重される社会であるというふうに言われました。
この多様性が尊重されるという中には、性的指向、性自認に関する性の多様性については当然含まれるものと理解しております。これが含まれるというのであれば、その積極的な認識については次の骨太の方針にもしっかりと反映していくべきではないかと思います。
また、今年六月にイギリス政府が世界最大規模の国際会議、この性的指向、性自認に関する国際会議を開く予定にしているところであります。まだ政府には正式な案内がないかもしれませんが、是非日本政府に参加してほしいという意向を持っております。こうした国際会議の場でも政府の代表をしっかり派遣していただきたいと思っておりますが、併せて答弁を伺います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 新しい資本主義を支える基盤となるのは、全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会であり、この中に、御指摘のように、性的指向、性自認の多様性も含まれております。
骨太の方針二〇二一においては、性的指向、性自認に関する正しい理解を促進するとともに、社会全体が多様性を受け入れる環境づくりを進める、こうした記載がされているところです。次回の骨太の方針には、こうしたこれまでの流れもしっかり念頭に置きながら内容について今後検討を進めてまいりたいと思っています。
いずれにせよ、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考えており、政府としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向け、引き続き様々な国民の声を受け止め、取り組んでまいります。
また、御指摘の国際会議については、前回開催された二〇一八年にオブザーバーとして参加しております。こうしたことも念頭に、政府として適切に対応したいと考えております。
○谷合正明君 新たな資本主義をつくっていく基盤ということでございますから、この多様性が尊重される社会、また誰一人取り残さない社会を築いていくために、是非総理のリーダーシップを期待しますし、また私自身、また公明党もその先頭に立って闘っていくことをお誓い申し上げまして、私の質問を終えます。