○谷合正明君 公明党の谷合です。CSF、ASFを中心に質問いたします。
まず、名称変更について確認的な質疑をさせていただきます。
先日の委員会で、豚コレラ、アフリカ豚コレラの名称、通称についてはCSF、ASFに改めると、またその理由についても御答弁いただきました。質問は、CSF、ASFに名称変更ということなんですが、家畜伝染病予防法などの法令用語との整合性はどのように整理されるのかについて確認をしたいと思っております。
○政府参考人(新井ゆたか君) CSF、ASFということで、消費者の方々に不要な不安や不信感を招かないようにということで、国際的に使用されている名称ということで変更したところでございます。
御指摘のとおり、家畜伝染病予防法におきましては豚コレラ、それからアフリカ豚コレラと規定されているところでございます。これら法律上の名称と、それからいわゆる世の中での名称というのは必ずしも一致をしているということではございません。BSEにつきましては、法律上は伝達性海綿状脳症というふうに書かれておりまして、これら法律上のものにつきましては、全体的に名称をどうするかということは今後検討すべきことではないかなと考えておりますが、呼称につきましては、CSF、ASFという形で皆様に定着していくように徹底してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 BSEについてお話がありましたので、これも、当初マスコミではマッドカウディジーズということを直訳して、これ狂牛病ということで報道があったと。やはりこれはちょっとおどろおどろしいという、誤解を招くということで、通称というんですか、世の中の呼称としてはこのBSEということで使うようになったというふうに承知をしております。ただ一方で、その法令用語については、今局長が言われたとおり、伝達性海綿状脳症ということになるということであります。言わば、通称はBSE、法令用語は伝達性海綿状脳症、俗称が狂牛病のような整理になるかと思うんですね。
そうすると、今回のCSFですけれども、通称はCSFだと。法令用語は豚コレラだと。ただ、そもそも豚コレラはちょっと誤解を招くような名前でもあると、そもそも正式な英語名称じゃないという御説明でございました。しからば、法令用語もやはり正式な名称というものが、ふさわしい名称ってあるべきなんだと思っております。
局長の方の答弁、今後検討の課題だというふうにおっしゃられたわけでありますけれども、改めて、これから報道機関等で使っていただく名称はCSF、これはこれで結構だと思うんですけれども、しっかりこれを浸透させていくということで結構なんですけれども、法令用語についてもやはり問題意識というのは私持っているんですけれども、今後ここをどうするかということについて改めて御答弁いただきたいんですけど。
○政府参考人(新井ゆたか君) 法令用語につきまして、私ども、どのようにするか今研究をしているところでございます。なかなか、このローマ字とか片仮名というものを法律上で使うことに対するいろいろな制約というのもございます。
それから、また新しい和名を付けた方がいいのではないかというような御意見もありまして、これは実際に獣医学の学会というのもございますので、それらの方々の専門的な知見、それから法律上どのような表記ができるのかというもの含めまして少し検討、検討というか勉強をさせていただきたいと考えているところでございます。
○谷合正明君 しっかりよく研究していただきたいなと。私、アフリカに暮らしたこともあるものですから、アフリカの方にとってみたら、日本でアフリカ豚コレラということが法令用語になっていること自体どうなのかなというふうに、そういうことを問題提起、国際的にされているかどうか知りませんけれども、私自身そういう問題意識を持っているということも紹介させていただきたいと思っております。
さて、防疫指針の改定でございまして、今後このCSFをどうやって封じ込めていくのかということが、本当に大臣のもう恐らく頭の中の、ほとんどって失礼かもしれませんけれども、大宗、このCSF対策って今本当に喫緊の緊急的課題ということで、だというふうに私自身想像させていただいているわけであります。
さて、この封じ込めでありますけれども、十月十五日から推奨地域においてはこの養豚へのワクチン接種が可能になったということで、新たな段階、フェーズになってきたということであります。ただ、これで飼養衛生管理の徹底が緩むことがあってはならないということでありまして、しっかりこの飼養衛生管理の徹底、またこの病原体を媒介する野生イノシシの感染を撲滅していくということが肝でございますから、しっかりこのCSF封じ込めに向けた今後対策を講じていただきたいわけでありますが、この点について改めて決意を伺いたいと思っております。
○国務大臣(江藤拓君) 日本の場合は非常に山が急峻だという事情があって、経口ワクチンも、一生懸命穴を掘って埋めるという作業を自治体にも御協力いただいて一生懸命やりましたが、しかし、どうしても到達できない地域があるということでありまして、日本では初めてですけど、自衛隊の御協力が得られることになりましたので、もう機種も決まりました。もうほぼほぼ日程も、まあ天候の事情がありますけれども、第一回の散布が今月中には始まります。空中からも経口ワクチンを散布させていただくことにして、それも今度こそ全ての地域の当該都府県、自治体の方々の御理解をいただいて、ベルトにして、そこから外には出ないように万全の、万全というものはなかなか自然相手ですから難しいですけれども、できるだけの手だてをしたいと思っております。
そしてまた、養豚農家そのものについても、国からの支援、それから当該都道府県の自治体の支援を併せて、農家の御負担もかなり小さい形で今進んでおりますけれども、それもまだ完全ではありませんので、徹底させていただきたいと思っております。
そしてまた、家伝法上にありますように、埋却地をしっかり確保することはこれ義務になっております、飼養する場合にですね。しかし、調査をしますと、はっきりとした埋却地の予定がないという回答も幾つか見られますので、そういったことも、なるべく距離が離れていない近接したところに埋却できるように指導もしたいと思っております。
そしてまた、ASFの御質問でもありましたけれども、起こったときに、どこに誰がどういう段取りで処分をし、埋却するのか、そういったシミュレーションもしっかりやっていく。もうやることはたくさんあります。例えば、種豚を移動させるときにどうやって交差汚染を防ぐのかとかですね。話が長くなりますからもうやめますけれども、あらゆる最悪の事態を想定して、何としても一年でも早く、一か月でも早く撲滅に向けて努力をしたいと考えております。
○谷合正明君 もうあらゆるケースを想定してできる対策を打っていくということ、大臣、に答弁尽きるんだと思うんですけれども。
その一方で、前回、私の委員会質疑でも、ちょっと質問まではできなかったんですが、徳永先生と同じ質問になるんですけれども、種豚と精液の域外流通についてなんですけれども、先日、大臣の方から、精液については検討の余地があるのではないかというような御回答もありました。
ちょっと、具体的にどのような検討状況なのかということについて、改めて教えていただきたいと思っております。
○国務大臣(江藤拓君) まず、安心が、安全が確定されなければ出せないということが大前提でございます。それは種豚と同じ扱いでございます。
ということでありますから、私は牛の世界のことは結構よく知っていて、マイナス百九十度とかそういうところまで温度を下げますので、そうしますとほとんどのものは不活化しますので、そういう手段もあるのではないかということで、専門家の方々の御意見も伺いながら、この豚の精液についても、また受精卵についても移動させる手段はないかということで今必死に検討をしております。
この間、徳永先生のときには何とかなるのではないかという前向きな発言を実はしたんですが、どうも雲行きが怪しいです。私、科学者でもないし疫学者でもないんで、私が決めることではなくて、やっぱり専門家が大丈夫だと言えば決めますけれども、しかし、それがきっちり担保されないとやはりこれの移動についてゴーサインは出せないので、もうしばらくは結論まで待っていただくことになると思いますが、徳永先生との質疑をさせていただいたときと比べると三歩ぐらい下がったかなと思っていただいた方がいいかなと思います。
○谷合正明君 この後、徳永先生が今日は質問されるということなんで、そっちの方に譲りますけれども、また別の観点で質問したいと思うんですね。
ジビエ対策、ジビエ振興ということなんですけれども、CSFが野生イノシシに広がっております。一方で、このジビエについては倍増目標ということで、ジビエの流通倍増目標ということで今やっております。実は、昨日から第六回日本ジビエサミットが東京都内で開催されております。私もちょっと出させていただいたんですけれども、こういう状況の中で、やはりジビエに関わっていらっしゃる方も、当然CSFを終息させるというところはもう一致しているわけであります。
ただ一方、こういう状況の中で、ジビエの推進、大臣の所信にもあったこのジビエの推進というのは本当に大丈夫だろうかというような私心配を持つんですけれども、この点についていかがでしょうか。
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
農林水産省では、今委員から御指摘いただきましたように、平成二十八年度から令和元年度までにジビエ利用量を倍増させるという目標を掲げておりまして、その達成に向けて、現在、ジビエ利用モデル地区といったようなところで処理加工施設の整備による供給力を増大するということ、あるいは国産ジビエ認証の取得促進によりまして衛生管理の高度化をやるというようないろいろな方策を講じているところでございます。関係者の皆様方の大変な御努力もございまして、平成三十年度のジビエ利用量は、二十八年度から比べますと約一・五倍、一千八百八十七トンまで伸びてきているところでございます。
また、委員から御指摘いただきましたように、昨日からは第六回日本ジビエサミットということで、これは大変多彩なプログラムが展開されておりまして、外食業界の皆様方を始め大変多くの方に来ていただいているところでございますけれども、このようなプロモーション活動、先月にはジビエ利用拡大フォーラムとかジビエペットフードシンポジウム、こういうものも開催をさせていただいているところでございます。
一方、委員御指摘のように、現在、CSFが拡大をする中で、このジビエ利用、大丈夫なのかという御心配の声も聞かれているところでございます。この点につきましては、もちろん家畜防疫に十分配慮するということが大前提でございますけれども、例えばそういうCSFが確認しているような地域におきましては鹿利用を拡大するとか、なるべくその当該地域でジビエ利用ができる限り利用できるような形での対応をやっていきたいというふうに思っているところでございます。
これらによりまして、とにかくこの捕獲鳥獣を地域資源として有効に活用していくということで、更にしっかり取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○谷合正明君 牧元局長もよく御存じだと思うんですけれども、昨日、私は石川県のある加工施設の方とお話をして、そこは要するにジビエのモデル地区にも指定されているところでして、今年から始まる、年間千頭のイノシシを処理してジビエに回していくという計画で、国のそのモデル地区の指定を受けて始まったところなんですけれども、しかし、石川県では御案内のとおり野生イノシシの感染というのが確認されていまして、実は今一頭も入ってこないような状況であります。
これは、しかも、鹿の利用ということでおっしゃられましたけれども、ここは鹿がちょっと入ってこないところでして、イノシシがオンリーなものですから、そこで実際地域おこし協力隊の方々なんかが元々ジビエ振興のために雇われているような状況でありまして、何とか宝の持ち腐れにならないような形でいろいろ知恵と工夫を出していかなきゃならないなというふうに思っておりますので、是非、農水省においてもそうした、面的に見ればそう大きな影響はないのかもしれませんが、ちょっと個別で見ますとかなり影響を受けているところもありますので、よく配慮いただきたいというふうに思っております。
次に、ASF対策に移りたいと思っております。
現状の家伝法でASF対策は十分なのかという議論がこれまでもありました。また、高野先生の方からもありました。まず、このASF対策への万全な措置というものを求めたいと思っております。
そして、家畜防疫に関しまして、ASFあるいはCSFのみならず、水際の検疫体制の強化でありますとか、あるいはこの野生イノシシの捕獲の強化でありますとか農場におけるバイオセキュリティーの向上など、今こういう危機的な状況を迎えているわけでありますから、この度の補正予算の編成においては、当初予算では足らざる部分があると思います。この補正予算、しっかりと組み込んでいくということが重要ではないかというふうに思っておりますが、この点について伺います。
○副大臣(加藤寛治君) お答えいたします。
家畜伝染病予防法上、ASFは特に伝播力が高く病原性の強い疾病として位置付けられております。
ASFの防疫指針によりまして、万が一国内で発生した場合には、早期発見と患畜等の屠殺や死体の焼埋却等によりその蔓延を防止することとされております。また、法に基づく輸入検査等の水際対策によりまして、国内への侵入防止を図っているところでございます。
まず、早期発見につきましては、十月の十五日にASFの防疫指針を改正をしまして、各都道府県における検査体制を強化するとともに、死亡イノシシ又は飼養豚でのサーベイランスを実施をしておるところでございます。
加えて、農場への侵入防止対策として、各地での農場防護柵設置に対する支援と併せて、野生動物侵入防止対策の義務化を含む飼養衛生管理基準の見直しとか、自然公園やキャンプ場において残飯を通じたイノシシへの感染拡大を防ぐためにごみ箱対策等の措置も関係省庁と連携をして取り組んでいるところでございます。また、防衛省も参加して全都道府県の埋却地や資材のチェック、タイムラインの確認を進めているところでもございます。
ASFは、今年の九月には隣国である韓国でも発生が確認をされるなど、侵入リスクは最大限に高まっておるという認識でございますので、現在感染が拡大しているCSF、ASFにかかわらず、家畜防疫に関する予算については十分に検討をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
○谷合正明君 続きまして、AMRについて伺います。
今、人類の脅威として薬剤耐性、AMRがクローズアップされているところであります。抗菌薬が効かない耐性菌は抗菌薬の使い過ぎによって世界中で生まれていて、対策を講じなければ、二〇五〇年に世界全体で年間一千万人が耐性菌による結核や肺炎で死亡するとの予測もございます。今、WHO、また今年のG7などの会議では世界的な課題になっているところであります。
そこで、このAMR、薬剤耐性とは何か。また、AMR対策を進める上で、なぜ、人と動物の保健衛生の一体的推進、すなわちワンヘルスアプローチが重要なのか。さらに、今月、十一月は政府のAMR対策月間でもございます。畜産分野、水産分野を抱える農林水産省として、このAMRへの対策をどのように進めていくのか、基本的な見解を伺います。
○国務大臣(江藤拓君) 谷合先生は大変、副大臣時代にもこのことは大変熱心に取り組まれておられたというふうに伺っております。
AMRとは何かというまず基本的な御質問がありましたのでお答えいたしますが、これは、効くはずの抗菌剤が効かなくなる、薬剤耐性又はAMR、アンティクロ、ちょっと、よう読まぬです、済みません、と呼んでおりまして、抗菌剤が効かない細菌であります。
薬剤耐性菌が引き起こす感染症の増加は国際的な脅威、今おっしゃったようにWHOとかG7、それからNHKの特集とか民放でも私も見たことがありますが、とにかく、抗生物質というものは人類の最大のこれはもう発明品と言われているものでありまして、人類の命を長らく守ってきたものでありますけれども、このAMRの問題は動物も人間も関係がないと、この垣根を越えたものでありますので、そのワンアプローチということが必要でありますから、厚労省ともしっかりと連携してやらせていただくということは先生もよく御存じのことだと思います。
特に、今月はこの薬剤耐性対策推進月間、十一月はそういう月にまたなっておりますので、まずやはり国民の方々にもこのことの問題意識というものをしっかり持っていただく努力もしなければなりませんし、この対策について一生懸命頑張ってくれている優良事例もありますので、この間の十一月の九日には藤木政務官から大臣賞の授与なども行って、啓蒙活動にも力を入れているところであります。
平成二十八年の四月に関係閣僚会議で決定いたしました薬剤耐性対策アクションプラン、これがありますので、これに基づきまして更に内容もブラッシュアップしながら対策を進めてまいりたいと思っております。
○谷合正明君 私が伺った国際保健の専門家からは、日本はワンヘルスアプローチ、人と動物の医療の、保健衛生の一体的な推進ですけれども、これは比較的優れているという御所見いただきました。しかし、幾ら農水省と厚労省が連携しても、これは日本だけで完結できる話ではございません。実際に、畜産大国、畜産頭数の多い中国、米国、ブラジルでは抗生剤の使用が多いわけでありますし、またAMRの発生リスクの高いのはアフリカ、アジアということでありまして、国際社会との連携というのが重要になってきます。
我が国の知見を生かした国際貢献をどのように進めていくのか、この点について伺います。
○政府参考人(新井ゆたか君) 御指摘のとおり国際協力が必要ということで、平成二十八年の閣僚会議におきましても、国際協力を六つのうちの柱の一つということで行われているところでございます。
我が国は、動物の分野におきましてはOIEを通じて国際的な連携をしています。世界各国の研究者を集めて研修をするということもやっておりますし、特に、御指摘がありましたアジアにおきましての連携というのを深めております。日中韓の三か国につきましては、耐性のワーキンググループというのを設置いたしまして、平成二十九年から各国の対策や課題について定期的な意見交換をしているということでございます。
これまで蓄積された日本の知見と経験を生かしながら、引き続き国際社会と連携して薬剤耐性対策に努めてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 しっかりとやっていただきたいと思っております。
先ほど大臣の方から、AMRの対策のアクションプランについて言及をいただきました。これは二〇一六年から二〇二〇年までの五年間の計画でございまして、ここには農林水産省に関わる取組目標というのが幾つか掲げられております。例えば動物医薬品検査所の基幹検査機関としての体制強化でございますとか様々な目標が掲げられているわけでありますけれども、今、二〇一九年ということでちょうど中間を過ぎているところでございますが、これらのアクションプランの進捗状況について最後確認させていただきたいと思っております。
○政府参考人(新井ゆたか君) お答え申し上げます。
アクションプランの中で、動物分野につきましては、まず抗菌剤の使用を必要最小限とする指導の強化、それから薬剤耐性に関する監視、動向調査の充実、三番目といたしまして、養殖業者が抗菌剤を購入する際に獣医師などの専門家の指導書を必要とする仕組みの導入ということが特に行うべきことというふうにされているところでございます。
御指摘のありました基幹検査機関であります動物医薬品検査所につきましては、アクションプランの決定後、これまで家畜で実施していた監視、動向調査を愛玩動物や養殖水産動物の分野にも拡大をいたしました。それから、遺伝子を解析するための先端機器を導入いたしまして調査体制を強化し、この動向調査を公表しているところでございます。
それから、国際協力、あと人の保健衛生分野との共同研究というのも推進しておりまして、このような活動を更に強化してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 時間になりましたので、終わります。以上です。