○谷合正明君 おはようございます。公明党の谷合正明です。予算委員会二日目でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
新型コロナウイルス感染症の発生から一年が経過いたしました。感染者の数は世界で一億人を超えました。世界にとりまして、また日本にとりまして、コロナ克服に向けて正念場の一年となっております。改めまして、医療関係者、エッセンシャルワーカー、そして感染拡大防止に御協力くださる全ての事業者、国民の皆様に深く感謝を申し上げます。
昨日の予算委員会でも指摘がありました同僚議員の振る舞いにつきまして、国民の皆様におわびをいたします。公明党の議員として、改めて私自身、自ら自己を厳しく律し、誠心誠意働いてまいる決意でございます。
本日私が質問いたしますは、補正予算に関連いたしまして、ワクチン接種、医療関係、また自殺対策、生活者支援、さらに気候変動など、ポストコロナを見据えた社会の取組について伺いますが、まず冒頭、総理に伺います。
今朝未明というんですか昨晩遅く、日米首脳会談が行われました。今申し上げた感染症の克服あるいは気候変動など、世界の共通の課題があります。これに立ち向かっていくためには当然、日米関係が重要であることは言うまでもありません。そこで、この日米首脳会談についての中身、手応えについて御報告をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 昨晩のバイデン大統領との電話会談では、就任をお祝いをし、日米同盟を一層強化していく、そうした点、あるいはまた、自由で開かれたインド太平洋の実現、こうしたことについて、緊密に連携して行うことで一致をいたしました。また、コロナ対策や気候変動、この問題を含む国際社会共通の課題についても、ここは日米協力しながら進めていこうと、そういうことでも一致をいたしています。
特に気候変動問題については、私からバイデン大統領に対して、米国のパリ協定への復帰決定、ここを歓迎する旨を申し上げました。また、バイデン大統領からは、四月二十二日開催の気候変動サミット、これに対しての招待がありました。諸般の事情が許せばこの同サミットに参加する方向で検討する、そう考えており、バイデン大統領にもそのように伝えました。
さらに、日米安保条約第五条の尖閣諸島への適用、日米豪印の更なる協力、拉致問題の早期の解決に向けた協力、北朝鮮の非核化に向けた連携、こうしたことについてもそれぞれしっかり連携をしていくことで一致をしております。
大統領選挙後二回目の会談でありましたけれども、前回以上にじっくりと実質的な議論ができた、このように思っています。バイデン大統領との個人的な信頼関係を構築をしながら、まさにこれから日米中心の中でしっかり緊密に連携を取りながら、国の内外問題についてもしっかりと前に進めていきたい、このように思っています。
○谷合正明君 特に気候変動について言及もございましたが、この四月に行われるという意向を示している気候変動のサミットについても是非総理御出席いただいて、また日本のリーダーシップをしっかりと発揮していただきたいというふうに思っております。
そこで、当初の質問に戻りますけれども、ワクチン接種、また医療関係でございますが、まず緊急事態宣言について伺います。
緊急事態宣言が発令いたしまして約三週間がたとうとしております。この間の感染者数の推移、また病床の確保、外出自粛の効果など、宣言発令の所期の目的がどこまで達成されているのかと、まず総理に報告を伺いたいと思います。
政府の要請を守ってくださっている国民の皆様や事業者の皆様、あるいは医療関係者の皆様が成果を実感できないまま疲れ果ててしまうという事態はもう避けなければなりません。ステージ四からの脱却、また、その先のコロナ克服に向けての決意、具体策について総理から伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 冬場を迎えて感染が急速に拡大し、そうした中で緊急宣言を発出をいたしました。まさに緊張感を持って対処すべき重要な局面だという認識であります。ここ最近の感染状況を見ても、一都三県の合計感染者数は徐々に減少していますけれども、専門者から見て、少し感染状況を分析し、減少傾向にあるかどうかについてこれから分析をしていく必要がある、このように言われています。
また、医療体制の確保については、国として新型コロナ患者を受け入れた病院に対し強力な財政支援を用意しており、各都道府県と一体となって病床確保に取り組んでいます。
例えば、東京では、国と都が緊密に連携をしながら、年末年始に約千床を確保し、さらに五百床を大きく超える病床を確保できる今見通しになっています。また、人の流れについては、例えば首都圏の鉄道利用者数で見ると、昨年の感染開始以前と比較をして、緊急事態宣言時は七〇%まで昨年は減少したのに対し、今回は四〇%の減少にとどまっています。
政府としては、引き続き都道府県と緊密に連携をしながら、効果のある対象に徹底的な対策を行うことによって、専門家が対策の急所と、こう指摘します飲食によるリスクとして、対して強力な措置を講じていきたいと思います。
その上で、まずは、何としてもステージ四を早期に脱却して、一日も早く感染を収束させ、国民の皆さんの安心して暮らせる日常、そして、にぎわいのある町、これを取り戻すべく全力で取り組んでいるところであります。
○谷合正明君 感染克服に向けましては、国、自治体、事業者、国民が一体となって取り組んでいかなければなりません。よろしくお願いいたします。
国が感染症対策の決め手と位置付けておりますワクチン接種について伺います。国民の立場に立って基本的なところを何点か確認したいと思います。
まず、昨日、川崎市で実際に会場設営訓練が行われたところでございます。また、昨晩、河野大臣は記者会見で、高齢者の接種時期について、早くて四月一日との見通しを表明されたところでございますが、具体的に、高齢者、基礎疾患を含む国民向けのワクチン接種について、いつ頃市町村からクーポン券が届き、(資料提示)どういう手続を踏んで、いつ頃からどこで接種できるのか、そして、いつ頃までにその希望する方の二回の接種を終える目標なのか等々、現状について国民に分かりやすくお伝えいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(河野太郎君) まず、今最大の懸案事項になっているのが、ワクチンの供給スケジュールがまだ確定していないということでございます。ワクチンが日本で承認されて、ワクチンの供給がスタートいたします。できる限り二月の下旬から、まず医療従事者に対するワクチンの接種というものをスタートさせていきたいというふうに考えているところでございます。
その次に高齢者、これは四月の一日、早くとも四月の一日からスタートさせて、今自治体にお願いをしているのは、二か月と三週間で高齢者に二回のワクチン接種ができるようなスケジュールを目標として接種計画を考えてくださいということを申し上げております。これは、人口が大きい少ない、あるいは様々な地域性もございますから、全部そういうふうに終わるとは思っておりませんが、目標として二か月と三週間で高齢者に二回の接種をしていただきたいというふうに考えております。
そのためのクーポン券などの発送の準備を三月の半ばまでにお願いをしているところでございます。もし間に合うならば、これは、予診票を確定させるのが、ワクチンの承認が下りたときに予診票が確定をしますので、このタイミングでもし間に合うならば予診票を入れてクーポン券をそれぞれの方に送っていただくということも可能になるのではないかというふうに思っているところでございます。
今、それぞれの自治体で地域の医師会とこの接種計画を作るための話合いをしていただいているところでございますので、我々としては、それをしっかりとバックアップしながら、必要な情報をなるべく早く自治体にお出しをできるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○谷合正明君 公明党におきましてもワクチン接種対策本部を立ち上げておりまして、地方議員とも連携して、この万全な体制を政府としっかり連携して取り組んでまいりたいというふうに思っております。
それでは、ワクチン接種につきまして、その効果について伺いたいと思います。
そもそもこのワクチン接種の目的というのはどういうものなのか、また、日本で使われるワクチンについては発生予防、重症化予防にどの程度の効果があるのかということについて、まず基本的なところを国民に説明をお願いしたいと思います。
そして、国民は、今、手指消毒ですとか、あるいは手洗い、マスク着用、三密を避ける、不要不急の外出を控える、テレワークなどなど、行動変容、新しい生活様式に努めてきていただいております。ワクチン接種後に直ちにそれらを元に戻るということではないというふうには思いますが、しかし、このワクチン接種後にこれらの行動変容というものがどうなっていくのか、こういうことについてもしっかりと周知を図っていくべきだと思いますが、厚労大臣の説明を求めます。
○国務大臣(田村憲久君) ワクチン、狙いでありますけれども、ワクチンに関しては、今我が国が契約をしているワクチン、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、こういうところのワクチンでありますけれども、これに関して、基本的には発症予防、それで、その発症予防をもってして重症化、こういうものを防いでいくということで、そういう中において蔓延をどう防いでいくか、こういうような効果を期待いたしております。
どれぐらいの効果があるかと。効果というのは、要するにワクチンを打った場合と、プラセボといいますか、要するにワクチンでないものを打った場合、それによってコロナの発症にどういう違いがあるか。つまり、どれぐらい発症を抑えられたか、こういうところで効果を見ていくわけでありまして、ファイザーとモデルナのワクチンは九〇%以上、九五%ぐらいの効果があるというようなことをそれぞれの研究でおっしゃっておられるということであります。
我が国において、これから、今承認をする、今まさに審査をしている最中、申請を受けておりますので、これで承認が出ればその後接種ということになるわけでありますけれども、今言われた手指の洗いでありますとかマスク、こういうものがどうかということに関しては、まだ感染を防げるかどうかの効果があるかどうかというのはこれからしか分かってきません。こういうものがもう分かってくれば、感染をさせない、予防をするという効果が分かれば、それはマスクや手洗いと。まあ手洗いはやっていただきたいんですけれども、マスクというものをしなくてもいいというときが来るかも分かりませんが、当面の間は、接種が始まった後もやはりしっかりと三密回避、マスク、手洗い、こういうことを励行いただければ有り難いというふうに思っております。
○谷合正明君 そうしたこともできるだけ丁寧にお願いしたいと思います。
そして、優先接種につきまして、優先接種の高齢者及び基礎疾患を有する者の範囲について厚労大臣に伺いたいと思います。
六十五歳以上、高齢者ということと承知しておりますけれども、そもそも六十五歳の誕生日について、これ、いつこの基準日なのか、これ自治体が混乱してしまうのではないかと思いますので、どういう見通しなのか。
また、基礎疾患のリストに例えば慢性の呼吸器の病気とありますけれども、ぜんそく一つ取りましてもその程度というのは様々であると思います。しかし、その被接種者が自ら記入して申し出ることが想定されていることに鑑みまして、自治体や被接種者が混乱しないよう分かりやすく、また柔軟な対応を求めたいというふうに思います。
さらに、妊婦の接種、十六歳未満のこの小児の接種について現状どのように考えているのか、併せて説明をお願いしたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) まず、高齢者、それから基礎疾患、さらには、もちろん医療従事者が初めなんですけれども、これ、それぞれの理由がありまして、医療従事者はしっかりと医療を提供いただかなきゃならないということ、高齢者、基礎疾患をお持ちの方々は重症化する可能性があるということで、ちょっと高齢者の定義というもの、満ということはちょっと後で確認させて、またお答えをさせていただきたいと思いますが。
この基礎疾患を持っているというのは、例えば、病院にかかって慢性疾患を持っておられる、言うなれば慢性の肝炎だとか肝臓疾患、それから腎臓疾患、こういうものを持っておられる方を念頭に置いております。
それから、肥満、BMI三〇以上の方々、こういう方も対象なんですが、基本的には、その医者の診断書というもの、証明書というものを持ってきていただくとこれは時間が掛かりますし非常に手間が掛かりますので、こういうものを求めるということはいたしません。
あわせて、子供と妊婦の皆様方どう考えているかといいますと、子供に関しましては、ファイザーは十六歳以上、そしてモデルナとアストラゼネカは十八歳以上というような形の中でそれぞれ治験を行われておられて、海外でもそういう基準でやっておられるということでありますから、そういうものを参考にさせていただきながら、何歳以上の方を対象にするかということをこれから決定をしてまいりたいというふうに思っております。
妊婦に関しましては、これ、世界各国ともここは慎重な対応をされておられますので、我が国も各国とのいろんな情報、これを得ながら最終的に決定をさせていただきたいというふうに考えております。(発言する者あり)ちょっと。
○委員長(山本順三君) 田村厚労大臣。
○国務大臣(田村憲久君) まだ決定はしておりませんが、令和三年中に六十五歳になられる方を今念頭に置きながら最終調整をいたしております。
○谷合正明君 次に、ワクチンを接種いたしますと、一般的に、極めてまれですけれども、副反応による健康被害が発生することがございます。ワクチン接種後の副反応等に対応する医療体制の確保ができているか否かで国民の安心感が違います。
例えば、被接種者が接種後に一定時間待機していただき、万が一急激なアナフィラキシーショックの症状が出た場合でもその場で治療できるようにするなど、そういう医療体制を万全にしておくべきだというふうに考えますけれども、この点についての方針を求めたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) やはり副反応が出たときにしっかりと対応いただくように、これは自治体の皆様方にはお願いをさせていただいておるところでありますが、例えば、接種場所において、これ、予診やられる方、担当のお医者様、こういう医師に対して、その中において何かあったときに救急に対応できるようなそういう医師をしっかりと確保いただく。それから、接種後に一定期間御休憩いただくと思いますが、そういうときに急変した場合に、ちゃんとそれを確認して対応できるようなそういう担当者を置いておくということ。さらには、アナフィラキシーショックのように急激にアレルギー症状が出たときのために、その救急処置をできるようなそういうような器具、こういうものを、医療器具等々をちゃんと置いておくこと、医薬品もそうでありますけれども。こういうようなことをお願いをさせていただこうというふうに考えております。
○谷合正明君 コールセンター、相談窓口について伺います。
昨年の秋の予算委員会で、我が党の西田議員の質問に対しまして、政府側から、国はコールセンターをしっかりと設置するという答弁でございましたが、このコールセンターについて、いつ設置されていくのか、また県や市町村のコールセンターとの役割分担はどういうものなのか。さらに、この周知、広報というのは極めて大事だと思うんですね。感染症ワクチンというのは、不確かな情報等、あるいはデマがSNSを通じて一気に拡散されやすい傾向にある。これは日本だけじゃなく、世界共通であると思います。また、高齢者を狙ったワクチンの詐欺についてもしっかり警戒しないといけません。
情報弱者の立場に立って、ワクチン接種に関する正確な情報提供、また周知、広報、これ非常に大事だと思います。河野担当大臣、説明を求めたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 国のコールセンターにつきましては、来月の設置を目指しているところでございます。県、都道府県並びに市町村につきましては、この第三次補正で補助金を計上させていただいております。国のコールセンターはワクチン施策全般について、都道府県のコールセンターは医療的な専門的な御相談について、市町村のコールセンターについてはどこで接種できるかといった身近な疑問に答えるという大枠を決めておりますが、まあいろんなところへ電話が来ますので、そこは対応できるようなことを工夫してまいりたいと思っております。
官邸にこのワクチンに関する特設のホームページを一月の二十二日に設置いたしました。また、ワクチンに関する専門の、専用のツイッターのアカウントも立ち上げたところでございますので、ここでまず政府側の正確な情報をなるべく早く発信できるように努めてまいりますが、そのほかに、消費者庁と連携をして、このワクチン接種詐欺のようなものについては万全の体制を取ってまいりたいと思っております。
また、マスメディアを始め様々な媒体を通じて、しっかりと対象となる方々に情報が発信できるように努力していきたいと考えているところでございます。
○谷合正明君 続きまして、シャープ七一一九の全国展開について伺いたいと思います。
新型コロナウイルスの感染を恐れて医療機関を受診することを控えるケースがあります。しかし、コロナ禍でも適正な医療につなげていくということは重要であります。自治体によりましては、今すぐ病院に行くかどうか迷ったときに、コロナの感染を疑うときは受診相談センターにまず電話してください、また、それ以外の疾患やけがであれば、子供向けであればシャープ八〇〇〇、大人向けであればシャープ七一一九に相談することを呼びかけているところもあります。電話をすると、医師や看護師からのアドバイスを受けられる仕組みとなっております。
しかし、この子供用につきましては、シャープ八〇〇〇はもうこれおなじみなんですが、全都道府県にこれもう運営、設置されております。ただ、一方、シャープ七一一九は、都道府県全体、県全体で対応しているのは十二都府県にとどまっております。自治体間格差が生じています。日本医師会も、これ早期の全国展開を要請しております。医療機関の少ない地方でもこのニーズ高まっています。コロナ禍だからこそ、私はこういう医療インフラを整備すべきであると考えております。ボトルネックとなっている都道府県への財政負担のこの措置についてをしっかりと行っていくべきだと思っております。
シャープ七一一九の効果、全国展開に向けた取組について、総務大臣の答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(武田良太君) 御指摘のシャープ七一一九でありますが、急病時に救急車を呼ぶべきか否かを相談できるシステムであります。
これは、救急車の適正利用、また安心、安全の提供といった効果のほか、救急医療機関の負担軽減や外来受診をためらっている方々への相談機能など、新型コロナ対策としても効果的な施策であると、このように考えております。
しかし、本事業の実施地域は現在全国十七地域、人口カバー率はまだ四六%であります。こうしたことから、今般、未実施地域の声も踏まえて、現行の市町村に対する普通交付税措置を見直し、令和三年度からは都道府県又は市町村の財政負担に対して特別交付税措置を講ずる等の対応を行うこととしております。
シャープ七一一九の全国展開、この早期実現に向けて今後とも精力的に取り組んでまいります。
○谷合正明君 しっかりよろしくお願いしたいと思います。
次に、生活困窮者支援、自殺対策について伺います。
特に自殺対策から始めたいと思います。
昨年の七月以降、我が国の自殺者数は対前年比で六か月連続で増加をしているところであります。特に女性は、この半年間で毎月二〇%から九〇%近く対前年同月比で増えております。先日も、コロナに感染した三十代女性が自宅療養中に自殺したという大変痛ましいニュースがありました。コロナの影響が長期化する中で、政府は、社会の表面から埋没しがちになっている様々な困難を抱えた方の存在に目を向け、命を守ることがもう極めて急務であると私は思います。
そこで、まず、政府において、コロナ禍における自殺者数の増加、特に女性の増加の要因をどう分析しているのか、厚労大臣の説明を求めたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 速報値で二万九百十九人と、これ十一年ぶりに増加をいたしました。平成二十九年以来三年ぶりの水準ということでありまして、中身を精査すると、七百五十人増えているんですが、男性は百三十五人減っているんですけれども、女性が八百八十五人増えていると、女性と子供が増えているというような、そういう傾向があります。
これ、なかなか分析は難しいんですけれども、主な要因としては、やはりその一つは家庭問題というものも考えられるわけでありますし、あと健康問題、さらには経済、生活、こういうような問題でありますとか、更に申し上げると、子供たちは学校での問題というのも挙げられるわけであります。
因果関係、ちゃんとは分析できていないんですが、一つは、経済問題等と生活問題考えると、それは特に非正規で働く方々、女性が多いものでありますから、飲食店等々が非常に厳しい中で、そういうところで解雇された方々等々は非常に経済が厳しいという中のそういう影響もあろうと思いますし、また、家庭にずっといる、ステイホームというのが長かったものでありますから、そういう意味では家庭の中のいろんな問題というものも考えられるわけであります。
いずれにいたしましても、これ分析はこれからしてまいりたいと思っておりますけれども、この対策としては、例えば電話相談、それから、女性等々、SNS等々を御利用いただく方多いものでありますから、子供もそうでありますけれども、SNSでの相談、こういうものを強化をしていきながら、しっかりといろんな相談につなげられる、そういう対策を取ってまいりたいと考えております。
○谷合正明君 やはり相談体制の強化ということにつながっていくと思いますが、私は先日、SNS相談事業、実際その現場を訪れました。相談員の方が昼夜を分かたず一人の命を救うために懸命に御対応されている姿に大変頭が下がる思いでありました。
しかし、現状は相談数がもう急増しておりまして、もう一般に電話相談は返答率一割ぐらいではないかと。あるいは、SNS相談でも返答率は二割ぐらいではないかという指摘もあります。返答率の向上は急務です。また、相談員、この確保のためにも、処遇改善など踏み込んだこの支援というのも必要だと思います。
アメリカでは、昨年、自殺防止のための相談窓口、全米自殺防止ライフラインの電話番号を三桁、九八八にすることを決定いたしました。これ、相談窓口の番号統合、集約には様々な検討課題があるにせよ、参考にしないといけない取組だと思います。
孤立を防ぐための相談体制強化、心のケア、居場所づくりについて改めてどう取り組むのか。また、国家公安委員長には、NPOと連携して、SNS上で自殺を誘引する書き込み、これを削除するネットパトロールを強化していく、自殺対策の基礎となる警察庁の自殺統計原票の改正も求めたいと思いますが、それぞれ答弁を求めます。
○国務大臣(田村憲久君) 心のケアという意味では、都道府県や指定都市等々に精神保健福祉センター、こういうものがございます。こういうところに御相談いただいたらいろんなところにつなげていく、こういうようなこともやっていただいておりますが、やはりそれぞれ、民間も含めた相談事業もやっていただいておるわけであります。人員等々足らない、そのとおりだというふうに思います。
そこで、体制の強化でありますとか人材の養成でありますとか、また広報ですね、これもなかなか、つながる、そこを分からないと連絡も取れませんので、こういうことを含めて強化するためにセーフティネット強化交付金というものを今般第三次補正の中に盛り込まさせていただいております。こういうものを利用しながら、しっかりと相談体制強化をしてまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(小此木八郎君) おはようございます。
大変深刻な問題と捉えておりまして、自殺については、警察では、例えばインターネット上、おっしゃいましたけれども、自殺をほのめかす、死にたい、死ぬかもしれない、そういった書き込みがされることがございます。こういったことについてプロバイダー等と連携して対応しております。何にしろ、本人への自殺をこれ思いとどまらせて説得をするなど、必要な自殺防止措置をまず実施をしております。
そしてまた、自殺をしたい、そのようなことをほのめかす人に対して、自分が手伝うよと、それを誘引、勧誘するようなやからもおりまして、これに関する情報については、認知した場合にサイト管理者に削除依頼を実施しているほか、民間委託により、こうした情報の削除依頼を実施するインターネット・ホットラインセンターを運用するとともに、これらの情報を収集して同センターに通報するサイバーパトロール、この事業を実施している。こうした情報の排除に向けた取組を推進しているところであります。こうした取組を更に効果的に推進するために、このためには、自殺防止対策に取り組むNPOなど民間団体との連携も重要であると認識しております。
引き続き、警察において、関係省庁、民間事業者の方々や自殺防止対策に取り組む民間団体と緊密に連携を図ることが重要であると思い、こういった許してはならない自殺の誘引、勧誘等に関する情報の排除に向けた取組をしてまいりたいと存じます。
また、自殺統計原票の見直しということを今実施しているところでありまして、現在、厚生労働省等と連携を図りながら、自殺の動向をより的確に把握できるよう、自殺統計原票の改正に向けた検討を行っております。警察庁として、引き続き、厚労省等と連携を図りながら、自殺統計原票の改正に向けた検討を適切に進めてまいりたいと存じます。
○谷合正明君 昨年一年間の小中高生の自殺者数が一九七八年の統計開始以来過去最多となりました。先進国で一番深刻である児童生徒の自殺への対策は喫緊の課題であります。この世代の自殺の原因については、周囲には思い当たる節がないといった声が実は多いんです。
先日、都内の学校現場を訪れました。保健教諭によるITを活用した自殺リスクの早期の発見の取組を視察いたしました。校長先生からも、こうした取組が横に広がってほしいということを伝えられました。
子供たちのSOSの出し方教育、また大人がSOSや小さなサインを見落とさない取組など、政府挙げて児童生徒への自殺対策を強化すべきと考えますが、文部科学大臣、答弁を求めます。
○国務大臣(萩生田光一君) 児童生徒が自ら命を絶つということは本来あってはならないことであり、実態として自殺が増えていることについて大変重く受け止めております。
自殺予防に資するリスク評価ツールについては、学校生活の中で児童生徒の置かれた状況を丁寧に把握をし、適切な支援につなぐため、表面化しにくい問題の早期発見、早期対応に資するスクリーニング活用ガイドを昨年三月に作成し、周知徹底を図っています。御指摘のITを活用したリスク評価ツールも含め、今後、様々な手法があることを各教育委員会等に周知してまいりたいと思っております。
加えて、SOSの出し方に関する教育については、平成三十年に教材例を示すなどして、学校におけるSOSの出し方に関する教育を推進するとともに、文部科学省が開催している各教育委員会等を対象とした自殺予防の研修会等を通じて取組の一層の推進を図ってまいりたいと思います。加えて、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実、二十四時間子供SOSダイヤルの周知、SNS等を活用した相談体制の整備の推進などの取組を行っています。
このような取組を通じて、児童生徒が自ら命を絶つ悲しい事案が起こらないよう、引き続き児童生徒の自殺予防のために取組を進めてまいりたいと思います。
○谷合正明君 昨年秋、いのち支える自殺対策推進センターが、政府の緊急小口資金等の特例貸付けや住居確保給付金などの支援策が自殺の増加を抑制しているとの分析を発表いたしました。
そこで、生活困窮者支援について伺います。
パネルにあるように、緊急事態宣言などを受けまして、各種支援制度の延長や改正というものが行われております。公明党が訴えてきた住居確保給付金の再申請も可能となったところであります。大事なことは、こうした公的な支援が必要な方につながっていくことだと思います。
生活保護について触れます。
私も実は、昨日の参考人、来られました大西連さんの団体の食料配給、生活相談のお手伝いをさせていただきました。利用する生活困窮者が増えているものの、生活保護を申請したがらない方が大半でありました。
ネックの一つとなっている扶養照会につきましては、自治体の柔軟な対応を促すべきであります。危機にあるときに助けを求めることは決して恥ずべきではないと、保護を必要とする方がためらうことなく生活保護を受給できるようにしていくべきであると思います。
厚労大臣の見解を求めます。
○国務大臣(田村憲久君) 生活が大変窮迫されて必要がある方は、生活保護はこれは受ける権利がありますので、そういうことを私も年末、しっかりと記者会見で、会見の中で申し上げたわけであります。
なかなか伝わらないというところがあります。我々もそれ伝えるためにいろんな努力しているんですが、例えば、いろんなSNSを使って、グーグルなんかの検索機能、こういうものを使いながら、またツイッター使いながら、さらにはバナー広告、こういうものも使いながら、こういう生活保護に関していろんなPRをさせていただいております。
あわせて、いろんな弾力運用を今させていただいておりますので、例えば、今コロナ禍で一時的な話でもありますので、例えば、急に仕事がなくなった、そして生活保護になられた、こういう方々の場合は自動車がないとなかなか就職活動もできない、それから事業用資産なんかも、一時的に今コロナで需要が消えてしまって、そして生活ができなくなったという場合には、事業用資産も一定程度お持ちをいただいて、これ、経済が戻ったときにはそのまま元の生業に戻っていただく、こういうこともありますので、そういう弾力的な運用、こういうこともしっかりと対応させていただく。
いずれにいたしましても、我々、市町村の、市また県の窓口には、しっかりとこの生活保護の申請が来た場合には適切な対応をしていただくようにということをお願いをいたしております。
○谷合正明君 関連しまして、休業支援金・給付金等、休業手当についても伺います。
これもなかなか当事者に使っていただいていないというか、情報が周知されていない事業であるというふうに思います。そこで、全国の労働局だけでなくて、社会福祉協議会などとも連携して休業手当の相談体制の強化をすべきであります。
また、二つ目に、シフト減少でも申請可能であるということの周知徹底を事業主、労働者双方にもしっかりと徹底していくべきであります。
最後に、この周知徹底がなかなかなされなかった、徹底されていなかったことに鑑みまして、一月末、もうすぐですけれども、申請期限が来る分の休業手当の申請期限を三月末まで延長すべきではないかと公明党としても考えております。
厚労大臣の御決断をお願いしたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 休業支援金でありますけれども、本来ならば雇用調整助成金で対応いただきたいわけでありますが、中小零細、なかなか労務管理等々もできていないということで、労働者の方々の生活を支えるという意味でこういう制度を創設をして今運用いたしております。
今言われましたとおり、ちょうどこの十月の末、去年の十月の末に、シフト等々の方々、また、そういう意味では非正規の中でも非常に運用が、何といいますか、難しい方々ですね、こういう方々に対してなかなか周知、事業主されていなかった。例えば、シフトですと、もうシフトなんだから今月は入れなきゃいいんだろうと、こういうような形で、これはこの雇調金若しくはこの休業支援金の対象にならないというように思われている事業者の方々が多いものでありますから、そういうことに対してはきめ細かく今周知をさせていただいております。
一応十二月に、一月いっぱいまではこれは延長させていただきました。しかしながら、昨日もそういう御意見ありました。総理とも相談させていただいたんですけれども、まだ十分に周知されていないなという部分もございますので、延長の方向でこれは検討させていただきたいというふうに思います。
○谷合正明君 しっかりお願いしたいと思います。
コロナ禍で、子供食堂、子供宅食の役割が大きくなっています。この度の補正予算には、コロナの影響で販路を失った生産者を支援するための農林水産省の販路多様化緊急対策事業があります。食材の提供先として子供食堂や子供宅食などを対象に加え、提供するために掛かる実費を助成していくべきではないかと思います。
農林水産大臣の答弁をもう結論だけ端的にお願いしたいと思います。
○国務大臣(野上浩太郎君) お答え申し上げます。
農林水産省では、新型コロナウイルスの影響によりまして全国規模で在庫の滞留ですとか価格の低下を生じました国産農林水産物を対象にしまして、その販売促進を支援をする措置を第一次補正予算でもとっておりまして、この中で子供食堂や子供宅食で使用する食材費や加工費、輸送費等にも支援をしてきたところであります。
今般、感染の拡大によりまして更に外食需要が減少することも懸念されますので、今御指摘のありました第三次補正予算では、この国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業を措置していることとしておりまして、これも一次補正予算と同様に、この中で子供食堂や子供宅食で使用します食材費や加工費、輸送費等について支援することといたしております。
この事業を広く御活用いただけるように、関係者の皆様にもしっかりと周知をしてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 続きまして、気候変動などポストコロナ社会に向けた取組について伺いたいと思います。
生活困窮者支援、ワクチン接種、また気候変動などなど、こうした政策を進めていく上で、私は、誰一人取り残さないとの理念を掲げる持続可能な開発目標、SDGsを政策の羅針盤にしていくことが大事だと考えております。
また、SDGsの中でも気候変動対策というのはこれ最重要課題でもあります。総理は、二〇五〇年のカーボンニュートラル目標も昨年の国会で表明いたしました。一貫して訴えてきた公明党としても、改めて歓迎したいと思います。
そこで、内外の政策についてこのSDGsを菅政権としてどう位置付けていくのかと、また、この気候変動対策においても、今後、二〇五〇年のカーボンニュートラル目標をしっかり法制化していく、さらには、二〇三〇年目標の意欲的な目標の達成、成長につながるカーボンプライシングの議論、こうしたこともSDGs、ムーン型でしっかりと推進していきたいと思っておりますけれども、総理の御決意を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 新型コロナウイルスにより人間の安全保障が脅かされており、国際連携の強化が必要だと思っています。持続可能な開発目標、すなわちSDGs、その達成のために日本として、また国際社会全体として社会変革に取り組むことが重要であり、昨年末にSDGsアクションプラン二〇二一を取りまとめました。同アクションプランに基づいて、グリーン社会の実現に向けた取組や途上国への保健分野の支援などを通じて多国間主義を推進をし、誰一人取り残されない社会の実現に向けた取組を一層加速をしていきたいというふうに思います。
また、二〇五〇年目標として、整合的な二〇三〇年削減目標を本年十一月のCOP26までに設定をして、それまでの道行きと併せて世界に表明をしていきたい、このように思います。
また、カーボンプライシングについて、炭素税や排出量取引制度だけでなく、企業の自主的な取引なども含めて幅広く検討して、経済への制約ではなく、まさに成長につながる手法にしていくことが重要だというふうに思います。そうしたことから、私、昨年末に梶山大臣と小泉大臣に連携し検討するよう指示をいたしております。
○谷合正明君 小泉環境大臣に伺いたいと思います。
今、総理の方からも気候変動に対する答弁がございましたが、一つこれから大事なことは国民の理解、協力ということだというふうに思っております。
気になる調査結果がございまして、昨年春に行われました国際比較調査、これは海外の調査なんですが、人間活動が気候変動につながっているという理解が日本は二十九か国中最下位でありまして、下から二番目のロシアと一〇ポイントも乖離しておりました。
カーボンニュートラルには国民の協力が欠かせません。政府主催の国民参加型の会議、全国フォーラムは十二月に開催されましたけれども、一回限りの開催でありました。例えば、国・地方脱炭素実現会議を生かすなど、真の国民参加型の議論をつくり上げるべきであると思います。カーボンニュートラルに向けた国民の理解や消費を促すためにも、産業界の取組と連動した消費者向けのインセンティブの仕組みも必要ではないかと考えますが、小泉大臣の見解を求めたいと思います。
○国務大臣(小泉進次郎君) 私も谷合先生の問題意識と同じように、なぜ、欧米では気候変動対策に取り組むことが生活の質を上げる、その質問をするとイエスが過半数なのに、日本では同じ質問をするとなぜそれがノーが過半数なんだろうかと、これにずっと悩んでいました。その結果が、谷合先生が御紹介をされた日本の気候変動対策と行動変容の関係が世界の中でも最下位、そういった結果に表れたというふうに思います。
ただ、今日の新聞でも報道されたように、私、変化の兆しがあると思います。気候変動は地球規模の緊急事態かという問いを国連の開発計画、UNDPが世界五十か国に尋ねたところ、何と日本では七九%がイエス、そういうふうに回答したという結果も出ていて、イギリス、イタリアに次いで三番目に高い数字が出たということもあります。
ですので、この総理のカーボンニュートラル宣言以降、企業などの動きも急速に脱炭素へ向かっているように、次は国民全体の中でいかに行動変容を気候変動対策に整合的な形でつなげていけるかがポイントだと思います。
その観点から、環境省が事務を担っています官邸に設置された国・地方脱炭素実現会議の場においても、どうやったら前向きな行動変容が生まれるか。例えば、カーボンポイントとかグリーンポイントというポイントを活用しての行動変容の在り方も一つの検討かもしれません。
いずれにしても、そういった形で、ナッジという行動変容の一つのツールも生かしながら、この検討を深めていきたいと思います。
○谷合正明君 感染症、気候変動と同じく、同様に、人類の存亡に関わる課題が核兵器の脅威です。
唯一の戦争被爆国である日本の果たすべき役割は大変大きいものがあります。核兵器禁止条約が先週発効いたしました。公明党、歓迎いたします。
核兵器禁止条約は核兵器国に核軍縮義務を定めたNPTと矛盾するものではなくて、相互に補完し合いながら核兵器のない世界の実現に向けて協調体制の再構築を図るべきで、そこに我が国の真の橋渡し役があると考えます。
また、今後、核兵器禁止条約第八条三項に規定される特別会合、これは三分の一以上の賛成で議決されるものです、が被爆地の広島、長崎で開催されることは有意義であると考えますが、外務大臣の見解を求めたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君) 確かに、核兵器禁止条約、それは、その前文においてNPTに言及をしておりまして、国際的な核軍縮・不拡散体制におけるこれらの条約の重要性、確認をしているところであります。
また、核兵器禁止条約を支持する国は、委員御指摘のように、核兵器禁止条約がNPTを補完するとの主張をしていると、そのように承知をいたしております。
その一方で、核兵器禁止条約が核兵器の保有や使用をいかなる場合においても禁じているのに対して、NPTの方は一部の国が核兵器を保有することを認めた上で、核不拡散、核軍縮、原子力の平和利用について規定している条約でありまして、前提とする考え方、核軍縮に向けたアプローチには違いがあるわけであります。
我が国としては、核兵器の非人道性と厳しい安全保障環境の双方を確認し、認識し、核兵器国と非核兵器国双方の協力を得て、核兵器のない世界に段階的に進んでいくことが必要であると考えており、必要、適切であると考えておりまして、核兵器国も参加するNPTの下で全ての国が義務を着実に実施するようしっかりと取り組んでいきたいと考えているところであります。
様々な会合を被爆地で開催するということについては、やはり被爆の実相を世界の皆さんに知ってもらうという意味から大きな意味があると思っておりますが、我が国が参加しない条約に関する会合についてどう対応するかと、これは慎重に考える必要があると思っております。
○谷合正明君 ちょっと時間の関係もありますので、残りの質問でできないところもあるかもしれませんが、御了承をお願いしたいと思います。
条約発効の日に被爆者の方にお会いいたしました。少し驚きました。被団協の調査では、被爆者の被爆体験を聞いたことがない、あるいは広島、長崎の平和資料館に訪れたことがないという国会議員が一定数おられました。そこで、菅総理自身が被爆者にお会いし、核兵器のない世界に向けての思いを共有していただくことが大事だと考えました。
二〇〇七年以降、毎年、平和祈念式典の際、こういう機会を生かして総理と被爆者の面談というものが続いております。菅総理も当然継承する考えでよろしいのか、一言だけで結構です、よろしくお願いいたします。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 私としても、都合が許せば被爆者の皆さんの声を直接お伺いをさせていただくような機会を是非設けたい、このように思います。
○谷合正明君 それでは、最後に地域の経済を支えております農林水産業の未来について伺って終わりたいと思います。
農林水産業につきましてもコロナの影響を受けております。ただ、輸出に関しては極めて堅調でありまして、輸出額は約十年前は年間四千五百億円でありまして、今は約一兆円。それでも、実はこれ世界でいうと第四十四番ぐらいなんですね。日本の農産物の評価を考えればもっと増えていいと思います。
しかし、農業の現場を回ると、輸出は一部の農家のことではないかという受け止めが多いのも事実でありまして、五兆円目標の達成のためには、その政策が生産者の所得向上につながること、地方経済に資することが大事であります。
なぜ日本の農林水産業の未来に輸出促進が重要と考えるのか、そしてどういう農林水産業の姿を理想としているのか、農家出身の総理の見解を伺いたいと思います。
あわせて、年末に輸出重点品目二十七品目を農林水産省決定いたしました。昨年一年間の輸出額で大きく落ち込んだものがありまして、それが真珠です。
私は、愛媛県西予市の真珠の養殖現場を訪れました。真珠は国内販売よりも輸出による売上げが大きい産業です。その輸出のほとんどは香港向けです。世界のバイヤーが集まる香港での商談会がコロナの影響でもうずっとストップしております。真珠養殖は百年以上前に日本で開発された技術で、漁村の経済を支えてまいりました。香港以外での取引を伸ばすことや、かつてあったように日本での商談会を復活させるなどの取組が必要ではないかと思います。
総理の、まず輸出に関しての農林水産業の姿をどう考えるのかということと、野上農林水産大臣にはこの真珠の輸出戦略について伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 地方の所得を上げるということは、これは極めて重要なことであります。それのやはり最優先は、この農林水産品、世界で非常に評価の高い農林水産品の輸出を推進することだと思っています。
特に、アジアを中心に海外で非常に日本の農水産品というのは根強いものがあります。政権交代時に四千五百億円だったんですけれども、目標を掲げて取り組んだ結果、二〇一九年は九千億円と倍増しております。このコロナ禍の中でありますけれども、本年もこの目標に近いものになっております。九州と同じ程度の面積であるオランダの輸出額は約十兆円なんです。我が国の輸出はまだまだ伸ばすことができると考えています。
そういう中で、二〇三〇年、五兆円の目標を定め、そのために世界に誇る牛肉だとかイチゴ、こうしたものの重点品目を選定し、国別に目標金額を定めて産地を支援する、そういう政策を行っています。また、主要米から高収益作物への転換、森林バンク、養殖の推進など、農林水産業を地域をリードする産業とすべく改革を進め、その結果として地方の所得を引き上げていきたい、このように思っています。
○国務大臣(野上浩太郎君) お話のございました我が国の真珠養殖は、これ、その生産技術が世界で高く評価をされておりまして、漁村地域の重要な産業であります。世界の真珠に対する需要はまだまだ拡大の余地がありまして、その真珠の輸出を拡大させていくことは漁村の活性化を進める上で極めて重要であると思っております。
一方で、現在、真珠は、コロナの影響で、御指摘のとおり、香港での国際展示会が開催をされず、大きく輸出が落ち込んでいる状況にあります。やはりこの香港での国際展示会が大きな機会だったわけであります。
このため、農林水産省としては、昨年十一月に取りまとめた農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略によりまして、沿いまして、香港を経由せずに中国等に輸出、直接輸出できるように、真珠の品質基準を定めて、電子商取引による販売促進をしていくほか、コロナの状況を見ながら、我が国における国際展示会、商談会の開催を推進をしたいと思います。また、輸出先の多様化が進むように、シンガポール等の新興市場への販路の開拓、拡大等の取組も促進してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 農林水産業とともに、実は観光産業も本当にこの地方経済支えてくださっております。全国で九百万人もの方が観光産業従事していただいております。現在、大変な苦境に陥っております。赤羽国土交通大臣におかれては、これまで三十県以上訪問されて、地域の観光業の生の声を直接聞いてくださっております。先月、私の地元の岡山県にも来ていただきまして、観光産業の現状についてもしっかり声を聞いていただきました。
まずは感染を収めるのが最大の支援策でありますが、観光立国の復活に向けてコロナ禍でどう対策準備を講じていくのか、本当はゆっくり答弁していただきたいんですけど、もう一言決意を述べていただきたいと思います。
○国務大臣(赤羽一嘉君) 全国回らせていただきまして、皆様方からは異口同音に、GoToトラベルで盛り上がったものの、今一時停止でありますので大変厳しい状況だと、何とか雇用調整助成金で雇用は維持できているものの、こうした状況が長引くともう極めて廃業の危機を感じていると。これ、宿泊業者だけじゃなくて、数多い取引業者でございます。その対策は、やはり関係事業者たくさんいらっしゃるので、一過性の直接支援よりも、やはりGoToトラベル、強い需要策、喚起策を再開してもらいたいというのが強い声であります。
ちなみに、このGoToトラベル、昨日、高級旅館に偏っているのではないかという御指摘がありましたが、八千二百万人泊以上の平均利用料金は一泊一万三千二百十八円でございまして、宿泊代金五千円以上から一万円未満が約六四%、これ幅広く裨益されているということが分かります。
同時に、新しい観光のスタイルも芽生えておりまして、近隣、県内を含む近隣から少人数単位で来られている方が大半でして、地元の観光資源を再発見してリピーターとなるいわゆるマイクロツーリズムがしっかり芽生えていて、また、働き方の変化、働き方改革によってワーケーションということも着実に進んでおります。
大変厳しい中でございますが、他方で、国際世論調査で日本の公衆衛生というのは大変レベルが高いと、ですから、海外旅行が解禁になった後は最も行きたい国は日本というふうに最上位に位置付けられている調査も数多くあると。
詳しくはあれですが、今後の観光立国に向けたしっかりとした政策をまとめながら、しっかりやる気のある観光地を少しでも、一つでも大きく育成しながら、国交省としても全力を尽くしていきたいと。これは、地方経済、地方雇用に資するだけではなくて、私、旅行者の人生を豊かにするすばらしい産業であるということも付言したいと思います。
○谷合正明君 以上、補正予算に関連して質問させていただきました。
私たち公明党も、大衆とともにとの立党精神を胸にこの未曽有の国難に立ち向かっていく決意であると申し上げまして、同僚議員に質問を交代したいと思います。
ありがとうございます。