○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
法務委員会で質問するのは初めてなんですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、京都コングレスを受けての司法外交、また再犯防止並びに性的指向、性自認に関する諸課題について取り上げたいというふうに思っております。
まず、大臣におかれましては、昨年の秋の時点での所信演説、また、今年の通常国会の所信、共に大変重要視している概念としてSDGsを取り上げられておられまして、私も大変感銘を受けたというか心強く思いました。誰一人置き去りにしない、取り残さないという大変重要な概念であり、これ、全世界で全会一致で採択された、国連で採択されたものなんですけれども、各省の各委員会の大臣所信でそれを正面から取り上げる大臣というのは、外務大臣はあると思うんですけど、ほかの役所じゃなかなかなくて、その意味では、法務省、法務大臣としての所信で出てきたということでございまして、大変感銘を受けた次第であります。大臣御自身が自由民主党の中で推進されてきたということも承知をしておりますし、私の方も党の方でそのSDGs推進の責任者を担っております。
そこで質問ですけれども、SDGsに基づく司法外交として、京都コングレス後のレガシーとして、再犯防止、更生保護に関する国連のスタンダードづくりについて、先ほど来、渡辺先生の質問でも言及されておりますけれども、このスタンダードづくりというのは具体的にどういうものなんでしょうか。どういうことをこれからやっていきたいのか、お答えいただきたいというふうに思っております。
○国務大臣(上川陽子君) 今回の十四回の京都コングレスにおきまして成果文書の大変大きな柱がこの京都宣言でございますが、これ、国連及び加盟国が犯罪防止・刑事司法分野においての取決めをしたわけでありますが、その取組を進めるに当たりましての中長期的な指針となるものということでございます。京都コングレスも含めまして、この分野は五年に一回の国際会議を開催するという意味では、五年間の中長期目標ということにも関わるわけでございます。
この中で、特にマルチステークホルダーパートナーシップを始めとする再犯防止施策の充実ということでありますが、法の支配を含めまして、このゴール十七ありますが、一番どのゴールにも基盤となるのが法の支配ということでありますし、とりわけゴール十六の法の支配と平和、そして、ゴール十七のマルチステークホルダー、この分野につきましては極めて重要なものであると認識をしているところであります。
その意味で、今回の京都宣言の中に再犯防止施策の充実という形で詳細な記載がなされたと、そして、それに対して合意がなされたということについては、これは各国共にこれに向けて共通の課題として取り組んでいくと、こういう大きなスタートが切れたというふうに思っているところでございます。
法務省におきましては、外務省とよく連携をいたしまして、この京都コングレスの成果の展開、これはレガシーというふうに言うわけでありますが、その一つとして再犯防止に関する国連スタンダードづくりを提唱し、その策定、この具体的な策定に向けまして推進をしていく重要な役割を担っているところでございます。
この国連のスタンダードでありますが、各国におきまして、立法や施策立案の際に参照をされるということを通じまして、各国の施策の充実に重要な役割を果たすというべきものでございます。
起草に際しましては、このサイドイベントとして開催されました世界保護司会議におきまして、再犯防止の取組に保護司を始めとする地域ボランティアが参画することの有用性等につきまして議論をされました成果、これは京都保護司宣言ということでありますが、これの成果を踏まえまして、我が国におきましては約百三十年の歴史を有する保護司制度等でございます、官民連携の大変重要な機能を持っておりますし、先ほど来の申し上げたマルチステークホルダーパートナーシップという、SDGsの極めて大きな理念の一つであります、このところを含めた再犯防止の知見、これをしっかりと織り込んだものでございます。そして、それを含めて司法外交としてこれから先に向けまして、途上国における国連スタンダードの実施を支援したり、あるいは各国におきましての再犯防止施策の充実に向けましてリーダーシップを発揮していくということであります。
その意味で、司法外交の元年ということを明確に打ち出しながら、これから五年間の中長期に向けまして、しっかりとリーダーシップを果たすべく努力をしてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 よく分かりました。
司法外交、また国際協力をこれから展開していくということで、どの地域ということをこだわる必要はないのかもしれませんけれども、しかしながら、私自身、ASEAN、特に大変重要だなというふうに今思っている次第なんであります。
実は、一昨年の十二月、令和元年の十二月に参議院の派遣で、これ副議長班ですけれども、ベトナムを訪問いたしました。ベトナム、ハノイの法科大学を視察をいたしました。ハノイ法科大学内にあります名古屋大学日本法教育研究センターというところでございまして、そこで実際に授業を見学しまして、ベトナムの学生と懇談をしました。日本語でもうやり取りできます。
そのセンターのポリシーというものは、発展途上国ないし体制移行を経験した国である母国の法の現状、構造的問題を理解し、母国の法制度に対する基礎的な知識及び批判的な問題意識を持つことを通じて、母国に必要とされる法改革に貢献でき、かつ日本との懸け橋となる人材を育成していくということが目的であると。二〇〇七年に設立されまして、現在六十人がそのハノイ法科大学に在籍をされております。ハノイ法科大学の正規授業とその名古屋大学のセンターのダブルスクールということになりますので、大変多忙を極めておりまして、修了できるのは毎年十人前後ということであります。
卒業生は、法的な思考力、比較法的視点があること、法律用語を日本語で操ることができる等が挙げられまして、名古屋大学を含め、ほかの大学への留学のほか、政府機関、日系企業等に就職をされております。修了生の中には、二〇一六年四月に司法大臣に就任されたレ・タイン・ロン司法大臣もおられますし、副大臣等もおられて、国家中枢人材を担っております。
そういう意味では、こういう司法外交、司法協力というのは大変重要だなと再認識をした次第なんですけれども、そこで、今、私ASEANと申し上げましたのは、特に自由で開かれたインド太平洋というこの外交の基軸を考えたときに、特に戦略的にこのASEANをしっかりやっていく必要があるのではないかなというふうに思った次第でありまして、そこでこのASEANでの展開の重要性、どう対策を講じていくのか。また、法務省自身の実際の取組も大事だと思っておりまして、ASEAN地域の在外公館へ派遣していくとか国際機関へ派遣していく、そうした交流も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) コロナ禍によりまして、弱い立場にある人々の命、生活が脅かされている状況でございます。私もSDGsにつきましてはますますその役割は重要であると認識しておりまして、この誰一人取り残さない社会の実現に向けまして、法の支配に基づく国際秩序の形成や国際協力というのはこれまで以上に重要になってくるものというふうに考えております。
こうした状況下でございまして、司法外交についてでありますが、これまで以上に戦略的に推し進めていく必要があるというふうに考えておりまして、特に委員が戦略的に取り組むようにということで御指摘がございまして、ASEAN地域につきましては自由で開かれたインド太平洋の実現を図る上でも重要なエリア、地域というふうに位置付けているところであります。
先ほど御紹介いただきましたベトナム、これは一九九四年にベトナムへの法制度整備支援を開始して以降、二十六年間にわたりまして、法務省におきましてこれは司法外交の大きな柱の一つと掲げております法制度整備支援を実施してまいりました。カンボジア、ラオスなどのASEAN諸国等に対しての法令の基礎、司法制度の整備や運用改善、人材育成等の法制度整備支援を行ってきたところでございます。また、五十八年にわたりまして、ASEAN諸国等の刑事司法実務家を対象にいたしました犯罪防止あるいは犯罪者処遇の分野での国際研修等も地道に積み上げてきたところでございます。世界に五千人強の人々が活躍していらっしゃるということでございます。
また、先ほどベトナムの方の法科大学院のお話がございましたが、まさに名古屋大学と本当に両輪となって、日本語で、しかも難しい法律の分野におきましての論文も卒論で書かれると、優秀な方は名古屋大学にも留学をされているという地道なこれも取組の実績がございまして、私も行かせていただいて感動して帰ってまいりました。これからのやはり人材の養成という意味でも、母国の日本のみならず海外の中でもそうした方々が活躍をすることに日本として支援をしていくということは国際協力の基本中の基本というふうに思っておりますので、この点につきましては特に委員御指摘のとおり重要なものと思っているところであります。
また、これまで法務省の職員につきましては、ASEAN地域の在外公館、また国際機関等で勤務させることも司法外交の重要な要素というふうに考えておりまして、直近の三年間では、ASEANの日本政府代表部、また在ベトナム日本国大使館、また国連薬物犯罪事務所、UNODCの東南アジア太平洋地域事務所に新たなポストを設けておりまして、現在法務省職員をASEAN地域に合計二十二名派遣をしているところでございます。さらに本年は、在タイ日本国大使館、在ベトナム日本国大使館、在カンボジア日本国大使館に合計三名の法務省職員を新たに派遣する状況でございます。
今後も、積極的な法務省職員の派遣だけではなくて、京都コングレス開催時のバイ会談を行ったところでありますが、各国ともに大変高い関心が示されたのが、各国の法務省、司法省と協力覚書、MOCの交換等によりまして、いろんな分野での基盤整備などに日本の力を借りたいと、こうした要請もございまして、ASEAN地域における司法外交のより戦略的な展開とともに、可能な限りよく戦略的な立場でこうした方向性に向かいまして努力をしてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 ありがとうございます。
昭和の時代はメード・イン・ジャパンの時代だったと、平成の時代はメード・バイ・ジャパンの時代であったと、令和の時代はメード・ウイズ・ジャパンだということを言う識者もいらっしゃいます。まさにこの保護司の展開でありますとかというのも、メード・バイというよりはメード・ウイズ・ジャパンの、何というか、基本姿勢で是非取り組んでいただきたいというふうに思っております。
それで、SDGsなんですけれども、今日、外務省に来ていただいております。もう大臣の方からもSDGsは大変重要だということでおっしゃっていただきましたが、二〇三〇年がゴールになっております。あと十年であります。
コロナ禍で各国の進捗状況は停滞しているという指摘もありまして、改めて旗振り役の日本がリードしていくということが大事でありまして、そこで、自発的国家レビューという、自らの意思に基づいて日本がどの程度国内でこのSDGsが進捗しているかという評価、レビューをするというVNRというものがあります。これをしっかりやっていくべきではないかなというふうに思っておりまして、また、法務省においても、目標十六、司法の分野、また目標十七、マルチステークホルダーパートナーシップ、また、全ての目標の基盤だというふうに大臣も言われておりますけれども、まさにそのVNRをしっかりやっていただくとともに、この司法の分野でもしっかりと評価をしていただきたい、その点について外務省の答弁を求めたいと思います。
○政府参考人(高杉優弘君) お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘のありましたVNR、自発的国家レビューというものでございます。国際場裏でSDGs達成に向けた取組状況をレビューする会合といたしまして、持続可能な開発のための国連ハイレベル政治フォーラム、HLPFというものがございます。こちらに各国が提出する報告書でございます。日本政府は、前回、二〇一七年にこのVNRを提出しております。
前回の提出から今年でもう四年になります。さらに、様々なステークホルダーのSDGsへの取組が進化してきております。また、昨今、新型コロナ感染症の影響を踏まえてこのSDGsの考え方が改めて注目されていると、こういった状況も踏まえまして、現在、外務省といたしましては、関係の各府省とも連携しながら、今年の七月に予定されておりますこのHLPF、国連ハイレベル政治フォーラムに二回目となるVNRを提出すべく現在作業を進めております。
VNRにおきましては、SDGsに掲げられております全ての目標についてフォローアップをする予定でございます。その意味で、あらゆるステークホルダーの参画を得ながら作成していきたいと考えておりますが、特にゴール十六を始めといたしました刑事司法分野におきましては、先般の京都コングレスにおきましても、二〇三〇アジェンダの達成に向けた犯罪防止、刑事司法及び法の支配の推進ということをテーマにSDGs達成のための取組が議論されたと承知しております。
今後、様々な関係者とも連携しながら、外務省として日本の取組を国際社会にしっかり発信していきたいと考えております。
○谷合正明君 よろしくお願いいたします。
ちょっと質問を一つ飛ばして、再犯防止、保護司について伺います。
保護司の役割というものは大変大きく、京都コングレスにおきましても、開催された世界保護司会議では保護司の国際発信がなされたところでございます。一方、日本国内では、保護司の担い手不足、また高齢化という問題がございまして、先ほども真山議員からも御質問がございました。私も、政務官の地元でもある岡山の保護司さんの声も聞いてまいりましたけれども、改めてこの保護司に対する支援ですね、しっかり強化していく必要があると思っております。
とりわけ、その女性の保護司の比率が上昇傾向にあるという明るい兆しもあります。この機会を捉えて、女性の保護司も活動しやすい支援が必要と考えます。女性保護司の活用策、あるいは女性保護司のその重要性というものはどういうものなのか、また、女性保護司を増やすためにどういう環境整備していく等々、女性保護司に関していろいろ取り組んでいらっしゃると伺っておりますので、小野田政務官に答弁を求めたいと思います。
○大臣政務官(小野田紀美君) 御指摘のとおり、保護司全体の数は減少傾向にあるものの、女性の比率が高まりつつあると、多様な方に保護司として活動していただいている現状がございます。
私自身、全国の法務省関係者等を回る一筆書きキャラバンを大臣、副大臣と共に実施しておりまして、女性を始め保護司の皆様の生の声を聞く中で様々御意見をいただいています。
とりわけ、女性の立場というふうになりますと、保護観察事件への対応に不安なことが推察されるところですので、例えば複数の保護司で事件を担当する複数指名制度の推進であるとか、また保護観察対象者を自宅に招くことを不安に感じるという方も多くいらっしゃったので、地方公共団体等の協力を得まして、自宅以外で保護観察対象者の方と面接できる場所を確保していくこと。あとは、先ほどちょっと答弁にも大臣からあったんですけれども、研修でちょっと遠くまで出かけたりですとか活動であるとかで長時間家を空けるのがなかなか難しいというような女性の声もありますので、保護司活動のデジタル化やオンライン化なども推進をしていこうというふうに様々取組を行う必要があるというふうに考えております。
法務省といたしましては、世界に誇る保護司制度を持続可能なものにするために、女性が活動しやすいということは男性も活動しやすい環境でございますし、多様な様々な方々に保護司として参画いただけるよう活動環境の整備に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
○谷合正明君 よろしくお願いいたします。
再犯防止については、マルチステークホルダーパートナーシップということで、今言われた保護司、また就労の場面でいうと協力雇用主、そして住まいの確保ということで更生保護施設があるということで、大臣からも京都コングレス等で度々発信をしていただいております。
その中で、協力雇用主についてなんですけれども、先ほど数の実態について御報告ありましたけれども、職種についてはどういう実態があるのかについて、まず政府参考人に答弁を求めたいと思います。
○政府参考人(今福章二君) 協力雇用主の登録数は、令和二年十月一日現在で二万四千二百十三社ですが、その内訳、業種別の内訳を申し上げますと、建設業五四・四%、サービス業一六・三%、製造業九・九%などとなってございます。
○谷合正明君 それで、先日、私、少年院や協力雇用主と連携するNPO法人の育て上げネットさんの活動を視察してきました。それで思ったことは、その協力雇用主さんの職種についても、IT系など職種の拡大に向けた取組も必要だなというふうに感じました。とともに、実は、IT系を志望するというか、そういう、例えば少年院の話ですけれども、自分は建設系というよりもIT系の方がいいというふうに、ただ、IT系の職種がなかなかないと。で、IT系の経営者の方に話を聞いたんですけれども、まだ自分たちの企業以外にほかにIT系の企業でそこの協力雇用主になっている人はほとんどいないということで、自分たちが協力雇用主であるということを公表すると、例えば取引先企業との関連でいろいろためらいもあるというようなこともありました。
そこで、この職種の拡大とともに、社会的認知、この協力雇用主の社会的認知を上げていく、理解増進を図っていくことが必要であるというふうに思っております。また同時に、マルチステークホルダーパートナーシップとして、この協力雇用主と連携する、自立支援を行っているようなNPO法人、こういうNPO法人との連携もますます重要になってくるのかなというふうに思っております。
こうした点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) この多様な業種の方々に協力雇用主として活動していただくためにも、広報や、また社会的な認知、評価、こういったことの向上につきましては極めて重要であるというふうに考えております。
今現在のところでありますが、経済団体への協力雇用主確保に向けましての依頼をさせていただいてまいりました。そして、これからもそうした方向を推進してまいりたいと思います。また同時に、協力雇用主の御功績に対しての栄典や表彰の実施、こういったことにも力をこれからも入れてまいりたいというふうに思っております。
また、御指摘いただきましたNPO法人との連携ということにつきましても、まさに再犯防止、立ち直り支援のためのマルチステークホルダーパートナーシップというこの軸の、これを展開していく上でも多様な方々との連携は極めて重要というふうに考えております。法務省が一部のNPO法人の就労支援事業者機構に委託いたしまして協力雇用主に対してきめ細かな寄り添い型の支援を行う更生保護就労支援事業は実施しているところではございますが、さらに、このような取組の中で、NPO法人との協力雇用主の連携促進につきましては力を入れてまいりたいというふうに思っております。
今、少し先進的な事例と皆様から評価されている取組といたしましては、例えば、美祢社会復帰促進センターにおきましてEコマースに係る職業訓練、こういったことの取組、あるいは沼田の就業支援センターにおきましては農業訓練などの形で社会復帰のための様々な新しいプログラムを実施しておりまして、こうしたことが更生保護就労支援事業と連動することによりまして社会復帰がより一層促進していくことができればというふうに考えており、ますます力を入れてまいりたいと思います。
○谷合正明君 よろしくお願いいたします。
それでは、性的指向、性自認に関して質問に移らせていただきます。
今日、同性愛者、性同一性障害者など性的マイノリティーの抱える課題の解決は、誰一人取り残さない共生社会、多様性のある社会を築いていく上で大変重要な課題であります。
二〇一六年以降、いわゆる骨太方針には、性的指向、性自認に関する正しい理解を促進するとともに、社会全体が多様性を受け入れる環境づくりを進めると明記されてきました。地方自治体や民間企業におきましても取組は着実に広がっております。オリンピック憲章には性的指向による差別の禁止が明記されまして、また、大阪・関西万博は二〇三〇年のSDGsの達成を見据えて開催される中、我が国の性的マイノリティーへの取組というのは国際的にも注目されてまいります。公明党といたしましても様々なこれまで取組を進めてまいったところでございます。
先般、札幌地裁でいわゆる同性婚訴訟の判決も下されたところでございます。政府は慎重な検討を要するという立場でありますけれども、こうした同性婚をめぐる訴訟が提起されており、国民的議論を深めていく必要があると考えております。
昨年の大臣所信でも、この性的指向、性自認に関しての差別はあってはならないという旨、大臣所信でも述べられておりますけれども、法務大臣として性的指向、性自認に関する差別や偏見の実態をどう認識し、どのように対策を図ろうとしているか、大臣の率直な答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) この性的指向、性自認に関しましては、社会生活の様々な場面におきまして様々な課題が生じているということを認識をしております。
大事なことは、まさにSDGsの基本的な理念の一つであります多様性を認めるということ、またそれを包摂する力を持つ社会であることということでありまして、法務省におきましても、性的少数者の方々を含めて全ての人々が一人の人間としてそれぞれの個性、また考え方を尊重し、お互いに認め合うことによって人権や尊厳を大切にして、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現を目指しているところでございます。
もとより性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないことでございますが、これに関しまして、昨年一年間の人権相談件数を見てみまして、百八十二件、そのうち人権侵犯事件数が十七件に及んでいる状況でございます。差別、偏見の解消は法務省の人権擁護機関でございますので様々な取組をしているところでございますが、例えば、人権啓発の充実のための講演会等の開催や、また啓発冊子等の配布等も実施しているところでありますが、こういったことについて更に充実する必要があるというふうに考えているところでございます。
そこにいらっしゃる方々の中で、今のような状況、偏見にさらされ、また、いらっしゃる方々のところのお気持ちにしっかりと向き合い、また寄り添うことができるように、こうした様々な活動につきましてもそういう視点で取り組んでまいりたいと思いますし、引き続き、この多様性と包摂性というところが誰一人取り残さないというところの大きな理念でございますので、そうした共生社会の実現は、これは待ったなしの課題であると認識しております。
○谷合正明君 関連しまして、同性の外国人パートナーに付与される在留資格について伺います。
これも多分この委員会で度々質疑があったかもしれませんけれども、外国人双方の本国で有効に婚姻が成立する場合には、平成二十五年の通達で、本国と同様に我が国においても安定的に生活できるよう人道的観点から配慮し、同性婚による配偶者は、在留資格、特定活動により入国、在留を認めることとしています。
そこで、まず、その平成二十五年通達に基づき同性婚による配偶者に特定活動の在留資格を付与した件数はこれまで何件なのかという数をまず確認したいと思います。
その上で、実は、その日本人配偶者との同性パートナーになると、日本では同性婚が法的にまだ認められておりませんので、この特定活動による在留、入国というのが認められていないという状況であります。
平成三十年十一月の参議院外交防衛委員会では、我が党の同僚議員の質問に対しまして、外務大臣からは、同性婚のパートナーが日本人だと入ってこれないというのは明らかにおかしな話なので、外務省から法務省に問題提起をし、政府内で是正すべき、前向きに検討しているという答弁がございました。
公明党PTとしても既に申入れを行っておりますが、日本人配偶者との同性パートナーについて、相手国で婚姻が成立していれば特定活動の在留資格を付与すべきではないかと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(松本裕君) 御指摘の外国人双方について本国で同性婚が認められている場合の特定活動の在留資格を認めた件数は、二十五年十月から令和二年末までの間、取り急ぎ集計した件数として九十三件でございます。
当事者の一方が日本人の場合の関係につきましては、身分関係の明確性、確実性の点やその把握や確認方法等に課題があることから、これらの課題の対応の在り方について現在検討を行っているところでございます。
○谷合正明君 もう時間がないので、最後、大臣、一言、この点についても前向きに検討すべきではないかと、重く受け止め、我々もPTとしても提言しております。重く受け止めて検討していただきたいと思います。一言だけお願いいたします。
○国務大臣(上川陽子君) 同性パートナーに係る在留資格の今後の在り方につきましては、様々な方々から声をしっかりと聞かせていただき、また何ができるのか検討をしてまいりたいと思います。
○谷合正明君 終わります。