○谷合正明君 公明党の谷合です。
政府の孤独・孤立対策における法務省の取組について伺います。
単に既存の政策の延長ではなく、またコロナ以前に戻すだけでなく、SDGsが達成された社会を目指し、より多様性と包摂性のある社会を構築していくべきであると考えております。
公明党におきましても、社会的孤立防止対策本部を先般設置をいたしまして、実は法務委員長の山本香苗議員が党の本部長でやっておるんですけれども、私は事務局長で支えておりますが、何回かヒアリングを重ねておりまして、先日は矯正施設退所者地域支援官から、特に高齢者であるとか障害者の方の出所者への支援の話を伺ったところでございます。
特に司法と福祉の連携強化が必要だなというふうに痛感したわけでありますが、大臣には、この政府の孤独・孤立対策の策定に当たっての法務省の取組と大臣の決意について伺います。
○国務大臣(上川陽子君) 今委員から、SDGsということでございますが、お触れになりました。誰一人取り残さない社会の実現のためには、今この新型コロナ禍におきましてますますプレッシャーが掛かっているという状況でございますので、今まさにこの問題を真っ正面から捉えていく必要があるというふうに思っております。
法務省におきましては、これまでも様々な部署におきまして対策を講じてきているところでございますが、人権擁護機関におきましては、この孤独・孤立問題に関連するものも含めまして、いじめや虐待、ハラスメント等を始めとした様々な人権問題につきまして相談をしっかりと受け付けているところでございます。そしてまた、それに対して対応をするということについて、周辺の機関とともに対応するということでございます。
また、今、ヒアリングをしていただいたということでございますが、犯罪や非行をした者につきましても、再犯等を防ぐための社会的な取組ということについては孤立防止の一番の影響が及んでいる状況でもございますので、更にコロナでということになりますと、そうしたものについてもしっかりと対応をしていく必要があると改めて思っております。厚生労働省と連携をいたしまして、高齢者又は障害を有する者で適当な帰住先がない受刑者等につきまして福祉サービスが受けられるよう調整を行う取組につきましても実施をしております。
また、在留外国人の方々でございますが、孤立させることなく、社会を構成する一員として受け入れていくという視点に立ちました共生社会の実現のための取組ということ、こうした各種の取組を行ってきたところでございます。
何といっても、関係機関、地域、民間の方々と、マルチステークホルダーと連携をしていくということが、こうした孤立、孤独の中でいらっしゃる方々の、手を差し伸べるためにはこの連係プレーが何よりも大事であるというふうに思っておりますので、まさに施策の届け先となる様々な方々の立場に立って、そのニーズをしっかりと踏まえて、そしてニーズに対応した対策を実施、推進してまいりたいというふうに考えております。
特に、委員御指摘の司法と福祉の連携につきましては、地域において福祉、医療等の関係機関と連携をした息の長い支援が行われることが重要であると考えておりまして、更生保護施設の退所者等に対しましての訪問相談支援事業、これは令和三年度から実施をすること、また満期釈放者等に対しましての相談や、また関係機関と連携して支援に積極的に取り組む保護司会を始めとする民間協力者等への支援の充実強化、こうしたこともしっかりと対応してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 是非大臣のリーダーシップを発揮していただきまして、政府の孤独・孤立対策を進めていただきたいと思います。
そして、孤独・孤立対策の一環にもなると思いますが、インターネット上の誹謗中傷対策です。
昨年五月、女性プロレスラーがSNS上での中傷によりまして追い込まれ、そして自ら命を絶つケースがございました。私たち公明党にもインターネット上の誹謗中傷、人権侵害を防いでいくためのプロジェクトチームを発足させまして、昨年六月は、当時森大臣にですね、申入れも行ったところでございます。円滑な被害者救済を図るため、新たな裁判手続の創設を含む発信者情報開示請求の実効性の向上、適切かつ迅速な削除等の促進、相談体制の強化、情報モラル教育の一層の充実など、総合的な対策を官民連携して計画的に進めることを訴えてまいりました。
この度、大臣所信にも言及されておりますが、インターネット上の誹謗中傷対策につきまして、こうした提言を受けて、法務省としての取組を伺いたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) インターネット上での誹謗中傷等の書き込みにつきましては、同様の書き込みを次々と誘発をするものでありまして、取り返しの付かない重大な人権侵害につながるものと認識しております。決してあってはならないことと考えております。法務省におきましては、御提言の内容も踏まえまして、この問題に対しまして対策を進めてきたところでございます。
まず、被害者救済の迅速化という視点から、新たな発信者情報開示手続を創設することなどを内容とするいわゆるプロバイダー責任制限法の改正案につきまして、民事基本法制を所管する立場から、所管省であります総務省と連携をし、その検討に協力してまいりました。
また、法務省の人権擁護機関におきましては、相談者の意向に応じて、違法性を判断した上でプロバイダー等に書き込みの削除を要請をしております。この削除要請の実効性を高めると、こういう視点から、法務省におきましては、総務省とともにプロバイダー事業者等との意見交換の場となります実務者検討会、これを開催いたしまして、削除要請に対する理解を求めるなどしているところでございます。
さらに、御提言を踏まえまして、総務省等と連携をいたしまして、被害者がどのような相談窓口を活用すればよいのか分かりやすく整理した上で周知をする、それとともに、相談を受ける者の研修を実施するなどして相談体制の強化を図っているところでございます。
御提言を踏まえて、刑事法上の対応としても、侮辱罪の法定刑の在り方の検討を行っております。検察当局におきましては、刑事事件として取り上げるべきものについては事案の内容を踏まえた適正な処分に努めているものと承知をしております。
○谷合正明君 命に関わることでありますので、支援制度には迅速性や分かりやすさ、こうしたことを求めてまいりたいと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
続きまして、在留資格のない在留外国人に対するワクチン接種について伺います。
三月三十一日付けで厚生労働省が事務連絡を出しました。こうした方々に予防接種を可能とする趣旨、またその根拠は何でしょうか。そして、副反応が出た場合の対応はほかの接種者と同じと考えてよろしいでしょうか。
さらに、平成二十四年六月の事務連絡、また、その年の七月の厚生労働大臣会見でも被仮放免者はワクチン接種できるとしておりますけれども、新型コロナウイルスのワクチンに限らず、一般に被仮放免者はワクチンの予防接種法に基づき、失礼しました、予防接種法に基づきこうしたワクチンの対象と考えていいのか、整理してお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
今お尋ねがありました新型コロナのワクチンの接種につきましては、これは疾病の蔓延上の緊急の措置ということで今般実施をすることとなっております。したがいまして、その対象者には、仮放免となって、地域で、日本国内で居住をされている実態のある方が含まれるというふうに考えておりまして、その旨の事務連絡を三月三十一日に出させていただいたところでございます。したがいまして、これは予防接種法に基づく予防接種でございますので、同様に健康被害の救済制度、これの対象になるというふうに考えております。
また、お尋ねのありましたその他の予防接種でございますが、これも、御指摘をいただきましたように、平成二十四年の事務連絡で既にお知らせをしておりますが、仮放免中の方がその市町村の区域内に居住をしているということが明らかな場合には、予防接種法に基づく予防接種、これの対象者として自治体に周知をしているところでございます。
○谷合正明君 それで、厚労省に確認するのがいいかどうか分かりませんが、そうした予防接種を疾病の蔓延の防止を図るためということで今回対象にしている、その基、根拠となるのは、これはあれですか、入管法の附則の第六十条から読み取れるということでよろしいんでしょうか。これは入管庁の方に聞いた方がいいかな。
○政府参考人(松本裕君) 委員御指摘のとおりでございます。
○谷合正明君 それで、三月三十一日付けの厚労省の事務連絡には、入管庁と協議の上、事務連絡を出したということでありますけれども、入管庁の立場として留意するということは何かあるのでしょうか。
また、このワクチン接種については、一般に市町村からワクチン接種券が自動的に送付されるということは、そういうことはあるんでしょうけれども、想定し難いところもあるので、周知ということが大変鍵だと思っておりますが、多言語化などの周知をどのように図っていくのか、この点について確認したいと思います。
○政府参考人(松本裕君) 出入国在留管理庁におきましては、四月一日付けで地方出入国在留官署宛てに、厚生労働省から出されました事務連絡を確認し、地方公共団体に対して必要な協力をするよう依頼する事務連絡を発出しているところでございます。
委員御指摘の事務連絡に係る仮放免者の方々のみならず、在留外国人の多くの方々が、コロナ禍の現状におきまして予防接種を受けることが可能なのか、あるいは可能であるとしても、いつどこで、どのような手続が必要なのかなどにつきまして十分な情報に接することができず不安に思っておられることは当庁としても認識しているところでございます。
そのため、これらの不安を解消し、在留外国人の方々が円滑に、かつ確実に予防接種を受けることができるようにするためには、積極的で、かつ正確な情報発信が重要と考えております。そして、当庁はその大きな責任、役割を担っているものと認識しているところでございます。
当庁といたしましては、これまでも厚生労働省を始めとする関係省庁等と連携の上、在留外国人の方々に対する在留支援の中核的役割といたしましてFRESCを設置、運営しているほか、地方公共団体が運営する一元的相談窓口、これは多言語対応でございますが、これとも連携し、多方面での在留支援に取り組んできたところでございます。
予防接種に関する情報発信につきましても、これらの連携の枠組みを活用することに加えまして、当庁として運営しております外国人生活支援ポータルサイトやSNS、さらには先般導入いたしましたメール配信サービスを活用しまして、これらの情報が在留されている外国人の方々、そしてこれらの方々を支援してくださっている方々にも適切かつ迅速に届くよう努力してまいりたいと思っているところでございます。
○谷合正明君 是非よろしくお願いしたいと思います。
それでは、難民について質問をいたします。先に留学生の受入れのところから聞きます。
お手元に、皆さんに資料を配付させていただいております。これは三月三十一日に法務省報道発表資料ということで公表された資料の中に入っているものでありまして、我が国における難民庇護の状況等ということで、全体像がまとめられた表でございます。難民が、令和二年の一年間でいうと、条約難民が四十七名、その他の庇護、いわゆる人道配慮ですが、ここは四十四名、計九十一人という結果になっております。難民につきましては、定住難民と条約難民に分類されて数字が公表されております。
そこで、私が思いましたのは、この統計表に、シリア難民の留学生を今政府は受け入れておりますけれども、それが記載されていないので、記載すべきではないかと考えています。
このシリア難民の問題が起きたときに、この難民保護をどうしていくのか、ヨーロッパでは相当な社会、政治問題になりましたけれども、我が国は、この第三国定住の対象としてはミャンマー難民に限っていたものですから、シリアは対象としていなかったと。ただし、日本として何もしなくていいのかということがあって、実は私、二〇一五年にシリア難民キャンプを訪れまして、そのときに、やはり、例えば留学生として受け入れるという形を取るということがあり得るのではないかと。当時、UNHCRのハイコミッショナーでありましたグテーレスさん、今国連の事務総長をしておりますけれども、グテーレスさんとも意見交換を重ねまして、是非日本で留学生の形として受入れをやってほしいという話がありました。そこで、私もPTの座長としてそうした提言を安倍総理にさせていただきまして、二〇一六年に安倍総理がシリア難民の留学生を五年間で百五十名という形で受け入れるということを発表して、二〇一七年からこれ既にスタートしております。
これは、実は今、留学ビザという、就学ビザというカテゴリーで来ておりますから、ここの数字には、表には入っていないんだと思うんですけれども、ただ、元々の経緯からすると、UNHCRの方もこれは第三国定住のある種発展した形だというふうに認識をされておりまして、今、日本にいるのはたしかレバノンだとかヨルダンにいるシリア難民の留学生が来ているんですけれども、家族とも一緒に来ているんですね。
ですから、こうした数字を報道発表資料の中に是非入れ込んでもらいたいというか、入れ込まないと対外的な情報発信としてちょっと不十分ではないかと思いますので、ここの記載を工夫するなり変えていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(松本裕君) 委員御指摘のとおり、シリア人留学生の受入れにつきましては、シリア危機により就学機会を奪われたシリア人の若者に教育の機会を提供することを目的としました政府の取組でございまして、御党の御提言に基づくものと認識しております。
御指摘のとおり、当庁といたしましても、受入れ状況を積極的に広報していくことは我が国の難民支援の姿勢を広く理解していただくためにも重要であると改めて認識いたしました。そのため、その趣旨から、難民認定数等の統計資料に付記して、直ちに積極的に広報することといたします。
○谷合正明君 最後に、ミャンマー情勢に絡んで質問したいと思います。
今お手元に配付されている資料で、その他の庇護で、二十年から二十六年の間、結構三桁で人道配慮で日本は受け入れている。これ、背景に、ミャンマーの当時の政情不安定な背景があって、その後、民主化になってきたので減ってきているというのが、私はそういうふうに理解しております。定住難民、第三国定住もミャンマー難民でずっとやってきているんですけれども。
それで、今のこの情勢の中なんですけれども、今後、政治的弾圧や差し迫った命の危険などにより、我が国の庇護を求めるケース、あるいは既に日本国内にいるミャンマー人による難民認定申請について、これは適切に取扱いされるよう求めたいというふうに思っております。大臣所信におきましても、真に庇護を必要とする者の迅速な保護が必要であるというふうに言われておりますので、是非そうした対応をお願いしたいと思います。
○政府参考人(松本裕君) 委員御指摘のミャンマーの関係におきましても、を含めて、その本国の情勢等に関しまして、当庁といたしましても、外務省あるいはUNHCR等の関係機関と適切あるいは積極的に連携しながら、その正確な情報を把握して適正な難民認定という運用を行ってまいりたいと思っております。
○谷合正明君 もちろん、こうしたことは発生しないことがもちろんだとは思うんですけれども、仮にそうなった場合の対応ということだと思っております。
時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。