○谷合正明君 公明党の谷合でございます。
まず、新型コロナウイルス感染症についてお尋ねいたします。
先週、新型インフルエンザ等特措法の改正法が成立をいたしました。総理からは、緊急事態宣言を発出する状況ではないと、今後は、宣言については専門家の意見を踏まえ慎重な判断を行っていくとの見解が示されたところでございます。
ただ、仮に緊急事態宣言が発出された場合、農林水産分野において事業者に対しどういう要請、また指示が可能になるか、この点について確認をしたいと思います。
○政府参考人(岩濱洋海君) お答えさせていただきます。
農林水産省といたしましては、これまで、農林水産省の新型インフルエンザ等対策行動計画に基づきまして、参考にしながら、体制の整備、発生予防、蔓延の防止策、国民の食料の供給等の対応を先手先手で進めてまいりました。
先日、新型インフルエンザ対策特別措置法の一部を改正する法律が成立したところでございます。農林水産省でも、同日、国民への食料供給を安定的に確保するために、酪農家、稲作・畑作農家、食品製造業及び卸売市場等のサプライチェーン全般にわたります事業継続に関するガイドラインをそれぞれ取りまとめ、全国で現在周知に努めているところでございます。
委員御指摘のように、総理は、三月十四日の会見におきまして直ちに緊急事態を宣言する状況ではないと判断していると発言されております。今後、仮に緊急事態宣言が宣言された場合には、農林水産省新型インフルエンザ等対策行動計画に基づきまして、先ほどお話しさせていただきました事業の継続計画に関する要請に加えまして、食料品の買占め及び売惜しみを生じないよう調査、監視をすること、米、麦などについて備蓄を計画的に活用することなど、必要な対応について検討してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 WHOは、この度、新型コロナウイルス感染症につきまして、パンデミック相当という見解を示しました。また、三月十六日、先日ですが、G7の首脳声明が発出されました。パンデミックが人道的な悲劇かつ世界的な衛生上の危機であり、世界経済に大きなリスクを与えることを認識するということでありました。
やはりそこで、我が国にはまだその緊急事態宣言発出されていない状況ではありますけれども、食料に関する国際的なサプライチェーンに混乱はないのかとか、また我が国の食料安全保障において影響は出てくるのか等々、これを大臣に対してお答えいただきたいというふうに思っております。
と申しますのも、今、特にヨーロッパで大変深刻な広がりを見せておりまして、もうニュースで、日々流されてくるニュースも、海外の国では、例えば店頭から主食のパスタが消えてしまっているとか、あるいは抗菌作用があるらしいということでニンニクがまた店頭から消えてしまったような国もあるとか、そういう報道が結構目に付いております。
恐らく、そういう報道がなされると、それぞれの国で消費者がまた不安に駆られて買うというような、買占めに走るというような行動もあるのではないかということでありまして、やはりこの不正確な情報で買占めなどの行動につながっていかないようにしていくということも大事だと思っております。
また、大量生産や保存が利く工業製品と違いまして、生鮮食品はそうはいきません。価格の乱高下にもつながりますし、結果的には消費者、また生産者が、これが苦しむということになってまいります。
今般、先ほど答弁いただきましたけれども、北海道の現地対策本部を設置していただいて、それに基づきまして、生産者への事業継続ガイドラインを決めていただきました。卸売市場、水田・畑作農家、酪農家、漁業者向けに事業や生産を継続することの重要性が確認されて、しっかりと食料を安定供給していくんだという生産者サイドに対する計画が決まったところなんですけれども、私は、同時に消費者にも正確な情報というものを提供していくということが大事だと考えております。例えば、食品を介して感染した事例がないことであるとか、あるいは米、小麦については我が国に今備蓄が十分あるということであるとか、我が国への食料輸入に影響がないのであれば影響がないということ、消費者がむやみに不安にならないためにも、最新の正確な公式の、この最新で正確な公式の情報を発信すべきだと思っております。
人はやはり見えないものには不安になりやすいということで、先般、国内でもトイレットペーパーの買占めが、買占めというんですかね、トイレットペーパーが一気に店頭からなくなったということでありまして、やはり大切なことは、怖がるべきところで怖がって、備えるべきところでしっかりと備えていくということだと思っております。
情報発信、リスクコミュニケーションの要諦、大事なことは、行政が伝えたいことではなくて国民が知りたいことを伝えるということが大事だと言われております。是非、そうした国民が知りたいことを伝える姿勢で、今ちょっとるる述べましたけれども、今のこの現状、状況に対して国民、消費者向けのメッセージを大臣に発信していただきたいと思います。
○国務大臣(江藤拓君) 隠さずに、そして公式でオフィシャルなものを国民の皆様方にお知らせする責任があると思います。
昨日、森先生からも御質問をいただきまして、大分メディアでは流れましたけれども、棚上げ備蓄と民間備蓄を合わせても六か月ちょっとしかないというのが日本の現状でありますが、余りそれに過剰に反応すると、さあ、米買いに行かなきゃというふうになられると困るなと実は思ったりもするわけですが。しかし、隠すことは正しくないと思います。小麦についても大豆についても、昨日御答弁をさせていただきました。
ですから、農林水産省として、オフィシャルに、リスクコミュニケーションの観点からどのような情報を発信をするかということはしっかり考えさせていただきます。
ただ、現状においては、ヨーロッパでも、国境については人的な交流、これも、通勤については、シェンゲン条約等ありますので、それは破棄に近いかもしれませんが、通勤の場合については国境を越えられるような措置であるというふうに伺っておりますし、物の流れについては止まっていないということでありますし、日本に対する小麦、大豆、そういったものの供給体制も今変わっておりません。中国からの輸入も回復いたしました。
ですから、今のところ影響はありませんが、パンデミックということになるといかなる状況が起こるか分かりませんので、逐次逐次正確な情報を、変化があれば国民の皆様方に伝える努力を農林水産省としてしっかりしていきたいと考えております。
○谷合正明君 そこで、今、食料・農業・農村基本計画を、改定作業進んでいるところであります。当然、この中には、我が国の食料安全保障に万全を期していくということでしっかりと記述が、従来の計画にもしっかりありますし、今の原案の中にも入っております。
ただ、新型コロナウイルス感染症の問題は、今年に入って、国内のみならず海外をも巻き込む大きな脅威となっております。ですから、動物由来の感染症のみならず、人に感染する新型コロナウイルス感染症などの感染症、これらがパンデミックの事態になった場合、食料安全保障をしっかりやっていくんだということの、そういう記載ぶりをしっかりと明記、反映していくということが大事じゃないかというふうに考えますけれども、この点、いかがでございますでしょうか。
○国務大臣(江藤拓君) 全くおっしゃるとおりだと思っております。
今回のこの事態を受けまして、今回の基本計画の原案も改定をさせております。コロナについての書きぶりについて、昨日の夕方、夜ちょっと遅い時間ですけれども、大体まとまりました。まだ、ですから私のところで止まっておりますので、原案は、実は直しております。
ですから、これは大変な事態でありますので、当然、この基本計画の中にも、この事態について我々がどう立ち向かうべきなのか、どのように認識すべきなのか、そのことについてもしっかりと書き込ませていただきますので、また、御党からも御意見をいただければ反映させていただきたいと思います。
○谷合正明君 しっかりお願いいたします。
さて、農林水産省所管の動物検疫所、動物医薬品検査所などの機関におきましても、新型コロナウイルス用のPCR検査に協力できるよう準備を進めているということで、衆議院の質疑でも答弁があったところでございます。
現状それがどうなっているのか、施設数、PCRの台数、検査可能な件数、件数ごとに示していただきたいと思います。また、保健所との連携の仕組みはどうなっているのか、さらに、政府対策本部が先般発表したPCR検査、今一日最大六千件を超える処理能力があるというふうに総理からも言われているんですけれども、この中に農水省所管の機関というものは含まれているのかどうか、この点について確認させてください。
○政府参考人(新井ゆたか君) お答え申し上げます。
このPCRによりますコロナウイルスのいわゆる検査体制につきまして、農水省も、独立行政法人も含めまして協力しているところでございます。この検査に必要となりますリアルタイムPCRという機器自体は、農水省の独立行政法人も含めますと約二百三十台保有をしております。
その中で、特に、消費・安全局の検査の専門家が厚生労働省と随時打合せをしておりますけれども、その検査の条件でありますとか、その専門家の、いろいろ人にかからないためにやるべきいろんな研修とかもございます。これにつきまして、まずは検査をする施設がBSL2という、そういういわゆる施設のバイオセキュリティーレベルの条件があるということ、それから、検査をする場合の人的な、人がいろいろ研修を積むという条件がございます。
そういう中で見ますと、農水省が所管をしております先ほどのリアルタイムPCRのうち、動物検疫所、それから動物医薬品検査所を含めまして、約二十二台が対象ということでございます。
そういう中、動物検疫所、動物医薬品検査所から専門家を国立感染症研究所に派遣をいたしまして研修をしております。そういう点では、厚生労働省から要請があればすぐ検査ができるという体制を既に整備したところでございます。
それから、お尋ねがありました三月十日に政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が公表いたしました緊急対応策第二弾におきます一日約六千二百件という中には、農林水産省関連機関の検査件数は含まれていないという状況でございます。
○谷合正明君 含まれていないでいいんですね。
また、ちょっと来週以降の質問に回したいと思います。
さて、質問は、ちょっと話題を変えます。畑作物の直接支払交付金についてお尋ねしたいと思います。
配付資料にも届けさせていただいておりますが、今、基本計画の改定作業が進んでおります、自給率向上、需要に応じた生産、これは引き続き重要であるということなんですけれども。
今日の予算の説明でも大臣からお話がありましたが、この小麦に関して言えば、国産小麦、特にパン・中華麺用品種の生産拡大が大事だと考えますけれども、いかがでしょうか。需要と生産の実態、また、今後の見通し、目標などについても、さらには、今の直接支払交付金の仕組みがどのように後押しになっているのかについてもお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(江藤拓君) 水田フル活用でありますので裏で作るというやり方もありますけれども、麦を作るということであれば、これは当然排水暗渠の整備をしなきゃいけませんので、まずは、農地の基盤整備をしっかりやらなければならないということがまず基本になります。
その上で、年間日本は六百万トン必要なわけでありますけれども、そのうちの国産小麦がたった、中華麺、それからパンに回っているのは十三万トンしかないということであります。なかなか作っていただけないということでありますが、数量的には毎年伸びております。伸びておりますが、例えば、平成二十三年は作付面積が二・二万ヘクタールでしたけれども、平成三十年には四・八万ヘクタールになっておりますので、面積的には伸びておりますが、まだ伸び率は相当あると思っております。
そして、主食用米と、それから小麦の収入、これを作付けた場合の農家の手取り、所得の差をちょっと比較をさせてみたんですが、大体、主食用米、標準米ですけれども、十アール当たり三万九千円ぐらい、米だとですね。これは、いい小麦、小麦にも質がありますからあれですけれども、ゲタを含んでですけれども、四万七千円ということでありますから、米に遜色のない収入が得られますので、基盤整備をしっかりやって、そして水田をフル活用していただくという観点からも、戦略作物である麦、大豆、この生産拡大にはより一層力を入れていきたいと考えております。
○谷合正明君 しっかりと進めていただきたいと思います。伸び代があるということだと思います。
その上で、今の直接支払交付金の仕組みについて、是非ちょっと改善をお願いしたいというふうに思っております。
といいますのも、私も、島根県のある小麦生産農家の方に直接お話を伺って気付いたんです。実は、島根県では、都道府県ごとに決めている登録品種というのがあるんですけれども、その県の登録品種が農林六十一号の一種に限定されています。これは戦前の時代に開発された日本で一番古い品種でありまして、最も親しまれてきた品種でもあるんですね。しかし、パンとか中華麺用には向いていないということでございます。
その県内農家さんがパン用の小麦の品種で栽培しても、県の登録品種ではないということで、昨年までは一番低いランクの単価、この資料でいいますと、一等、二等、さらに、たんぱく質の含有率に応じてABCDと分かれるんですけれども、県の登録品種じゃないということでDのランクになっちゃうんですね。Dの交付金単価しか得られない仕組みとなっていたんですね。
畑作物の直接支払交付金を需要に応じた生産を促す制度とするために、都道府県の登録品種以外の品種、特に、パン・中華麺用品種を作っても、このパン・中華麺用品種を作ると二千三百円上回る単価になるんですね。そういう政策なんですけれども、それが今できていないということなんです。
そのパン・中華麺用品種を作っても二千三百円分上回る単価が得られる仕組みに改善すべきではないかと。検討が進められていると承知しておるんですけれども、改善できますか。できるとすれば、いつからできますか。また、今は島根県のケースでお話ししましたけれども、全国的にどのような効果があるのか。さらに、そうした制度の見直しをしたとしても、やはり周知というのが大事になってまいります。この周知の仕方についても、まとめて答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(天羽隆君) お答え申し上げます。
委員御指摘の麦に係るゲタ対策についてでございます。
平成三十年産までは、委員御指摘のとおり、産地で設定がない品種、県で登録されている品種以外の品種につきましては、先生の御提出資料のAからDランクのうちDランクの交付単価を適用してきたところでございます。
しかしながら、近年、各産地で新しい品種への取組も見られることも踏まえまして、令和元年産の小麦から、産地で設定がない品種につきましても、たんぱく質の含有率等の違いによりAランク、Bランク、Cランク、Dランクそれぞれの交付単価を適用する運用としたところでございます。
また、令和二年産の小麦からは、パン・中華麺用の品種につきましては、産地や県で設定がない場合であってもパン・中華麺用の単価が適用されることとなります。
このような支援策も活用してパン・中華麺用の小麦の作付けがより一層推進されることが必要だというふうに考えておりますが、地域農業再生協議会等の関係者に私どもから周知をするとともに、御関心のある産地、生産者に対しては直接説明に出向くなどにより、しっかり周知に努めてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 令和元年に一回見直ししているんですね。令和二年、もう一度、この登録品種以外のパン・中華麺用品種を作ってもしっかりとAランクの単価が出るような仕組みに、可能にする仕組みにするということなんです、答弁としては。ただ、その昨年の見直しが現場に周知されていないという、一部、やっぱりそういう問題もあるんです。
ですから、今見直しの答弁ありましたけれども、見直しをしてもやっぱり現場に届かなきゃ意味がないわけですから、そもそも、大臣の最初の答弁にあったとおり、水田フル活用、また、この小麦については国産をしっかりと奨励していくと、しかも、今、パン・中華麺用という新しいところ、需要伸びているところ、そこにしっかり後押ししていく、そういうことをしっかりきめ細やかにやっていただきたいというふうに思っております。
次に、質問はちょっとバッタの話になるんですけれども、今、東アフリカでサバクトビバッタという被害が深刻な被害になっております。この資料を付けておりますけれども、これが東アフリカのみならず、今、中東、パキスタンまでもう来ております。季節的に今バッタが更に繁殖する時期を迎えていくということで、FAOなども非常に警戒しております。実際に中国も、今、中国国内にこのサバクトビバッタ被害が来るのではないかと警戒しております。
そこで、まず、このサバクトビバッタ、この原因、それから被害の状況、また日本への影響、そして、今国際機関が支援アピールを出しておりますけれども、日本政府の対応について、外務省の参考人に伺いたいと思います。
○政府参考人(赤松秀一君) お答えさせていただきます。
サバクトビバッタは、西アフリカのモーリタニアからインドにかけて広範囲にわたって生息しておると言われておりまして、降雨量等の気候条件により大発生することがございます。委員御指摘のとおり、昨年十二月に東アフリカ地域にサイクロンが上陸したこと等が原因となって、サバクトビバッタが現在大繁殖しているという状況にございます。
国連食糧農業機関、FAOによりますと、本年六月までに通常の四百倍のサバクトビバッタが発生する可能性があり、東アフリカ地域を中心に、二千二十万人が深刻な食料危機に直面する可能性があると予測されておると承知しております。
こうした状況を受けまして、今月十日、日本政府は、特に被害が深刻なケニア、ソマリア及びジブチに対しまして食料の配布等を実施するため、国連世界食糧計画、WFPを通じまして七百五十万ドル、日本円で八億二千五百万円相当ですが、緊急無償資金協力を実施することを決定したところでございます。
なお、今般のサバクトビバッタの大量発生による我が国への影響についてでございますが、現時点では、被害が拡大している局面でもございましてなかなか予断することは困難な状況でございますが、外務省といたしましても、引き続き事態の推移をしっかりと注視してまいりたいと存じます。
○谷合正明君 農林水産省も積極的にこの国際的な問題に関与していただきたいなと思っております。
国際農林水産業研究センターというものを農水省が所管しているんですけれども、ここには、研究者で、ちょっと配付資料にありますけれども、「バッタを倒しにアフリカへ」という本を書いた研究者の方もいらっしゃいまして、まさにサバクトビバッタの専門家なんですけれども、そうした研究者による技術的な協力も積極的に行っていくべきではないかというふうに思っておりますが、答弁を求めたいと思います。
○副大臣(加藤寛治君) お答えいたします。
サバクトビバッタの被害と対応につきましては、国連食糧農業機関、FAOが関心を持っていると承知をいたしております。サバクトビバッタがどのように成長、繁殖、移動し、どうして群れに変異するかはいまだ解明をされていないというのが現状でございます。一方、アフリカでは、防除手段として殺虫剤が不適切に使用されており、環境と健康への悪影響が懸念をされているところでございます。
このため、農林水産省所管の国際農林水産業研究センターでは、平成二十八年度から令和二年度までに、環境保全に考慮した防除方法の開発のための基礎的な研究を行っているところでございます。具体的には、当センターの専門研究員をモーリタニアの研究機関に長期出張をさせまして、バッタ研究で知見のあるフランスの研究機関と連携をしながら、野外調査を通じた群れの発生要因やメカニズム解明に向けた研究を進めておるところでございます。
農林水産省といたしましても、引き続きこの研究の推進に努めてまいりたいと、このように思います。
○谷合正明君 時間になりましたので終わりますけれども、今年は、我が国で世界の栄養サミットも開催されます。国際的な飢餓や栄養の問題に、SDGsの中心課題でもありますので、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
終わります。