○谷合正明君 公明党の谷合です。
この通常国会では、行政のデジタル化を進めていくことは政権の柱ともなっております。そこで、不動産登記制度の見直しと行政のデジタル化につきまして質問をいたします。
不動産登記につきまして、オンラインによる申請件数は、令和二年の速報値で五百九十五万件とされております。相続登記の申請が義務化されることに伴いまして、登記の手続的な負担を軽減する方策が重要であります。
そこで、まずは法務大臣に伺いますが、不動産登記のオンライン申請に関する運用上の問題点と、不動産登記法の改正を踏まえた今後の法務省における行政のデジタル化への取組や意気込みについて伺いたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 不動産登記につきましてのこのオンラインの申請、先ほど数字お述べいただきましたけれども、全体の六割を超えているところでございますが、その大部分を司法書士等の資格代理人によるものが占めている状況でございます。本人がオンラインでの登記申請をする割合は低水準にとどまっていると承知をしております。その原因は、オンライン申請に対応するために生ずる手間やコストによりましてオンライン申請が敬遠されているという点にあると考えられているところでございます。
今般の不動産登記法の改正におきましては、例えば、住所等の変更登記につきまして、負担軽減という観点から、登記官が他の公的機関から住所等の異動情報、これを取得し、これを職権的に登記記録に反映させることとしておりますが、この際の登記名義人の意向の確認については、オンラインによることも検討しております。かつ登記申請と比べましてより迅速、簡易な仕組みとすることを検討しているところでございます。
法務省といたしましては、この所有者不明土地対策におきまして、このような取組にとどまらず、法務行政のデジタル化一般に関しましても、利用者の利便性の向上、業務の効率化や、また質の向上を図る観点から、AI等の新しい技術も取り入れつつ、取組を加速してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
相続登記におきましては、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要であるなど、手続的な負担が大きいと承知しております。今後行政機関の情報連携により登記申請時に戸籍謄本の添付を省略することはできないのかといった議論もあったと思います。
今回の改正では、相続人の手続的な負担を軽減するため、相続人申告登記の制度を設けることとしています。相続人申告登記について、オンラインでの申請ができれば、より手続的な負担を軽減することにつながります。
また、相続人申告登記は、司法書士等の専門家に依頼しないでも個人でできる手続を想定しているとのことであります。したがいまして、オンラインでの申請も、先ほど大臣の答弁もありましたけれども、一般の方が利用しやすい、利便性のあるシステムを構築する必要があります。
この戸籍謄本の件も含めまして、以上、法務省の見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
今回の不動産登記法の見直しにおきましては、委員御指摘の、その戸籍とのシステム的な連携を図って登記申請時に戸籍事項証明書等の添付を省略するといった施策を行うこととはしておりません。
今回戸籍とのシステム的な情報連携を実施しなかったのは、戸籍につきましては、個人ごとに戸籍情報が備えられているわけではなく、相続関係を示す情報も備えていないことに加えまして、コンピューター化される前の戸籍が紙又は画像データで保管されていることなどから、現在それぞれの戸籍の情報がひも付けされているとは言えないために、現時点におきましては情報連携のためのシステム構築が困難であると考えたところによるものでございます。
次に、委員御指摘の相続人申告登記につきましては、これ相続登記の申請を義務化、義務付けることに伴いまして、その申請手続の負担軽減を図る観点から新設することとしたものでございます。所有権の登記名義人の相続人からの申出を受けた登記官が職権により登記をすることを想定しておりますところ、通常の相続登記の申請と比べて添付すべき戸籍事項証明書等は簡略なものとすることを想定しております。
また、オンライン化につきましてですが、この相続人申告登記制度は、通常の相続登記と異なりまして、登記の申請によるのではなく申出による手続としているため、一般の登記申請と比べて手続はより簡素なものとすることを想定しております。例えば、申出の手続につきましては、郵送等の手段による申出に加えまして、御指摘のオンラインを通じて簡易に行うことができるようにすることなどが検討課題となるものと考えております。
法務省といたしましては、相続人申告登記の申出について、相続人の負担軽減を図ることができるよう工夫を重ねてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 そうしたことの周知も大事だと思いますので、しっかりお願いしたいと思います。
税負担の軽減についてはちょっと飛ばさせて、一旦飛ばさせていただきまして、国庫帰属の要件について何点か確認したいと思います。
法制審議会の部会における議論の過程では、国庫帰属の要件が厳格であるとして、全国市長会及び全国町村会から意見書が提出されました。
意見書によりますと、法制審議会の部会では、農用地や林地については国庫帰属の承認申請に先立って市町村の窓口へ申し出ることを義務付けることが検討されていたようでありますが、まず、これはどのような理由によるものでしょうか。結論として市町村の窓口への申出につきましては要件としないことになったわけでありますが、法制審議会の部会では意見書の提出を踏まえてどのような検討がなされたのでしょうか、確認いたします。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
農用地あるいは森林につきましては、これらの土地を適切に集約して維持して利用するという政策的な観点から、農業経営基盤強化促進法あるいは森林経営管理法等の既存の法律において、利用権を設定したり売却をあっせんしたりするなどの仕組みが既に整備されております。法制審議会民法・不動産登記法部会においては、農用地及び森林については、地域における効率的な土地の利用を促すため、承認申請に先立ってこうした既存の制度の利用を申し出なければならないものとする規律を設けることについても検討が行われたわけでございます。
もっとも、この案につきましては、委員も御指摘のとおり、全国市長会及び全国町村会から意見書が提出されております。その内容ですけれども、市町村への事前の申出を義務付けることは農用地及び森林の所有者に過重な手続的負担を強いることになること、それから市町村等の事務負担が増大することなどを内容とするものでありまして、慎重な検討を求めるという意見書が提出されたものでございます。
こういった意見書も踏まえました法制審議会の民法・不動産登記法部会において調査審議をした結果、この農用地及び森林の相続人や市町村のその手続負担あるいは事務負担の増大といったことは、これは無視することはできず、地域における効率的な土地利用については、関係機関が連携して既存制度の一層の周知、広報をすることによって促進することが可能であることなどを考慮して、最終的には先ほど申し上げたような規律は設けないという結論に至ったものでございます。
○谷合正明君 いずれにしても、丁寧に進めていくことが大事だと思っております。
農地、林地に関連しますけれども、農業用ため池について確認したいと思っています。
農業用ため池につきましては、今、農業人口の減少でありますとか、特に中山間地域では高齢化の進展によりまして維持管理が困難になっております。ほとんどが江戸時代以前に造られておりまして、所有者がはっきりしないものも多くて、平成三十年七月豪雨では、この豪雨災害によりため池の決壊等も発生しましたので、このため池の管理の重要性が高まっております。
そこで、農水省としてはため池管理のための法律を既に成立し、施行になっているところでありますが、そこで、農業用ため池は正確には農地、林地でもないというふうに承知はしているんですが、今回のその所有者不明土地にこの農業用ため池というのはどのように位置付けられているんでしょうか。ため池を相続により取得した場合に、維持管理が困難であるから国庫帰属をしたいというニーズはあり得るのかということで、ため池がこの国庫帰属の対象となることは考えられないのか、法務省の見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
相続土地国庫帰属制度におきましては、国庫に帰属した土地が主に農用地又は森林として利用されているものは農林水産大臣が管理し、それ以外のものは財務大臣が管理するとされております。ため池がある土地につきましては、主に農用地として利用されているかどうかでその管理者が決まるということになります。
農業用ため池につきましては、一般に付近の農業用水を供給するものでございまして、所有者以外の者による使用が予定されていますことから、国庫帰属後に国が管理するに当たりましては、土地の使用者等との調整が必要になりまして、その管理に過分な費用や労力を要することになります。そのため、所有者以外の者による使用が予定される農業用ため池は、相続土地国家帰属法案二条三項三号に該当する土地として、政令で国庫帰属の対象外とすることを予定しております。
また、所有者以外の者による使用が予定されない農業用ため池でありましても、先ほど委員からも御紹介ございましたけれども、決壊により周辺土地に損害を発生させないように必要な措置を講ずる必要がありますため、管理又は処分に過分の費用又は労力を要する土地として、相続土地国庫帰属法五条一項一号に基づきまして、政令で国庫帰属の対象外とすることを想定しておりますが、具体的な要件の詳細につきましては、今後関係省庁と連携して検討してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 分かりました。
ただ、いずれにしても、農水省の方の農業用ため池の方の管理法でしっかりと対応していくということが大事だというふうに思いました。
それで、国庫帰属の要件につきましては、崖がある土地や樹木がある土地は国庫帰属の対象外とされておりまして、衆議院の議論でも森林における樹木について質疑がされておりました。
そこで、果樹園である農地や林地のような土地については国庫帰属の対象外となってしまうのか、国庫帰属の要件を設けた理由も含めて、法務省に再度確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
済みません、最初に、先ほど私、答弁で相続土地国庫帰属法第五条一項一号と申し上げたようですけれども、五条一項第五号の間違いでございましたので、訂正させていただきたいと思います。
委員御指摘の果樹園でございますが、土地所有権の国庫帰属を広く認めるものとすると、土地の所有に伴う管理コストが国に広く転嫁されるおそれがあるとともに、所有者が将来的に土地の所有権を放棄する意図の下で土地を適切に管理しなくなるモラルハザードが発生するおそれがありますため、この制度、相続土地国庫帰属制度におきましては、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として法令で定められたものに該当する土地については国庫帰属の対象から除外することとしております。
こういった趣旨から、法案の五条一項第二号におきましては、土地の通常の管理又は処分を阻害する樹木が存する土地については国庫帰属の対象外とすることとしております。
果樹園の樹木ですが、これは個別の事案にもよりますが、一般に、放置しておくと鳥や獣や病害虫の被害の発生要因となりますので、草刈り等の通常の管理に加えまして、定期的に果実を含めた枝の剪定や農薬の散布などの作業が必要になるものと承知しております。そのため、果樹園は基本的に通常の管理又は処分を阻害する樹木が存する土地に該当し、国庫帰属の対象外になることが想定されます。
今後、通常の管理又は処分を阻害する樹木が存在する土地であるか否かの認定に関する具体的な運用の在り方を定めていくことになりますが、これにつきましても、関係省庁と連携して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○谷合正明君 国庫帰属の要件につきまして、特に運用面については今後また詰めていくと、関係省庁としっかりと詰めていくという話でありましたが、バランスを取って、また、この法律の施行上、まずスタートはどうしていくのかと、いろいろ様々な観点の中でこの要件が決められたというふうに承知しております。
一方で、厳し過ぎるのではないかという指摘もありまして、法律の施行後、運用状況を見ながら承認の要件についてしっかり見直しも検討していくことが大事だと思っておりますが、再度答弁を求めたいと思います。
○政府参考人(小出邦夫君) 今回の法律案におきましては、通常の管理、処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地については国庫帰属の対象外としております。
相続土地国庫帰属制度はこれまでにない新しい制度でございまして、現時点では、どのような土地がどの程度国庫に帰属し、国民の負担がどの程度になるかを厳密に見通すことは困難でございます。
委員御指摘のとおり、この制度につきましては五年後見直しの規定が設けられておりますので、この要件の在り方等を含めまして、制度の運用状況も踏まえ、関係省庁と連携して必要な見直しを検討していく予定でございます。
○谷合正明君 この国庫帰属については、今後どの程度出てくるかという見通しを示すのは困難であるという話でありましたが、仮にその農地、林地が国庫帰属認められた場合なんですけれども、農林水産大臣が管理、処分をこの農地、林地についてはすることになっていると。
それでは、農林水産省にお伺いしますけれども、国庫帰属した農地や林地についてはどのような利用を想定しているのか、答弁を求めたいと思います。
○政府参考人(大島英彦君) お答えいたします。
本法案では、相続した農地や林地につきまして、賃借権等の権利が設定されていない等の要件を満たした場合、土地所有者が国庫帰属の申請を行い、法務大臣の承認が得られれば国庫帰属させるということとされておるところでございます。国庫帰属した土地のうち、主に農用地又は森林として利用されている土地の管理及び処分は、委員御指摘のとおり、農林水産大臣が行うこととされているところでございます。
国庫帰属された場合の管理等の在り方につきましては、農地の場合は、定期的な草刈りや巡回などの管理を行いつつ、農業者への売払いの働きかけ等を行うことを考えております。また、林地の場合につきましては、定期的な境界の刈り払いや巡回などの管理を行いつつ、地域関係者の要望を踏まえて売払い等を行うことを考えているところでございます。
いずれにせよ、関係省庁とも連携をしながら、それぞれの土地の状況に応じた適切な利用を図ってまいりたいと考えております。
○谷合正明君 分かりました。
それでは、次の質問に移ります。地図混乱地域について質問いたします。
法務局では、全国の都市部の人口集中地区の地図混乱地域を対象として、登記所、済みません、登記所備付け地図作成業務を、作成作業を計画的に実施していると聞いております。
まず、地図混乱地域とはどのような土地をいうのか、また、地図混乱地域の実態、発生原因について法務省に伺います。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
お尋ねの地図混乱地域ですが、これ、公図と現況のずれが大きい地域をいいます。公図とは、登記所備付け地図と同様に、土地の位置、形状及び地番を表示するものですが、その精度は必ずしも高くなく、登記所備付け地図が登記所に備え付けられるまでの間、これに代えて備え付けられるものでございます。法務省では、この公図と現況とのずれが六メートルを超える地域が地図混乱地域であると整理しておりまして、その面積は全国で約六百六十平方キロメートルであると推計しております。
この地図混乱地域の主な発生原因といたしましては、過去に作成された公図、これは旧土地台帳附属地図等が最初から正確性を欠いていたということと、宅地造成等で土地の区画の変更が行われたにもかかわらず登記手続や地図訂正が適正に行われなかったといったことがあると考えられているところでございます。
○谷合正明君 それで、六本木ヒルズを開発するときに、この地図混乱地域の問題があって開発に相当時間や手間が掛かったということであります。また、今でも、例えば工事の方がこの土地の売買をしようとしたときに地図混乱地域であるとなると、そこで例えば銀行からの融資の話が止まってしまうということで、様々やっぱり実体経済の中で問題が生じております。
まず、地図混乱地域が存在することにより、どのような問題があると承知しているのか、その問題を解決するためにどのような取組をしているんでしょうか。先ほど、現在六百六十平方キロメートルと言われましたけれども、それはこれまでのトレンドの中でどうなっている、減ってきているのか、もう現状維持でずっと来ているのか、この辺りちょっと含めて答弁いただきたいというふうに思っております。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
地図混乱地域では、土地の境界、筆界の現地における位置が明らかではないことから、土地の売買や担保権の設定等の経済活動が阻害されるほか、固定資産税の適正な課税等の行政事務に支障を来す、あるいは道路や下水道整備などの社会基盤の整備に支障が生ずるといった問題が発生するため、その解消は極めて重要であると考えております。
このため、法務省では、全国の人口集中地区、DIDと呼んでおりますが、その地区における地図混乱地域を対象といたしまして、法務局が実施主体となり登記所備付け地図の整備作業を実施しており、現在は平成二十七年度を初年度とする十か年の作業計画に基づいて計画的に作業を進めています。
この計画におきましては、従前より実施していた全国の都市部における作業面積を拡大して実施するとともに、新たに、整備の遅れの見られる大都市の枢要部や地方の拠点都市における地図の整備や、東日本大震災及び平成二十八年熊本地震からの復興の加速化のための地図の整備の促進を図るため、これらの地域を対象とした地図整備作業にも併せて取り組んでいるところでございます。
先ほど地図混乱地域が六百六十平方キロメートルあるというふうに申し上げましたけれども、この作業によりまして着実に地図混乱地域の面積を減少させているところでございます。
法務省といたしましては、今後とも必要となる予算の確保に努め、登記所備付け地図の整備作業、これを着実に推進してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 しっかりやっていただきたいというふうに思います。
着実に減少していると言うんですけれども、ちょっとその着実がしっかりと数字で示されるようにお願いしたいというふうに思います。
それでは、次の質問ですが、所有者不明土地管理制度におけます人材育成について伺います。
今回の改正によりまして、所有者不明土地の管理に特化した新たな財産管理制度として所有者土地管理制度が設けられることになります。この所有者不明土地管理制度においてどのような者が管理者になることを想定しているのか。そして、管理人となる方に対する研修等をしっかりとしていくことが必要になると思います。先日の参考人質疑でも同様な意見が参考人の皆様から示されたところでございます。法務省の見解を伺います。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
所有者不明土地管理人は他人の土地を適切に管理することを職務とする者であり、その管理人については、裁判所が個別の事案において管理人が行う具体的な職務内容を勘案して、管理人としてふさわしい者を選任することとしております。例えば、土地の処分等を行うケースについては弁護士や司法書士等が選任されることが想定されるほか、土地の境界の確認等を行うケースでは土地家屋調査士が選任されることがあり得るものと考えられます。
所有者不明土地管理人は所有者に代わって土地を適切に管理する職責を担う者でありますから、専門職者の団体において行われる研修等の取組は、管理人としての職務の質を高め、制度の適正かつ円滑な運用を図るために有意義なものと考えております。
委員から御指摘ございましたけれども、先日の参考人質疑では、日本司法書士会連合会及び日本土地家屋調査士会連合会において、管理人の候補者を養成するための研修を実施するなどの取組を行う予定であるとお聞きしたところであります。
法務省といたしましても、こうした取組を踏まえまして、所有者不明土地管理制度の適正かつ円滑な運用が実現されるよう、関係機関と連携して必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
○谷合正明君 しっかりお願いします。
それでは、最後の質問にいたします。
税負担の軽減について、一旦飛ばした質問でございますけれども、まず、この税負担の軽減ということも今回大事だというふうに考えております。登記手続の費用負担を軽減する観点から、まず、この登録免許税の負担の軽減策についてどのように考えているのか。また、登記の手続的な負担を軽減する方策として、冒頭取り上げました相続人申告登記の制度を設けることとしていますが、この相続人申告登記をするには登録免許税が必要になるのか。必要になる場合、登録免許税の負担軽減策は考えているのか。負担軽減の程度は相続登記の場合と違いを設けるつもりなのか。以上、法務省に伺います。
○政府参考人(小出邦夫君) 今般の不動産登記法の見直しでは、相続登記の申請を義務化するとともに、その申請義務の実効性を確保するべく、相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする観点から、新たに相続人申告登記を創設するなどの環境整備策をパッケージで導入することを予定しております。加えて、申請人の手続的な負担だけでなく、申請人の費用面での負担軽減を図るための方策を講じることが必要であると認識しております。
この点、令和三年度与党税制改正大綱におきましては、登録免許税の在り方については、所有者不明土地問題の解決に向けて、相続発生時における登記申請の義務化、新たな職権的登記の創設等を含めた不動産登記法等の見直しの成案を踏まえて、令和四年度税制改正において必要な措置を検討することとされております。
これを踏まえまして、法務省では、引き続き令和四年度税制改正に向けて取組を進めていくこととしておりますが、その中では、委員御指摘の、相続登記に加えまして、新たな職権的登記であります相続人申告登記についても必要な検討がされるべきものと認識しております。
法務省といたしましては、相続登記の促進を図るため、環境整備策や費用軽減策に関する施策を引き続き推進していきたいと考えております。
○谷合正明君 もちろん、与党税制大綱で決めていって、それをまた政府として受け止めていくというのが流れになりますけれども、是非法務省としても主体的にしっかり検討していただきたいというふうに思っております。
以上、私の質問を終わります。