○谷合正明君 公明党の谷合です。
平成の時代の最後の予算委嘱審査ということでもあります。また、先般は所信に対する質疑も行われたということでございまして、大変節目の質疑であるというふうに認識をしております。
この平成の時代をどう振り返るかということで、例えば、よく外交ではポスト冷戦時代だということで、それにどう対処していくかということが大きなこの時代だったというふうに言われていますし、また一方で、国内を見てみますと、大きな本当に、阪神・淡路大震災ですとか東日本大震災のような災害に直面した時代でもあったというふうにも言われております。
では、我が国経済としてはこの時代をどう認識しておくべきなのかということを大臣に最初に尋ねたいんですが、実は平成元年の、平成一年の商工委員会の大臣所信質疑も私ちょっと見返してみまして、当時通産大臣がどのようなことを言われていたのかなと。
当時、例えば時代背景の認識として、主要国の対外不均衡の存在であるとか発展途上国の累積債務問題なんかが言われていた。また一方、国内経済としては、例えば諸機能の東京集中が進んでいるだとか、また経済力に見合う生活や心の豊かさも大切にしなければならないということが所信で述べられていて、具体的には、直面する課題として、ウルグアイ・ラウンド交渉の進展に向けた最大限の努力を払うであるとか、あるいは産業機能の地方への分散を一層進めることですとか、航空宇宙、情報、超電導などの分野の技術開発に努めるとか、また中小企業の育成ということも入っておりましたし、消費税の、当時、消費税の導入だったんですけど、消費税の円滑な定着ということも言及されておりました。
平成十三年になりますと経済産業省が発足しまして、そのときの初代の経産大臣であります平沼大臣の所信になるともう少し、対処的な面での所信というよりは時代の改革していこうという力強いメッセージが入っておりまして、例えば、「時代を切り開くさまざまな分野での新しい挑戦に、あすの我が国の発展への大きな可能性が秘められている一方、戦後の発展を支えてきた我が国の社会経済システムは、その制度のひずみを一層顕在化させてきており、従来の発想を超えた決断と実行が切に求められております。」ということも言われておりました。
具体的に、課題として、IT革命への対応とか、また技術革新も、ライフサイエンスとか情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料等の分野ということも明示されておりました。中小企業政策とか地域経済の産業政策の展開ということにも言及されておりましたし、戦略的な対外経済産業政策の推進ということも言及をされてきたところでございます。
今回の大臣所信、また先ほども述べられた予算、これらは恐らくこれまでの我が国の経済の現状を認識した上での所信であり予算であるわけでありますが、改めまして大臣に、この平成の時代をどう振り返っているのか、また我が国経済が直面している大きな課題とは何かということをまず冒頭にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(世耕弘成君) 大変難しい御質問なわけでありますが、平成のちょうど冒頭の頃、私は二年間アメリカに留学をしておりました。その頃は、やはり日本企業、日本経済すごいなと、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた頃から近い頃でもありました。日本の企業経営に対する関心も非常に高かったわけであります。それが平成四年に帰ってきて、ちょっとがらがらがらっと崩れていく姿を見た。これが私の平成のスタート期の印象であります。
やっぱり少し経済面では七転八倒した時期だったんではないかな。特に、情報革命が進んでいく中で、物づくりを中心とした、得意分野とした経済がなかなかうまく立ち回れなかった面があるんだろう、あるんではないだろうかというふうに思っています。
今の三塚大臣あるいは平沼大臣の所信表明見ても、特に平沼大臣の時代にはITというものを相当意識して、二〇〇〇年ですから、相当IT革命というのが言われ出していた頃でありますが、残念ながら、それにはうまく波に乗ることができなかったんだろうというふうに思います。今まさに平成が終わろうとしているときに第四次産業革命といったものが起こり始めています。この流れ、今度の新しい時代は、この流れにしっかり日本が乗っていくというか引っ張っていくということが極めて重要だろうというふうに思います。今我々は、その準備としてコネクテッドインダストリーズという考え方を提唱しているわけであります。
特に、この情報革命と第四次産業革命の大きな違いは、情報革命は画面の中で完結をしていた革命だと思いますが、今度の第四次産業革命は本当にリアルの世界が変わっていく。ということは、やはりもう一度物が動かなきゃいけない。ロボットが典型ですけれども、そういったところでまた日本の物づくりがどういう価値を持ってくるのかといったところ。だけど一方で、このビッグデータというものに対してどう対応していくのかということをしっかり考えていかなければいけない時代になってくるのではないかと考えています。
○谷合正明君 本当に率直ないろいろ振り返りをいただきました。本当にありがとうございます。では、次の三十年どうするかということで、またあるいは次の十年どうするかということで、コネクテッドインダストリーというのを御紹介もいただいたと思いました。
私自身が今着目をしている概念というのは、持続可能な開発目標、SDGsでございます。これは一つの規範であると思っておりまして、MDGs、ミレニアム開発目標の後継として二〇一五年九月の国連サミットで採択された二〇一六年から二〇三〇年までの国際目標、これ全会一致で採択されました。また、ミレニアム開発目標が、これ単に途上国の開発協力の分野の指標だったものがSDGsになることで、それぞれの、先進国も含めて、国内のことも含めた達成目標に変わってきたと。これが全会一致で採択されているということが非常に重要だと私は思っております。
その大きな開発目標の分野が十七ゴールあるわけですから、それで十七色の色でこのSDGsバッジが構成されているということで、私、このバッジ何ですかとよく聞かれるんですけれども、ちょっとなかなか一言でSDGsという説明するのも難しいということを直面しながらも、でもSDGsしっかりと推進しなきゃいけないということで付けているわけであります。
このSDGsが国際社会にもいろんな面で浸透してきているなと思いましたのは、私が農水副大臣のときに日中経済協力対話に出させていただいたときに、中国側のいろんな文書の中に中国がSDGsをしっかりやるんだみたいなことが書いてあって、従来そういうところに中国側が言及するというのはなかなかなかったことだったものですから、非常に印象深かったんですけれども。
とはいえ、国際社会的には、このSDGsをリードしているのは紛れもなく日本でございます。国連事務総長のグテーレス事務総長も国連大使を通じて次のように言っておりまして、日本ほどSDGsの達成に向けて理解と取組が進んでいる国はないというふうに言及されていると承知をしております。本年、二〇一九年は六月にG20本体会合がございます。また、八月にはTICADⅦ、アフリカの開発会合ですけれども、TICADⅦが横浜で、そして九月にはSDGsの首脳級会合、これが第一回目の会合になるんですけれども開催されまして、日本のSDGsへの取組の状況を世界に発信していくことになると。
このSDGsの政府のアクションプランには、SDGsと連携したソサエティー五・〇の推進が掲げられておりまして、我が国政府としては、この民間ビジネスを活用したSDGsの実現を目指す点に特徴があるのではないか。国際的にも日本がSDGsをリードしていると言いましたけれども、中でも民間部門の取組が非常に私は日本の特徴であると思っております。
そこで、改めまして、経済産業省がこのSDGs達成に向けて取り組む意義や役割、またSDGsそのものへの大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(世耕弘成君) 産業界や企業がこのSDGsの目標を自らの事業活動に取り入れるということは、これ、社会課題が解決されるだけではなくて、企業自身にとっても新たな投資を呼び込んでビジネスチャンスにつながっていくというふうに私は考えております。
経産省では、SDGs経営イニシアティブとして、このSDGs経営への取組やSDGsに取り組むスタートアップに対する集中支援を実施をしているところであります。例えば、フィリピンに進出をしたモビリティーサービスを提供するベンチャー企業は、貧しい人でも車が購入できる金融サービスというのを提供して、新たに海外展開に成功しているわけであります。こういったまさにSDGsとセットになった企業活動というのを広げていくことが重要だというふうに思っています。
このSDGsと表裏であるのがESG投資という、まさにこのSDGsのようなテーマに取り組んでいる企業に優先的に投資をしていくし、SDGsの足を引っ張るようなことをする企業には投資をしないという、そういう動きが今大きくできてきております。そういったのに対応するために、昨年末に政府として、これ政府が取り組むのは世界で初めてですけれども、TCFDガイダンス、気候変動に関連した活動を財務情報としてしっかり開示をすると、このガイダンスを策定をさせていただきました。こういうことをやることによって、企業がこのSDGsの一部である気候変動対応を行うことによって資金調達が進むといった好循環もつくっていきたいというふうに思います。
今御指摘のように、これから日本で国際イベントがめじろ押しでありまして、こういった機会を活用してSDGsの取組を世界に発信することが重要だと思っています。
まず、六月のG20では、閣僚レベルで貿易投資やデジタル技術による社会課題の解決、あるいは環境と成長の好循環やエネルギー転換の推進といった、まさにSDGsに関する議論をしっかりと行いたいと思っています。また、八月、TICADⅦでは、日本企業のアフリカビジネスへの参画を促進をして、アフリカ諸国の貧困や雇用の課題解決に取り組むということもやっていきたいと思います。
このSDGsに関するこういった取組を通じて企業価値向上を後押しするとともに、様々な対外発信の機会を活用しながら、日本によるSDGsの取組を積極的に示していきたいというふうに思っています。
○谷合正明君 大変ありがとうございます。
先日、公明党のSDGs推進委員会というのがあるんですけれども、その会合に第二回のSDGsアワードを受賞された団体の方に来ていただいて、いろいろ話を伺いました。従来、例えば経団連さんもこのSDGs、熱心に取り組んでいただいているんですけれども、これからは中小企業に取り組んでいただこうということもあって、SDGsのアワードに中小企業の方も結構選ばれておりまして、そうした方の話も聞きました。また、今年は、青年会議所、JCさんも運動方針としてこのSDGsに全面的に取り組んでおられまして、大変心強く思っている次第であります。
さはさりながら、なかなかSDGsといって、あるいはESG投資だとかいろんな横文字が並ぶと、どういうことなのかということで、認知度という面においてはまだまだこれからやっていかなきゃならないと思っております。
実際に、関東経済産業局が行った二〇一八年の十二月の調査結果報告によりますと、中小企業のSDGs認知度・実態調査結果では、SDGsについて全く知らないと回答した企業は八四%でございました。SDGsに取り組む際の課題については、社会的認知度が高まっていない、これが四六%あったりとか、資金の不足が三九%であったりとか、何から取り組んでいいか分からないというのが三〇%あるということなんですけれども。
そこで、経済産業省のここで役割というのが改めて出てくるんだと思いますが、大企業や業界団体に加えまして中小企業に対してもSDGsの取組を強化することと今後されておりますけれども、中小企業のSDGsに対する認知度を上げてSDGsの取組を促していくためにはどのような対策を講じていくのか、改めて、これ副大臣でよろしいんですかね、副大臣に問いたいと思います。
○副大臣(磯崎仁彦君) お答えをいたします。
今、委員の方から関東経済産業局のアンケートの調査等についても御報告ございましたけれども、先ほど大臣が答弁をされましたように、SDGsに取り組む意義につきましては、決して大企業だけではなくて、中小企業・小規模事業者にとりましても、このSDGsの目標を事業活動に取り組むということにつきましては、社会課題の解決のみならず新たなビジネスチャンスにもつながっている、そういうきっかけになるものだというふうに思っております。既に、中小企業・小規模事業者の中でも、このSDGsの目標を活動に取り入れて実際に成果を出されている、そういう企業もございます。
例えば、外国人の居住者が多い神奈川県の横浜市の印刷会社では、このSDGsというものを目標に掲げまして、市民団体と連携をして、日本で初めて、日本語に加えて英語、中国語、韓国語、この四か国語をプリントしたお薬手帳を開発をされております。その利便性が評価をされまして、在京の大使館からも注目を浴びて販路拡大に結び付けた、こういう事例があるわけでございます。
このようなやはり成功事例を日本全体に広げていくことが重要というふうに考えておりますけれども、中小企業・小規模事業者にとりましては、先ほど委員がお話しされましたように、まだまだSDGsが身近なものにはなっていないということでございますので、この取組を広げていくためには地域に根差した活動が重要であるというふうに思っております。
二〇一七年、平成二十九年の十二月以降、近畿経済産業局、それから、先ほどお話にも出ました関東経済産業局におきまして、SDGsに積極的に取り組む自治体、有識者、大学、研究機関等の地域のステークホルダーとともに、地域におけるプラットフォームを立ち上げております。その中で、中小企業・小規模事業者を巻き込んでSDGsを事業に取り組んで成功した事例の展開、こういったものに取り組んでいるわけでございます。
このほかにも、例えば、中小企業基盤整備機構が平成三十年度には全国の八か所で中小企業に対したSDGsセミナーを開催をするなど、認知度向上に向けて取り組んでいるというところでございます。
今後とも、中小企業・小規模事業者の皆様方の間でSDGsに関する取組、認知度が広がっていくように経産省としても取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○谷合正明君 是非よろしくお願いをいたします。
それでは、防災・減災、国土強靱化の質問に移らせていただきます。
昨年の秋の予算委員会でも、中小企業に対するグループ補助金についての質問をさせていただきました。七月豪雨を受けまして、特に被災状況の深刻であった岡山、広島、愛媛三県でこのグループ補助金が発動されたところでございまして、中小・小規模事業者にとりましてはこの制度は大変命綱であるということで訴えさせていただいたところでございます。
そのとき、いよいよ第一弾の補助金交付決定が行われる予定ということで世耕大臣からも御答弁いただいたところでございますが、現在のその進捗状況について確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(前田泰宏君) お答え申し上げます。
現在、西日本グループ補助金の交付決定件数及び金額は、三県の合計で六百十六件、約六十七億円となっております。グループ補助金事業の運用は執行主体である各県の裁量に委ねられておりますけれども、被災中小企業・小規模事業者や団体等から本事業実施に関する様々な要望を伺っており、各県とも相談をしております。
具体的に一つ申し上げれば、事業者からの申請に必要な書類の収集が困難だという声に対しては、申請書類の合理化と三県の運用の統一化による公平性の確保、事業再開による多忙や人手不足もあり、申請業務が非常に時間を割くのが難しいという声に対しましては、中小機構の復興支援アドバイザーによる補助金申請書の作成支援等を強化をしているところでございます。
今後も、被災地の実情を踏まえながら、被災事業者に対するきめ細かな支援をしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○谷合正明君 改善すべきところはしっかりと改善していただきたいというふうに思っております。
熊本地震に次いで今回の西日本の三県の発動だったものですから、なかなかどういう状況のときに、条件下のときに発動するのかということもまだはっきりしたものがないものでございますし、また、書類審査、申請書類の簡素化なんかも、いろいろと熊本地震のときも大幅にしていただいているのは承知しておりますけれども、不断の見直しもしていただきたいと思います。
それで、私は岡山でございますから、企業を回っていくときには、あのとき状況どうでしたかと、あの七月豪雨のとき浸水被害ありましたかと。実際に被害があった企業もありますし、我が社は工場は大丈夫でしたという企業も多いです。しかし、実際、大丈夫だったんだけれども、取引先企業がやっぱり影響を受けていましたとか、あるいは、あのとき物流網ですね、高速道路など寸断されましたから大変に影響を受けたんですというような話は結構聞くわけであります。
これは、実際に、一部の被災企業が長期に活動を停止すると、今度は、広範なサプライチェーンを介して被災していない企業の活動も停止を余儀なくされてしまう、そこで働く従業員の生活にもこのマイナスの影響が出てしまうということでございまして、企業の生産活動を守る、生産活動の側面から進める国土強靱化というものが極めて重要であると思います。
今回の通常国会では、中小企業等経営強化法におきまして、中小企業が行うこの事業継続力強化に対する支援を行えるようにする改正案も提出されているところでございます。
改めて、昨年の災害を踏まえて私も申し上げるわけでありますけれども、この生産活動の側面から進める国土強靱化に対する政府、経産省の支援について、大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(世耕弘成君) 私も、去年の豪雨災害を始め、必ず、大きな災害で被害が出ると、中小企業の現場へ行って状況を確認をしてきております。
経営者の皆さんは、本当に、水没してしまった機械を前に嘆き悲しんでおられるわけであります。今御指摘のように、一社が被害を受けるだけではなくて、そのサプライチェーンそのものがずたずたになって、生産活動そのものが滞って日本経済にも影響が出る、そういう状況にあるわけであります。
こういう嘆き悲しむ中小企業の経営者をなくしたい、そしてサプライチェーンがいつどんなときでもきちっと機能するようにしていきたいという思いで、今国会に中小企業強靱化法案というのを提出をさせていただきました。
具体的な中身として、やっぱり事前の備えをしっかりしてもらうということで、この事業継続計画の認定制度というのを新設をいたしました。きちっとした事業継続計画、いろんな計画があります。被害を受けたときには、例えば事前に協定を結んでおいて別の産地の中小企業に代替生産をしてもらうとか、そういった計画をしっかり作っておいてもらう。そういう計画を作ってくれたところに対しては、防災・減災設備に関して税制優遇を行ったり低利融資を行うというような税制、金融面の支援を行っていきます。
また、サプライチェーン全体で計画を作るということもできるようにいたしました。サプライチェーンの頂点にいる発注元の大企業が中心となりながら、協力者としてこの事業継続計画を作るということも今回この法律の中に盛り込ませていただいているわけであります。
こういった取組で、この中小企業強靱化法が一つの契機となって、中小企業、そしてそれが所属するサプライチェーン全体が強靱化することに取り組んでいきたいというふうに思っております。
○谷合正明君 是非、税制だとかいろんな制度を組み合わせながらこうした政策を前に進めていきたいと思っております。
それで、生産活動の国土強靱化を図る上でもいろいろ、電気、ガス、通信といったインフラの維持というのは大変に重要であるというのも昨年の災害の教訓であったと。北海道胆振東部地震ではブラックアウトが生じたということであります。
先日というか昨年末に、私、名古屋大学の減災連携研究センターというところへお邪魔して、いろいろとお話を伺いました。南海トラフの沖の巨大地震が発生した場合どうなるか等、いろいろ話を聞かせていただきまして、センター長の福和教授から、例えばということで、工業用水道の維持も大変重要なんですという話をいただきました。工業用水道が被災すると企業の生産活動がストップすると警鐘を鳴らされておりました。
例えばですけれども、中部地方の中でも産業が集積する西三河地域におきましては、工業用水を提供している浄水場という、これ安城浄水場というのがあるわけですけれども、この浄水場には明治用水から分岐した水が送られてくるわけです。明治用水というのは農業用水です、土地改良区の用水。したがって、この西三河地域の工業用水の安定供給というのは、工業用水道施設の浸水対策であるとか耐震化対策であるとか、それのみならず、上流施設にある農業水利施設の機能の維持、この強化もしていくということも必要になってくるわけであります。
防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策には工業用水道の安定供給の確保も盛り込まれているところでございますが、改めて、この工業用水の安定供給の重要性と、今後、私は農業用水の話しましたけれども、各省と自治体との連携状況というのを再確認すべきではないかというふうに思っておりますが、その点について御答弁をいただきたいと思います。
○副大臣(磯崎仁彦君) お答えをさせていただきたいと思います。
農業用水道の重要性についての御質問でございました。
この工業用水道につきましては、地域における工業の健全な発展、地盤沈下の防止に資するということを目的といたしております。平成三十年、昨年でございますが、三月末の時点では四十四の都道府県に二百四十四の事業者が存在をするということでございまして、豊富かつ低廉な工業用水、これを約六千事業所のユーザーに供給しているという非常に大事なものというふうに認識をしております。
昨年の西日本豪雨でありますとか北海道胆振東部の地震、これにおきましても工業用水道は被災をいたしております。復旧支援としまして、平成三十年度の第一次補正で十・四億円、そして、先ほど三か年の計画ということございましたけれども、強靱化の対策として第二次補正予算で十五億円の措置をいたしておりまして、この安定供給の確保ということに尽力をしているところでございます。
さらに、自治体との連携につきましては、工業用水道の運営主体であります企業局に加えまして、商工部局より工業用水のユーザーの企業情報等を得ながら工業用水の安定供給に向けて議論の調整を行っておりますし、また他省庁との連携というお話ございましたけれども、水資源の確保やインフラの維持管理ということでは共通の課題を持っているということでございまして、上水道は所管をしておりますのが厚労省、下水道につきましては国交省、そして農業用水の所管は農水省ということでございますので、日頃からこれらの官庁とは調整や協議を行っているところでございます。
今後とも、こうした取組を通じまして、関係自治体あるいはその関係省庁連携をしながら、工業用水の安定供給の確保を図ってまいりたいというふうに思っております。
○谷合正明君 最後に、AIについて質問をいたします。
先日は、予算委員会の方でAIの企業を視察をいたしました。佐賀県にある企業なんですが、これは二〇一七年の地域未来牽引企業にも認定されているところでございまして、AIを使った医薬品に関するコールセンターシステムを開発をされているところでございます。
そこで伺った話なんですけれども、AI事業では、概念実証を行った結果うまくいくと判断できれば、その事業を進める判断をすると。概念実証というのは、その試作開発の前段階における検証ということです。
しかし、現状では、効果が不確かなものに対しては概念実証の予算を出すこと自体をためらう企業が多いので、AI事業の推進に当たっては、導入を検討している企業に対して概念実証に助成金を支給するなどの支援があればAI事業に取り組める企業が増えるのではないかというような話もいただいたところでございまして、経産省としてはいろんな対応をされているんだとは思いますけれども、改めてこの点について答弁を求めたいと思います。
○副大臣(磯崎仁彦君) お答えいたします。
経産省としましては、データを介して機械、技術、人など様々なものがつながることによってより新たな価値を生み出すことによりまして、社会課題の解決を目指すコネクテッドインダストリー、これを推進しているわけでございますけれども、更に言えば、二〇一八年六月に、産業界と協力をして、重点五分野における具体的なアクションプランを策定をいたしております。
この中で、今委員御指摘ございましたように、例えば、前例のない施策であるとかあるいは評価が定まっていない技術、こういったものを活用していく場合には、やはり多大な資金をつぎ込んでおっても、実際的に、本格的なプロジェクトが開始をした場合には思うような結果が得られないということで大きな損害が出るということもあるわけでございますので、事前にその効果を検証していく、まさに委員言われるようなプルーフ・オブ・コンセプトですか、この重要さというのは理解をしているところでございます。
優れた技術を持つAIベンチャー企業と大量にデータを保有する大手企業のAIシステムの共同開発につきまして、このPOCも含めて支援を実施をしているところでございます。例えば、AIによるLNGプラントの運転の最適化、あるいは手書きの研究開発文書を文字認識AIでデータベース化する、こういった取組の具体的なプロジェクトが開始をされているところでございます。
また、例えば、監視カメラなどに用いるAI処理用の高性能なチップの開発につきまして、ベンチャー企業等が持つアイデアの実用化に向けまして開発に必要な設計ツールやノウハウ等を提供することにより、このPOCの支援等を行っております。
このような取組を更に強化をしていくために、平成三十一年度の当初予算ではこれらPOC支援を行う予算を拡充をいたしまして、重点的に支援していくことを考えているところでございます。
○谷合正明君 時間になりましたので、終わりたいと思います。