○谷合正明君 公明党の谷合正明でございます。
まず初めに、今日、三人の参考人の皆様におかれましては、貴重なお話をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。
また、私、地元が岡山県でございまして、昨年の西日本豪雨、経験をいたしました。森会長からは、特に商工会青年部、また女性部の皆様のボランティア活動の紹介がありました。大変暑い中でございましたけれども、商工会のメンバーの皆様に本当に御奮闘いただいたことに心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
また、晝田会長におかれましては、御自身の会社がまさにこの被災を受けながら、中央会の会長としてこの災害からの復旧の陣頭指揮を執られたことに対しましても敬意を表したいというふうに思っております。
まず、森会長に御質問したいと思っております。
この小規模事業者の抱える課題というのは本当にそれぞれ様々だというふうに思います。その小規模事業者の災害対応力を高めるためにも、個々の事業者の実情というのをよく理解していかなきゃならないと思いますし、その上で事業者ごとのオーダーメードの支援も必要であると思っております。
そうしますと、この支援機関側も、待ちの姿勢ではなくて、自ら積極的に地域に入り込んで小規模事業者の実情を理解し、また小さな声を拾い上げていくことが必要かと思っております。そのことを森参考人の話を聞いて実感をしましたし、そこにこそ商工会の強みがあるんだというふうに思います。
今回の法改正でございますけれども、改めてこの商工会、商工会議所に求められる役割というものが拡大をいたしました。市町村を始めとした地域一丸となった取組が重要となる中、改めて商工会として地域の中でどのように具体的に活動されていこうとされるのか、経営者でもあります森会長のお考えをまずお伺いしたいと思っております。
○参考人(森義久君) お答えさせていただきたいと思います。
先ほども話をしておりますが、まさに地方の経済を我々が元気を付けるように今一生懸命やっているわけであります。これにつきましては、まさにいろんな団体、多数ありましたが、今非常に少なくなってきております。その役割も商工会がしっかり担っているわけであります。そしてまた、それぞれの地方の伝統文化、そういった関係も携わっておりますので、地域にとってはなくてはならない、そういった組織だと、そういうふうに思っておるわけであります。
また一方、事業を営んでおりますので、しっかりとした経営が成り立つように、我々としては、経営の指導員、そして支援員を含めて、商工会の組織を挙げて、いろいろな情報を共有させながら、そしてまた他の団体との連携も図りながら、いろんな事業が成り立つ、そういった手助けをやるようにいたしております。
○谷合正明君 特に、経営指導員の強化ということについては先ほど来お話が出ておりますので、しっかりと私の方としても受け止めさせていただき、今後の対応とさせていただきたいと思っております。
続きまして、晝田会長にお伺いしたいと思います。
会長からも、サプライチェーン全体の強靱化のお話ですとか、災害時における代替生産の経験に基づくお話がございました。
まず、サプライチェーンの強靱化ということでございますが、今回の法案では、事前の防災・減災対策に対する計画を親事業者と一体となって作成できるスキームというものが新設されたところでございまして、会長のお話でも、昨年の西日本豪雨のときには自動車メーカー等からの人的な応援があったという話もございましたが、このサプライチェーン全体の強靱化を図るためにも、特にこの親事業者、役割というのは大きいんだと思うんですが、会長としての、どのような役割を親事業者に求めていくのかということについて具体的に教えていただければと思います。
○参考人(晝田眞三君) 浜口先生おられますのでよくよく御承知かと思うんですけれども、やっぱり自動車って多くの部品から成り立っておりますので、一つの部品が生産できなくなっても完成車が造れないという構造はあるわけで、やはりピラミッドという表現が適切かどうかは別にしまして、それぞれの役割を担っている企業さんが正常な生産ができる状況にあるのかどうかというのをお互いにチェックし合うといいますか、そういうことは適宜やっていく必要があるんだろうと思っております。
そういった意味での一体化といいますか、一心同体でチェックしていくということが守っていくということにつながっていくんだと思います。
○谷合正明君 もう今日は遠慮なく御答弁いただければと思います。
それで、代替生産の話なんですけれども、先ほども、災害時における代替生産、これを実効的なものにするためにどのような点に留意すべきなのかということでお伺いしたかったんですけど、ノウハウを盗まれるのではないかというような不安もあったという話があったんですが、そのような不安をどう解消していったのか。ちょっと具体的に、そのときの当時の様子をもう少し具体的に教えていただきたいのと、また、代替生産を協定化することによって経営面でのメリット、例えば供給責任の確保など、どういうようなものがあるのか、この点について教えていただければというふうに思っております。
○参考人(晝田眞三君) これ、私、体験して初めて分かったんですけれども、業界のルールとして、被災してそこで生産できなくなって応援を他社でするといった場合、生産できる状況になったら必ずその会社さんに戻すというルールがありまして、やっぱり被災して仕事がなくなっていくんじゃないかという恐怖感を持たれるケースは非常に多いわけですが、そこのところは、今業界のルールとして戻しましょうということになっておりますので、それは非常に有り難いことだと思っております。
○谷合正明君 そういうことがやはり事前にしっかりと周知されていくということが大事だというふうに私も今受け止めました。今回の西日本豪雨災害を受けて、この経験者として、是非そうした代替生産の役割みたいなことをしっかりと中央会の会長としても普及をしていただきたいというふうに思っております。
次に、山本教授の方に御質問をちょっと移させていただきたいと思っております。
今回の個人版事業承継税制の創設によりまして、昨年の法人版の事業承継税制と並びまして、親族内の事業承継を進める上で大きな前進があったものというふうに認識をしております。
今回の先生のお話では、親族内の承継、従業員承継、また外部資本による承継、さらに三つ目として第三者承継という話がございました。
後継者不在の事業者に対しては、この第三者によります承継を後押ししていくということも重要であると思っておるんですが、まずそもそも、親族内の承継、また外部資本による承継、また外部人材、いわゆる第三者承継、この三つのバランスというんですか、これは今後どうあるべきなのかというような基本的な認識を教えていただきたいというふうに思っております。
○参考人(山本昌弘君) ありがとうございます。
私の理解では、基本的には一番最初の親族内承継あるいは従業員承継が一番好ましいというふうに考えております。
理由は、企業の中には、いわゆる形にできない、ないしは文書にできない様々なスキル、ノウハウというものが蓄積されていると思いますので、組織の中でそういう状況がお分かりの方が継がれるのが私は一番いいというふうに考えています。まず、そのためのルール作り、支援体制を整備すべきだろうというふうに思います。
ただ、同時に、そういう適切な人材がいないケースで、ほっておくと会社そのものがなくなりかねないという事態も最近は非常に増えておりますので、そういったときに二番目のMアンドAあるいは三番目の第三者承継ということになるんだろうというふうに考えています。MアンドAと第三者承継は、私は、これは事業そのものが継続されるのであれば、どちらがどちらということではないだろうというふうに考えております。
それから、一点、済みません、付け加えさせてください。
これまでの議論でBCPの話が出ておりますが、実はBCPを一生懸命作っていくと、必ず後継者をどうするかと考えることになるはずなんですね。事業承継計画というのが事業承継ガイドラインの中でも記載されていますが、実は事業承継計画とBCPは、私、見させていただいて、非常によく似ております。そういった意味では、ふだんからきちっとBCPをやっていれば、まず親族内承継、従業員承継が最優先されることになるだろうというふうにも思います。
以上です。
○谷合正明君 よく分かりました。また、特に後段の話は参考になりました。
その上で、どうしてもこの後継者不在の場合の事業承継としての第三者による承継なんですけれども、税制だけでなくて、民間事業者による取組というんですか、例えばみずほ銀行では、先代経営者が保有する株式を後継者となる別の経営幹部が買い取ることによる事業承継を支援するため、ファンドを活用した取組というものも行われているというふうに承知をしております。
このように民間事業者による取組も進めるべきだというふうにも思いますけれども、どのようにお考えでありますでしょうか。
○参考人(山本昌弘君) 私は、MアンドAというのは、これは規模がかなり重要になってくるだろうというふうに考えています。
先ほどピラミッドという話がありましたけれども、MアンドAのそのピラミッドの一番上に来るのは大企業、上場企業、ここは恐らく何もしなくても様々な企業の方がMアンドAを支援されるというふうに思います。今増えているのが実はもう少し下の部分で、中堅・中小企業ぐらいのMアンドAは、おやりになっているMアンドA会社さんが少しずつ増えています。そういった意味で、民間にできる部分というのはまず民間主導でやっていただく方が私はいいだろうと思っています。
ですが、実は、本当に四十七都道府県の地方でその町に一つしかないけど後継者がいないとか、そういう形でビジネスとして成り立たない部分というのがどうしてもあって、ここの部分はやっぱり事業引継ぎ支援センターがMアンドAであれ第三者であれ関わるべきだろうというふうに考えております。
それからもう一つは、事業引継ぎ支援センターがノンネームデータベースを今後本格稼働します。今、実はセンターは中だけで情報交換をやっているんですが、今後ノンネームデータベースが中小企業のMアンドA会社も使えるようになってくるというふうになってくると、彼らも、一方で自分のビジネスをやりながら、もう片方でプラットフォームとしてセンターのノンネームデータベースを使うという可能性が出てくるだろうというふうに思っております。
以上です。
○谷合正明君 時間になりますので、私の質問は以上とさせていただきたいと思います。
本日は大変にありがとうございました。