○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
TPP協定の質問でございますけれども、今日は、その前に一問だけ、災害関連について総理に質問させていただきたいと思います。
鳥取県中部を震源とする地震、これは十月二十一日に起きました。三週間が過ぎております。私ども公明党も真っ先に対策本部を立ち上げまして、私自身も発災直後に現地入りをいたしました。現地では、被災地の皆様、もう総力を挙げて復旧復興に取り組んでいるところでございます。全壊、半壊の世帯こそ少ないものの、ブルーシートで応急処置をした家屋もまだまだ数多くありますし、また、避難所にもいまだ三十名を超える方々が避難生活を余儀なくされているというふうに承知をしております。
風化をさせてはならないとの思いで、今日は冒頭にこの問題を取り上げさせていただいております。一日も早く日常生活に戻っていただけるよう、政府には、鳥取県また関係市町村ともしっかり連携を取っていただいて、必要な支援をしていただくようお願いをするものであります。
十一月三日には石井国土交通大臣も現地を視察いたしました。また、総理自ら、発災直後に鳥取県の平井知事から緊急要請を受けまして、観光であるとか農業でありますとか財政支援の要請を受けたところでございます。
その中で強かった要望の一つが、特に観光についての風評被害対策でございました。鳥取県中部のみならず、地域的に離れている東部やまた西部の方でも宿泊のキャンセルが相次いだということでありまして、特に地方経済は観光に支えられている部分がありますので、鳥取県といたしましても、この要望の最重点事項として観光対策、特に風評被害対策をということで具体的に国としてプロモーション活動やキャンペーン活動をしていただきたいと、そういう要請を総理にもしたところでございます。
そこで、まず、総理を先頭に政府一丸となって、鳥取県中部のこの地震復旧に関して、特に観光政策を後押しをお願いしたいと思います。総理の決意を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 改めまして、鳥取県中部を震源とする地震により被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。私自身、鳥取県知事を始め地元の皆様から直接被害の状況と御要望を伺いました。
鳥取県には鳥取砂丘を始め、倉吉の白壁土蔵や三朝温泉など魅力的な観光地が多数あり、住家の被害や農業被害への対策に加え、一刻も早く観光客に戻ってもらえるようにするような対策を実施していくことが必要だろうと、またこういう強い要望があるのも事実でございます。
このため、観光庁などにおいて、国内外に向け地震被害の正確な情報や鳥取の魅力を発信していくとともに、鳥取県の隠れた魅力を発掘し、被害の大きかった地区を周遊する旅行を新たに支援するなど、鳥取応援プログラムを早急に取りまとめ、風評被害を払拭していきたいと考えています。
被災者の皆様が一日も早く元の生活に戻れるよう、生活やなりわいの改善、復旧に向け、政府一丸となって、できることは全て行うという精神で取り組んでいく考えでございます。
○谷合正明君 是非、政府一丸となって取り組んでいただきたいと思います。
それでは、TPP協定の質問に入りたいと思います。
今、国民の皆様の最大の関心事は、トランプ次期アメリカ大統領のこの政治の方向性であると思っております。御案内のとおり、トランプ次期大統領は、選挙期間中、TPP、環太平洋パートナーシップ協定からの撤退を表明しておりました。TPP協定は事実上日本と米国が批准しないと発効できないという仕組みでございますので、そこで、今のTPP協定の行方に不安が広がっているわけであります。そして、この自由貿易体制そのものに世界の中で不安が広がっているわけであります。
そうした中、ちょうど先週、選挙が行われた直後にトランプ次期大統領の勝利演説が行われまして、恐らく世界中の皆様が固唾をのんでこの演説の内容を見守ったのではないかなというふうに思っております。私もその内容を後でいろいろと読んでもみましたけれども、選挙期間中の発言とは打って変わって非常に穏やかな、穏当な演説ではなかったのかなというふうに思っております。例えば、常にアメリカの利益を最優先するというところは主張はあるんですけれども、当然これはアメリカの利益を最優先するんだけれども、全ての国とも公正に対応する、敵意や対立ではなくて、この機会にパートナーシップを、共通認識を探っていきますというくだりもあったかというふうに思っておりますが。
総理は、この勝利演説をどのように聞いていらっしゃったのかなという、トランプ次期大統領の当選直後の言動についてどのように今御評価されているのかというのが一つと、今週十七日にはニューヨークでトランプ次期大統領と総理が直接お会いするということでありまして、恐らく世界中の首脳の中で最初にトランプ次期大統領と会談するのが安倍総理ではないかということで、日米関係のみならず、世界中の首脳者がこの総理との会談に注目しているということでありまして、まず総理に、この十七日の会談についてどのように臨むという決意なのか、この二点をお伺いした上で、さらに、今参議院ではTPP協定の審議をしておりますけれども、TPP協定の発効をリードする我が国のこの基本姿勢は変わらないのかと、この点、三点についてお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も、トランプ次期大統領の当選のスピーチ、注目をしておりまして、テレビで拝見をいたしました。大変落ち着いた雰囲気で、冷静な態度での演説だったと思います。この勝利演説において、米国の分裂の傷を手当てし、協力して偉大な国を一つにする旨呼びかけました。全ての国々に対して、敵対ではなく共通基盤を、対立ではなくパートナーシップを求めたものと評価をしております。事実、演説をしている最中に世界の市場は大きく変化をしていたということであります。
当選の翌日に電話会談を行ったところでございますが、その際、日米同盟関係の重要性について認識を共有することができたと思っております。トランプ次期大統領とはまずは個人的な信頼関係を構築をしていきたいと、その意味におきましては、この電話会談、いいスタート、有意義なスタートになったと思っておりますが、十七日に行われる会談でございますが、トランプ次期大統領はまだ大統領に就任しておりませんから、首脳同士の会談ということにはならないわけでございます。現在もアメリカの大統領はオバマ大統領でおられるわけでありますから、我々も大統領が二人いるかのごときの対応は慎まなければならないと、向こう側もそうだと思いますが。
その中で、次の大統領と様々な課題について意見交換をしていくことは日米同盟関係にとっても有意義であろうと思うわけでございます。そこで、貿易、経済について、そしてまた日米同盟関係について、また、できれば、例えば地域情勢も含めて胸襟を開いた対話をしたいと、こう考えているわけでございまして、信頼関係構築の第一歩にしていきたいと、こう思っているところでございます。
○谷合正明君 そうした信頼関係を新たに築いていくということでございました。
その上で、TPP協定、今この参議院で審議をしているわけでございます。改めてTPP協定を早期に批准していくことを総理の方から国民の皆様に、まだ国民の皆様、なぜこのTPP協定、この審議を急ぐのかという声もございます。そうした中で、改めてこの早期承認の意義について総理の方から御説明をしていただきたいというふうに思っております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP協定の意義でございますが、TPP協定は自由で公正な世界の四割経済圏を生み出すわけでありまして、さらに、大筋合意から参加を希望する国や地域が相次いでおり、当初の十二か国を超えて大きく拡大していくことが期待されます。日本経済が国内の人口減少を乗り越えて中長期的に力強く成長していく基礎となると、こう思っています。
TPP協定の発効は、他の通商交渉を活性化し、そして保護主義の蔓延を防ぐことにつながっていきます。これは、自由貿易によって発展してきた日本にとって主導すべきことであろうと思います。基本的価値を共有する国々が経済のきずなを深め、更にその輪を広げていくことは地域の安定や安全保障に資すると、このように確信をしております。
○谷合正明君 今、TPP協定の意義について御説明をいただきました。この協定が発効されますれば日本国内の市場の七倍の規模が登場するということで、日本から輸出するときの関税はほぼゼロになるわけでありますから、国内と同様の自由に取引できる市場が七倍になるとも言えるわけでありまして、国際機関の一つでも日本国内のGDPが十四兆円増加するとも試算をしております。消費者にとっても選択肢が増えるわけでありますから、このTPP協定はしっかりと推進していく必要がございます。
しかしながら、実はまだ世論調査では、TPP協定の賛否、TPPそのものの賛否については拮抗しているわけですね。賛成が反対を上回っているとはいえ、しかしながら、世論調査の中には、むしろこの国会に入ってからの審議の中でなかなか賛成が反対を大きく上回るというような状況にもなっていないわけでございます。それは謙虚に受け止めながら、この参議院の審議でも丁寧に国民に説明をしていただきたいと思いますし、関係閣僚においてはしっかりと緊張感を持ってこの国会に臨んでいただきたいわけでございます。
大事なことは、国民の皆様の、一つはメリットもそうなんですけれども、不安に対してどうお応えしていくかと。一部には、TPP協定などの自由貿易協定を進めることが、例えば一部の富裕層であるとかあるいは大企業ばかりに恩恵が行って、格差が拡大するのではないかといった不安もございます。
大事なことは、アベノミクスの柱であるこのTPPによってアジア太平洋地域の成長を国内に取り込んでいくんだと。と同時に、昨日、我が党の同僚議員、浜田委員の方からも指摘がありましたけれども、このTPPを持続可能な社会経済を築いていくという一つのてこにしていくんだと。この持続可能な社会、包摂的な経済成長を成し遂げていくということが極めて大事でありまして、言わば成長と分配の好循環だと。その成長と分配の好循環こそ、自公政権が今国民から期待されているところでございます。
先日、総務省が、二〇一四年の相対的貧困率、また子供の相対的貧困率を公表いたしました。統計を取り始めた十五年以上前から初めてこの数字が実は改善をされました。特に、子供の相対的貧困率は二〇〇九年の九・九%から二〇一四年七・九%、改善されたと。これも私は成長と分配の好循環の一つの成果ではないかというふうに思っているわけであります。
改めて総理から、このTPPの下で成長と分配の好循環をどう実現していくのか、その決意を伺いたいと思っております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が指摘された点が大変重要な視点だと思います。これは自由貿易か保護主義かという考え方だと私は思うんですが、一方、そうではなくて、それは多国籍大企業対貧しい人々になっていくんではないか、多国籍大企業や一部の富裕層ばかりがどんどんどんどん豊かになっていく危険性があるじゃないか、そういうものだという考え方があります。
確かに、ちゃんとしたルールがなければそうなっていくんだろうと思います。グローバル化が広がっていけば広がっていくほど、同じルールで全ての人たちがそこに放り込まれるということになってくるわけでありますが、しかし、TPPは決してそうではないわけでございます。むしろ、しっかりとルールが作られる。
日本でいえば、中小企業の皆さんにとっては、海外に進出する、これはなかなか敷居が高いわけでございます。それは、せっかくいい技術を自分でつくり出したとしても、海外に出ていったら、それはすぐに模倣品を作られてしまう、海賊版が出ていってしまう、挙げ句はいきなりルールを変えられてしまう、しっかりと得た利益が持って帰れないということに急になってしまう。それが今度のTPPでは起こらない。みんな同じルールでしっかりと守られる。法の支配が強化されるわけでありますから、中小企業も安心して出ていくことができるし、あるいは出ていかなくても、サプライチェーンの一環を、関税が域内ではなくなっていきますから、国においてもサプライチェーンを担うことができるということになるわけでございます。
と同時に、農業におきましても、今まで御説明をさせていただいたとおりでございますが、新しい市場がアジア太平洋地域にできるわけでございます。それは、日本の消費者が減っていく中においてアジア太平洋地域の消費者は増えていくわけであります。そこに道を見付けなければ、農家の所得を増やしていくという、あるいは若い人たちが農業を選んでいくという、そういう分野にはならないんだろうと、こう思うわけであります。
同時に、大切なことは、各国がその国においてしっかりと、それは一部の人たちに富が集中しないという仕組みをちゃんとつくっていくことがとても大切であろうと、このように思います。
例えば、確かにトヨタを始め自動車産業は恐らく輸出が増えていきます。これは利益を得るでしょう。今、事実、この為替の変動によって利益が出ている。では、それはトヨタだけの利益にしてしまうのかということではないわけでありまして、我々はそこで賃上げを要請し、従業員に、そして、トヨタだけではなくてトヨタと取引をしている企業との関係、下請企業、中小企業、零細企業との関係においても取引慣行の適正化を求めているわけでありまして、それを進めていきます。賃上げが進み、そうしたことを進めていくことによって、生み出した富が均てんされていくということにもつながっていくんだろうと、こう思うわけでございます。
と同時に、消費者は様々な選択肢が増えていく、また、より安いものも得ることができるということにもつながっていくんだろうと、こう思うわけでありまして、格差が固定化されない、誰にでもチャンスがある社会をつくっていきたいと思いますが、チャンスは間違いなく増えていくわけでございますし、格差を固定化していかない、それは政策的にしっかりとそれを担保していく必要があるんだろうと。
我々は、経済を成長させるというアベノミクスを進めてきました。一方には、成長を進めていけば格差は広がっていくという批判があった。その中で、相対的貧困率の話がずっとよく国会で出ましたね。しかし、先般、新しい指標が出されたら急にこの議論がなくなったんですが、これは指標を十五年前から取り始めて初めて改善し、特に今挙げていただきましたが、子供の相対的貧困率が、取り始めた十五年前は九・二、それが九・七に上がり、九・九に五年前上がったものが初めて下がった。しかも二ポイント下がると。これは大きなポイント、九・二、九・七、九・九と来て、今度は七・九に下がったわけでございまして、これはまさに、その層の人々の所得が上がったことによってこの子供の相対的貧困の層から上に上がってきたということではないか。
言えることは、しっかりとこのTPPによってチャンスをつかみ、同時に、多くの人たちが利益を得ることができる、そういう仕組みをつくっていくことではないかと、このように考えているところでございます。
○谷合正明君 是非、その成長と分配の好循環、これからも自公政権としてもしっかりとやっていかなければなりませんし、総理、政府一丸となってやっていただきたいと思っております。
今、農業の話も答弁の中に話が出ていました。私、これから、今日の質問の中は、TPPによって影響が懸念される農業の分野について中心に質問をしていきたいと思っております。
農業は国の基であると言われておりまして、この国の発展を農が支えるということは現代においても変わらないわけであります。しかし、今や、農業生産額の減少でありますとか耕作放棄地の増加でありますとか限界集落の増加でありますとか、農業、農村を取り巻く環境というのは非常に厳しいものがございます。
片や国政に目を転じましても、例えば農業政策の変更が重なる、そこに対して猫の目農政であるという批判も受けてまいりました。したがって、農政の安定的な推進というのは喫緊の課題であると言わなければなりません。
日本の国土はアメリカやオーストラリアと違いますから、地形的な制約を受けておりますので規模拡大には限界があります。また、その地形的な側面から多面的な機能も有しているとも言えまして、まさにこのTPPを議論する際に、この持続可能な農業をどうこれから構築していくかということが問われていくんだと思っております。
まずはこの農業政策、また農業をこれからどうしていきたいとか、その基本的な姿勢、基本理念をまずお尋ねしたいと思っております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) よく委員会等でも話をするんですが、私が初めて選挙に出ました平成五年、街宣車で走っておりますと、農家のおじいさんが私の車のそばまでやってきまして、私の手をしっかりと握るんですね。そのおじさんの手は非常にごつごつしているんですね。農家の皆さんの手はいつも土と向き合っていますからごつごつしている、そして鎌なんかで傷が付いていますから、指が落ちていたりとかするんですね。しかし、それで手をしっかりと握りながら、応援しちょるけ、日本の農家を守ってくれよと、こうおっしゃった。このごつごつした手でまさに日本の食料を守り、農業を守り、地域を守り、環境を守り、そして文化を守り、日本の国柄を守ってきたんだろうと私は思っています。
ですから、農業というのは産業という側面だけで切り取ることはできません。多面的な機能をしっかりと私は評価していく必要があると思います。しかし、同時に、農業の平均年齢、農業に携わる人々の平均年齢は六十六歳を超えてしまった。このままでは守ることができませんから、産業として切り取ることのできる面についてはしっかりと更に競争力を上げていく。農業人口は減っていくわけでありますから、農家の所得を増やしていくということにおいては、これは、農家の所得を増やしていくために様々な今改革を行っておりますが、同時にしっかりと輸出も増やしていく必要があるんだろうと。それはそう簡単なことではありませんが、今までそれは力をそれほど入れてこなかった分野でありますから、まだまだ十分に可能性はあるんだろうと、このように思うわけであります。
同時に、世界の食市場の規模は更に大きく伸びるものと考えられるわけでありまして、かつ、アジア太平洋地域の人々の所得はだんだん上がっていくわけでありますから、日本の農産品にも、比較的値段が高いと言われている日本の農産品にもチャンスは間違いなくあるんだろうと、こう思っているところでございます。
こうした状況を踏まえまして、安倍内閣では、農業の成長産業化の実現に向けまして、農政全般にわたる抜本的な改革を進めてまいりました。具体的には、アジアを中心に拡大し続ける世界の食市場の需要を積極的に取り込むための輸出拡大、担い手への農地集積によりコスト削減を実現する農地集積バンクの創設、六次産業化の推進による付加価値の向上などの改革を強力に進めてきたところであります。また、日本型直接支払制度を創設をし、農村地域の共同活動や営農の継続等に必要な支援を行うなど、地域の活力を維持向上させるための施策を着実に実施をしてまいりました。
このような改革を進めてきた結果、四十代以下の新規就農者が年間二万人を超えまして、この九年間で最も多くなっているのは事実でございます。
引き続き、御党ともよく緊密に連携しつつ、抜本的な農政改革を進め、新しい国際環境の下で持続的に発展できる強い農業を実現していく、夢や情熱を持って農業の未来にたくさんの皆さんが挑戦していただけるような分野に変えていきたいと、こう考えているところでございます。
○谷合正明君 大変にありがとうございます。
それでは、具体的に農業分野に質問させていただきたいと思います。
先ほど来、今日の委員会では農業分野の影響試算がテーマになっておりました。政府は昨年の十二月に、TPP発効によります農林水産物の生産額の減少を一千三百億円から二千百億円と、その影響について試算を発表いたしました。
まず、農林水産大臣に質問したいのは、この影響試算は千三百―二千百億円と出ているんですけれども、大事なことは、実際これ発効した後に、これは試算でありますから、今後どのような変化が生じるかというのは実は予測し切れない部分もあるのではないか、そういう不安が実は農家サイドにあるわけでございます。当然、食料自給率についても農家所得についても、実はTPPによってこの影響、額は減るんだけれども、生産額は減るんだけれども自給率は変わらないというのが政府の説明でありますが、しかし、そもそも今、食料自給率については三九%を四五%に増やしていこうという目標があるわけですね。そこに向かっていかなければならないわけであります。
そこで、まず影響試算でありますけれども、しっかり、協定が発効されれば影響についての不断の検証を行いつつ必要な国内対策を効果的に講じていく、そういうPDCAサイクルを回していくということが極めて大事ではないかと、私はそういうふうに思うわけでありますが、農林水産大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(山本有二君) 大事な御指摘だと思っております。
TPP関連対策につきましては、新たな国際環境の下におきまして生産者が安心して再生産に取り組めますように、総合的なTPP関連政策大綱を置いております。そこで、産地パワーアップ事業、畜産クラスター事業、これらをやらせていただきまして、協定発効に合わせまして、牛マルキン、豚マルキンの法制化と補填率の引上げ、こうしたことで経営安定対策の充実も講じております。こうした不断の点検、見直しについて御指摘でございますが、まさにそれがこの政策大綱の趣旨であろうと思っておりまして、今後、さらにPDCAサイクルを回すというような物の考え方が必要であろうというように思っております。
また、御指摘の自給率との関係でございますが、自給率の方程式は分母に国内消費仕向を置いております。すなわち、これは、輸入量が増えますとこれは自給率が落ちる関係になっておりますし、また、輸出量が増えますとこれは相殺される関係になっております。TPPの合意事項を踏まえてこれを計算したところ、ほぼ自給率は横ばいでございます。若干、カロリーベースで考えましたときに六キロカロリー減るということでございますが、三九%であることにおいては変わりがないということでございます。
○谷合正明君 自給率を維持していくのみならず、向上させていくというその先の政策をしっかりと取っていただきたいと思っているわけであります。
そこで、農家サイドから心配、不安の声のもう一つの声として、影響試算の額もそうなんですけれども、再協議規定というものがございまして、発効から七年後に再協議を行うという規定がございます。この再協議規定により、例えば重要品目などの関税が撤廃されるのではないかという懸念もあるわけであります。この規定の性格の趣旨についてTPP担当大臣にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま谷合委員から七年後の再協議の規定の読み方についての御質問がございました。
これは、TPP協定においては、関税撤廃の例外を勝ち取った品目につきまして、協定発効から七年経過した後、相手国からの要請に基づいて関税等の取扱いに関して協議を行う旨を、オーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド、そしてアメリカと相互に規定をしているものでございます。協定の第二章でございます。
このような再協議に関する規定は、これも何度も答弁をさせていただいておりますが、これまで我が国が結んでまいりました経済連携協定では一般的なものだと承知をしているところでもございます。
よく読んでいただければすぐお分かりだと思うのですが、協議を行うとしか示しておりませんで、協議の結果何が決まるかということは何にも予見させる文章にはなっておりません。当然、協議をするわけでございますので、我が国の国益というものを最大限尊重して協議に臨むわけでございますから、仮に国益を損なうような御指摘が相手方からあったとしても、それは合意することに至らない。万一、その協議の結果、我が国の関税等について見直しを行うのであればどうするかということを考えていただいても分かりますように、これは国会審議を経ない限りはできないわけですから、二重に、この再協議がありましても、規定がありましても、国益を損なうようなことがないようにというふうに解釈をさせていただいているところでございます。
○谷合正明君 大事なところは国会の関与があるということだと思っておりますし、今大臣の方からも我が国に不利な形での改定は行わないと、まあ行わないというか、これは、双方が合意しなければこれはできないわけでありますから、私はそういう意味ではしっかり大臣の方から答弁していただいたというふうに思っております。
それでは、パネルで見ていただきたいんですけれども。(資料提示)
農政新時代ということで、これは昨年、農水省の方として取りまとめていただいた、つまりTPP発効に伴って農業をどうしていくのかということでありまして、この守り、守りというんでしょうか、農家の不安を支えていくという政策と、もう一つは攻めの農林水産業への転換ということでございまして、これらを総称して国内対策、国内対策と我々は申し上げているわけであります。
先ほど来、影響試算の話もございました、再協議規定のいろいろ話ありました。やっぱり大事なことは、国内対策を、今TPPの行方に変化が生じたとしても、これ、しっかり農業をやっていくんだ、農業の政策をやっていくんだ、先行してできる国内対策はしっかりやっていくんだという意思をしっかりと示していただくことだと思っております。また、仮にこの影響試算を超えるような万々が一予期せぬ事態があったとしても、しっかりそこは政府として対策を講じていくんだという決意を示していただくことが私は農業の生産現場の安心につながっていくんだと思っております。
総理に一言御決意を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 関税撤廃が原則というTPP交渉の中で、特に農業分野については重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかりと確保し、関税割当てやセーフガード等の例外措置を獲得しました。それでもなお残る農業者の方々の不安を受け止めて、安心して再生産に取り組めるようにしていくのが私たちの責任であろうと思っております。
その中で、総合的なTPP関連政策大綱に基づきまして万全な対策を講じていきます。
今回の補正予算においても、農林水産物の輸出の拡大、次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成、中山間地域の農業所得の向上などに必要な対策を盛り込みました。
また、重要五品目について、TPP協定発効後の経営安定や安定供給に万全を期すため、TPP整備法案等により経営安定対策の充実等を図るための措置を講じることとしております。
さらに、生産資材及び農産物の流通加工構造の改革の具体策や、将来の農業を担う人材の育成策等について、与党とも緊密に連携をしつつ年内を目途に改革プログラムを取りまとめていく考えでありますが、引き続きまして、農業の成長産業化を実現し、農家の所得を向上させていく施策を強力に推し進めていきたいと考えております。
○谷合正明君 重要五品目の一つであります米でございますが、この米政策について農林水産大臣に伺いたいと思います。
今、農家はTPP協定の交渉結果に対するところに関心があるだけではなくて、平成三十年産を目途に始めようとしている、これ生産調整見直しですね、その生産調整見直し後の具体的なイメージができていないことに対して不安を抱いているのではないかというふうに思います。
そこでまず、政府は現在の国、都道府県の生産数量目標及び都道府県から市町村に下ろされる生産数量目標に代わりどのような情報提供を行おうとしているのか、また政府の役割及び取組の方針についての見解を伺いたいと思います。
さらに、今、現行、収入減少影響緩和対策、ナラシ対策と、通称ナラシ対策でありますけれども、これは生産数量目標の範囲内で生産された米が交付対象となるということでございまして、この生産調整の見直しの後どうなるのかという議論もあるわけでありますが、しかしながら、これは法律に基づいている措置でございますし、生産現場サイドからすると大変影響が大きいわけでありますので、このナラシ対策については、法律に基づいて三十年産以降もしっかりと継続していくということを明らかにしていただきたいと思います。
さらに、三点目に、米の直接支払交付金の廃止による収入面の不安というのもあるわけであります。多くの農家は今なお困惑状況にあると考えております。この平成三十年産については、見直しの初年度ということもありまして、米価がどのように変動していくかということも、これは不測の事態が生じる可能性もあるわけでございまして、そういう意味では、直接支払交付金の予算というのは、しっかりと私はこれ今後水田などの農業政策へ振り向けていくべきであると考えております。
以上、三点、農水大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 過去二年にわたりまして、生産農家の御理解を得ることによって、過剰作付け、これがなくなりました。したがいまして、今の米の価格というのは堅調に推移するだろうというように予測されております。
そういう中で、米政策の見直しにつきましては、米農家が自身の考え方で作付けができるというようなことを目指して、三十年産を目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも生産者自ら経営判断する、そういう農業に変わっていただけるというように考えております。
そして、この場面におきまして国の役割でございますが、環境整備をしなきゃなりません。そのためには、まず、全国の需要見通しに加えまして、各産地における販売や在庫の状況などに関するきめ細かな情報提供を行おうと思っております。また、麦、大豆、飼料用米等の戦略作物の生産に対する支援等を併せて行っていきたいと思います。
二十七年産、二十八年産におきまして、各産地における主食用米から飼料用米を始めとする作物への転換によりまして、二年連続で全国の過剰作付けが解消されている状況でございまして、こうした転換が自主的に行われることが三十年産以降の姿そのものでございます。二十九年産におきましても、引き続きその予行演習的考え方でお願いをしているところでございます。
国といたしましては、現場の関係者の意見も伺いながら、三十年産以降においてきめ細かな情報提供や水田フル活用のための支援を行うことで、農業者が安心して需要に応じた生産に取り組めますように努力をしていくところでございます。
また、ナラシ、収入減少影響緩和対策でございますが、米政策が、三十年産以降につきましてもセーフティーネット対策として担い手経営安定法に基づいて実施していくことには変わりがございません。
また、米の直接支払交付金、二十九年度限りで廃止されることになっております。この財源も加えて、米生産がよりスムーズにいくような施策が取れればというように希望しておるところでございます。
○谷合正明君 公明党も創設に向けて強く働きかけてまいりましたのが収入保険制度の創設であります。
現行の農業共済制度というのは自然災害による収量の減少を対象としておりまして、価格低下などは対象外となっております。
そこで、そうした現行の制度をカバーするような形で収入保険制度を農業経営全体を対象とする形で創設できないかと考えているわけでありますが、この収入保険はより多くの農業者が加入できるような工夫をすべきであると考えております。
例えば、青色申告五年以上の要件の特例でありますとか、これを機会に青色申告への促進を図るべきと考えておりますが、農水大臣の見解を伺います。
○国務大臣(山本有二君) 御指摘の収入保険制度につきましては、農業経営全体の収入に着目したセーフティーネットとして検討が進められております。農業経営者ごとの収入を正確に把握する必要がありますことから、事業化調査における仮スキームということで、青色申告を五年間継続している農業者を対象として考えているところでございます。一方、五年間の青色申告実績がない新規就農者につきまして、その取扱いが今何とかできないかという観点から検討を重ねているところでございます。
いずれにしましても、本制度につきましては、対象者の要件を含めまして、総合的なTPP関連政策大綱における検討項目十二項目の一つでございまして、政府・与党において検討を進めていくところでございまして、さらに、委員の御協力、検討を進めるお知恵を頂戴したいというように思っております。
○谷合正明君 今、農林水産大臣の方から、この年末までに取りまとめる検討項目の一つであるというお話がございました。
実は、先ほど農政新時代ということで、攻めの農林水産業への転換でありますとか経営安定・安定供給のための備えが取りまとめられたところであると申し上げましたが、もう一つの宿題として年内に取りまとめをしなければならないのが、この検討の継続項目でございます。そのうち、人材力、そして戦略的輸出体制の整備や原料原産地表示、こうした点について残りの時間で確認をさせていただきたいというふうに思います。
人材でありますが、もう言うまでもなく、これから農業の分野に若い人あるいは女性が参入していく仕組みをもっともっとつくっていかなければなりません。しかしながら、現状、例えば農業高校の高校生、卒業生のうち、およそ五%程度の人しか就農していないという結果もございますし、また近年、大学で農学部が設置をされ始めました。これは、若い人の農業分野への回帰を表している象徴でもあるんですが、大学の農学部の先生にお伺いしても、ちょうど卒業する頃になって、やはり農業分野で就職したいんだけれども、その就職の受皿がなかなか地方に、隅々まで行き渡っていないのが課題ではないかという話だったんですね。
農業の担い手というのは生産面だけじゃありませんから、経営であるとか金融だとか幅広いわけでありますが、そうした農業の受皿をしっかりつくっていくことがこれから大事だというふうに思っております。今、地方では特に農産物の流通の多様化ということで、やはり人材として求められておりますのは、生産と流通の両方に関して高度な知識を備えている、農と商を結ぶことができる人材ではないかというふうに思っております。
ただし、流通と申しましても、農産物の流通は非常に特殊でございまして、量に関する不確実性であるとか、また瞬時に価格を決定し取引を成立させなければならないという特殊な流通でありますから、そうしたことをしっかりと踏まえた人材育成というのが大事だと思いますが、大臣の答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 農業を取り巻く内外の環境は大きく変化をしております。生産のみではなく、流通、販売まで視野に入れた経営感覚が担い手育成には大事だと考えております。生産量が八兆円、輸入量が六兆円、この十四兆を基に、最終的な消費まで行きますと百兆円近くなるわけでございまして、そんな意味で農は成長産業だと言われているところでございます。
先生御指摘の新しい農の考え方の中に、山梨大学がワインの学部をつくったと聞いております。そういうような新しい発想で担い手が農に取り組んでいただけるということを農林省も希望しておりまして、就農前の段階で、農林中央金庫や食品企業等が参画した一般社団法人アグリフューチャージャパンというのは経営セミナーを就農前の方々にしておりますし、就農後に関しましては、既に頑張っておられる農家の方々に、農業経営塾というものを設置して、それぞれ勉強をして新しい農業に携わっていただけるというような道を開きたいというように思っております。
○谷合正明君 新規就農などの話をさせていただきましたが、安倍総理も先ほど、四十代以下の新規就農者が二万人を超えたということは、これは大変喜ばしいことであります。
私も、実はいろいろ現場を回っていくと、若い人たちと懇談すると、新規就農者の方がどれくらいいるかなと思いながら聞くと、実はやっぱり半分以上は親元就農なんですね。
ですから、視点といたしましては、この新規就農もそうでありますし、親の後を継ぐいわゆる親元就農に対しても、当然私はしっかりと光を当てていかなければならないと思っております。制度上何か差別をしているわけじゃないと思いますが、しっかりこの親元就農に対してもやっていくんだぞということを、姿勢を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本有二君) 持続可能な力強い農業を実現していくためには、親、それから子、子から孫というような地域、農村が必ず必要でございます。その意味で、御指摘の親元就農を含め農業の内外からの新規就農を促進し、世代間バランスの取れた農業構造にしていくことが重要だと考えております。
そこで、二十四年から就農準備段階や経営開始直後の青年就農者を対象とした青年就農給付金の交付をしておりまして、また、農の雇用事業における、農業法人等における雇用就農者の研修の支援もしております。さらに、無利子融資等を活用した機械、施設等の取得の支援もさせていただいております。
親元就農を含め、青年が農に携わるということに対してはもう徹底的に支援の手を緩めないようにしていきたいと思っております。
○谷合正明君 続きまして、輸出促進、国産食材などの振興について質問をいたします。
パネルを御覧ください。これは、ロンドン・オリンピックの競技大会における食材の調達基準ということでございます。
実は、ロンドン・オリンピックのとき以来、リオ・オリンピックもそうなんですが、その大会期間中に出される飲食についてはどうするかということを大会の組織委員会、検討委員会が決めていくという仕組みになっておりまして、例えばロンドン大会でどうだったかというと、右下に書いてありますが、大会全体で一千五百万食以上が提供された。選手村では約二百万食、選手村のピーク時には三十分で一万食という提供をしなければならなかったと。
この中身をどうするかということで、農産物、乳製品、牛肉、羊の肉、水産物と分けてそれぞれ書いてあるんですが、ここに英国産のレッドトラクター認証品ということで、認証品を使っていくんだと、原則使っていくんだということに取決めしたわけです。
このレッドトラクター認証というのは、イギリスの農業者団体が運営する認証制度でありまして、食品安全や環境保全、動物福祉等に配慮した農産物や加工食品を認証するというものでありまして、今イギリスの市場では大体七割ぐらいがこのレッドトラクター認証品ということでなっているわけであります。
そこで、東京オリンピック・パラリンピックでございますが、まさに今大会組織委員会でこの基本戦略と食材の調達基準を策定中と伺っております。短期間のうちに一千五百万食以上提供するというのはこれ大変なことでございまして、総理も本会議の質問の答弁に際して、これからグローバルギャップという国際認証の推進を図るという答弁があったんですが、GAPにはグローバルギャップ認証と日本GAP、この二つが我が国にはございます。認証を受けている農場の数というのは、それぞれ今、グローバルギャップで四百、またJGAP、日本GAPでは四千、国内にありますが、この数であると、オリンピック期間中に一千五百万食、まだGAPを使うとは決まっていないわけでありますけれども、仮にGAP認証を使うとすれば、この一千五百万食を提供するにはちょっと足りないわけですね。
そこで、五輪をてこに、輸出促進のため、国産の農産品、水産品の普及のために、日本GAP認証の国際標準化、GAPを取得している農場の増加、またGAP認証食材を使用してもらうための流通体制をこれ至急整備する必要があると考えますが、政府の対策を尋ねます。
○国務大臣(山本有二君) 御指摘の食品安全、環境への配慮、こうしたものを実現するため、国際的に工程管理が重要視されております。国内でもGAPの普及を推進しております。
近年、農産物の輸出において、海外の民間事業者から国際的に通用するGAPの認証取得を求められるようになってきております。また、御指摘の二〇二〇年のオリパラ東京大会で組織委員会が年度内をめどに決定することにしております食料調達基準、これにおきましても、ロンドン大会と同様、国際的に通用する水準のGAPの認証取得が求められる可能性がございます。
このため、農林水産省としましては、民間団体によるJGAPの国際規格化の取組の支援、生産者がJGAPやグローバルギャップの認証を取得する場合の費用の支援、GAPにより認証されました農産物とその他の農産物を分別管理するための施設整備に対する支援、これを行おうとしておるところでございまして、こうした取組を通じまして、オリパラを契機に、また国際的に通用する認証を受けた農産物の生産を大幅に増やし、世界各国への輸出等が一層拡大する環境をつくること、これに取り組んでまいりたいと思っております。
○谷合正明君 御答弁ありがとうございます。
しかしながら、もう時間がないわけですね。ですから、総理に、二〇一九年の農産物輸出一兆円という前倒しの目標を掲げているわけでありますが、ちょうどやはり二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックのこうした大会があるわけでありますから、しっかりこの大会を活用して、このGAP認証の推進など輸出体制をしっかりと政府一丸となって強化していく、これは私は国産の産品を生産する生産農家にとっても追い風になると思うんです。よく輸出は、何というか、実は使っているものが外国産であるという、そういう批判もあるんですが、私は、今回のオリンピックで認証制度を使ってやっていけば、しっかり国産の食材もPRするまたとない機会となると思いますので、総理の決意を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そもそも日本の食材は、しっかりと管理され、おいしくて安全なものが作られていますから、そこでこのGAPの認証、まだ十分に認識されていない点もありますから、しっかりとこの認識を広めていく中において農業者のGAPへの取組をしっかりと支援し、体制を構築をしていきたいと、このように考えております。
○谷合正明君 続きまして、輸出の関係で申し上げると、日本酒の輸出ということも昨日の委員会でも何人かの委員が取り上げておりました。日本酒の輸出は和食ブームを背景に増加傾向にありまして、輸出量、輸出金額共に過去最高を昨年は記録しておりますが、平成二十五年、二〇一三年には、この日本酒を造るための酒造好適米、酒米が不足したと。その不足したことから、酒造好適米の需要増に対応できるように平成二十六年度からの生産数量目標の枠外での生産を可能にしたところ、平成二十七年度、二〇一五年度の酒造好適米は逆にかえって供給過剰になってしまったということでございます。
今後の日本酒の輸出の増加に対しまして、この酒造好適米、酒米の生産体制をきっちりと進めていくことが大事だと思いますが、政府の対応を伺います。
○副大臣(齋藤健君) 山田錦等の酒造好適米については、谷合委員御指摘のように、栽培適地が限られているということ、それから豊凶によって生産量の変動が大きいということがありますので、御指摘のように、きちんとした需要に応じた安定供給ができる、そういう体制をつくっていくことが大事なんだと考えております。
そのためには、生産される方が酒造メーカーのニーズをきちんと把握をして生産をしていくということが極めて大事だと思っておりまして、このため農林水産省では、本年三月と六月に産地及び酒造メーカーの関係者によります日本酒原料米の安定取引に向けた情報交換会を開催をいたしまして、その一環として、産地がより的確に需要に応じた生産ができるように酒造メーカーに対しまして需要量の調査を実施をいたしまして、その結果を公表したところでございます。
産地においては、この需要量調査の結果と併せて、酒造好適米の需給状況も踏まえて生産をされていくということが重要であると思っておりまして、今後とも、このような情報交換会を毎年開催をいたしまして、安定取引に向けた取組状況等の検証も行いまして、需要に応じた生産体制の確立に向けた民間の取組を促進していきたいと考えております。
○谷合正明君 よろしくお願いいたします。
それでは最後に、加工食品の原料原産地表示について、大臣に端的にお伺いします。
十一月二日に中間取りまとめ案が公表されまして、加工食品の原料原産地表示制度につきましては義務化していくという方向になるわけでありますが、一方で、当然例外も設けられていくわけであります。その例外の中で、大くくり表示ということで輸入又は国産というような表示も可能とするわけでありまして、そうすると、輸入又は国産という表示を見たときに消費者は、一体これはどこの産品なんだと、結局は全世界のイメージということになってしまうわけでありまして、消費者の商品選択に資するかという疑問が呈されているわけであります。
あの中間取りまとめ案自体は実行可能性に重点を置いたものというふうに私は評価しておりますし、消費者の、また事業者の利益等、様々なヒアリングをしたものと評価しているわけでありますが、最後に、この例外を認める際に消費者の誤認を防止するための措置について伺います。
○国務大臣(松本純君) 現在、加工食品の原料原産地表示の義務対象品目は、加工食品全体の一割程度にとどまっているという調査結果があることは承知をしております。加工食品の原料原産地表示制度については、本年一月より有識者検討会を開催しておりまして、全ての加工食品に原料原産地表示を導入し、消費者の誤認を防止するための方法を明確にした上で、事業者の実行可能な例外的な表示方法を整備することについて合意が得られたところでございます。
今後、検討会の取りまとめを踏まえまして制度を具体化するに当たり、消費者の誤認を防止するための具体的な方法として、例えば使用割合が極めて少ない産地については○○産と表示しない、過去の使用実績等に基づく表示であることを容器包装に注意書きするなどの方法を講じることを検討してまいりたいと存じます。
また、新しい制度を十分理解いただけるよう、パンフレット作成や説明会を実施することなどにより消費者への啓発活動も積極的に行ってまいりたいと思います。
○谷合正明君 終わります。