○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
改めまして、この度の地震におきます被災者の皆様、また被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
この度の熊本地震におきましては、四月三十日時点の政府の非常災害対策本部などの発表の速報値によりますと、犠牲になられた方四十九名、重傷者三百四十五名、そして行方不明一名、全壊世帯二千二百二十二世帯、半壊世帯二千七百三世帯、また避難所には、二十九日時点で、熊本県におきましては三万六百二十九名、大分県でも二百十四名の方が避難と。建物の応急危険度判定でも東日本大震災を上回る一万三千百十三棟となるなど、未曽有の災害となっております。
政府におきましても、激甚災害の指定に加えまして、今、各種期限等が自動延長されます特定非常災害法の適用を決めていただきました。
発災直後からこのゴールデンウイークにかけまして、全国から自衛隊、警察、消防、そして国や自治体の職員の皆様、そして民間企業、ボランティアの方々が被害の大きい熊本県や大分県に集まって、被災地の皆様とともに一日も早い復旧のために全力を合わせているところであります。また、先週の時点では、世界中の百三の国や地域、十七の国際機関からお見舞いのメッセージも届いているところであります。
しかし、余震が続く中、いまだに一時避難所であります体育館あるいは車の中での不自由な生活が余儀なくされているというのがこの度の地震の特徴的な実相ではないかと思っております。政府においては、一刻も早く全ての避難者に安心したところへ移っていただけるよう、被災者支援を国政の最優先課題として政策資源を総動員していただきたいと。
私ども公明党も、熊本地震対策本部といたしまして、先週二十八日、六十五項目から成る首相宛ての緊急要請を行いました。これらは、全て現場に急行した同僚の国会議員や、また地元議員が目の当たりにしてきた課題に対する要請事項でもあります。この中では、被災者支援の充実や早期復旧に向けて当面必要な対応として、避難所の感染症対策強化や二次避難所、旅館やホテルのフル活用、心のケア充実、無料法律相談、また生活再建支援を受けるのに必要な家屋の被害認定や罹災証明書交付の加速化などが盛り込まれているところであります。我々といたしましても、中長期的な課題も含めまして、政府をしっかりと支えてまいりたいと思っております。
そこで、防災担当大臣に、熊本地震からの復旧、とりわけ被災者支援、安心した生活環境の確保の加速といった今喫緊の課題に対しまする防災担当大臣の決意をまずお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) まだ余震が頻繁に続く中、相当大勢の方が避難所あるいは車中で避難生活を送られております。だんだん気温も上がり、梅雨も近づいている中で、こうした被災された大勢の方が一日も早く良好な生活を取り戻せるようにしなければならないというふうに思っております。
一日も早い生活再建に向けて、政府内は垣根なく切れ目なくしっかりと復興に向けて取り組んでまいりたいと思っておりますし、県あるいは市町村と一体となって、一日も早い復興に向けて頑張ってまいりたいと思います。
○谷合正明君 そこで、具体的に質問をさせていただきますが、被災者の生活再建について確認したいと思います。
大臣は、先週の衆議院の災害対策特別委員会で、できる限り早く被災者生活再建支援法に基づく支援金を交付できるような状況に持っていきたいというふうに御答弁されております。生活再建といいますと、今申し上げたこの法律に基づく支援金のみならず、今全国の皆様から寄せていただいております義援金もその一つでございます。日本赤十字社、赤い羽根共同募金、各自治体のみならず、今、政府も専用の義援金口座を開設しているところでありますし、私ども公明党も義援金口座を開設し、日本赤十字社に委託をさせていただく中で現地に届けさせていただこうと取り組んでいるところでございます。
義援金は、それらが一旦一括されて、日本赤十字社などが設置する都道府県配分委員会により被害規模に応じて被災者に公平に配分額が決定され、各自治体を通じて被災者、遺族の方に届くことになると私は理解しております。東日本大震災のときは、この第一回の県配分委員会の会合というものが、岩手県の場合は震災から三十八日後に開かれました。宮城県の場合は震災から三十三日後、福島県の場合は震災から二十一日後に決定されているところであります。また、広島の土砂災害におきましては、発災から二十日後に配分委員会で配分が決まったところでございます。
熊本地震は、四月十四日の発災から十八日が経過しました。九州の同僚議員に現地の状況を確認しましても、今後、生活資金の確保を求める声が強くなっていくのはこれは時間の問題であるという話でございます。被災者の皆様に早期に義援金を届けていくために、配分の基礎となる都道府県配分委員会の開催を急ぐ必要があると私は考えます。
政府は、過去の災害の対応などを参考にしまして遅滞ないようフォローアップ、フォローすべきではないかと思いますけれども、政府の対応を確認します。
○政府参考人(加藤久喜君) お答えいたします。
国民の皆様からの善意により寄せられる義援金は国の法令等に基づくものではございませんが、国民の皆様から寄せられた義援金が被災者の方々のお手元に速やかに届けられることが重要であるというふうに考えております。
直近に熊本県の方に私どもの方から問合せをいたしました。熊本県からのお答えでは、四月二十八日十二時現在で、熊本県分だけでございますが、約二十五億円の資金が集まっているということでございますし、その配分方法や金額など基本ルールを決定するための県が設置する義援金分配委員会、これは、本日一時半、十三時三十分から開催する予定であるというふうに伺っております。
先生の今御指摘ございましたような早期に届くようにというようなことも県の方にお伝えしながら、しっかりと連携しながら取り組んでまいりたいと思います。
○谷合正明君 有り難い情報でございます。
そうした義援金の配分ですけれども、委員会によってこの配分額が決定するというわけでありますが、義援金の配分や被災者生活再建支援金の支給に当然必要になってくるのは罹災証明になってくるわけであります。
そこで、先ほど来、この国会でもこの罹災証明の早期発行ということでさんざん質疑のやり取りもあるわけでありますけれども、今現時点で、本当に必要とされている世帯に、どのくらいの世帯にこの罹災証明が行き渡っているのか、なかなかこの全体像もよく分からないところではあります。しかし、そうした実態把握がなければ応援職員の効果的な配置もうまくいかないと私は考えておりまして、また、各自治体の要請もあると思いますが、国が前面に立ってプッシュ型の実効性のある職員の配置というものも今後調整していかなければならないんだと思います。
改めて、この罹災証明の発行の現状、また早期発行に向けた取組について聞きたいと思います。
○政府参考人(加藤久喜君) お答えいたします。
熊本市など、私ども、百棟以上の住家被害が報告されている市町村に対し直近の状況を確認いたしましたところ、申請受付件数は合計で約三万件、それから交付件数は合計で約七千五百件となってございます。また、新聞情報等によりまして順次受付が始まっておるということでございますので、まだこれ以上の数字が見込まれるものと考えております。
内閣府では、罹災証明書交付の迅速化のために、既に四月の二十日に熊本県、二十一日に大分県に職員を派遣いたしまして説明会を開催をいたしました。また、四月二十六日には通知を発出いたしまして、被害認定調査が終了したものから順次交付すること、あるいは計画の策定や体制の構築が困難な市町村に対して県が必要な支援を行うなど、迅速な交付のための取組を進めていただくようにお願いをしているところでございます。
罹災証明書は、応急仮設住宅の供与等様々な支援の適用の判断基準となっていることから、政府として最優先での交付の迅速化に取り組んでまいります。
○政府参考人(北崎秀一君) 熊本地震の被災自治体に対する職員派遣につきましては、自治体間の広域応援協定のスキームにより、昨日五月一日現在で千百九十五名が派遣されて災害対応を行っております。職員派遣に当たりましては、熊本市については指定都市市長会が支援を行い、その他の市町村については九州知事会が支援を行っております。
具体的には、個別に担当の県を定めて、その県がワンストップで派遣ニーズの把握、派遣職員の調整を責任を持って行っておる、いわゆる対口支援方式を取っておるところでございます。この自治体間の広域応援のスキームで対応できない派遣ニーズについて、総務省が地方三団体、知事会、市長会、町村会と連携して全国的見地から対応をさせていただいております。
罹災証明書の発行に向けた人的体制の確保については、安倍総理からも最優先で取り組むよう指示があったところでありまして、昨日、五月一日現在で十三団体に二百三十名の職員を派遣してございます。この結果、全ての団体で罹災証明書の交付申請に係る対応を開始したところであり、今後、交付が適切に実施されるよう、更に人的支援の充実に努めてまいりたいと考えております。
以上であります。
○谷合正明君 現場で業務に携わる職員の方も大変な思いをされているとは思います。その上で、国といたしましても、政策資源を総動員していただきまして、被災者の皆様にしっかりと寄り添った形でのバックアップ体制をしいていただきたいと思っております。
続きまして、避難所においてのテントの活用について確認したいと思います。
震源地でもあります益城町では、今もなお多くの方が避難所の例えば廊下とか、あるいは車中での不自由な避難生活というのも続いていると聞いております。
この益城町では、そうした状況の中で少しでもプライバシーのある空間で、また足を伸ばして休んでもらいたいということで、実は、登山家の野口健さんと岡山県総社市が中心となった中四国の十の自治体、そして岡山に本部がある医療NGOのAMDAが連携して、登山用のテントを活用した緊急的な避難施設の提供を行っております。車中避難をしている人を優先に、二百張りのテントに五百人ほどの方が今避難しているということでありまして、ただ、我が国では、従来、体育館などを避難所にすることが多く、こうしたテントを活用した避難というのはなかなか具体的に想定されておりません。
この総社市や実際に携わった野口健さんの報告によりますと、今後検証を行いまして、震災時には、例えばプライバシーの確保や足を伸ばせる空間の確保といった観点からも登山用のテントや寝袋を活用した避難というのも想定しておくべきではないかと、そうしないと、いざ設置するときにもどこの土地に設置するかなど混乱してしまうこともあるということであります。
一時避難所から応急仮設住宅の入居までの時間が、どうしてもこれ物理的に掛かります。今、二次避難所として、私どもも、旅館やホテル、公営住宅の空き部屋など政府に対応していただきたい、フル活用していただきたいと、そのことを強く要請しているわけでありますが、その上で、それでもなお、被災者によっては、離れた地域には行きづらいとか同じ町内の方と一緒にいた方が心強いとか、様々な思い、理由があって避難所にとどまっている方もいらっしゃいます。そうした被災者のニーズに応じたきめ細やかな対応をするためにも、避難所に入り切れない、あるいは避難所の中で窮屈で避難生活をされている方々のためにテントを活用するということも一案なんだと私は思いました。
まず、確認でありますけれども、避難所における行政によるテントの活用は災害救助法適用となることの確認と、今後の教訓として、こうしたテントを活用した避難も想定しておくべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(加藤久喜君) お答えいたします。
まず、災害救助法の適用でございますけれども、災害救助法におきましても、既存の建物に入っていただくのはもちろんよろしいわけでございますが、それが得られないという場合にはテント等を設営することも可能になってございますので、災害救助法の対応は可能であるということでございます。
それから、テントの活用でございますけれども、現在も、今、谷合先生から御指摘のありましたような点を踏まえまして活用がなされているところでございますし、私ども政府といたしましても、まずプッシュ型で幾つかテントを用意して、自治体の御要望があれば提供できるような体制も整えているところでございます。
また、益城町におきましては、自衛隊が今後無償貸与するような予定もあるところでございまして、そういう取組が今後進んでいくものと思いますし、そういうことも踏まえましてこれからの避難所の在り方等も検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○谷合正明君 私ども公明党の緊急要請の中にも、テントの無償提供ということも政府に要請をさせていただいたところでございます。どうぞ、将来的な課題のみならず、今現時点での対応というのもしっかりとしていただきたいと思います。
それでは、最後、質問をちょっと入れ替えますが、先に農業の分野についての質問をいたしたいと思います。佐藤政務官、お越しいただいております。
熊本県は、これは全国有数の農業県でもあります。園芸作物、畜産、また水稲など土地利用型の作物、また農業用水路などハードにも被害が出ております。今後、梅雨期を迎えるに当たりまして大変心配をしております。農水省においては万全の対応をしてほしいわけでありますが、現時点での被害状況とその対応について確認をさせてください。また、政務官としての決意も聞かせていただきたいと思います。
○大臣政務官(佐藤英道君) 農林水産省としましては、地震発生直後から、九州農政局に立ち上げました現地対策本部を中心に被災状況の迅速な把握に努めるとともに、被災された皆様に対する食料支援を行ってきたところでございます。
特に食料支援につきましては、食料供給の担当責任者であります櫻庭食料産業局長を現地に派遣しまして、関係機関や業界の御協力を得ながら、被災された皆様のお手元に確実に届くように努めてきたところであり、引き続き、ニーズにしっかりと応えてまいりたいと思います。
また、交通網の復旧が進んできたことに伴いまして、ただいま委員御指摘のとおり、農業用施設の損壊や死亡牛の発生など農林水産業への被害も明らかとなってきているところでございます。特に、現時点では、農地の地割れや液状化、選果場の破損、農業用ハウスの損傷、乳業工場の操業停止、畜舎等の損壊、死亡牛の発生、一部のため池のひび割れ、林地の荒廃、林道施設の損壊等の被害が生じているとの報告を受けているところでございます。
農林水産省としましては、本省の担当課長、農業土木技術職員、森林土木技術職員、水産庁職員を現地に派遣するとともに、本日は農林水産大臣が熊本県に出張しまして、農地や林地、共同利用施設、ため池などについて被害状況を調査しているところでございます。
今後、速やかに被害状況の全容を把握するとともに、今般の激甚災害の指定を受け、関係自治体も連携して、一日も早い経営再開に向けて迅速かつ的確な復旧を図ってまいる所存でございます。
○谷合正明君 この度の震災の犠牲になった方々の中には、農業に対して希望を抱いて学んでいた九州東海大学の農学部の学生も含まれております。その意味では、農水省におかれましても、そうした学生の思いをしっかり酌んで、こうした農業再生について取り組んでいただきたいというふうに思っております。
今日は、避難所での、また車上生活における健康維持についての政府の対応ということについても質問通告させていただきましたけれども、時間の関係上、健康維持について政府として万全な体制をしいていただくことを要請させていただくということで、質問を終わらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。