○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
それでは、私から、まず、先週三月十七日に起きました広島県東広島市にあります山陽自動車道の八本松のトンネル事故について伺います。
この事故では、渋滞中の車にトラックが突っ込んで、トラックを含む五台が炎上して二人の方が亡くなり、六十七名がけがを負うという事故となりました。改めて、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷された方へのお見舞いを申し上げたいと思っております。
私たち公明党といたしましても、事故が起きた翌日に地元の斉藤鉄夫衆議院議員が現地を視察いたしまして、国交省の地方整備局と西日本高速道路株式会社から状況の説明を受けたところであります。昨日は国土交通部会でもこの件については議論をさせていただきました。今後、事故を検証して、これ、より安全性を高めるという意味で、再発防止を図る上で二つのことが論点ではないかと考えております。一つは、トンネルの中の非常用施設設置基準の在り方、もう一つはトラック事業者に関することであります。
一つ目のトンネルの非常用施設設置基準の在り方でありますが、資料を一枚配付させていただいております。今回の八本松トンネルというのは、これ御覧いただいたら分かるんですけれども、トンネルの長さと一日当たりの交通量に応じまして区分をしているわけでありますが、ダブルA、A、B、C、Dということでやっておりますが、八本松トンネルはこのバッテンが記されているこのAに該当するわけであります。
例えば、そのAに該当するトンネルにおいてはどういう施設が設置基準として設置しなければならないかということの一覧がその下に書いてあるわけであります。この丸が書いてあるところがそういうことであるんですが、例えば、この押しボタン式通報装置というのは丸でありますので、今回このトンネルにも設置をされておりました。このボタンを押したことが第一報につながっているわけであります。この三角は必要に応じて設置するということであります。スプリンクラーに該当する水噴霧装置というものはこのトンネルには設置されていませんでした。ただし、その三角、必要に応じてという項目の中でも避難通路、給水栓というものは設置されていたようであります。全体でいうと、このトンネルの非常用施設は基準どおり満たしていたということで私は理解しております。
となりますと、今後はこの基準のままでいいのかどうかというところが論点になろうかと思っております。この基準ができたのは日本坂トンネルの事故がきっかけでありまして、今から約三十年前ですね、この三十年間この基準は変わっていないと聞いております。その三十年の間、今日まで、例えば車そのものの安全性能ですとかトンネルの内部にある安全施設自体、いろいろスプリンクラーの技術とかも変わってきているはずなんですが、この三十年間、基準自体は変わっていない。しかも、この三角の必要に応じてというのもなかなか分かりづらいわけでございまして。
まず、お尋ねしますが、スプリンクラーなどトンネル内設備の設置につきまして、国交省といたしましても、今回の調査結果を踏まえて、より安全性を高める方向で見直しを検討していくべきではないかと考えておりますが、まず見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(森昌文君) お答えいたします。
今御指摘いただきました道路トンネル非常用施設設置基準でございますが、これはトンネル内の火災あるいはその他の事故が発生いたしましたときに被害を最小限にとどめるために昭和五十六年に確かに定めたものということとなっておりまして、交通量そしてトンネルの延長というもので等級を決めて、それに従って設置する設備を決定しているという状況にございます。
今お配りしていただいた資料で示しておりますとおり、八本松トンネル、延長は八百四十四メーターというトンネルでございまして、上から二番目のA等級ということで、まさに押しボタン式の通報装置あるいは消火器、誘導表示板といったようなものを設置しておりまして、スプリンクラー等々は設置していないというのが実情でございます。
今回、実際に起こりました事故原因、これは実際に今警察において捜査中というふうに聞いておりますが、トンネル内の渋滞に追突し、そしてまた短時間で炎上したというようなことも報道されておりますので、実際には、今後の取扱いにつきまして、事故原因、そしてまた事故発生後に避難をどのように利用者の方々がされたかといったようなこともよく踏まえながら見極めてまいりたいというふうに考える次第でございます。
以上でございます。
○谷合正明君 しっかり見極めていただきたいと思いますが、もう一つの論点で、まず、これはトラック事業者への対応というのがあると思うんですね。
これは、長野県軽井沢のスキーツアーバス事故と私何か共通しているところも幾つかあるのかなと思っております。このスキーツアーバス事故では、今対策検討委員会での議論が始まっておりまして、夏までに総合的な対策を取りまとめることとなっています。例えば、似ているなと思ったのは、報道では居眠り運転であったというふうに聞いているわけでありますけれども、実際、事業者において適切な労務管理がなされていたのかどうか、安全確保についてのこのチェック体制はどうだったのか。また、車両に付ける先進安全技術の普及促進という観点についても、これは共通した検討課題があるのではないかと思いました。
今回のトラックは、お伺いしておりますと、四トン車の中型トラックということであります。衝突被害を軽減するブレーキ装置というものが、そういう技術があるわけでありますけれども、そういうものが搭載されていれば、少なくとも今回の減速せず渋滞車両に突っ込むということはなかったのではないかというふうに推察されるわけであります。ただし、中型トラックにおいては、この先進安全技術については、まだこの普及についてはちょっと今後の取組だというふうに承知しておるわけであります。
そこで、中型トラックへの先進技術の普及についての取組と、義務化、仮に義務化されるということが何年か先にあったとしても、その義務化される前から切り替えていく、そういうインセンティブも事業者にとっては必要かと思っております。
大臣に、まず、今回のトンネル事故に対する御所見、また今後の対応を伺いますとともに、特にこうしたトラックが関わる事故の被害を軽減することへの対策について御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) まず、事故原因については警察において捜査中でありますけれども、国土交通省としては、事故を起こしたゴーイチマルエキスラインに対して、事故翌日及び昨日、特別監査を実施をいたしました。国土交通省としては、監査結果を基に事実確認を速やかに進めるとともに、判明した法令違反について厳正に処分を行う等、再発防止策を徹底してまいりたいと思います。
また、過労運転事故を防止するためには運転者の勤務時間の基準を遵守することが重要でありまして、事業者への指導や悪質事業者への重点的な監査等によりその徹底を図ってまいりたいと思います。
加えて、自動車事故の防止には、今御指摘ありましたとおり、先進安全技術の活用も極めて重要であります。国土交通省では、トラック、バスに対して自動ブレーキなど先進安全技術の装着を重量の重い車両から順次義務付けております。今回追突事故を起こしました中型トラックについては、平成三十一年十一月より自動ブレーキなどを義務付けることとしております。
また、自動車メーカーでは、義務付けを待たずに中型トラックへの先進安全技術の装備を進めつつありまして、国土交通省といたしましても、これらの車両に対する税制の特例や購入補助などの支援を行っているところでございます。国土交通省としては、引き続き、先進安全技術の開発普及の促進を進めてまいります。
○谷合正明君 今御答弁いただきましたけれども、当然、大型トラックでありますとかバスとか、既存の先進技術の普及が図られている分野においてもしっかりと取組を推進していただきたいと思いますし、これから、例えば観光促進とかいうことで、人の流れあるいは物の流れということで、高速道路なんかの通行量等増えていくんじゃないかなというところも私は思いますので、しっかりとこの安全確保の対策を万全に進めていただきたいと思っております。
それでは、次の質問に移りたいと思います。
今月、三月末までにおおむね十年間の国土づくりの戦略、すなわち新たな国土形成計画、広域地方計画を策定することになっております。これは昨年の八月に閣議決定された新たな全国計画を踏まえたものであります。必要なインフラ整備の推進、ストック効果の最大化による生産性の向上、産業の競争力強化の取組をすることを目指しているわけであります。
今回の広域地方計画の基本コンセプトを伺っておりますと、地域が相互に連携するとか、圏域を超えて対流促進を図っていくということが随所にちりばめられております。これは非常に重要な着眼点であると思っております。地域の連携による産業競争力強化という観点からいいますと、私は、国際バルク戦略港湾の取組、これも重要ではないかと思っております。
私の地元であります岡山県にある水島港は、中四国と近畿地方の広域にわたる畜産農家で消費される配合飼料の一大供給拠点となっています。また、その原材料ともなりますトウモロコシなどの穀物の輸入拠点としても大変重要な役割を果たしています。
農林水産省の統計によりますと、畜産業の経営コストに占める飼料費、飼料代の割合というのはかなり占めておりまして、例えば、肥育豚においては六六%がこの飼料代だと、また養鶏においてはやっぱり六六から六九%がこの飼料代が占めているということでありますから、我が国は今飼料の原料となる穀物を一〇〇%海外からの輸入に頼っておりますので、この調達コストをいかに低減していくかということは、畜産業の安定ひいては国民の食生活の安定を図る上で喫緊の課題であります。これを解決するのが国際バルク戦略港湾政策でありまして、我が国の成長戦略、国家戦略そのものだと考えております。
こうした中で、水島港を含めて全国で十の港が国際バルク戦略港湾に選定されて今五年がたとうとしています。これまでに小名浜港や釧路港が事業化されて、二十八年度には徳山下松港が候補箇所として挙がっていると聞いておりますが、実は残念ながら水島港はまだ事業化に至っておりません。
西日本広域の畜産業を支える水島港の重要性に鑑みれば、大型穀物船に対応したターミナル整備を行う国際バルク戦略港湾プロジェクトの早期事業化が重要だと考えますけれども、取組状況について伺いたいと思います。
○政府参考人(菊地身智雄君) お答えいたします。
水島港は、近畿、中四国を中心とした西日本各地の畜産業を支える配合飼料の供給拠点として、またその原料となる穀物の輸入拠点として大変重要な役割を果たしております。最近では、水島港玉島地区へ穀物関連企業の新たな進出が決定し、平成二十九年四月に操業開始が予定されており、拠点性の更なる向上が見込まれております。
なお、水島港におきまして、国際バルク戦略港湾プロジェクトとして大型船に対応したターミナル整備の事業化を行うためには、企業間連携による効率的な輸送体制の確立が必要不可欠であると考えております。
現在、港湾管理者である岡山県を中心といたしまして、水島地区に立地する瀬戸埠頭及びパシフィックグレーンセンターに加えまして、新たに玉島地区へ進出する全農サイロの関係三社による連携輸送や、穀物ターミナル全体の効率的な運営体制に関する調整、これを踏まえた港湾計画の変更などにつきまして事業化に向けた検討が進められているところでございます。
○谷合正明君 そこで、大臣に今後の決意を伺いたいと思うんですけれども、水島港はバルク戦略港湾に選定されたということを契機といたしまして、今穀物関連企業の進出というのが目覚ましいんですね。西日本広域における畜産業の発展という意味においても、地元関係者からも極めて大きな期待が寄せられております。
ただ、先ほど申し上げたとおり、いまだ事業化に至っていないということもあって、本当に計画どおりいくんだろうかというような思いもあって、昨年も地元の知事が大臣のところに要望に伺って、この水島港湾の整備ということで重要項目として真っ先に挙げられたところでもあるわけであります。ですから、国際バルク戦略港湾政策という国家戦略の打ち出しによって民間の投資が喚起されているわけでありますから、国としてもしっかり官民一体となって進める必要があると考えておるわけであります。
また、水島港の場合は、実は穀物のみならず、鉄鋼や石油化学、自動車といった臨海コンビナートの基盤インフラとして我が国の経済成長を支えてきた港湾でもございます。高梁川という一級河川が港湾の真ん中を流れているんですけれども、東側に位置する水島地区で生産された工業製品が、対岸の玉島地区にある物流ターミナルを経由して国内外へ搬出されていくわけですね。
そうした中で、今国交省の直轄事業として二つの地区をダイレクトに直結する新たな臨港道路、新高梁川橋梁の整備を進めておりまして、私も先日、海上から視察をさせていただいたところであります。地元関係者からも一日も早い完成、供用が望まれております。
そこで大臣にお伺いしますが、国際バルク戦略港湾プロジェクトや臨港道路を含めて、今後の水島港の整備推進に向けた決意を是非ともお伺いしたいと思っておりますし、また、是非現地に視察をしていただきたいと思っています。
○国務大臣(石井啓一君) 国際バルク戦略港湾政策につきましては、資源エネルギー等の安定的かつ安価な輸入を実現するため、国土交通省として強力に推進しているところであります。
委員からお話がございました国際バルク戦略港湾に選定された水島港の具体のプロジェクトにつきましては、近畿、中四国を中心とした畜産農家へ安価に飼料供給するための穀物輸入拠点を形成する観点から大変重要であると考えておりますので、引き続き、港湾管理者等と協力しつつ、国としても事業化に向けてしっかり検討してまいりたいと思います。
また、高梁川を挟んで生産拠点と物流拠点が立地する水島地区と玉島地区を結ぶ臨港道路、新高梁川橋梁につきましては、両地区の連携強化と港湾物流の円滑化を図るため、現在、国の直轄事業として整備を進めているところであり、平成二十八年度末の供用開始を目指して着実に整備を推進してまいります。
国土交通省といたしましては、今後とも地域の経済活動や雇用を支える水島港の機能強化を図ってまいります。
○谷合正明君 是非、現地を訪れていただきたいということで思っておりますので、後でいろいろとお伺いしたいと思っております。
それでは、もう時間がなくなりました。実は古民家再生についてお伺いしようと思っていたんですけれども、古民家という、我が国の伝統ある古民家をしっかりと生かした形で観光地の魅力を創造していく事業をしっかり観光庁においても推進していただきたいと、そのことを申し上げて、今日の私の質問とさせていただきたいと思います。
終わります。