○谷合正明君 公明党の谷合でございます。
今日は、三人の参考人の先生方におかれましては、大局的な見地から御示唆を賜りました。ありがとうございます。
早速質問に入りたいと思います。
まず、加藤参考人にお伺いします。移民政策について伺いたいと思います。
私も国内外の難民問題についてずっと取り組んでまいりまして、アメリカなどにも行ったりして、移民政策とも関連していろいろと現地でもヒアリングをしてきたんですけれども、結局、我が国の移民政策の基本的な方向性というものが定まっていないものですから、この難民政策についてもいまいち取るべきスタンスというのがはっきりしないというふうに私も思っているんですね。
これまで日本の政権というのは、どの政権も移民政策を受け入れるとか受け入れないとかはっきりしてこなくて、はっきりしてこないというか、今の安倍総理については移民政策は採用しないというふうに言っておられるわけであります。これは、政策的な判断というよりはむしろ政治的な判断なのかもしれません。
加藤参考人におかれましては、移民を受け入れるというようなスタンスだと思うんですね。我が国は、結局、移民政策を取っていないという立場を取っておりますので、例えば外国人の研修生、実習生も、これは移民じゃないと、一時的に三年ほど期限を決めて、しかも家族は呼んじゃいけないとか、そういう制約があるわけです。
そこで、まず、先生にお伺いするんですけれども、先生が移民という言葉を使うときに、移民のその定義というものはどういうものとして使っていらっしゃるのかということと、その上で、移民受入れの目的は何なのか。人口減少対策を補完する目的なのか、あるいは経済成長の、特にイノベーションという言葉をお使いになったと思うんですけれども、その担い手である高度人材のみを受け入れる目的なのか。また、日経新聞等には、先生、二百万人程度は可能ではないか、可能というか、二百万人程度で十分じゃないかというお話もあったんですけれども、その二百万人という数字の根拠というのはどういうものなのか。
私、その二百万人、高度人材だけ、つまり我が国にとって必要な人だけが来るという状況というのはなかなか考えづらいなと。結局、付随的にたくさんの、就労目的で、言わば単純労働目的の外国人も来るんじゃないかなと思っておりますし、国際社会の中からは、そうであれば難民の受入れもしっかりしろよというプレッシャーも受けるんじゃないかとは思っております。
質問の前振りが長くなりましたけれども、移民政策についての先生の改めて御所見を伺いたいと思います。
○参考人(加藤久和君) ありがとうございます。
今、議員御指摘のとおり、政府としての方向性というのが十分に定まっていないというところが大きな問題かと思っております。その一方で、例えば現在法務省などでやっておりますポイントシステム、高度人材を入れていくというような形のものがございます。ヨーロッパなどでも、やっぱり移民を入れていく場合にはこういったポイント制というのを採用しているところがございます。ただし、我が国ではほとんど入ってきていないということもあります。まずは、どの程度のどういう人たちを我々は迎え入れることができるのかという議論が最初にあってしかるべきかというふうに考えております。
また、目的につきましては、これ、人口減少の部分を補完するのはとても人数的に無理だろうと思っております。二百万人というのは、実は現在二百万人程度いるので、それと同じくらいの数だったら多分受け入れられるんじゃないかという程度で、特に根拠のある数字ではございません。特に、その二百万人、高度な人材で、経済の活性化ということを目的に入れていくということでいろいろと説明をさせていただいたということでございます。
以上でございます。
○谷合正明君 そうすると、参考人の移民という定義は、もう少し絞り込んだ高度人材だということでよろしいでしょうか。
○参考人(加藤久和君) おっしゃるとおりです。高度人材あるいは留学生といったような形で日本の経済に貢献をしていただけるような方々というふうに考えております。
○谷合正明君 分かりました。
それでは、時間の制約もあるので、続きまして柴田参考人にお伺いいたします。
実は私も農業経済専攻しておりまして、参考人の、農村地域、中山間地域を、我が国の場合、しっかりこれを守りながら農業政策というものを展開しなきゃならないという意見というのはよく分かっているつもりでございます。
その上でお伺いしたいんですけれども、まず端的にお伺いしますけれども、国内外のそうした食糧問題に鑑みて、適正な食糧自給率の水準というのはどの程度であるというふうに考えていらっしゃるのか、また、それは可能なのかということについてお伺いしたいと思います。
○参考人(柴田明夫君) 目標とする食糧自給率というのは私は五一%ぐらいと、国民が安心するレベルということで過半数をちょっと超えると。しかし、可能なのかというのはなかなか、今四割まで持ってくるのがやっとというような状況ですから非常に難しいとは思うわけですけれども。
そこで、目標自給率を今回五〇から四五に下げたわけですけれども、より現実的にというふうな意味合いでですね。しかし、それは下げることによって、特に生産農家から見れば、将来的な農業へのウィルというかやる気というか、この部分もそがれて、特に稲作農業においてはしまう可能性が高いんじゃないかという気がします。ここは、何としても目標自給率というのは高いままに一応しておく必要があるんじゃないかという気がするんですけれども。
○谷合正明君 もう一問できそうなので、続けて柴田参考人にお伺いしますけれども、農村地域、特にこういう地域において、農業政策も農水省は地域政策と産業政策分けられるなんという話をするんですけれども、特に、地域政策は多面的機能を維持するという意味ではよく分かるんですけれども、農村地域で稲作農家が現金収入を得てしっかりなりわいを維持できるという意味においての、農村地域において産業政策的に何かアプローチというのを本当にできるものなのかということを参考人の御所見をお伺いしたいんですけれども。
○参考人(柴田明夫君) 農村地域の産業政策って、昔は地域経済においては工業部門の出先の工場とか、それから建設、それから公務員、これが三つの柱で、しっかり経済を支えている部分があったと思いますけれども、今はそういったところがだんだん乏しくなってくると、やはり農業を見ていかざるを得ない。こう見ると、農業部門での産業化というのはなかなか実は難しいのかなという気がします。ただ、そういう意味では、成長を目指すのではなくて、しっかりと安定を目指すというのが当面の課題なんだろうと思うんですよね。
○谷合正明君 時間になりますので、ありがとうございました。
どうも失礼いたします。