○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
今日は、どうも三人の参考人の皆様方、本当にありがとうございます。
今回の電力システム改革につきましては、新規参入の促進や競争環境の整備によりまして電力の低廉かつ安定的な供給を一層進めていくものであると、エネルギー制約の克服に向けた改革の中心を成すものと、そのように政府も説明しておりますし、その意味において我々も賛成であるという基本的立場の下、今後、本当に低廉かつ安定的な供給を実現していくための条件や課題について、改めて参考人の皆様方に御意見を賜りたいと思います。
まず、電気料金の水準についてなんですが、これはよく言われますが、指摘されてきたことでありますが、需給が逼迫しているという状況下の下であると。その下での改革で、電気料金は本当に下がるというか上昇を抑制できるのかといったような問いに対しては、政府としては、経過措置として競争環境が整うまでは電気事業者に供給義務と料金規制を課すと。また、規制料金は残すものの自由な料金メニューも作れるようにして、経過措置の期間においても電気料金を規制料金以下に引き下げる効果も期待できるというふうに答弁をこれまで委員会質疑でされております。
そこで、まず八木参考人にお伺いしますけれども、このような政府の説明に対する基本的な見解を改めてお伺いしたいということと、経過措置として競争環境が整うまでとしたということ、この競争環境が整うということの具体的なものがはっきりと十分に示されていないのかもしれませんが、この競争環境が整うまでとしたことに対するその見解、それから自由な料金メニューを設定する可能性について、この三点についてまずお伺いしたいと思います。
○参考人(八木誠君) 今回の電力システム改革の目的というのは、競争環境下に入ることによってお客様の電気料金をできるだけ低減化するということ、それとともに電力の安定供給を維持すると、この目的がきちっと確立されることが本来のシステム改革の目的でありますので、そういうことが、ならないような環境整備、あるいはそういうことに至るようなきちっと制度設計というのが非常に大事だというふうに思っております。
そういう意味では、電気料金の低減という観点から申し上げますと、今のような需給状況の中におきまして、しかもこういう需給が逼迫した状況におきますとどうしても売手市場ということになりますので、高く売るという姿勢が、どうしても事業者として自分の利益最大化ということになりますと、必ずしも真の競争が起こるというふうには考えられないというように思っております。
したがいまして、私どもとしては、まずこういう需給状況を改善していくということが、これが競争活性化につながり、電気料金の低減にも貢献していくものだと思っておりまして、是非そういう環境が整っているかどうかを見極めて自由化の判断をしていただきたいのが一点であります。
それから、もう一つ環境整備ということで今日申し上げましたのは、やはり原子力というのは、私どもとしては、これは非常に、日本にとって三つのEに優れた大変重要な電源であるという、国のエネルギー政策にも記載されておりますし、私ども事業者もそう思っておりますが、原子力というのを今後とも民間がきちっと、国策民営の下でやっていくに当たっての事業環境整備ということについて、先ほど冒頭で申し上げました。
もう少し具体的に申し上げますと、幾つかありますが、大きく申し上げますと、一つは原子燃料サイクル、これの事業というのが、非常に長期にわたる仕事でございますが、この事業の予見性あるいは費用の確実な回収の予見性が非常にこの自由化によって薄くなっておりますので、こういう中でこうしたことを、日本のエネルギー政策としてきちっと原子燃料サイクル事業をやっていくに当たっては、民間と国との新たな役割分担、官民の役割分担というのをこれから明確にしていく必要があろうかと思います。もう一点は、原子力の損害賠償制度において官民の役割というものを、これも日本の場合は無過失無限責任が事業者に負わされておりますが、こういったことにつきまして、これいずれも諸外国の事例を踏まえて検討していく必要があろうかというふうに思っております。
以上でございます。
○谷合正明君 規制料金は残すんだけれども自由な料金メニューも作れるということで、実際に自由な料金メニューというのを作るということですか。
○参考人(八木誠君) 失礼しました。
私どもとしては、今回の全面自由化によってお客様のいわゆる規制料金が一時的に残ると。これは、ある意味では、新たな制度がお客様に本当に浸透するまでの間、御理解が深まるまでの間の暫定的な措置だというふうに思っておりますが、やはり私どもとしては、こうしたものはできるだけ全面自由化の中で、各事業者が自由に競争していく中で自由な料金を作っていくということが大事だというふうに思っています。そういう意味では、規制料金下の下でお客様にまたいろいろなメニュー、いろんな選択肢を提供するということも基本的には可能かというふうに思っております。
したがいまして、そういう意味では、我々基本的には、いわゆるこの料金の規制はできるだけ早く撤廃していただきたいと思っておりますが、そういう中で我々自身が工夫して、お客様にどういう料金メニューを提供していくかというのは、今後、いろいろと検討課題だというふうに思っております。
○谷合正明君 ありがとうございます。
松村参考人にお伺いします。
事前に我々にいただいた資料で、日経エコロジーでの経団連の澤氏との対談の記事を読ませていただきました。その中で松村参考人は、電力自由化で価格が必ず下がるとか必ず上がる、そういうどちらの見方もおかしいんだと。要は、消費者の不利益を避けるために慎重な制度設計が必要であるというふうな見解を述べられておりまして、今日の冒頭の御意見もそうだというふうに拝聴いたしました。
それで、料金規制についても触れられておったわけでありますが、料金に関するこの制度設計について、今のこの政府案についての評価すべきことであるとか課題であるということについて、改めてここでお伺いしたいと思います。
○参考人(松村敏弘君) 私は、今の政府案の料金規制に関する考え方は高く評価しております。
やはり、規制なき独占が起こって価格が上がってしまうというおそれは否定できないと思いますので、これに対する備えとしての一定の規制というのは必要であると。それから、競争環境が整い、そのような規制が不要であるということがみんなが納得できるまで料金規制は私は残すべきだと思っております。
○谷合正明君 済みません、それは、みんなが納得するというのはどういうような状況を指すものでしょうか。
○参考人(松村敏弘君) 済みません。
全く御指摘のとおりで、極めて難しいですね。難しくて、なおかつそこを曖昧にしておくと、いつまでもずるずる引きずるということもあり得るでしょうし、不適切に解除してしまうということもあり得るということがあると思います。
ただ、これ、極めて難しくて、例えば競争基盤の整備のために自主的に取引所を、圧倒的な発電のシェアを持っている一般電気事業者が取引所を使いましょうということを言っているときに、どれぐらい本当に出してくれるのかというようなことをきちんと監視しなければいけないし、実際に自主的な取組でほとんど進まないということがあるとすると、もっと強い規制を課さなければいけないというようなことも出てくるわけです。
しかし、そのときに、どれだけ出てくれば十分な競争環境で、どれだけに達しなければ駄目かということは、本当に文字どおりケース・バイ・ケースでして、かなり難しい判断が迫られるということで、こうなったらという明確な指標が私自身今用意できなくて、大変不明確な回答で申し訳ありませんが、そういう状況です。
○谷合正明君 率直なお話、ありがとうございます。
もう一つ、料金とともに、安定供給の面について最後にお伺いします。
やはり、この発電、小売の分野に様々な事業者が参入する可能性が生じて、メリットとして、何というんですか、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大という点で評価するわけでありますが、その安定供給の確保という観点で、これもさんざん指摘されていることでありますが、事業者が増えることで連携がうまくいかないであるとか、ひいては停電が起きる事態が生じる懸念があるとか、様々なことがあるとは思うんです。そうならないために、小売事業者に自社顧客の需要に応じた供給力の確保を義務付けをしていたりとか、広域的運営推進機関が電源公募入札、こういう仕掛け、仕組みをつくっているわけであります。
改めて八木参考人にお伺いしますが、こうした懸念あるいは政府の対応について、十分な制度設計というふうにお考えになっていらっしゃるのかということをまず確認させてください。
○参考人(八木誠君) 安定供給の仕組みづくりということで、例えば今御指摘のありました小売事業者が基本的にはこれから供給力の確保義務を負うわけでございますけれども、この供給力という概念の中に予備力も含まれるという概念が先般国から示されましたが、じゃ、具体的にそういう事業者がどういうぐらいの予備力を確保するかとかいう、そういう設計はまだこれからでございますし、事業者が仮にできたとしても、系統エリア全体で予備力を確実に確保するためのいわゆる仕組みといいますか、これはいろいろなアイデアが今出されてございます。先ほどの、一つの例としては、将来的には電源の入札というのも一つの大きな選択肢だと思いますが、短期からやっぱり中長期にわたってきちっと系統全体の予備力が確保できる制度設計、これはまだ今緒に就いた段階だと理解しております。
したがいまして、この点につきましては私ども事業者も積極的に詳細検討に協力してまいりたいと思っておりまして、やはり大事なことは、きちっと制度設計をして、やっぱり自由化になってもきちっと予備力が確保され、電力の安定供給が保たれる仕組みをどうつくるかということだというふうに思っております。引き続き検討に努力してまいりたいと思います。
○谷合正明君 最後になると思いますが、消費者という立場に立ってみると、停電が起きないような仕組みをつくってもらうことが大事なんですけれども、ただ、仮に停電が起きた場合に今後誰に連絡、相談をすればよいのかといった素朴な問いかけに対して、この電力システム改革が完遂した場合に停電のときの対応というのはどういうものになるんでしょうか。これはどなたにお伺いすれば、これは八木参考人ですかね。
○参考人(八木誠君) 全面自由化の節には、小売事業者、発電事業者それぞれが役割分担になりますけれども、最終的には全てネットワークに入っておりまして、ネットワーク事業者、いわゆる送電事業者がお客様に対する最終責務を持つと、こういう理解でございますので、基本的には停電等のお問合せはそちらということになると思います。
ただ、この停電ということに関しましては、必ずしも設備のトラブルだけではなく、例えば雷等の自然現象、あるいは第三者の要因といったことも、いろんな停電の要素がございます。したがいまして、全て防ぎ切れるかどうかという点ではなかなか難しい点もありますので、ネットワーク事業者という立場からすると、停電が起こらない努力は一生懸命やりますが、万が一停電が起こったときの影響が大きいお客様には、例えば自家発電設備を置いていただくとか、あるいは無停電電源装置を置いていただくとか、こういったことはお互いやっぱり必要じゃないかと思っておりまして、これは今もやっていただいておりますけれども、全面自由化の節にもやっぱりお互い、消費者側もある程度対策をし、ネットワーク事業者ができるだけ事故が起こらぬようにする。しかし、最終的な責任はネットワーク事業者が一義的に負うと、こういう理解でございます。
○谷合正明君 ありがとうございます。
時間になりましたので、岸本参考人には御質問できなくて申し訳ございませんが、終わらせていただきます。