○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
安倍政権といたしましては、来年の四月に消費税を五%から八%に引き上げるという決断をなされました。私はこれはこれとして評価したいと思っております。そして、今後の経済対策の焦点につきましては、何といいましても、消費性向の強い世帯が景気回復を実感できるかという点にあると思っております。その意味におきましては、特に雇用、とりわけ賃金、これが引き上がっていくのかどうかというのが極めて重要であると思っております。
十月末に大手会社の決算の記者会見というのがありましたけれども、幾つかの大手企業から来年度ベースアップということに言及がなされまして、これは、いろいろ報道によりますと、通常、春闘で労組側が要求する前にベアの検討に言及するというのは極めて異例なことであるということで、政府の賃上げ要請に応じたという形になっております。
これはこれで大変喜ばしいし、評価したいことだと、動きだと思っておりますが、なかなか、各委員の皆様もそうだと思うんですが、地元に戻ると、どうしてもそれは大企業中心の動きでしょうということになります。中小企業はなかなかそこまでは行かないんだと、経営者の皆様からの声を直接聞いてもなかなかそういう状況ではないと。中には、調査の一部には、中小企業の経営者の六割が賃上げに前向きだというような調査もあるようなんですが、前向きだとしても本当にできるかどうかというのはまた違う問題でございまして、ということも大事だと思っております。
しかも、来年四月という時点において景気回復を実感できるかということを考えますと、来年四月に賃上げをしていくためには、もう年内に経営判断としてこの賃上げの決断をしていかなければならないという状況だと思います。という意味では、実はこの十一月、十二月というのは非常に大事な時期であると思います。
本当に政府の経済対策が賃金引上げに結び付くのかどうかと。今後、その確実な賃金引上げに結び付くその施策とその道筋につきまして、この経済対策の中心を担う経済産業省の取組をまず聞きたいと思っております。特に中小企業への浸透度合いというのはどのようなものなのかというその認識をまず、認識も含めて中小企業の賃金引上げに対するこの施策について大臣から御答弁をいただきたいと思っております。
○国務大臣(茂木敏充君) ここに来て、大手企業を中心に経営者の側から賃上げ等につきまして非常に前向きな発言、相次いでおります。今年の四月から九月に決算のありました大手企業五百八十九社、これは六割が増収増益という形でありまして、確実にアベノミクスの成果が生まれてきていると考えておりまして、こういった企業収益の改善を委員御指摘のように賃金や雇用の拡大につなげ、それが消費の拡大になり、また生産や投資を生む、こういう好循環を我々としてつくってまいりたいと考えております。
そのために、この秋に設置をしました政労使の場等々を活用しながら、政府だけではなくて民間ともこの好循環実現に向けた意識というのを共有をしてまいりたいと考えております。
私自身も、先月、十月の十日には、経済界の代表の方々、また十月の二十五日には中小企業関係団体の代表の方々と直接お会いをして、今政府が取っている経済対策、これまでと次元の異なる対策について説明すると同時に、賃上げを含め前向きな行動を要請しているところであります。そして、経営者の皆さんには、単に賃上げだけではなくて、その収益の改善を関係企業、中小企業との取引条件の改善にもつなげてほしい、こういう要請も同時にさせていただいております。
確かに、大企業と比べて中小企業、地方経済、まだまだ景気回復の本当の実感を得るところまでは至っていない、こういう意見も様々なところから聞いております。経済産業省として、中小企業・小規模事業者に対しては、消費税引上げに伴う転嫁対策の適切な実施も図りつつ、投資補助金や中小企業・小規模事業者にとって使い勝手を良くした所得拡大促進税制など、今般の経済政策パッケージに盛り込んだ施策を推進することによって、中小企業、小規模企業を含めて賃上げ等ができるような環境をつくっていく、こういったことに全力でこれからも取り組んでまいりたいと考えております。
○谷合正明君 中小企業、特に小規模企業への対策につきましては、また改めて、新人であり、同僚の杉議員の方からも確認があろうかと思いますが、しっかりとよろしくお願いしたいと思います。
もう一問、これはお尋ねしたいんですが、それは中小企業の海外展開支援ということであります。
大臣所信におきましては、日本企業の海外展開支援、それから中小企業の一万社の新規海外展開というものを掲げられております。過去のデータによりますと、若干古いかもしれませんが、中小企業で海外に子会社を持つ会社のうち、企業のうち約四割が中国に拠点を持っているというふうに答えております。そこで、新興国、特に中国との中小企業政策の進め方について質問をいたします。
中国において健全な中小企業を育成すること、また、日本側企業のパートナーとなり得る企業を育成していくことというのが私は日中双方の共通の利益になると思っております。日中間では、実は二〇〇七年二月に第一回日中中小企業政策対話というものが開催されております。この政策対話においては、人材育成などの協力強化の意見交換を行ったということなんですが、実は、その後、中国側の機構改革もあって第二回目がなかなか開けていないという状況であります。なおかつ、御案内のとおり、昨年以降の、反日暴動以降、調整までもがストップしているという状況でございます。
しかしながら、今後の海外展開支援を考えてまいりますと、この中小企業政策対話再開の必要性と可能性というのは私はあるのではないかと思っているんですが、この点について確認したいと思います。
○副大臣(松島みどり君) 谷合委員がまさにおっしゃるとおりで、中小企業の海外での活動を手助けするということ、そして、その中でも特に中国へは行っている企業が多い、これをどうするかということ、非常に重要な問題だと考えております。
おっしゃるとおりに、二〇〇七年二月に第一回日中中小企業政策対話を開催した後、途絶えております。しかし、新しい、ちょっと前向きな話題といたしましては、今年の七月に重慶と成都に中小企業海外展開現地支援プラットフォーム、これはどういうものかといいますと、総領事館やジェトロ、日中経済協会などが参加して、それぞれの能力や役割を発揮して支援の体制をつくるというものですけれども、これを重慶、成都に設置いたしました。我が国の、日本の中小企業や小規模事業者が現地で、ビジネス環境、これを円滑にビジネスの展開できるようにという支援を始めたところです。
そして、先ほどおっしゃいました日中中小企業政策対話に関しましても、今残念ながら中断しておりますけれども、この両国間の中小企業や小規模事業者を育成する、そしてまた、日本の出ていった企業がビジネスやりやすい環境を整えるために、対話再開に向けて我が国政府として中国政府に対して働きかけを現在しておるところでございますし、これからも一生懸命働きかけてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 新興国の一部にはやはり国営企業中心の優遇政策を取っている国もございまして、我が国の中小企業が海外へ進出した場合に、どうしても労働法制上の課題に直面するんだと思うんですね。その際に、個別企業で対応するのにはやっぱり限界もございまして、中には泣き寝入りするということもあったりするということでございまして、私は、こういったプラットフォームができますれば、政府対政府の意見交換の場でしっかり中小企業の抱えている課題というのがそのテーブルにのるということが非常に重要だと思っております。
今回、中国のことを例として取り上げましたけれども、今後、新興国との間に、是非今回の例を参考に中小企業政策対話というプラットフォームを是非経済産業省としても立ち上げていただきたいということを要望させていただきまして、私の質問とさせていただきます。
どうもありがとうございます。