○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
私は、今日は雇用問題中心に総理また関係大臣に質問をいたしたいと思います。
我が国の将来を見据えますと、今後、労働力人口が減少してまいります。当然、女性、高齢者、障害者の皆様の就労を促進していくということは大事でありますが、何といいましても若者の、若年層の雇用というものが極めて重要でございます。
ところが、先日、内閣府が発表して話題になりましたけれども、大学を卒業して二人に一人が、また高校を卒業して三人に二人が卒業後三年間の間で安定した職に就けていないという報告がございました。
一旦入口でつまずくとなかなかレールに戻れなくて、そして今、正規と非正規の間の格差というのがありまして、かつ、その格差というものが固定化されてしまうという、この不安とおそれというものに、今若者中心にこの不安とまたおそれがあるわけでございます。正社員や標準世帯という言わば典型的な生き方、働き方から外れてしまうととても生きづらいと、そういう社会とも言えるんだと思います。
そこで、私たち公明党青年委員会といたしまして、これまでの社会保障、雇用の在り方を、昭和の時代に築き上げてまいりました、しかしながら、この平成に入ってこの年になってみて、改めてこの昭和型の社会保障、雇用というものをもう一度見詰め直して、二十一世紀型に変えていかなきゃいけないんじゃないかと。そういうことで、特に今の現役世代が現役世代として働き続けている、例えばこの二〇三〇年の間ということで、私たちはユースビジョン二〇三〇というものを提言も先月させていただきました。恐らくこの辺の問題意識というものは共有させていただいているんだと思います。
そこで、これまで政権交代前から若者をターゲットにした総合的な政策というものがどういったものがあるかということでいいますと、最初に若者をターゲットにした政策というのは、これは平成十五年にできました若者自立・挑戦プランでございます。これを基にして、ジョブカフェあるいはサポートステーション、そうしたものが、政策が続けられて、今日、政権交代後も引き継がれております。
一方、政権交代して、確かに緊急的な厳しい雇用情勢に対応した施策というものは就職応援ハローワーク等出てきてはおりますが、長期的、総合的な方向性がまだ見えてこない。ですから、私は若者のこの自立、この挑戦、こうしたものをしっかりとプラン、ビジョンをまとめていくということが野田政権に求められていると思いますが、この点についての総理の見解を求めたいと思います。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 谷合議員御指摘のとおり、若者の雇用環境が依然として厳しい中、また中長期的に労働力人口が減少する中にありまして、若年者雇用問題に関する中長期的な課題に対する大きな方向性を示すことは大変重要であると認識をしています。
ユースビジョンは青年委員長の谷合先生がまとめられたと承知をしておりますが、そうした中で、私どもも、社会保障と税一体改革においても改革項目の一つに雇用を挙げて若年者対策も盛り込んでいます。さらに、私が座長を務める雇用戦略対話の各界代表に有識者を加えまして、これまでの若者雇用に関する既存施策やそれぞれの取組を総点検をし、実効性ある具体的な支援策を取りまとめ、中長期的な視点も視野に入れながら本年の六月までに若者雇用戦略を策定をしていく予定でございます。若者の雇用環境の改善に全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。
○谷合正明君 改めて確認ですが、野田政権の基本姿勢として、この若者の問題については、若者だけでなくて社会全体でしっかりと集中的に取り組む最重要課題であると、そう認識をこの政権としてしているということでよろしいでしょうか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 御高齢の方、女性、障害を持っていらっしゃる方、若い方、全ての方が働く意欲があるときにそういう働く場をつくるというのが基本でございますが、特にやっぱり若年者の雇用、委員御指摘のとおり、まだ就職の内定率も厳しい状況、大卒も、高卒も、出た後にすぐ離職した場合のケース等々御指摘ありましたが、そういう厳しい問題があるということを承知をしておりますので、何といっても、やっぱり若者が居場所があってやりがいを持って生きるということが、今日よりあしたは良くなるという社会のまさに中核になると思いますので、そういう思いの下で対応していきたいというふうに思います。
○谷合正明君 それで、言わば内閣の姿勢として、重要課題、これを、内閣の中にこの担当大臣というものを発令していくということは、時の政権、時の総理としてもあるわけでございます。
消費税の議論、今ありますけれども、過去の二回の消費税の議論と違いまして、今は、今回はやはり特にこの若者の取り巻く環境というのが劇的に変わっております。そこで、私は、社会的包摂を含む若年雇用をしっかりと、未来を見据えたときの今の政治の中心課題であると、そういう意味で野田政権として担当の大臣を置くべきではないかと思いますが、いかがでございますでしょうか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 雇用は全体的にまさに厚生労働大臣を中心に、まさにその大きな、その職務の中の比重の大きい仕事だと思いますので、その中でやっていただきたいというふうに思います。
○谷合正明君 若年雇用戦略を取りまとめるのは、これは古川国家戦略担当大臣なんですね。それで、社会的包摂という分野についていいますと、これは青少年育成でございますので、これは実は中川少子化・男女共同参画の特命担当大臣のお仕事になられます。そして、今話に出ましたが、厚生労働大臣もいます。また、分野でいいますと、経済産業大臣とか文部科学大臣もかかわってまいりますので、私は、まず、いろいろな多岐にわたっている省庁をしっかりと一つにまとめていくということが必要であるというのが一点と。
そして、今の政権の中で、例えば青少年育成であるとか若者というものを看板にした担当大臣はないんですよ。かつて、青少年育成特命担当大臣というのがおりましたけれども、今看板としても掲げられていないんです。ですから、私は、内閣の最重要課題としてそれを掲げると。
また、指摘をさせていただきたいのは、国家戦略担当大臣あるいは少子化担当大臣というのは、三年弱の間で何人の大臣が替わったんでしょうかと。少子化担当大臣は八人です。国家戦略担当大臣は五人です。こういう状況の中で、本当に若者のために政権が力を入れているのかと、そのことを私は姿勢を問いたいわけでございます。総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 専ら雇用政策としてはやっぱり厚生労働大臣でございますし、いわゆる青少年育成という観点でいうと、これは中川内閣府特命担当大臣が共生社会政策の位置付けとしての青少年の健全な育成に関する事務を担当していただいております。まさに、雇用戦略という意味においては国家戦略担当大臣でございますが、そういういろんな、ちょっと縦に割れている部分はありますけれども、青少年を取り巻く諸課題については、子ども・若者育成支援推進法に基づきまして、総理を本部長、青少年の健全育成を所掌する特命担当大臣を副本部長とする子ども・若者育成支援推進本部の下で平成二十二年七月に取りまとめた子ども・若者ビジョンに基づく施策を各府省が連携をして推進をしているというところでございます。
○谷合正明君 別に大臣の数を増やせとか言っているわけじゃなくて、内閣法であるとか内閣府設置法によって、これ、総理の決断によって担当大臣の看板を掲げることはできるんですよ。かつて、だって節電担当大臣ってあったじゃないですか。私は、よっぽど雇用、若者雇用が大事だと思いますよ。
それで、ちょっと具体的な質問に入らないといけません。私は、特に雇用に関していうと、よくミスマッチと言われます。学生と中小企業のミスマッチ、もう一つは、学生と、学生というか、求職者と職業訓練制度のミスマッチ、更にもう一つ加えると、職業訓練制度と中小企業のミスマッチがあるんじゃないかと思っております。とりわけ、この中小企業のニーズに合わせて職業訓練制度を合わせていくとか、あるいは若者の職業教育をしていくということが大事だと思います。
そこで、質問ですが、若者と中小企業双方に試用期間を設けるトライアル雇用を充実してはどうかと。具体的には、時限措置として、今年の六月末で終了予定の卒業後三年以内の既卒者に対するトライアル雇用の奨励金、これを延長、恒久化したらどうかと。また、有期実習型訓練、これは、ジョブ・カード制度が事業仕分で一旦廃止判定となったおかげで、復活しておりますけれども、この有期実習型訓練の助成金は減ったままなんです。ですから、私は、トライアル雇用奨励金の延長、恒久化と、有期実習型訓練の拡充、これをセットに行うべきであると思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(小宮山洋子君) 先ほどから委員がおっしゃっている若者の雇用が非常に重要だということは、私もそこは強く認識をしております。
公明ユースビジョン二〇三〇も、これ全部読ませていただきましたが、非常にいい御提言もありますので、是非積極的に取り入れさせていただきたいと思います。
今回、社会保障の改革の中で、先ほど総理も申し上げましたけれども、就労を社会保障に入れて、その中でも若者と女性と、おっしゃった職業訓練、ここを柱にしています。ただ、それがまだまだ見えにくいというところはこれからしっかり御説明したいと思いますが、今御質問の、既卒者のトライアル雇用奨励金、これは二十二年三月卒の新卒者の就職状況、これが極めて厳しかったので、二十三年三月卒の新卒者の状況もまた極めて厳しいわけですけれども、こうした中で二十二年九月に創設をしたと、そういう厳しい状況の中で創設をいたしました。
それ以降、御指摘いただいたように、新卒応援ハローワークですとか、ジョブサポーターによるきめ細かな支援などを行った結果、新卒応援ハローワーク利用者のうち、五十万人余りが利用しているんですが、半数以上、二十七万人が既卒者が利用してくださっている。それから、ジョブサポーターの支援による就職者数が十三万九千人あるんですが、そのうち八万二千人が既卒者ということで、この厳しいときの雇用奨励金というのは役割を果たしてきていると思うんですね。そういう意味で、既卒者トライアル雇用奨励金は正規雇用の移行率が約八割あると。また、今回、元々ある若年者等のトライアル雇用制度を今後御利用いただきたいと申し上げているんですが、これは支給額が低くなりますけれども、正規雇用移行率は同じく八割ありますので、これも有効な制度だと思っています。
そういう意味で、おっしゃったようなミスマッチがないように、若者に必要な職業訓練ができるように、そこを結び付けることも今やっておりますけど、そこは丁寧に御説明をしながらやっていきたいと思っていますし、有期実習型訓練を実施する中小企業に対する助成については、これはキャリア形成促進助成金の特別助成制度の利用促進にこれは努めていきたいと思っています。
今いろいろ言っても、なかなかまだそれじゃ不十分だと恐らくおっしゃると思うんですが、是非、御提言も受けまして、若者の雇用のところは、今、臨時的にやっているものだけではなくて既存のものも含めましてそこは力を入れてやっていきたいと思いますので、また御意見をいただければと思っています。
○谷合正明君 ちょっと答弁が長かったので、ポイントがちょっと分からなくなりましたけれども、要はトライアル雇用の奨励金をこれ延長するのかどうか。どうなんですか、はっきりしてくださいよ。六月で切れるんですよ。
○国務大臣(小宮山洋子君) 済みません。いろいろ言いたいことがあったものですから、長くなって申し訳ありません。
要は、このトライアル雇用奨励金は非常に厳しい状況にある中でつくってきたもので、これが一定の効果を上げてまいりましたので、今回はこれは六月で終了をさせていただくと。ただ、この後、恒常的な制度であります若年者等トライアル雇用制度、これでも先ほど申し上げたトライアル雇用奨励金と同じ八割の正規雇用への移行という実績もありますので、こうしたものを活用していきたいと申し上げました。
○谷合正明君 ですから、効果があるのであればやればいいじゃないですか。雇用の状況が劇的に改善されているんだったらいいですけれども、先ほどから総理の答弁で、若者の雇用は厳しい、相変わらず厳しい状況だという、そういう認識なんでしょう、政府は。やっぱり具体的な政策になるとやはりちょっとちぐはぐですよ。そのことを指摘させていただきたいと思います。
それで、昨日閣議決定ございましたね、国家公務員の採用抑制計画です。これは、政権交代前に比べると五六%減となっております。私、行政組織のスリム化というのは必要だと思います。ところが、大幅な抑制、過剰な抑制というのは、これは若者へのしわ寄せになるだけであると、そのことを私は本会議で岡田副総理に質問させていただきました。その質問に対して副総理は、若者のために行ったと答弁をいたしました。政府の身を削る取組を見せるために一番切りやすいところから切ったんじゃないかと、順番が逆じゃないかという声はたくさんあるんですよ。
総理にあえて聞きますけれども、これ本当に若者のために行ったんですか。総理です。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 担当大臣をわざわざお呼びなので後でフォローしていただきたいというふうに思いますけれども、その趣旨、本意は御本人の口から語っていただきたいと思いますが、順番というお話がございました。たまたまこれ、国家公務員の試験が、これ四月の二日からですかね、申込みが、というのがあるので、その前に方針を早く示した方がいいということで、行革実行本部で三月の段階で方向性を出して、そして昨日閣議決定したという、これはむしろ、だから公務員試験の希望者の皆さんのためにもその予告は最初にしていかなければいけないというところの順番があったというふうに思います。
これ若者だけではなくて、公務員全体についてこれからやっていきますので、若者だけをターゲットにしたような、そういうことではないということは是非御理解いただきたいと思います。
○谷合正明君 今、総理、申込時期のことに触れられましたけれども、でもよく考えて、政権交代してこの三年間、申込時期の後に全て採用上限数を決める閣議決定決まっているんですよ。二十二年の五月二十一日、昨年はもうこれ、東日本大震災もありましたからしようがなかったかもしれませんが、これ六月十七日、今年は四月三日、四月二日に申込み始まっておりますよ。そのことはもうあらかじめ分かっている話じゃないですか。何で三月末の閣議決定を目指していたのが、これができなかったんですか。そのことの方が私、問題だと思いますよ。来年以降もこれ続けるんですか。
○国務大臣(岡田克也君) まず、申込みは確かに四月二日から九日までということで、現在進行中でございます。なるべく早く厳しい抑制ということをお知らせするために、早い段階で、具体的な数字は確かに昨日決めたわけですが、大幅な削減ということは申し上げさせていただいたところでございます。そして、この申込みの期間の中で閣議決定をさせていただいたということでございます。
御質問にお答えするとすると、閣議決定の中でこの二年間の措置だと。もちろんその前にも、政権交代後、四割弱、三割弱と二年間やってまいりました。今回はそれに比べて大幅になりましたが、来年度まで、具体的な数字は現時点で決めておりませんが、この採用抑制というものを行うということを確認しているところでございます。
○谷合正明君 時間がございませんが、民間に新卒の採用枠を増やせと政府が要請している一方で、本当に何というか、おかしいなと私は思っているんです。順番が逆じゃないかなと。一体に、例えば退職金の見直しであるとか、あるいは早期退職優遇措置であるとか、これと一体的にやるべきですよ。その一体性が見えないから言っているんですよ。もう答弁はいいですけれども、答弁はいいです。
今、先ほど総理が言われました政府の雇用戦略対話、この樋口先生、委員、有識者メンバーに入っておりますけれども、樋口先生も今回の採用抑制は問題があるとコメントされております。人事院の総裁も問題があるとコメントをされております。私はそこは真摯に、政府として、今回のやり方はやはりベストでないと、反省があるということは素直に認めていただかなければならないと思いますが、改めて最後に見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(岡田克也君) 以前から申し上げておりますが、これが若者にとっていいことではないというふうには思っております。ただ、全体で総人件費の抑制というものを、我々二割を目標にしているわけですが、それを成し遂げていく中であらゆることをやらなければいけないと。ですから、委員御指摘の希望退職を募るということも、今具体的に内容について詰めているところであります。先般は、定年延長について、人事院の方からは六十五歳に延長という意見をいただきましたが、あえて六十歳で退職金を払い、その後は一年ごとの契約で六十五歳まで将来延長していくということを決めたところでございます。
全体の人件費をなるべく削減し、行政改革をやっていく中で、国民の皆さんに消費税の増税という負担増について御理解をいただきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 時間になりましたので、終わります。