○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
昨日、復興特区法案が参議院で成立をいたしました。復興庁設置法案につきましては、今この本委員会で審議をしておりまして、今日採決という運びとなっております。
ただ一方で、私は、被災地を歩き回っておりますと、復興はおろか復旧すらままならない状況にいまだ直面するわけであります。先日も石巻市の雄勝町を私、訪れていました。その際に、ある主婦の方からこう言われました。仮設住宅に住んでいるんだと、追加の暖房器具を申請したのはもう一か月以上前なんだと、でもまだ届かないんだと、どうなっているんだと。
私は、十月六日、この本委員会で、仮設住宅の冬の備えをということで、早急に取り組むように平野大臣に質問をさせていただきまして、そのとき大臣からも、強い口調で現場に指示を出しているとの答弁がございました。
ところが、つい先日、十二月二日時点での調査ですけれども、仮設住宅における暖房器具の追加状況、私は厚生労働省から資料をいただきましたが、まだまだ暖房器具が届いていないんですね。岩手県では四九・一%しか届いていない、福島県では二〇・三%しか届いていない、宮城県では二・三%しか届いていないんですね。同じ文書には十二月中には配布を完了する予定と書いてあるんですけれども、なぜこれが進まないのか。これ本当に、もう冬ですけれども、年内に配布を完了していただけるのか。まず、平野大臣に再度伺わさせていただきたいと思います。
○国務大臣(平野達男君) 十月六日の復興特委において谷合委員から御質問がございました。
ちょっと一点だけ、ちょっと申し上げさせていただきたいのは、あのときの寒さ対策というのは、二重サッシ、それから断熱材、そういった仮設住宅のいわゆる本来あるべきものについての不足している部分についてある県がまだ対策が遅れているということで、その県に対して何をやっているんですかみたいな、そういった形で、官で急がなくちゃ駄目だという意味での指示を出したということでございまして、こちらのいわゆる寒さ対策についてはおおむね十二月いっぱい、中旬ぐらいをめどに大体終わるものだというふうに報告を受けております。
その後、こういった暖房器具の設置の必要性が出てきまして、これについては、現在こういう状況にあるということについては私どもも認識しております。こういった暖房器具メーカーについて在庫がなかったといったようなことも遅れている理由だというふうに聞いておりますけれども、いずれ、これからもう本格的な冬を迎えるというか、もう入りつつありますので、いま一段の御努力を各県にお願いしたいというふうに思っております。
○谷合正明君 どこが実施主体かというのは私も知っているんです。ただし、大臣自身も国の施策であるという意識でやってきたとおっしゃっているとおりでございまして、年内にやるということを約束していただけますか。
○国務大臣(平野達男君) 在庫等々の問題という絶対的な制約があるというふうにも聞いております。ただ、いずれ本当に、先ほど申し上げましたように、これから寒さ、もう入りつつある中で暖房器具もないというような状況というのはこれは大変厳しい状況でございますので、一日も早くそういったものが普及するように、特段のまた督促を、後押しをしたいというふうに思います。
○谷合正明君 私はほかにも言いたいことあるんですね。
仮設住宅だけではなくて、実際にその集落に、直接的に津波の被害を受けていなくても、集落に取り残された方もまた今大変苦しんでいらっしゃると。
陸前高田市のある集落では、仮設住宅の申請を高齢者の方になるべく優先して申請していただこうということで、現役世帯の方は遠慮されたこともあったそうですね。今、結果的に半壊世帯の家に住んでいたりとか、あるいは全壊世帯の二階の部分に住んでいたりとか。ただし、同じ被災者なんだけれども、なかなか支援が、情報が来ない、支援がなかなか行き届かないとか、被災者としての存在を忘れられているんじゃないかといった声も今出てきているわけです。
私は、復興特区、復興庁、今後、この組織、また制度ですけれども、そういう被災者一人一人のこの声を、声なき声までも聞いていくという姿勢がなければ、この制度、また組織というのは現実から遊離してしまうんじゃないかということを申し上げたいと思います。
まず、もう一つ総理に法案の中身に行く前に確認させていただきたいのは、国家公務員給与の削減についてでございます。
これは復興財源に充てるということで、約六千億円の財源を捻出する、できるわけでありますが、明日、会期末でございます。この給与削減法の成立を総理は諦めたのか、あるいはこの件について民主党の中にどのような指示を出されているのか、まずお聞かせいただければと思います。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) この臨時国会で、これは復興の財源の一翼を担うものでありますけれども、臨時異例の措置として公務員の、国家公務員の給与をマイナス七・八%、減額する法案を提出をさせていただいております。それについては、昨日、御党と自民党から人勧を実施した上で給与削減をするという内容の法案が提出をされたと承知をしています。
政党間のぎりぎりの今協議をしていただいていると思いますが、是非これ、合意形成をして前へ進めていきたいという思いを強く持っていますし、ちょうど今からでしょうか、この三時から幹事長レベルの会談もありますし、この扱いが大きな柱になると思います。合意形成ができることを強く期待をしながら今審議に出ているという状況でございます。
○谷合正明君 総理には、強く期待するという言葉じゃなくて、党内をどうまとめるのかというそのリーダーシップの姿を見せていただきたい。私は、総理がこの国家公務員給与削減について、いろいろなところの答弁で、基本的に法案の成立に万全を期したいとか、当面は全力を尽くしたいと、様々出るんですけれども、本当にその汗を流している姿というのを見せていただきたい、そのことを申し上げたいと思います。
それでは、復興庁の設置法案について、中身について質問をいたします。
この復興庁ですが、政府原案の復興庁におきましては、復興対策本部と大きな相違がございませんでしたという指摘もあるぐらい、私自身もそう思っておりました。ただ、衆議院におきまして、野党側の提案による修正によりまして、復興庁は復興を強力に推進することのできる組織となったと私は考えておりますが、まずこの点、総理の認識を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 今回の修正を経て実施権限が大変大幅に拡充をされました。ワンストップで被災者の、被災地の要望を受け止めて、予算の一括計上それから配分に至るまでという、そういう意味での実施権限が大変強まったことと、総合調整権限についても、元々勧告権入れておりましたけれども、その実効性を担保するというそういう措置も入れていただいたこと、それから、これ大変実務が増えますけれども、そのための大臣と副大臣の増員を認めていただいたこと、大変復興に向けて力強い組織になっていけると思いますので、この修正を適切に踏まえて、一日も早く復興庁の立ち上げを実現をしていきたいと考えております。
○谷合正明君 修正案提出者に伺いますが、この法案の第四条第二項第三号に、復興庁が予算を一括して要求し、確保し、関係行政機関に配分する事務が追加されました。これによりまして、公共事業の箇所付けから事業の実施内容まで実質的に復興庁が決めることができるようになりました。しかし一方で、第二項の第三号イには「政令で定める事業に必要な予算」とありまして、実際にどのような予算を一括要求できるのかが明確となっておりません。
政令で定める事業とは何を想定しているのか、また、財務省の予算査定機能との屋上屋を重ねる、そのような懸念はないのか。まず、修正案提出者に伺いたいと思います。
○衆議院議員(石田祝稔君) お答えいたします。
本法案の修正協議につきまして、私ども野党は、これは復興基本法の元々の考え方、いわゆる企画立案、総合調整そして実施の事務、こういうものに沿って復興庁はつくられるべきであると、このように思っておりまして、残念ながら当初の政府案にはこの実施の事務、こういうものが欠けておりましたので、今回のような修正にしたわけでございます。
それで、委員今お尋ねの、じゃ具体的にどういうことができるのかと、これも修正の協議の過程も教えてほしいということでしたので少々申し上げたいと思いますが、じゃこの復興に対して、私たちは、ある意味ではネガティブリスト、これは駄目だよというもの以外は全部やれるようにしたらどうかと、こういう議論もいたしましたが、全体の範囲がこれは分かりにくいと、分からない中でネガティブリストは作りようがないということで、それだったらもう極力この復興事業としてやれるようにリストアップしてもらおうと、こういうことになりました。そして、さらに現時点で考えられるこの中身、政令ですね、しかし、現実に復興が進んでまいりますと、作業が進んでまいりますと、実は政令にはないけれどもこういう事業もこれは是非やりたいと、そういうものについては是非これは政府で迅速に地域の要望を受け止めていただいて政令を是非作ってもらいたいと、このように思っております。
それで、財務省との査定の問題でありますけれども、財務省は基本的には査定をして切っていくと、こういうものが、まあ本能というんでしょうか、そういうものがあると思いますけれども、復興に関しては、逆に必要なものはしっかりと付けていくと、ある意味でいえば、減額ではなくて増額するぐらいの気持ちでこれは私はやってもらいたい、このように思っております。
○谷合正明君 今の修正案提出者のこの意向を受けて、この修正の趣旨を反映した政令とすることが求められておりますけれども、この点について見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(平野達男君) 今回の法案修正では、復興庁に復旧復興に必要な予算、一括計上するということになっております。その政令の中身につきましては、今、石田修正案提出者の考え方等々も含めまして、これからしっかりと制度設計をやっていきたいというふうに思います。
○谷合正明君 次に、復興庁の組織、人員について伺います。
復興庁に強力な権限を持たせたとしても、組織の在り方によってうまく機能できるかどうかが変わってまいります。
まず、復興庁の人材についてでありますが、復興庁には官、民、そして国、地方を問わず人材を集めると聞いております。民間や、またNPO、地方自治体出身の職員、こうした方々は復興庁においてどのような場で活躍することが想定されているのか。そして、復興庁のこの人員に関してですが、総定員法、定員合理化計画との整合性は取られていくのか。総理に伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) まず、復興庁の職員でありますけれども、被災自治体を支援するため、各府省の制度やあるいは復興施策に詳しく、何よりもこれらの事務を推進するに当たって熱意のある人材を確保するということが肝要だと思います。
また、被災地と密着する復興局などでは、国家公務員だけではなくて、御指摘がありましたけれども、地元の実情に詳しい民間や自治体などからも幅広く人材を確保したいと考えております。そうした人材の知見やノウハウも活用しながら、被災地の復興を支えてまいりたいというふうに思います。
また、今回は、衆議院における修正では、行政改革などの観点から政務三役の数の縮減が行われたところでございますので、この観点からすると、復興庁の他の職員の数についても、このような考え方を踏まえて行政組織の肥大化を招かないということを留意しながらも、一方で、復興庁の業務が適切に遂行できるような体制を整備をしてまいりたいというふうに考えております。
○谷合正明君 復興庁におきましては、各省から熱意のある人材を結集していくわけでありますが、その人材が実際どれだけ現場に入り込んで、その中に入り込んでいるのかというのが重要だと思っております。
例えば、短期間ですぐに異動してしまうようでは、これはやっぱり地元との信頼関係という意味では、これ大きく損なうわけでございます。そういった意味では、私自身は、こうした期間の問題とかいうことを含めて、しっかりと現場に根差す、そういう人員の配置の在り方が、人材の活用の仕方が非常に重要ではないかと思いますが、こうした点を配慮する必要性について総理の見解を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 今の御指摘、大変大事な観点だと思います。復興庁における職員の人事、広い意味での人事に当たりましては、任命権者として、職員の意向や被災自治体との信頼関係にも配慮しながら、しかも各職員が高いモチベーションや熱意を持ってその能力を適切に発揮することができるように意を用いてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 その組織、人員につきましては以上でございますが、特に、私自身もNPOの出身の人間でありますが、現地に行ったNPOだけじゃなくて、地元で生まれたNPOも、現地組織も結構今たくさん誕生しておりまして、そうした声も本当にしっかり拾い上げていただきたいということと、人材として活用していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
次に、修正事項について再び修正案提出者に伺います。
衆議院の修正におきまして、附則第二条に本法律の施行の状況についての検討規定が設けられました。この三年の見直しということでありますけれども、この趣旨についてまず伺いたいと思います。
○衆議院議員(石田祝稔君) 谷合委員にお答えしたいと思います。
今回、附則第二条で三年後の検討、見直しと、こういうものを盛り込むことになりました。これは政府原案には全くなかった規定でございまして、これは、なぜ三年かということもあるんですが、やはり復興集中期間、五年ということになっておりますので、やはり途中で、このままの進度でいいのか、進み具合でいいのかとかいろんなことを私は検討すべきだと、その意味で検討して見直しをすべきではないかと、こういう規定を追加をいたしました。
この法律で復興庁が設置されまして、東日本大震災からの復興の円滑かつ迅速な推進を図ると、こういう国の体制が整うことになりますけれども、復興には長い時間も要します。集中期間といっても五年間でありますから、やはりそこでいろいろな変化も出てくる。やはり、被災地の要望もいろいろとまた新たなものも出てくると思います。そういうものも含めまして、この復興庁設置法案が通ったから私たちの仕事が終わりと、こういうことではありませんので、やはり被災地に国会としても寄り添っていろいろと頑張っていくと、こういう姿勢を表したものでもあります。
以上です。
○谷合正明君 今お答えしていただいたところと関連するわけでありますが、国会への報告規定もこの度新設されました。復興庁の設置法案だけでなくて先般成立した復興特区の法律におきましても、これは政府任せにせず国会の関与を強めるというところが私は今回の二つの法案の修正の肝ではないかなと思っているわけです。
そこで、国会はこの報告、いわゆる国会への報告規定、こういう新たな新設された規定があるんですが、この報告に対してどのような対応を取ることがイメージされているのか、修正案提出者に伺います。
○衆議院議員(石田祝稔君) お答えいたします。
この附則第八条も政府原案には全くなかった考え方でございまして、やはり私は、先ほど申し上げましたように、法律を作って終わりと、こういうことではなくて、国権の最高機関として、唯一の立法機関としての国会の務めはこれは法律を作ると、こういうことになりますけれども、やはり作った法律がどのように執行されていくのかと、こういう点も私たちはしっかりと、被災地が復興からしっかりと元の生活に戻れるその日までやはり寄り添っていくという考え方が大事だと思います。
その意味で、国会に報告をしていただいて、そして必要であれば新しい議員立法、また、政令等についても政府にしっかりと取組をいただく、こういう観点からこの国会への報告と、こういうものを盛り込んだところでございます。
○谷合正明君 総理に伺います。
質問は、既に同じ趣旨の質問が出ている部分もあるんですが、復興庁のこの設置費用についてでございます。
これ、来年三月十一日までに復興庁を設置できるように今準備を進めていくということで答弁されておりますけれども、二十三年度の予算に設置に係る費用というものは計上されておりません。この法案成立後、設置に係る費用をどう措置するのか。速やかに復興庁の体制を整えるためにも十分な予算を充てていただくということでよろしいんでしょうか。まず、総理の方にお伺いします。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 復興庁が設置された際には、現在内閣官房に計上している復興対策本部の経費や内閣府に計上している復興交付金等の予算を、予算総則十二条の規定により復興庁に移し替えることで対応できると考えておりますし、なお予算の不足が見込まれる場合には適切に対処してまいりたいと思います。
○谷合正明君 時間になりましたので、私の方から最後に一言。
私は、ある自治体の首長さんからこう言われました。復興庁というのは、役所の立場に立つのではなくて被災者の側に寄り添う、そういう新しい役所になっていただきたいというふうに言われました。私自身、公明党の議員として、これからも被災者の心に寄り添う、その活動をこれからもしっかりとさせていただくということを決意申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございます。