○谷合正明君 公明党の谷合です。
今日は所信質疑ということでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
大臣は所信の中で、災害に強い国土構造の再構築ということで述べられました。まず、私もその点から御質問をさせていただきたいと思います。特に、社会資本整備の中でも道路の話は午前中の審議の中から繰り返し出ているところであります。
私も東日本大震災の現場に赴いておりますけれども、特に三陸縦貫道では多くの住民の方から、この道路がなかったらどんな大変なことになったか分からないという証言ですね、生の証言を聞くたびに本当に命の道路だったんだということを再認識したわけであります。
この三陸道は、当然地元の方々にとってみると、防災という観点からも必要性というのは十分理解されつつも、しかしながら大きな交通量というのは、ああいう地域ですから大きな交通量は見込めないということで、これは最初の開通から三十年たちますけれども、約五〇%の供用というところで今終わっているということでございます。
そこで、ひとつこれからの高速道路を含めた道路の在り方ですが、先ほど費用対効果の話も出てまいりました。この費用対効果というのは、計算される効果はほとんど交通量ということで、裏を返せば交通需要の大きさで道路整備の可能性、整備速度を決定していくわけでございます。ところが、もう少し別の視点というのが必要ではないかというのが繰り返し議論になったと思うんですが、今日はお手元にまず配付させていただいている資料がございます。高速道路ネットワークの形成による東京―青森間のルートということでございますが、いざというときに道路がないと災害復旧にも使えないということでございまして、また、仮に道路が寸断されたとしても違うルートを確保していると、そういう補完性とかいうことも大事だと思うんですね。
そういう意味で今、これは例示ですけど、東京から青森に行くまでに高速道路を使って何通りの行き方があるのかということで、今二十四通りあると。ただ、これ、よく見ますと、郡山までで二十四通りでございまして、郡山から先は、青森まで二十四通りということは、すなわち一通りしかないということでございます。フルネットでネットワークが整備されますと、現在二千五百二十三キロですが、これ三千三百六十一キロ、フルネットで企画されますと、二五%の延長によって実は東京―青森間のルートは一万四千二百四十ルートということで、非常にネットワークという観点からすると極めて飛躍的に拡大するわけですね。
これを分かりやすくネットワーク効果ということで図表に示したのが二枚目でございます。私もこれを見て改めて認識したわけでありますが、A点からF点に行くのに何通りの行き方があるのかと。一番左の図では、これは当然一通りです。ところが、環状線ができるとAからFに行くのには十七通りがある。ところが、環状線の一つの区間で未着工のところがあると、AからFに行くのが実は六通りに減るんだと。これは改めて、私、分かりやすく、図表だったんですけれども、この効果の意味というのを認識したんですね。
そこで、大臣にまずお伺いしますが、災害に強い国土構造の再構築に関して、費用対効果偏重から改めて、私が申し上げましたこのネットワークの代替性とか補完性といった、余裕性というんですか、リダンダンシー、これを十分考慮していくべきではないかと思っておるんですが、大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(前田武志君) 委員お示しいただいたこのネットワーク、非常に示唆に富んでいるなと改めて見せていただいております。
十二号台風、私の地元のことに例を引いて恐縮なんですが、紀伊半島というのは、とにかく半島というのはどうしても交通関係というのは後手に回りやすいところなんですが、紀伊半島を縦貫して新宮に至る道路というのは百六十八号一本しかないんですね。多少バイパス的なのがもう少し紀伊半島の大台ケ原と言われる三重県寄りのところに百六十九号というのがありますが、やがてこれは百六十八号と合体して新宮に行く一本と言っていいでしょう。ここに三重、奈良県、和歌山を通じて何本かあるんですけれども、まさしくこういったことででして、今回、十二号台風で百六十八号が寸断されると至る所に孤立集落ができました。その孤立集落、高齢化しておりますから、一週間ももたないんですね。本当に人命にかかわるような話になります。なかなか復旧ができないんです、こういう多重性というのがなかなか確保できていないために。これはもう本当に私も身にしみて感じたところであります。
ところで、この一ページ目に戻りますと、これまた東京から青森まで二十四ルートが一万四千二百四十ルート、このリダンダンシーが確保されると同時に、多分ここに新たな観光開発というか、観光の上からいってもいろんな可能性が出てくるのではないかと思います。さらに、このネットワーク効果ということについては、首都圏においても何十年たってもつながらないような環状線もあるわけで、これが本当に人というような非常に経済社会の一番中心になっているところでどのくらいの大きな経済的損失が今まで重ねられたのかなと思ったりもしながら見ておったところでございます。
ということで、結論として、もちろんBバイC、これは一つの基準として三つのBバイCというのは基本としておりますが、加えてこの多重性であり、そして何といっても災害に強いということがこういうことも意味しているかと思います。つながるということが命の道だというふうに感じております。
○谷合正明君 大変にありがとうございます。
我が国はほかの諸外国と比べて道路整備がネットワークという観点で未整備な状況がございます。ところが、我が国というのは災害発生、頻繁に起こる国でございます。そういう観点からして、もう一度改めてこの三・一一の教訓というものをしっかりと私たち国会議員がこれを感じ取って行動に移さなければならないんだと思っております。
次に、具体的な震災関係の質問に移らせていただきます。
防災集団移転促進事業です。これも三陸海岸の自治体関係者から、私、直接、先週だったでしょうか、伺ってまいりました。
この事業については、国土交通省所管で、例えば実際の自治体の負担をこれ事実上なくしていくという改正であるとか、あるいは一戸当たりの移転費用の上限をこれ撤廃するとか、その大きな要望はクリアしたけれども、今自治体から上がっている声として、小規模な集落の移転にこの事業が当てはまるのかどうかという話と、自力で移転するという方に対してどれだけ支援の手が伸ばせるのかという、そういう声に集約されました。
今回の防災集団移転促進事業で移転先の住宅団地の規模要件の緩和がなされる、十戸から五戸になるわけでありますが、具体的にそれでは、その五戸未満の小規模集落などが高台移転したいといったときに、この本事業では適用できるのかと、私、できるようにすべきだと思いますが、まず確認させていただきたいと思います。
○副大臣(松原仁君) こういった災害、防災に関しては、できる限り細かい、きめ細かな支援が必要であろうということは共通の認識であろうと思います。
東日本大震災の被災地における防災集団移転促進事業については、移転先の住宅団地の規模要件を十戸から、委員御指摘のように、五戸に緩和する措置を第三次補正予算において盛り込ませているところであります。
御指摘のように、更に小規模な高台移転に対応するため、移転先の住宅団地の規模を更に引き下げることについては、移転先地の地域コミュニティー等を勘案し、今般の制度拡充案に盛り込んでおりませんが、例えば小規模な複数の集落の移転先を集約して五戸以上の住宅団地とするなどの工夫により実質的には対応できる場合もあることから、地方公共団体のニーズに応じて、制度の運用面での工夫を今後検討してまいりたいというふうに思います。
○谷合正明君 是非工夫していただきたいんですが、もう少し聞きますと、例えば小規模集落が今言われたような適用に向けてなる場合に、そうはいっても小規模集落が何戸以上あるのかと、二戸以上必要なのかとか、あるいは全戸の同意を必要としているのか、この辺りはどういうふうに今検討されているんでしょうか。
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
防災集団移転促進事業を始めるに際しましては、集団移転促進のための事業計画を策定するということになっておりまして、その中で移転促進区域を決めていただくということになります。
今、副大臣から御答弁がございましたが、例えば小規模な複数の集落に移転先を集約して一つの住宅団地を形成する場合にあって、お尋ねのような五戸未満の小規模な集落についても全ての住居が移転すること、災害危険区域に指定されることを前提に事業計画上も妥当であるというような場合には、移転促進区域に指定されることがあるというふうに考えております。したがって、そういうような条件が整えば、防災集団移転促進事業が実施できるものと考えております。
なお、お尋ねの住民の合意形成についてでございますが、これは今申し上げましたように、移転促進区域が定められますと、移転促進区域内にあります全ての住居を移転していただくということになっております。また、災害危険区域に指定されるということが前提となっておりますので、そういう意味からすれば、区域内にお住まいの方々の居住の在り方などに大きな影響が及ぶものでございますので、集団移転を円滑に進めるという観点からは、住民の総意に基づく合意形成がどうしても円滑な事業執行という面からは必要になってくるのではないかというふうに考えております。
○谷合正明君 また、更に確認ですけれども、総意ということでございましたが、ただ、こういうある地域の中で総意というのはなかなか難しいと思うんですね、合意形成図る。一つの世帯が、いやどうしても残りたいということになると、残りの地域だけでこの移転促進区域を定めるということにして総意という考えが成り立つんでしょうか。
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
実際上の事業の運営としては、今お尋ねのように、移転をされるという方々を前提とした区域取りを行うということになろうかと思います。ただ、そういうことからすると、当初は本来的には移転促進区域を掛けて集落の移転、集落全体の移転を図る必要があるというようなケースであっても、今のように当初の段階ではなかなかちょっと思い切れないと。したがって、移転促進区域には入りたくないというような方がいたとした場合には、それを外して先行的に事業を実施することは可能です。
ただ、その場合であっても、後から移転促進区域に、何というんですかね、いろいろ御検討をされまして、その後移転しても構わない、あるいは移転したいといったような場合には、改めて移転促進区域の範囲を変更していただくというようなことで事業計画を変更していただくと。そういうことでもって円滑な集落の移転の促進というのが図れるものだと考えております。いろいろ運用上の工夫をしていきたいと思っております。
○谷合正明君 もう一つ、別の観点ですが、自力移転、自力移転の定義もあるんですが。例えば、その移転促進区域からこの促進事業によって整備する住宅団地、その住宅団地以外の地区に自力で移転する場合、費用の支援はあるのか、まずこの点について伺いたいと思います。
○政府参考人(加藤利男君) 防災集団移転で整備される住宅団地以外のところに移転をされる、自力で移転される方についての助成の内容についてどうかというお尋ねでございますが、その他の地区に、移転促進区域が掛かりましてその他の地区に移転される方に対しましても、助成内容としては移転促進区域内の農地や宅地の買取りに要する経費、移転者の住居の移転に対する補助に要する経費については助成ができるというふうになってございます。
○谷合正明君 それでは、その移転促進区域に指定される前に自力で移転している場合に、今言われた土地の買収費だとか引っ越し費用の支援というのはあり得るんでしょうか。
○政府参考人(加藤利男君) 移転促進区域に指定される前に自力で移転された場合ということでございますが、その場合、引き続き移転促進区域内の土地を保有されているということでございますれば、移転促進区域内の農地や宅地の買取りにつきましては同事業による補助の対象とすることは可能であるというふうに考えております。
○谷合正明君 ちょっと今、引っ越し費用については出てこなかったんですが。
それで、先ほど同意、まあ総意ということで、移転促進区域に指定されないというケースが出たとした場合に、ただ高台に移転したいというふうに希望される方が出たら、その方にはまず費用の支援というのは出ないということですか。出るんでしょうか。
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
この制度は、移転促進区域を掛けたことをスタートにして円滑な移転を進めるという事業でございますので、移転促進区域内に、前後を問わずですが、移転促進区域に掛かっていないものについては本事業の対象にはならないというふうにお考えいただければと思います。
○谷合正明君 いずれにしましても、今やり取りしている話というのはもうちょっと先、実際具体的には現場では先の議論かとは思うんですが、市町村は、今この事業については本当にこれ市町村任せで大変じゃないかという声も実際あるわけでございまして、土地区画整理事業であるとかこの本事業であるとか、そういったマンパワー、人的支援についても、是非国交省の方でもこの体制の在り方というのを見ていただきたいというふうに要望させていただきたいと思いますし、これから市町村と頻繁にやり取りされると思いますので、そうしたこともしっかりとコミュニケーション取っていただきたいと思います。
もう一つ、宅地被害について伺います。
先日、私、仙台市の泉区の宅地被害の現場を訪れました。宅地被害については、液状化の被害以外の宅地被害ですが、仙台市に集中しているわけですね。仙台市で二千件、戸数ベースでいうと四千戸以上あるんじゃないかと言われていますが。通常時の国の補助事業だと、仙台市の場合、約四割の世帯しか補助対象しかならないんじゃないかというので、過去の特例に倣って制度改正してくれという要望があったわけですね。過去の特例、中越沖地震とかを参考にして特例を準じたとしても、それでも約七割ぐらいの宅地被害にしか対応できないんじゃないかと。
ところで、やはりその残りの三割を支援したいということで、今回大幅な要件緩和等、自治体から要望が出されていたと思います。造成宅地滑動崩落緊急対策事業、この度創設されるということですが、この特例措置によって被災した地域全てが救済の対象になり得るという認識でよろしいんでしょうか。
○副大臣(松原仁君) このいわゆる宅地の被害、これをどのように支援するかというメニューでありますが、東日本大震災において内陸部の造成宅地において広範かつ多数の被害が生じ、復興を推進するに当たって重要な課題の一つであると認識しております。
宅地被害への支援として様々なメニューを用意しております。
今般の第三次補正予算案において盛土造成地が滑動崩落した地区に対応するための事業として、今委員御指摘の造成宅地滑動崩落緊急対策事業を創設いたします。また、住宅の宅地擁壁被害に対する事業として災害関連緊急傾斜地崩壊対策事業、災害関連地域防災がけ崩れ対策事業に特例措置を講じ、従来は自然斜面だけでありましたが、擁壁等の人工斜面への適用も図ることにしております。このほかこれらの事業の対象とならない被災宅地については、第一次補正予算で創設した災害復興宅地融資制度の活用が可能となっております。
国土交通省といたしましては、引き続き被災地の地方公共団体との連携を図りつつ、これらの事業の円滑な実施を支援することにより一日も早い復興が図れるよう努めてまいります。
メニューがたくさんある中で、おっしゃったこの造成宅地滑動崩落緊急対策事業で全てがという議論には一義的になっておりませんが、幅広くメニューを出して御支援をするようにというふうに努めてまいります。
○谷合正明君 必要な支援、まあ支援を必要とする方には当然支援が行き渡るようにというのが当たり前だと思いますので、その漏れがないような今後の対応というのをしっかりとこちらもチェックさせていただきたいと思います。
ところで、宅地被害を受けている住民の方々の声としては、例えば対症療法的に宅地の被害を直すということもさることながら、かなりこの十年の間で大きな地震を経験してきて、今回の地震だけじゃなくて、前回、前回というのは宮城県沖地震とか、そういったときにも実は少ない規模の被害ですけれども、あったんだということで、実は調査をしっかりしてほしいということと原因究明をしっかりしてほしい、そして根本的な対応をしてほしいという話なんですね。
聞くところによると、平成以降に宅地造成した地域というのはこれまでの大災害の中では被害がないとは聞いているんです。昔、宅地造成したところで起きているわけでして、そうした方々、住民が、今の現行の制度上、私が申し上げたような調査であるとか原因究明、根本的対処というのは、そういった支援ができるようになっているのかと、この点について確認させていただきたいと思います。
○副大臣(松原仁君) 第三次補正予算案において創設することとしている造成宅地滑動崩落緊急対策事業は、被災した造成宅地の単なる復旧ではなく、再度災害防止を目的とした制度となっております。本事業において、滑動崩落の原因究明につながる地盤調査及び設計に要する費用についても交付対象とすることとし、調査の結果を踏まえ、適切な工事を施行することが可能となっておりますということで、御案内のように、このいわゆる設計のための様々な費用に関しても交付対象といたしているところであります。
○谷合正明君 時間がないので次の質問に移らせていただきますが、今申し上げた宅地被害であるとか防災集団移転促進事業については、引き続き、また国交委員会、復興特等で取り上げさせていただきたいと思います。
それで、別の質問というのは、地域振興、観光振興についてなんですが、午前中も瀬戸内海の話が出ました。私も瀬戸内海について取り上げたいと思います。
瀬戸内海の景色はもうこれは世界一の景色だという、これはもう歴史的に様々な文献の中でそういう記述が出ているんですね。例えば、一六〇七年から一八一一年まで朝鮮通信使が十二回日本を訪れていますけれども、日本を訪れた中で、いろんなところに行ったけれども、瀬戸内海の景色が一番優れているという文献を残しております。
一八二六年にはドイツのシーボルトが船で瀬戸内海を往来するわけですけれども、このとき言ったのは、これまで日本で見た景色で、見た最も美しい景色の一つだと、そこまで言っている。
それから、このシーボルトがそういうことを書いて、おかげで欧米人の間で瀬戸内海見ようじゃないかというブームが起きて、十九世紀幕末から明治時代の終わりに、欧米人がこぞって瀬戸内海を航行されると。やはり、こうした中でもこういう表現があるんですね。長く曲がりくねった瀬戸内海の航路は、完全に美と魅力のためだけにあり、これに匹敵するものは世界にないと、そこまで書かれている。
一九三四年に日本初の国立公園、制度ができまして十二か所できた。吉野熊野も入っていますけれども、この中に唯一の海域を定めた国立公園が瀬戸内海の国立公園だということでございます。
現在も、実はクルーズ船で外国の方が瀬戸内海に来て、こんなすばらしい景色はないと。ただ、クルーズ船が停泊する港が少ないので、実は瀬戸内海の離島の一つを使ってある日本の実業家の方がホテルとか整備して泊められるようにしたと。世界の富豪が来て、最近の話ですけれども、泊まって、こんなすばらしい景色ないと、ぽんと五百万円を置いていった。そういうエピソードがあるぐらいに、この瀬戸内海のブランドというのはあるんだと私は思っている。三年後には瀬戸内海国立公園制定八十周年です。
ところで、観光庁ですが、瀬戸内海海域に来訪する観光客数についてデータを把握しているのか。私は、瀬戸内ブランドを再構築して、国内のみならず、戦略的にアジアからの誘客を図っていくべきであるということを申し上げたいと思いますが、観光庁長官、いかがでしょう。
○政府参考人(溝畑宏君) 瀬戸内でございますが、私も瀬戸内の大ファンでございまして、兵庫県、そしてまた岡山、そしてまた広島、香川、愛媛、どの県から見ましても景観が美しく、そこには芸術、文化、歴史が子細に刻み込まれております。委員御指摘のとおりでございまして、観光庁といたしましても、この瀬戸内のブランドは大いに世界のブランドであるというふうに考えております。
具体的な数字を申し上げますと、平成二十二年四月から十二月までの観光入り込み数、これは一億百六十五万というふうになっております。
観光庁におきましては、この観光圏という二泊三日以上のそれぞれポイントを結んだ観光圏を、例えば香川せとうちアート観光圏、瀬戸内しまなみ観光圏など、こういう広域連携ということを制度的にバックアップいたしております。
特に、昨年、ここでありました瀬戸内国際芸術祭、直島は世界的な評判を博しました。世界的なブランドは宝の本当に玉手箱のごとく散らばっているふうに我々は感じております。
また、今このエリアでは積極的な国際便の誘致、クルージング船の誘致も懸命に努められておりまして、昨年はここで、今年、高松―上海便が新規就航をいたしました。このような海、空の新規就航の誘致のバックアップ、そしてまたメディア、旅行会社の招聘、そしてまた現地での旅行博、各国へ行きまして旅行博のアピール、こういったことを国、地域、連携いたしましてタイアップしてアピールし、議員御指摘の瀬戸内ブランド、アジアからの誘客を積極的に進めていきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 最後に、大臣にお伺いしますが、公明党に瀬戸内海フォーラムという組織をつくったんですね。これは要するに、瀬戸内海というのは複数県にまたがっておりますので、それぞれの県はそれぞれ頑張ってやっているんですけれども、どうしても広域的な視点が不足しているんだと思っております。
これは行政についても当てはまりまして、例えば国土交通省は離島を管轄しております。ところが、離島振興法上で離島となっている瀬戸内の島というのは、これ全部が全部そうじゃないわけですね。私は経済産業政務官をやっておりましたけれども、じゃ経産省がこの瀬戸内海の成長戦略を考えてやっているかというと、そういう部署はないわけですね。国交省の出先も中国と四国で分かれてしまって、瀬戸内海といったときにどこも私の責任、所管じゃないという話になっちゃってですね、という話になっちゃう。
だから、一体的な広域な振興策とか縦割り行政を超えた視点というのが必要だと思うんですが、少なくとも国土交通省の中で瀬戸内海を広域的にとらえていくという視点を今後持っていくべきじゃないかということを申し上げたいと思うんですが、大臣の見解を伺います。
○国務大臣(前田武志君) 非常に心強い御指摘をいただきました。広域連携ができるような組織というものも是非つくってまいりたいと思います。
実は私も、あの藻谷さんって、政投銀行の、よく御存じの、がシンガポールに駐在しているときにちょっとシンガポールを案内してもらったことがあります。そうすると、世界の大富豪たちがクルーズ船をシンガポールのあの港に持っているわけですね。前田さん、こんなシンガポールに持っていたって、周り見るところないんだよと、これは瀬戸内海だとか平戸湾だとか松島だとか、日本に来たらもうよだれを垂らすようなシーンがいっぱいあるのに、今全然その資源を世界にアピールしていないねと、こういう御指摘をいただきました。
そのことを思い出しながら、今委員御指摘のこと、観光庁長官もファイトマンでございますから、しっかり受け止めてやらせていただきます。
○谷合正明君 終わります。