○谷合正明君 公明党の谷合です。
まず、雇用創出基金事業について厚労省にお伺いいたします。
雇用創出基金事業、ふるさと雇用再生特別基金事業、緊急雇用創出事業、また重点分野雇用創造事業がございます。震災がございまして、震災対応事業も始まりまして、これは一次補正で五百億円が付いたところでございます。
私は、この雇用創出基金事業は、原則、今年度末で終了するということになっておりますが、震災による影響を考慮して、早いうちからこの継続と基金の積み増しの方針というものを示すことが大事じゃないかと思っておりますが、まずこの点についてお伺いすることと、もう一つ、ふるさと雇用再生事業を使って、例えば高知県では、県下の市町村と連携取りまして多機能な福祉サービスを展開しております。詳細は省きますけれども、私も実際に北川村等のあったかふれあいセンターを視察させていただいて、今では地域の福祉としてなくてはならない存在となっておりますが、この事業も同様に今年度末に終了する予定となっております。
やはり、この事業を継続していく必要性があると考えておりまして、国としても財政的支援が必要ではないかと思いますが、この二点について伺います。
○大臣政務官(小林正夫君) まず、雇用創出基金事業についてでございますけれども、これは、実施要件の緩和や、平成二十三年度第一次補正予算による、先ほど委員おっしゃったように、五百億円の基金の積み増しを行いました。その結果、現時点で、被災三県を含む全国で約四万二千人分の雇用創出が計画をされておって、既に一万四千四百九十五人が雇用されております。基金の積み増しや期間延長については、その活用状況や被災した自治体の御要望などを踏まえて検討をしてまいりたいと思います。
もう一つの質問であるふるさと雇用再生特別事業についてですけれども、これは、リーマン・ショックによる雇用情勢の急激な悪化に対して、地域において継続的な雇用が期待できる事業を企業とかNPO等に委託して実施することにより雇用の創出を図るものであります。平成二十三年度までの事業であり、委託事業が自立し軌道に乗るように一定期間を継続して支援する、こういう事業でございます。
御指摘の高知県の事業は、小規模・多機能支援、あったかふれあいセンターであると思います。この事業の評価は、ふるさと雇用再生事業の目的が継続的な雇用の創出を図るということでありますので、事業の終了後に行うことになりますけれども、平成二十三年度で三十一市町村、百二十二人の雇用が創出をされております。これらの雇用の継続を促進するために、事業終了後に正規に雇い入れる場合は一時金を交付することとしておって、委託先において引き続き事業実施による雇用の継続を図っていただきたい、このように考えているところでございます。
○谷合正明君 震災による雇用の影響というのは明白でございますので、私はいち早くこの積み増しと継続の方針を示すべきだと思っております。
次に、被爆者援護行政について伺います。
今年も八月六日、九日が近づいてまいりました。私は、与党のときには原爆被爆者対策のPTの副座長もしておりまして、一貫してこの問題に取り組んでまいりました。二年前、八月六日に、原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書というものが被爆者団体と政府で交わされました。その確認書には大臣との定期協議を行うということが書かれておるわけでありますが、しかしながら今日に至るまで一度しかこの大臣協議はしておりません。様々な事情があるにせよ、私はこれは極めて不誠実な対応だと思っております。
この大臣協議をいつするのかという点と、もう一つ、原爆症認定制度については、これは見直しをしていくための在り方検討会というものが設けられております。しかし、この検討会も、一体いつまでにその見直しの方向性を出していくのか、またその方向性そのものが全く今見えてきておりません。こうした二点について、今、現状答えられる部分を答えていただきたいと思っております。
○政府参考人(外山千也君) まず、厚生労働大臣と被団協、原告団、弁護団との定期協議についてでありますけれども、昨年一月に第一回を開催いたしまして、本年一月に第二回をきちんと予定したわけでございますけれども、急なやむを得ない事情によりまして開催できなかったところでございます。それを今度は、大震災があったりしましたけれども、被団協の方から本年六月に大臣との定期協議を早期に再開するように要請を受けておりまして、次回の開催につきましては現在鋭意調整を行っているところでありまして、できるだけ速やかに開催したいというふうに考えております。
それから次に、原爆症認定制度の在り方に関する検討会につきましては、昨年十二月より幅広い分野の有識者や被爆者団体等の関係者に御参加をいただきまして開催しているところでございます。これまでに五回検討会を開催しておりまして、関係者からヒアリングを行ってきたところでございます。
これまでのところ、原爆症認定制度の現状と課題について議論を行っている段階でありますが、こういった問題につきましては関係者が少なくとも同じ事実を共有することが重要でありまして、現在検討会としての足場を固める大切な段階を踏んでいるというふうに考えてございます。
したがいまして、結論の時期につきましては現在申し上げる状況ではございませんけれども、いずれにいたしましても、これから十分御議論いただく中で、制度の在り方につきましてしっかり検討を進めてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 次に、原子力安全・保安院の独立について伺います。
今日、報道で環境省に原発規制庁をという報道が載っております。この原子力安全・保安院の独立については、いわゆる規制権限の強化、独立性の確保といった点が極めて重要であると思います。また、海外の安全規制の体制を見てみますと、そうしたことに加えて、財政的独立性であるとか、あるいは原発の立地自治体との関係であるとか、そうしたこともこれからの制度設計のためには重要であると思っております。
そこで、細野担当大臣に伺いますが、実際に今どういう青写真を考えていらっしゃるのか、国会の場で御説明していただきたいと思います。
○国務大臣(細野豪志君) 大臣に就任したときから、八月の上旬には青写真を示したいということを言ってまいりまして、この一か月、かなりの検討を重ねてまいりました。今朝の新聞に一部出ております環境省の下の外局というのも一つのアイデアだというふうに思っておりますが、まだ最終的に姿を完全に描き切るところまではいっておりません。
御指摘の財政的な独立性の話なんですけれども、例えばアメリカのNRCなんかの場合は、検査をした場合に手数料を事業者から取って、それでかなり財政回しているんですね。我が国の場合にはそういう、僅かな手数料は取っていますが、基本的には税金でやるという体制になっております。
こういったことももちろん検討していかなければならないと思うんですけれども、やはり事業者と規制機関というのは、これまでよりも更に、何といいましょうか、しっかりとそこに、ある種の調べる側と調べられる側という関係ですから、けじめを付けていくべきではないかというふうに思っておりまして、そういう観点からすると、財政的にそこに依存する形は必ずしも日本の場合には好ましくないのではないかと、そう思っております。
一方で、谷合委員の方から御指摘がありました地方自治体との関係は、これはもう本当に強化をしていかなければならないと考えております。具体的に申し上げますと、原子力安全・保安院、地方の組織、非常に脆弱でございます。原発にそれぞれ数名ずつ配置をされているというレベルにとどまっておりまして、自治体としっかり連携をして安全性を確認をするということができておりません。したがいまして、新しくできる規制機関では、地方の組織を拡充して自治体とは常に密接に様々な協議ができるような、そういう体制は必須であると考えております。
○谷合正明君 この環境省に原発規制庁というのはまだ、何というか、これと決まったわけではないというような答弁であったかと思うんですが、しかしながら一つのアイデアとしてはあるんだと思います。それで、環境省に置くということを前提に議論させていただきますけれども、そうした場合に幾つか私は懸念する事項があるのではないかと思っております。
一つは、庁ですね、いわゆる原発規制庁ということになりますと省の外局となってくるわけでありますが、今求められているのは強い権限、規制権限と、また独立性、第三者性を確保するということでありますから、果たしてそれができるのかという問題と、もう一つは、国会の同意人事がどうなのか。原子力安全委員会のメンバーを今、同意人事でやっておりますが、庁にしたときに果たしてそれができるんですかと。もう一つは、この行政監視委員会でも参考人の方からの指摘もあったんですが、いわゆる安全確保を徹底するためには、行政組織上、最低限原子力推進の立場である経産省と同等以上の格付が必要じゃないかといった点が指摘されてきたところでございまして、私もそうだと思っております。そういう状況の中で、環境省がこの原子力の安全確保を担当するということがいいのかどうかといったところは私はまだクリアになっておりません、まだ政府の説明も聞いておりませんから。
そこで、改めてお伺いしますけれども、こうした懸念についてどういう議論がなされているのか、改めて答弁していただきたいと思います。
○国務大臣(細野豪志君) まず、同意人事の関係からお答えをいたします。
確かに、原子力安全委員会、さらには原子力委員会とも同意人事になっておりまして、国会の関与がございます。そうした議会の関与は非常に重要だと思いますし、先ほど岩井議員の方からは委員がそれぞれ違うことを言うことについて問題点指摘がありましたが、あれはいい面もあるんですね。それぞれ、例えば原子力安全委員会であれば五人の委員が自由に発言できます。議事は全て公開です。ですから、それがむしろ、うまくいろんな形の意見が反映されて、例えば間違ったことが行われたときにブレーキを掛けるといういい面もあります。
ただ、その一方で、今回、私、この事故から四か月半の間、もう安全委員会と保安院とずっと膝を突き合わせていろんな議論をしながら物事を運んできて感じたことがあります。それは、こうした委員会形式というのは危機管理においては必ずしも機能しない。むしろ行政庁という形にして、省にできればそれはそれにこしたことないんですけど、それだけの規模がありませんから、やはり行政庁としてしっかりと責任大臣がいて、そして責任者がその庁のトップにもいて、危機管理的な機能を持つようなそういう専門官も置いて、そこが一気通貫でしっかりと物事を決めて危機管理に対応する、これ必須だと考えておりまして、そういった意味でやはり行政機関としての一つの形があった方がいいのではないかと考えたところであります。
もちろん、国会の関与が求められる部分がありますので、それに言うならば横並び、若しくはその下に審査会的なところを設けて、そこに国会が関与していただいて様々な意見を吸収するような、そういう形は考える、私はそこは様々な幅があり得ると考えております。
○谷合正明君 今回、保安院を環境省のというのは、私はその前に、本来、エネルギー政策において、原子力の依存度を下げて再生可能エネルギーの活用をどういう工程で進めていくのかという大きな戦略が必要であって、本来であれば、エネ庁が環境省との関係どうなるんだといったところを議論して、そこを一体にするとか、あるんだと思うんです。それを抜きにして、いや保安院だけ経産省から出してということになりかねないんじゃないかなと私は思っておりまして、この議論の背景にどういったものがあるのか、また国会で質疑をさせていただきたいと思っております。
それで、もう時間がないんですが、原子力行政ですが、組織だけの問題ではなくて、もう一つ人事の問題があるんではないかと。つまり、キャリアシステムによる人事、ゼネラリスト重視のローテーション人事といったものが、別に保安院だけではありませんが、これまでも官僚機構では往々にして行われてきたと思います。
例えば、保安院の院長は原子力の専門家ではないわけですね。そうした方々がそういった組織のトップに就いて、そして人事交流も行われてきたというこれまでの問題があると思うんですが、中島人事院元総裁が本委員会の参考人質疑で、やはり現場を熟知しているプロパーの人材が必要だと、国民の安全を最優先すべき価値と考えるトップ人事をすべきであると述べておられまして、安全重視の原子力行政に転換するためにそうした人事の抜本的な見直しをこの組織改革とともにするべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(細野豪志君) 人材のしっかりした確保、さらには養成というのは、恐らくこれからの最も大きな課題になってくると考えております。原子力安全・保安院にももちろんしっかりとした専門家はおるわけですけれども、諸外国のそういう検査機関と比較をしたときに、本当の意味での専門家がどれぐらいいるのかということに関しては、私は十分だとは現在思っておりません。
むしろ心配なのはこれからでございまして、原発に対する信頼がこれだけ揺らぎ、若い人でこの分野にしっかりと仕事を求めていこうという、そういう人材は恐らく極めて限定されると思うんですね。だからこそ、専門家をしっかりつくって現場で検査ができるようなそういう体制をつくらなければならない。
ただ、それは、それこそ原子力の規制機関を新たにつくってずっとそこで検査業務だけやっていてもできないんですね。むしろ、少し原子力全体についての研究ができるようなそういう機関も持っておいて、そこでまたしっかりと見識を広げていくと、さらには外国にも行ってそういう検査の様々なやり取りについてしていく、そういう幅広い組織が必要でございまして、どう人を育てるかということをしっかり考えた新たな機関をできるだけ早い時期に創設をしたいと考えております。
○谷合正明君 人材育成、また安全規制にかかわる人材の確保というのは極めて重要だと思っております。これから大学等、また企業等でそうしたキャリアを積むということが、これから原子力を依存を少なくしていこうと言っている中でそういった人材をどうやって確保していくのか、これは極めて重要な問題であると思いますので、その点よろしくお願いしたいと思います。
今日は官房長官と総務大臣にお越しいただいておりまして、最後にお伺いしますが、今原子力行政の問題を取り上げてまいりました。総務省には行政評価・監視機能がございます。一昨年の二月にも原子力の防災業務に関する行政評価・監視という勧告が出されておりますが、今振り返ってみると不十分であったと言わざるを得ないわけでございます。原子力の行政の組織の人事の在り方についてやはり監視を行うということを考えていくと、国権の最高機関である国会による監視が重要であると考えております。その点について伺いたいと思います。
あわせて、これは原子力行政だけではなくて、本委員会では事業仕分、検察の不祥事等の重要問題を扱ってまいりましたけれども、行政の組織、人事の実態について継続的調査に基づく分析が不可欠であるということを度々指摘させていただいております。先ほど出た総務省の行政評価・監視機能は、事業仕分で抜本的な機能強化という結論となったのは記憶に新しいところでございます。
かつて民主党は、日本版GAOとお呼びしたらよろしいんでしょうか、行政監察院、枝野官房長官も議事録読んでおりますと平成八年にその質問をされておられましたが、国会中心の行政監視システムに転換すべきであると私は考えておるんですが、総務大臣と官房長官の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(片山善博君) 例えば、原子力行政について総務省の評価機能、監視機能というものが不十分ではないかと言われますと多分にそういう面はあると思いますが、私は、今回非常に明らかになったと思いますが、評価よりも前に組織論がやっぱりあるんだと思います。
評価というのは、ある一つの組織、集団がその組織の本来のミッションに従って忠実に仕事を行っているかどうかということを評価する、そこに一番重要な意味合いがあるわけであります。しからば、問題になっております原子力保安院のミッションは何かということなんですけれども、今、組織的には経産省の一翼を担っているわけでありまして、人事もその経産省の一翼を担っているがゆえに、先ほどのローテーションとかゼネラリスト重視ということに多分なっているんだろうと思います。
本来、原子力保安行政というのは、やはりミッションは、経産省の一翼を担う、産業政策、エネルギー政策の一翼を担うんじゃなくて、国民のために、国民の皆さんの安全のためにチェックをするということだろうと思います。そういうふうな組織になっていれば評価もきちっと行える、ちゃんとやっているかどうかというのは。
今、非常に私は、橋本行革以来、この原子力保安行政というのはミッションが混乱をしていると思います。エネルギー政策を主として遂行するところの一組織になってしまっている。したがって、人事もその枠の中で行われるという、ここには評価の限界があると思います。今のままの体制で仮に国会の方に監視機能を移したとしても、多分同じようなミッションの混乱から生じる評価の不十分というのは出てくると思いますので、ちょうどいい機会だと思いますから、原子力の安全行政というもののミッションを再整理をしてきちっと組織を形作るという、そこから始めるのがいいだろうと私は個人的には思っております。
○国務大臣(枝野幸男君) 御指摘いただきましたとおり、行政を適切に監視していただくというのは国会の果たすべき重要な機能の一つであると思っております。私自身、御指摘いただきましたとおり、かつて十数年前、日本版GAOの国会に法案を提出したときの提案者の一人でもございます。そうした意味では、是非、国会において具体的にどういった行政監視のシステムをつくり上げるのかと、これについては、行政府の側から何か申し上げるというよりも、国会において自律的に御判断をいただければというふうに思っております。
ただ一方で、国会においてそうした重要な役割を果たしていただくのと同時に、行政の内部においても、今の総務省の行政評価の仕組み、あるいは私が今所管しております行政刷新始めとして、内部的にもしっかりチェックをする、それを国会においても厳しくチェックをしていただく、こういうことが重要ではないかと。
それからもう一点だけ、検察関連につきましては、これは準司法機関としての独立性や政治的中立性という観点がございますので、これについての国会が常時監視をするような仕組みについては是非慎重な御検討をいただければというふうに思っております。
○谷合正明君 ありがとうございます。